面接で雑談を振る企業側の意図と上手な答え方のポイント
面接中に雑談を振られることがありますが、その意図は企業により様々。この形式の面接は雑談面接とも言われる面接手法のトレンドで、不安を感じる学生も多いですがその目的や企業の採用担当者が好感を持つ回答のコツを理解していれば大丈夫です。雑談面接対策を行い上手な答え方を身に着けましょう。
面接中にふと面接官から投げかけられる雑談に注意せよ!
新卒の就職活動や転職活動を問わず、最近は面接中に雑談を振ってくる面接官が増えており、その意図を巡って様々な憶測が飛んでいます。
雑談形式の面接が行われている背景としては、緊張をほぐす目的が昔は多かったのですが、今は面接対策が進んでいることもあり、画一的な受け答えも増えており、本当の応募者の姿が見たいという採用側の意図があります。
「雑談面接」と呼ばれることもあるこの雑談形式での面接の意図や、うまく面接を進めるためのポイントについて確認しましょう。
雑談形式の面接が行われる理由
面接というのは、面接官が応募者に対して定型的な質問をし、それに対して応募者がどのように回答するか、その受け答えを評価しています。基本的に一問一答で、質問に対して答えることで面接が進行します。面接において企業側が雑談を入れてくる理由としては以下のようなものがあります。
1 応募者の緊張をほぐすため
何気ない雑談というのは、応募者の緊張をほぐして話がスムーズにできるようにする効果があります。それが目的になっているのであれば、面接の最初に行われることもあります。「雑談が妙に長い」と感じる場合には、すでに面接が始まっていると考えておいた方が良いでしょう。
2 コミュニケーション能力を見るため
従来は面接を通してコミュニケーション能力や考え方などを伺い知ることができましたが、最近は面接対策が進んでいる背景もあり、想定質問に対する答えを暗記してくる人も増えています。そのため、採用側としては個人の違いが見えにくく、応募者が本来持っているコミュニケーション能力がわからないという弊害が出ています。
そのため、柔軟な対応力やとっさの言葉遣いや態度、自分の考えや意見を伝える能力などを知るために雑談を通して個人の性格や特性、情報を引き出すという面接手法が用いられるようになっています。
3 ただの時間かせぎ
最も残念なのが単なる時間稼ぎだったというパターンです。質問形式の面接の途中で急に雑談が始まるようならこのケースが疑われます。既にいくつかの質問の中で不採用が決まっていて、その上で企業に悪いイメージを持たれないよう、不採用を直接告げずに雑談を通して時間をつぶします。
この場合、他の応募者よりも質問項目が極端に少ないことも多いです。
雑談面接を通して面接官が見ているもの
雑談面接を行うことで、企業側は労働者の様々なポイントをチェックしています。面接官が見ているポイントを具体的にあげてみます。
1 コミュニケーションスキル
雑談というのは、相手の話をしっかり聞いていなければ続きません。質問のように「ひとつ伺いたいのですが」というようなことも言いませんので、大事な質問が急に来ることもあります。しっかりひとつひとつの言葉を聞いて、適切な受け答えができるのかが求められます。そして、雑談では対話のリズムを崩さないように相槌や即応性が求められることも覚えておきましょう。
また、何気ない一つ一つのやり取りから、用意してきた内容だけではなくいかに上手にすることができるかが問われます。あえて雑談の形にすることによって、その人の普段の雑談の能力が見えてきます。
2 言葉遣い
面接では言葉遣いには十分注意しているでしょうが、普段の生活ではあまり注意していない就活生は少なくありません。そういったボロが出るのが雑談面接の怖いところです。たとえ雑談中であってもあくまで面接であり相手は目上の人です。雑談だとしても無礼講ではありませんので、基本的なビジネスマナーや言葉遣いにおいて失礼のないよう気をつけましょう。
3 対応力
雑談を通して、予想外の状況になった場合にどういった対応をするかが見られています。声が上ずってしまったり、話す速度が速くなってしまったり、表情や仕草などにいろんな変化が出てくることも少なくありません。あえて知らないことや予期せぬことをぶつけてくる場合もあるため注意しましょう。
また、最初は雑談で和やかな雰囲気を出していたにもかかわらず、「志望動機を教えてください」「この業界を目指す理由は何ですか」など急に真面目な質問を投げかけてくる面接官もいます。「こんなにフレンドリーな雰囲気なら楽勝だ」などと早合点して油断しないよう、くれぐれも気を付けてください。
雑談面接で失敗しないための4つのポイント
「雑談面接は難しそう」と感じる方も多いでしょうが、ポイントをきちんと押さえておけば上手く乗り切ることが可能です。
1 雑談であっても面接だという気持ちを維持する
雑談は緊張をほぐすために行われることもありますが、面接だという気持ち、緊張感を維持するようにしましょう。構え過ぎて緊張するのは困りものですが、緊張しすぎても受け答えができていれば落とされることはありませんが、気が緩みすぎて落されることはあります。
2 雑談は質問されていると考える
雑談形式の怖いところは、「実は質問されている」ということです。普通の面接のように「学校で一番頑張ったことを教えてください」とは言ってくれません。「学校大変でしょ?」など、別の形で会社への印象や希望を引き出そうとします。「あなたは友達にどんな人だと言われます?」と聞かれて、事実だとしても「変人だと言われます」と答えてしまってはいけません。そこは自己PRの機会なのです。そのままに受け取らず、面接の質問として考え、自分の考えを表現したり、自己アピールをすることが大事です。
3 会話が切れないように注意する
雑談では会話のリズムも大事ですが、そのリズムをブツ切りにしてしまう人がいます。とりつく縞もない回答の仕方をしないよう気を付けましょう。
「うちの会社、思っていたより色々やっているでしょ?」と面接官が話してきた時に、「ぼちぼちですね」と回答されたら、相手もその後が続けにくいです。
「そうですね、事前に調べていましたので大きく予想と違うことは無かったのですが、思っていたよりもずっとやりがいがありそうに感じました」というように答えるなら、「やりがい?どのあたりにそう感じた?」と話が続くようになります。普段から雑談が上手な人は自然にできるのですが、苦手な人は意識して練習しておくと良いでしょう。
4 雑談だからと言って素の自分を出し過ぎない
雑談面接では素になりすぎないよう注意してください。リラックスして、面接も順調に進んでいると素に戻ってしまう人もいます。「弊社の商品で好きなものはありますか?」と聞かれて「いや、実は使ったことないんですよ」と答えてしまったり、今までの面接やエントリーシートの内容と矛盾が出るようなことがないようにしてください。
雑談面接でよく聞かれる質問例
雑談面接で出てくる質問や話の内容の具体例をいくつか紹介します。代表的な例なので、あらかじめ答えを準備しておくといいでしょう。
1 「学校はどう?楽しい?」
面接官は「学校はどう?楽しい?」といった質問から、与えられている環境で学生がどう活動しているかをチェックしています。
「いや、あんまりです」「楽しいけど、特に何がっていうことはありません」とつい本音をさらけ出す人がいますが、この回答はよくありません。学校でそのようなネガティブな態度で生活をしているなら、入社後もそのような働き方をするだろうということは想像に難くありません。
2 「他の企業の選考は進んでる?」
面接官が、他の企業に対する選考を探りつつ、志望者の興味の傾向や自社への期待度などを探ってくることがあります。前置きとして「実は私はこの会社は第三志望だったんだけど」など話してくることもあります。
うかつに「実は自分も第一志望ではないんですけど」と言ってしまったり、他の企業名を挙げる際に業界の違う企業名ばかり挙げないよう注意しましょう。
3 「普段、休みの日は何をしているの?」
休日の過ごし方についての質問ではありますが、その過ごし方から趣味や友人との付き合い方などが見えてきます。「休みはいつも寝ています」という回答が悪いわけではありませんが、いつも寝ている理由として普段の生活がよほどハードであるということが伝わらないと、単にダラダラした人という印象を与えてしまうので注意が必要です。
4 「風邪が流行しているけど、周りはどう?」
ちょっとした雑談ではありますが、周囲のことを聞いているようで目標はあなたです。「友人たちの中にもいますけど、私はあまり風邪引かないタイプなので元気です」というような回答ができればべストです。面接は友人の健康ではなくあなたに対することを知る場です。うまく自分に関連づけ、さりげなく自己アピールをしてください。
雑談形式の面接では雑談の得手不得手はあまり関係ない
雑談形式の面接では、雑談の中でも相手が引き出そうとしている情報や質問の意図を察知することが何よりも大切です。
実際のビジネスの場であれば、その情報を出す・出さないという駆け引きもありますが、学生が就職活動に臨む場合は基本的に引き出そうとする情報を察知して与えることが大事です。情報が与えられなければ採用のしようがありませんので、残念な結果に終わってしまいます。
おしゃべり上手な人がついつい話しすぎてしまって落ちる場合もあります。あくまで面接のひとつですので、話の面白さを問う場ではなく、社員として考えた時の人格などを問われているという意識を持って臨むべきです。
また、雑談面接で機械的な対応をしている人は落ちやすくなります。本質が見えなければ評価が下がってしまいますし、また素が見えすぎてしまっても評価が下がります。雑談の得意不得意が結果を左右しているというより、変わったルールの下で行われている面接だということを理解して対応できるかがより重要なポイントとなります。
面接中の雑談は難しく考えなくても大丈夫
雑談形式の面接が行われるのは、緊張をほぐすためだったり、コミュニケーション能力や対応力など通常の面接では評価しにくい部分をあぶり出すためです。
雑談面接というと難しく考えてしまいがちですが、適度な緊張感をもって面接官の言葉のひとつひとつに注意を払っていれば、大きな失敗をすることはないでしょう。ただし、受け答えの中で自分から対話が切れるキッカケを作らないように注意してください。
コツさえわかっていれば、雑談面接は普通の面接よりもむしろ楽しく、自分の力も発揮しやすいチャンスにもなり得ます。不安な人は学校の就職課・キャリアセンターなどでしっかり練習して慣れておきましょう。