英語面接での注意点は?よく使われる質問フレーズと答え方
英語面接と聞いて敬遠してしまう日本人は多いものですが、英語というのは実は伝えやすい言語であり、あなたの視野を広げるものです。今回は英語面接における注意点やよく使われるフレーズについてまとめました。
英語が苦手な人のための英語面接マニュアル
小学校からの英語教育や英語能力検定の充実により、日本人の方でも英語の読み書きができる方は増えてきています。しかしながら、実際に英語でコミュニケーションをとるということは、英語の読み書きができることとイコールではありません。
これから就職活動や転職活動をされる方の中には、日系企業だけでなく他の企業を受ける方もいることでしょう。その場合、面接に対する常識についても異なりますし、中には英語での面接を受けなければならないこともあります。今回は英語面接での注意点やよく聞かれる質問、その答え方をご紹介します。
英語面接における5つの注意点
まずは英語面接ならではの5つの注意点をご紹介します。中にはついつい犯してしまうミスもありますので、この5つの注意点はメモなどに残しておくとよいでしょう。
1 英語にも敬語はある
英語の方がカジュアルで略語やスラングの類が多いと何となく感じてしまいがちですが、日本人のわけのわからない言葉ほどではありません。ましてや、日本語の敬語というものは複雑であり、英語の簡潔な敬語は覚えやすいと言えるでしょう。試しに一つ英語の敬語をご紹介します。次の二つの内敬語として相応しいのはどちらでしょうか。
- “I want to join your team.”
- “I would like to join your team.”
意味はどちらも「あなたのチームに入れてください」です。しかし、下の例文の方が“would like to”と言っているので敬語として認識されます。「ええ!それだけ?」とお思いになるかもしれませんが、これだけで敬語として通用します。昔に学んだ「助動詞の過去形を使うと丁寧になる」というものです。もう一つだけ確認しておきたいので、次の日本語を英語に直してみてください。
- 「はじめまして、田中太郎です」
- 「田中太郎です、以後お見知りおきください」
下の方が丁寧な言い回しで使われていますが、上の文を少し変えるだけでOKとなります。
では、答え合わせです。
- “My name is Taro Tanaka, nice to meet you.”
- “My name is Taro Tanaka, pleased to meet you. “
変わったのは“nice”が”pleased”に変わりました。一語しか変わっていないのに日本語ではすごい変化です。これは日本語がいかに複雑なのかを示していることにもなりましょうが、英語の敬語はちょっとだけ工夫してあげるという感覚です。
2 英語は伝わればよい
英語面接ではわざわざ文法がおかしいだの、表現が適切でないだのと文句を言ってくる面接官の方が珍しく、伝わればよいという面があります。緊張はするでしょうが、多少の言い間違えは気にせず、相手に伝わっているように感じたらそのまま会話を進めていきましょう。
日本人によくあるパターンとしては面接官主導の面接というものがあります。つまり、次から次へと質問攻めにして相手の心の壁を崩してやろうという魂胆の下で行われている節があります。これを英語面接でやると大失敗になってしまいます。面接官はあなたのことを聞くためにいるので、そんな消極的な姿勢でいられると困ってしまうのです。「うまく話をつなげる」というよりも「相手に質問させる」というスタンスで臨むとよいでしょう。
3 英語面接であっても求められるのはビジネスの利益
日本と大きく異なる点であり、多くの方がイメージを抱いている点ですが、外国の企業はビジネス優先の傾向が強いです。
これは外国の企業が社会貢献やボランティアなどを蔑ろにしているという意味ではなく、これらの活動を継続していくためにはビジネスにおける利益が必要であるためです。つまり、自分の会社を盛り上げてくれるような人材を欲しているわけです。
「御社の技術を用いて社会に貢献したいです」と言っても面接官は喜ばないでしょう。それよりも「会社の利益になることであなたは何ができるのか」といった実力主義的な内容に期待しています。この際に「私には○○というスキルがあります」と答えてもダメです。特殊なものであればヘッドハンティングされているでしょうが、スキル単体に興味は持ってもらえません。重要なのはその会社であなたのスキルがどのように使えるのかということです。
4 自己紹介は2~3分にまとめる
ロジカルシンキングという言葉があるように、日本以外の先進国では論理的帰結、つまり道筋が立った内容の展開から導き出される答えが重要視されます。この考え方に欠かせないのが客観的な洞察力です。ここでいう客観的というのは、話を聞いている人が内容を把握できるように整理されている状態のことです。
例えば、「私は青色が好きです」だとなぜ青色が好きなのかが分かりません。そもそもなぜそのように発言したのかが理解できないのです。そのため「私は御社のロゴにも使われている青色が好きです。目に優しく見る人にやさしく設計されているのが魅力的です。」などと答えることができます。
このことは自分自身のことにも当てはまります。いわゆる自己分析というものです。これをしっかり把握しておき、自己紹介の時に伝えられるようにしておきましょう。ちなみに自己紹介は2~3分で済むように用意しておきましょう。
5 コンピテンシー面接に備えること
あなた自身がどれだけ素晴らしく有用な人材であっても、使えない場を提供してしまえばそれで終わりになってしまいます。そのため、最近では仕事に向いているかを慎重に判断するためにコンピテンシー面接(適正面接)という方式が標準化されつつあります。
英語面接においても、あなた自身がどのような人間なのかというよりも、あなたにこの仕事を任せることができるかといった質問がなされます。
質問内容の例
- 締め切り厳守の業務をどのようにこなすか
- チームで動くことの困難は何か
- サポートが必要になったときの対応は
- 問題が予測できたときの動き
このような質問は日本企業の面接でも尋ねられることがありますので、そこまで注意せずとも自分の経験から導き出していき対応すればよいでしょう。しかし、あくまでも客観的に伝えることが条件です。
英語面接でよく聞かれる質問と返答例文
英語面接でよく聞かれるフレーズとその返答例文をご紹介します。ここでは本当に基礎的な内容しかお伝えしませんので、後々自分で肉付けをしていってください。
1 「自己紹介をお願いします」
英語面接で自己紹介を求める代表的な聞き方として“Tell me about yourself.”があります。これを言われたら2~3分の自己紹介をしましょう。ただし、日本のように意気込みややってほしいことは聞いていません。自分がどのような人間でどういったことに貢献したいかを述べます。コツは次の3点に注意することです。
- 技術・スキル
- 経験・今までの仕事
- 技術や仕事の期間
日本では「私は実直な男であり、どんな業務で仲間と力を合わせてやり遂げて見せます」といった言葉で茶を濁す方がいらっしゃいますが、結局何が言いたいのかあいまいでつかみどころがありません。面接官はあなたの精神的なことは聞いていないのです。
これら3点を意識した内容が以下の例文となります。
自己紹介の例文
“I worked in the human resources department of a Japanese company for three years. Meanwhile, I have learned about the optimal allocation of human resources and have done it. Your company’s personnel structure is irregular and there is room for improvement. I definitely want to make an effort on that point.”
「私は3年間日本の企業の人事部門で働いておりました。その間に私は人的資源の最適配分について学び、それを実行してきました。御社の人事体制は不規則であり改善する余地があります。ぜひともその点について尽力させていただきたいです」
あなたの経歴はもちろん、その期間や身についているスキルが要求されます。そしてそれがどのように役立つのかを述べていただくことが英語面接での目的です。今回は「改善する余地がある」と述べていますが、ここにその必要性を客観的に述べることが重要です。
2 「あなたを雇うメリットは何ですか?」
日本人にとってはインパクトが強いですが、英語面接では“Why should we hire you?”といった質問をされるのは珍しいことではありません。
この質問で聞きたいのは、あなたがどの分野でどういった利益を与えてくれるのかということです。答え方次第で配属先のほとんどが決まってしまうこともあるため、慎重に答えましょう。答え方は自己紹介の時と同様に3つのポイントをしっかり押さえれば大丈夫です。
3 「わが社について知っていることは何ですか?」
英語面接での重要な質問に“What do you know about this company?”があります。この質問によって面接官やその後の流れにも影響を与えます。この質問の意図は単純ですので、知っていることをそのまま答えるだけで大丈夫です。ただし、問題点が分かっており、そこに自分のスキルが生かせるのであれば積極的に伝えていきましょう。
4 「あなたの欠点は何ですか?」
日本ではあまり聞きませんが“What’s your biggest weakness?”という質問があります。日本であれば、長所と短所のセットで聞きますが英語面接では専ら欠点や弱点を聞いてきます。成功体験や長所は直すのでなく伸ばす部分ですので問題はなく、むしろ自らの弱点をどのように扱うかという問題解決能力に重きを置いているためです。
単に弱点を晒すのではなく克服するための手段も一緒に答えるとよいでしょう。例文を以下に残します。
欠点に関する例文
“Unfortunately I do not have the precision that manages enormous data. But I believe your company’s data management system is perfect and will show off my power.”
「私は膨大なデータを管理するような緻密さを残念ながら持っていません。しかし、御社のデータ管理システムは完璧であり、私の力をあますことなく発揮させてくれると信じています」
5 「新しい職を探しているのはなぜですか?」
転職希望者にとっては“Why are you looking for a new job?”という質問はなかなか耳が痛い話です。日本と同様、前の会社の悪口を言うのは感心しませんが、英語面接の方が幾分か素直に答えて問題ないでしょう。企業側があなたに求めているのはビジネスにおける利益ですので、その力を見せてもらえれば大丈夫です。
6 「一番の失敗は何ですか?」
“What was your biggest failure?”という質問に対しては簡潔に答えましょう。「どのように解決しましたか」やそのあとの経緯については面接官が興味をもてば答えるというスタンスで良いでしょう。ただし、概要と選んだ理由は明確に伝える必要があります。
7 「他に質問はありますか?」
“Do you have any questionxs for us?”という質問については是非有効活用しましょう。今まで手に入れられなかった内部情報を聞き出すいい機会です。
「この仕事の一日はどういったものか」「この仕事は楽しいか」「この会社は数年後どうなると見込んでいるか」などズバッと聞いて問題ありません。あなたのこれからを決める重要な情報ですので、いくつかの質問を用意しておきましょう。
増えている英語面接に備えよう
英語面接での注意点やよくある質問についてお伝えしてきましたが、これはほんの一部でありすべてが該当することはまずありえません。しかし、ある程度の準備や最低限知っておきたい基礎知識はご紹介しました。
これからの時代、グローバル化に伴い英語面接を取り入れる企業はますます増えていくことが予想されます。ぜひこの機会に見聞を広めてみてはいかがでしょうか。