「面接は私服でお越しください」と言われたら何を着ていく?
私服で面接に行かなくてはいけない、という状況が突然訪れたら、今の自分の知識だけで自信を持って臨む事ができるかと問われた時、即答できる人はなかなかいないのではないでしょうか。具体的に望ましい服装とはどのようなものなのか、また、持ち物や身だしなみはどうすればいいのかなど、知っておくべき事は意外と多くあります。これから私服面接に臨むという方にぜひ知っておいて頂きたい点を紹介します。
企業が私服面接を行う理由
就活をしていると「私服面接」を行っている企業の面接に臨まなくてはならない事があります。普通に面接を行い就活生に質問をするだけならば、スーツを着用する事を求めるだけで良いはずです。ところが企業によっては、絶対に私服でお越しください、と私服の着用を指定する場合があります。
これは、企業が就活生にどの程度常識を持っているかを問うために設けた制度だと言えます。多くの企業がここで求めているのは目立つことではなく「無難」である事、そしてその企業の社風に合わせる事ができる人材であるかどうかという事です。
私服で、と聞くとセンスを問われているように思われ、つい自分の中のオシャレを優先しがちになってしまうかもしれません。ですが、私服面接におけるセンスとは、TPOをわきまえられるかどうかという事です。面接を受けに来た就活生が、社会で通用する服装であるかどうか、企業が見ているのはその点です。私服の選び方を間違えたために不採用、といった事がないように充分に留意しましょう。
実際に私服面接を実施しているのはどんな業種?
私服面接を行っている企業は近年増えていますが、アパレル企業、広告や出版業界、マスコミ業界、サービス業界、各種デザイン業界などが積極的に取り入れているようです。また、近年増えてきているような、ベンチャー色を売りにし、前面に押し出している企業では、就活生にリラックスして面接に臨んでほしいという理由で私服面接を行っている場合も多くあります。
また、広告や出版業界では、リラックスして面接を受けてほしいという理由だけでなく、センスの有無を問うという意図が加わっている場合が多々あります。入社した後の仕事ぶりに影響し、大きく関係してくる要素だと考えられているからでしょう。
私服面接を多く行っているのはアパレル企業
そして、この中でも特に気を付けておきたいのが、アパレル企業での私服面接です。デザイナーや店舗スタッフは、直接的、または間接的にお客様に魅力的なデザインを提供しなければなりません。ですので、面接で個性をアピールする事は大変重要なポイントです。
しかし、個性をアピールする事=奇抜なファッションをする事ではありません。自分が面接を受けようとしている企業の商品のカラーをうまく取り入れるようにしましょう。流行を意識しているかどうかを見られている場合もありますので、常に最新のトレンドに対応できるようにしておきたいところです。
私服面接で求められている服装
私服面接に相応しいのは、男女共に「オフィスカジュアル」と呼ばれるスタイルです。この言葉には聞き覚えがあるかもしれません。では実際に、面接に臨む時に求められるのはどのような服装を指しているのか、男女別にご紹介します。
男性の場合の私服
アウターは基本的にジャケットを着用しましょう。ここで言うジャケットとは、襟のあるテーラードジャケットの事です。中には白いシャツを着ておくのが無難であると言えます。柄のあるものでも大きな問題はありませんが、主張が強いものやはっきりした色味のものは避けてください。また、カーディガンを着用するのも良いでしょう。この場合、黒、グレー、ネイビーなどのシックな色味の物を選んでください。
ボトムはチノパンをおすすめします。黒やベージュなど、落ち着いた色味のものを合わせておきたいところです。靴はよく磨いた革素材のもので、黒か茶色を選ぶようにしましょう。全身をぱっと見た時に同じ色で統一してしまわないように気を付けてください。真っ黒だったり茶色しか使っていなかったりするとセンスがないように見られたり、地味で暗い印象を面接官に与えてしまう可能性があります。
また、夏であればポロシャツに長ズボンといったスタイルがおすすめですが、長袖のシャツ一枚で臨んでも問題ありません。どちらの場合でも汗染みには気を付けましょう。
女性の場合の私服
女性の場合、男性よりもオフィスカジュアルの定義が広いため、限定する事はなかなか難しいと言えます。なので、意識するべきいくつかのポイントだけをきちんと押さえておけば、少なくとも面接官に嫌われる事はないと考えた方がいいでしょう。
アウターは男性と同じくジャケットを着用すると無難に収める事ができます。インナーは白、または薄い色で透け感がなく、襟のあるブラウスを選んでください。基本的にどのアイテムにも使わないようにしましょう。必要であればカーディガンを着用しても良いですが、その場合はグレーなどの落ち着いた色味のもので、普通丈のものを選んでください。派手ではなく、適度に明るい色を取り入れると顔色も明るく見えるため、面接官にいきいきとした印象を与える事ができます。
そして、スカートで面接に臨みたい場合は、膝丈のものを選びましょう。清潔感のあるもので、柄は派手なものでなければ多少は許されます。タイトスカートでもフレアスカートでも問題はありません。パンツスタイルの場合は、シルエットが綺麗に体のラインに沿ったものにしましょう。
靴はヒールが高過ぎない革素材の、よく磨いたパンプスを履いてください。アクセサリーを付ける事も問題ありませんが、付け過ぎやあまりにも派手なものは避けましょう。上手く取り入れれば印象を変える事もできるので、プラスに働く部分もあります。
男女共に、ジャケットの着用を考えている場合は、型崩れをしないように事前に準備しておきましょう。充分に清潔感を意識し、汚れやしわなどに注意を払ってください。
アパレル業界の場合は私服のセンスが問われる事もある
また、アパレル業界の面接であればブランドイメージやブランドのセンスを充分に理解し、その企業の商品を着用する事が求められる場合もあります。面接が複数回にわたる場合は、着回しでセンスをアピールする事もできます。しかし、その他の業界ならば、やはり従来通りのオフィスカジュアルが求められていると考えてください。
私服面接で着てはいけない服装
私服面接に相応しい服装についてはご理解頂けたかと思います。それでは次に、私服面接で避けるべき服装についてご紹介します。
まず、カジュアルすぎるものは原則として着用してはいけません。例としてはジーンズ、パーカーやトレーナーなどが挙げられます。男性であればジ―ジャンや革ジャン、七分丈のパンツ、または半ズボンは避けましょう。カーゴパンツもチノパンよりラフに見えるので避けるべきです。スニーカーも面接向きではありません。私服面接だからといって、気を抜いたように見られるアイテムを身に着ける事は望ましくありません。
女性の場合に気を付けておきたいのは、露出度の高い服装は避けるべきだという事です。ミニスカートやスリットの入ったスカート、キャミソールなどがこれに当たります。また、ミュールよりもパンプスの方が面接に相応しいため、ミュールしか持っていない方はヒールが低めの革素材でできているパンプスを用意しておきましょう。
男女共に、明るすぎる原色を取り入れた服や、奇抜なデザインのものは相応しくないという事を覚えておくと服装選びがしやすくなります。ですが、全体の色味が暗すぎると悪印象を与えてしまう可能性があるので、全て選び終えた後に家族や友人に全体を見てもらい、チェックしておくと良いでしょう。
面接では清潔感を意識した私服にすることが大切
清潔感は言うまでもなく重要です。しわや汚れがあると、せっかく選んだ服が台無しになってしまい、それだけで減点されてしまいます。サイズの合っていないものを着るのも、プライベートなファッションとしては問題ありませんが、面接には適していません。また、ブランドロゴの主張が激しいものは持ち込まないようにしましょう。アパレル業界の面接であれば、特に気を付けておきたいところです。
私服面接で持っていくべきものや、相応しい髪型は?
では、持ち物や髪型についても考えてみましょう。
まず必ず持っていくカバンについてです。これは資料などをすっぽり入れられるA4サイズ、またはそれより少し大きめのものが望ましいです。面接に集中するためにも、できれば自立するものを選びたいところです。トートバッグが多く販売されているので、その中から当日の服装に合い、かつ条件に近いものを選びましょう。また、カバンも服装と同様にブランドロゴが目立つものは避けた方が良いと言えます。
そして持ち物ですが、最低でも筆記用具と手帳など、そして印鑑は持ち歩くようにしましょう。これは社会人として当然持ち歩くべき、いわば必須アイテムです。特に筆記用具は、持っていないと悪印象を持たれてしまいます。いつどこで使う必要に迫られるかわからないため、常に持ち歩くように心がけておきましょう。
ワックスなどの整髪料を付け過ぎに注意
また、相応しい髪型ですが、男女それぞれに気を付けておくべき点があります。まず男性の場合は、襟足が襟にかからない長さに揃え、サイドは耳にかからないように注意しましょう。ワックスなどの整髪料を付け過ぎないよう、あくまでも身だしなみとしての範囲を出ない程度のセットをするべきです。
表情が暗くならないように注意
女性の場合は、顔が暗く見えないように工夫する事が大切です。前髪が眉にかからないように切り揃えるか、長い場合はピンで留めて顔にかからないようにしましょう。長髪である場合は一本に束ねるか、ハーフアップにしてまとめ、髪が散らないようにしなければなりません。
男女共に髪色は黒が無難ですが、アパレル業界に限っては色についての許容範囲が広いようです。明るすぎない茶色であれば良しとする企業もあります。
「私服指定」「私服でお越しください」は注意して!
私服面接と言っても、企業から就活生への伝え方は様々です。例えば、「私服可」や「服装自由」という規定であれば、スーツで臨んでも問題ありません。この場合、私服で会場に来る人の方がスーツで来る人よりも少ない可能性が高いのですが、どちらでも良いのだという事を心に留め、自分が少数派であっても気にする必要はありません。
ですが、「私服指定」、「私服でお越しください」という規定の場合、絶対にスーツを着てはいけません。スーツを着ていくという事は、「私服で来てください」という企業からのお願いに背く事になり、重大なマナー違反を犯している事に値します。
面接で着る私服は常識に照らし合わせて準備しよう
私服面接では、男性、女性問わず清潔感と社会的な常識が求められます。例えば、女性であればメイクについて考えておく事も必要です。薄すぎたりスッピンであると、あまりにも人からどう見られているかを気にしていない人なのか、と思われてしまう可能性が高いです。これは、就活生専用のメイク講座が開かれるほど面接においてその点が注目されているという事の表れです。
男性であれば髭の剃り残しがないか、ジャケットが面接に適しているものか、などに気を付けなければなりません。せっかく他のところに気を配っていても、ちょっとした綻びが全てを台無しにしてしまう事もある、と当日まで慎重に身だしなみを整えるようにしましょう。
面接官に対面するまでが私服面接の準備期間です。ドアを開けるまでは気を抜かないようにしてくださいね。