面接で「印鑑を持ってきてください」と言われた!何に使うの?
アルバイトから正社員にいたるまで、就職活動の中では「面接の際に、印鑑を持ってきてください」と指示がある場合があります。こういった時に「何があるんだろう?」と不思議に思ったり、中には「もしかしたら即採用かも?」と期待を持つ人もいます。
実際、企業が面接に印鑑持参を指示する場合には、どういった意図があるのでしょうか。また、その場合の対応としてはどうしたら良いのでしょうか。
面接で印鑑を持参しなければならない3つの理由
「今時印鑑が必要なの?」と不思議に思うかもしれませんが、面接で印鑑を持ってくるように言われるのは、主に以下の理由があるためです。
1 各種書類への内容確認のために捺印が必要だから
企業が採用活動で使用する書類の中には、内容確認が必要なものもあります。たとえば、健康状態の申告書などは虚偽事項があれば会社にとっては大きなリスクとなるため、そういったことがないことを書類の内容確認の上で捺印してもらう場合があります。
また、履歴書や職務経歴書など個人情報の含まれる書類も多いことから、個人情報の取り扱いに関する書類に対しても捺印を求めることがあります。個人情報の保護に関して適切な管理体制が整っている「プライバシーマーク」を取得している企業においては、捺印を個人情報の取り扱いに対して同意したと見なすケースが多いです。
2 契約に関する書類への捺印が必要だから
面接の後などに、契約に関する書類への捺印が求められる場合があります。この場合の書類には内定同意書や雇用契約書など様々なものがありますが、どの場合においても必ず内容については捺印する前に確認し、不明点があれば人事担当者に確認するようにしましょう。
3 交通費の支給のために捺印が必要だから
企業によっては、面接などのための交通費を支給してくれるところもあり、その内容確認や受け取った証拠として捺印を求められる場合があります。全ての企業で支給されるわけではありませんが、大企業などで最終面接くらいになると支給されることが多くなります。
面接の交通費支給に印鑑が必要な理由
交通費を支給する場合には不正利用を避けるため、それが適切であるかを確認する必要があります。そのため、経路とそれを認証するための捺印が必要となります。これは社内の人はもちろん、まだ社外の人である応募者であっても同じです。
交通費の支給は企業としては経費として処理できますので、適切と思われる範囲では節税となります。そのため、基本的には利益が出ている大企業において行われます。税務署が確認する際には、どういった交通費が必要だったのかをこうした書類から確認するため、内容を担保する印鑑が必要となるのです。
面接に印鑑が必要となる可能性のある書類
企業によっては、その他様々な形の書類で契約のために押印が必要となることがあります。「面接に印鑑は必要ないのでは」と思う人もいるでしょうが、円滑に手続きを進めるためにも、指示がなくとも持って行った方がベターです。
なお、面接の際に印鑑を持参するように言われた場合、次のような書類が出てくる可能性があります。
健康状態の申告書
健康診断などの結果に関するものや、持病の有無などに関する申告書です。内容確認のために印鑑を必要とすることがあります。
履歴書
履歴書自体には昔は印鑑が必要でしたが、今は印鑑は不要となっています。ですが、慣習的に押印を求めるようにしている企業もあり、履歴書に印鑑がない場合には求められることがあります。
職務経歴書
職務履歴書には決められたフォーマットはほぼありませんが、職務経歴書も履歴書と同様に、印鑑を求められることがあります。
個人情報の取り扱いに関する同意書
履歴書や職務経歴書を始め、採用のために必要となる書類は様々な個人情報を含みます。今は個人情報の取り扱いについても注意している企業が多く、こうした採用に関する個人情報の取り扱いについてのルールについて同意を求めることが増えています。
秘密保持契約書
秘密保持契約書(機密保持契約書)というのは、契約によって知りえたビジネス上の重要な情報を外部に知らせないという約束をする契約書です。採用試験の中で聞いたことや、面接の中で大切な情報を聞ける場合もありますが、そういったものが他者や外部に渡ることを防ぐために押印を求められます。
内定承諾書(内定同意書)
企業が内定を出したことを通知するもので、それを承諾する意の印鑑を求められることがあります。原則として雇用契約書とは違い法的拘束力はありません。その場で断ると多くの場合は内定辞退が消されてしまうため、その場では押印して問題ありません。
雇用契約書(同意書)
雇用契約の内容に関して同意をする場合に押印が必要です。ただし、その雇用契約の内容にはしっかり目を通し、自分が認識しているものと同じなのか確認が必要です。
交通費の申請書
交通費の申請書にも押印が必要ですが、経路や費用について間違いがないと本人が認めたという意味になります。押印が無い場合には支給できない企業もあります。
誓約書
誓約書は約束事に関しての書類で、受け取り側の記名や捺印が無いのが特徴です。上記にあるような書類の簡易なものとして使われることがあり、その内容は様々です。
派遣登録書類
派遣会社の登録面接の場合には、派遣会社側との契約になりますので、その契約のための書類に押印する必要があります。
面接後に雇用に関する書類への印鑑を求められたらどうするべき?
面接の後に、内定書類や雇用契約に関する書類への捺印を求められることがあります。
「他の企業とは雇用契約を結びません」と言った内容の条項がある場合もありますが、こういった書類に捺印には法的な拘束力はありません。しかし、精神的に拘束力が生じるのは間違いありません。採用側は法的な拘束力がないことを知りつつ、そういった保険としてこういった捺印を求める場合があります。
ただし、良いことばかりではありません。例えば、転職の面接などでは事前に求人募集が出ていますが、その募集とは違う条件となっている雇用契約書に捺印させたり、また募集していたものとは違う職種で契約させるために捺印を求める場合もあります。契約書の内容についてはその後を大きく左右する可能性がありますので、しっかり中身は確認する必要があります。
もし印鑑を持っていくことや捺印することに不安があるなら、その理由を必ず確認するようにしましょう。指示に従わずに持っていかないのはマイナスの評価になりますし、持っていくことによってストレスを感じるのもよくありません。
面接で使う印鑑は基本的にシャチハタはNG
面接で印鑑を持っていく場合には、基本的に「認印を持っていく」ということに注意してください。
印鑑は大きく分けて押印の度に朱肉をつけて捺印する認印と、ハンコ本体にインクが入っていてスタンプのように何度もすぐに押印できるシャチハタと呼ばれるものがあります。基本的にシャチハタは印鑑の簡易版で、模造も容易であることから契約などの書類に押印する場合は不適切なのです。
面接で使う印鑑はシャチハタではなく認印を持っていく
面接や就活全般では特に指定がないのなら認印を持っていきましょう。認印は役所への届出が必要な実印とは違いますが、法律上の効力がある印鑑です。交通費の支給や健康診断書の書類などは、企業と本人のひとつの契約として、捺印した内容には法的な責任や拘束力が発生しますので、通常は認印を使います。
ただし、シャチハタでも構わない場合は企業側からそのことについて連絡があるはずです。何も連絡がなければシャチハタは不可だと思っておきましょう。
万が一面接で印鑑を忘れたらどうする?
「印鑑持参」と指示があったにもかかわらず、忘れてしまう場面はどうしてもあります。そういった場合は、まずは焦らずに人事担当者に連絡を入れて事情を説明しましょう。その際に対応を仰いで、適切に行動することが大切です。
もちろん、時間的に充分余裕があるのであれば、家に取りに帰ることができれば一番です。「印鑑を忘れたために面接で落ちる」ということはまずありませんが、後日の手続きが必要になったりと面倒が生じることは間違いなく、企業側にも迷惑をかけることになります。ただし、遅刻の可能性がある場面では避けた方が無難です。
場合によっては、サインや拇印で大丈夫と言われることもありますし、実印でなくシャチハタなど途中で購入できるハンコがあればそれで良しとすることもあります。
面接では指示がなくても印鑑は持って行く
面接で印鑑の持参を求められるケースは様々な理由が考えられますから、企業から持参するように指示があった場合は基本的に持っていくべきです。持っていき、捺印することによって、交通費の支給や即時内定などのメリットがある場合もあるからです。
しかしながら、印鑑は契約に使うものですから、捺印する書類の内容については慎重に確認する必要があります。場合によっては、不利な内容の雇用契約などを結ぶことになる可能性もありますので注意しましょう。