逆求人とは?企業からオファーが届く新しい就活のやり方
逆求人は近年伸びつつある就職活動の方法です。従来の企業主体の採用活動から、学生が主体となって自分に合う企業を選ぶという形で進行しますので、興味を持った企業からオファーをもらうことができます。逆求人の具体的な手法やメリットデメリット、逆求人フェスティバルについて紹介します。
就活に革命をもたらしている「逆求人」で企業からオファーをもらおう
今、就職活動は売り手市場と言われていますが、その波に乗って拡大を続けているのが「逆求人」という新しいカタチの就職活動です。求人は企業が学生に向けて行うものですが、逆求人では学生が企業に向けて情報を発信し、入社してほしいと考える企業側から直接アプローチを受ける形になっているのが特徴です。
就職活動と言えば、一般的な就職活動(自由応募)、学校推薦などが今の定番ですが、逆求人は新しい選択肢として注目を集めています。
就活に革命をもたらしたと言われる逆求人は、就活生はもちろん、企業の採用担当者にとっても必ず知っておくべき条項となりつつあります。逆求人に関する基本的な情報を紹介します。
逆求人とは何か
逆求人とはこれまでの就職活動に見られた、企業側が情報発信をして就職を志望する学生たちを集める仕組みとは逆に、学生が主体となって情報発信をすることで企業が有望な学生に直接アプローチしていく形の求人です。
いわば学生に対して企業がスカウトを行うという就職活動であり、学生側はスカウトをしてもらえるように情報を発信するという仕組みです。そのための環境が様々に整えられたサービスも登場し、活況となっています。
1980年後半から1990年台初頭のバブルと言われた時期も売り手市場の就職活動が行われ、当時は有望な学生に対して企業が接待やサービスをして企業を選んでもらうということがありましたが、今はインターネットを用いて学生が情報提供を積極的に行うことや、基本的に企業側は面接などで「説き落とす」という点で違いがあります。
一人の学生に多くの企業が採用を希望する点ではプロ野球のドラフト制度とも似ていますが、最終的にどの企業に就職するかの決定権を学生側が握っていることに違いがあります。
理系の学生などで学校推薦という方法もありますが、逆求人では学校のように自分を売りこむ後ろ盾がなく、自分自身で自分を企業に売り込む必要があります。総じて、逆求人とは学生主体の新しい就職活動の仕組みと言うことができるでしょう。
就活生が企業に自分を売り込む逆求人の行い方
逆求人は、就活生が企業に自分を売り込んで企業からのオファーを待つ新しい形の求人方法です。逆求人の行い方について、代表的なものをいくつか見てみましょう。
1.自分の逆求人用のWebサイトやブログを作って企業にアピールする
セルフブランディングが上手にできる人の中には、自分の逆求人用のWebサイトやブログを作り、その中で採用を希望する企業を募る人もいます。ただし、SNSにおいてしっかり拡散していったり、希望する企業への情報発信をうまくしていかないと、誰の目にも触れられずに終わってしまう可能性があります。
2.逆求人のサービスを行っている逆求人サイトを利用する
現在、逆求人サイトを利用することは、逆求人の主流になっています。「逆求人サービス」などのキーワードで検索すると多くの逆求人サイトが検索結果に出てきますが、そういったサイトを利用すると良いでしょう。
こうしたサイトの登録者数からは、就活生の7人に1人が逆求人サイトを利用しているとの予測もあります。逆求人サイトでは、サービス運営側が学生だけでなく、興味を持っている企業の採用担当者にもアプローチして利用者を増やしているため、マッチングがうまくできる可能性が高まります。
逆求人サイトはどうしてもシステム化されているため、自分用のサイトと比較すると自由度は落ちてしまいますが、企業の担当者に見てもらえる可能性が高まるメリットは非常に大きいです。
逆求人サイトによって、募集している層が違っていることがありますので、自分にあったサービスをしっかり調べてみることが大切です。
3.たくさんの就活生や企業が集まる逆求人イベントに参加する
逆求人という形で就活をしたいなら、逆求人サービスや、学生団体などが主催者となって開かれる逆求人イベントに参加するのもひとつの方法です。逆求人イベントでは、学生たちが自分自身についてアピールして、それを見て興味をもった企業の担当者が直接アプローチして採用に直結した形で面談を行っていきます。その場で内定が決まるケースもあります。
一番大きなイベント「逆求人フェスティバル」とは何か?
現在、逆求人イベントの中でも最も大きなものが「逆求人フェスティバル」です。
逆求人フェスティバルは、いわば合同説明会の逆バージョンで、様々な学生個人がブースを作り、その中でイベントを設けたり、興味を持ってきてくれた企業の採用担当者と1対1で面談をしながらアピールしたり内定を決めていくためのイベントです。
大手企業向けや中小企業向けのイベントなどが用意されていたり、参加する学生のリストや参加企業のリストなどが事前に配布されたり、名刺交換のための時間が設けられていたりと、学生と企業を結びつけやすくするための工夫が凝らされています。
運営費の大部分はイベントに参加する企業側が負担することになります。企業側としては積極的に採用したいと考えられる学生に一日で複数人アプローチできるメリットがあるため、内定を出せるようなところまで話が進めば、コストとして悪くありません。
参加する学生は、自己PRを登録し、逆求人フェスティバルにエントリーします。人数に限りがあるので早めにエントリーすることが大切です。
当日のプレゼン・自己PRの方法、服装などは自由となっています。どのように自分をプロデュースしていくかしっかり考えていきましょう。当日までの間には、サポートスタッフと面談してエントリーシートの添削やPR方法のアドバイスを受けることができます。
逆求人フェスティバル当日には、採用担当者はもちろん、直接採用を考える企業の経営者の方が来られることもあります。企業から「あなたが欲しい」とオファーをもらうには、気後れせずに自分をしっかりアピールすることが大切です。
拡大を続けている逆求人にもメリット・デメリットがある
売り手市場の波に乗って勢いづく逆求人にもいいところとそうでないところがあります。逆求人におけるメリット・デメリットについて考えてみましょう。
逆求人のメリットはお互いに精度の高いマッチングが望めること
学生にとっての逆求人のメリットは、就職活動にかける時間を削減することができることです。企業側のスケジュールに関係なく自分を売り込み、内定に近いオファーを得ることができますし、エントリーシートごとに同じような情報を入力する必要もありません。企業研究や業界研究に必要以上に時間をかける必要もありません。また、自分の居住地域によらず多くの企業にアピールが可能というのもメリットです。
企業側にとっては、就職への意欲がハッキリしている学生に確実なアプローチができることや、一般的な新卒求人と比較して学生について多くの情報を得ることができ、精度の高いマッチングができるようになることがメリットになります。志望者を集めるのが難しい中小企業などにとっては、なかなか得難い人材を得られる大きなチャンスにもなります。
逆求人のデメリットは自分の個性を魅せるセルフプロデュースが求められること
学生側における逆求人のデメリットは、セルフプロデュースが要求される点です。他にも逆求人をしている人は非常に魅力的な人が多いため、その中で自分の個性を際立たせるアイデアや活動が必要となります。また、自分が志望しているような企業と確実に出会えるか不透明であることや、普通の就活と並行して行うならその分手間が増えてしまうことなどがあります。
企業側における逆求人のデメリットは、最終的にどの企業を選ぶかの決定権が学生側にあり、計画的な採用が難しい点があります。また、まとまった母集団にアプローチできる一般的な就活とは違い、質の確保という点で採用担当者の力量が求められます。
ちょっと心配?!逆求人は本当に就職につながるのか
逆求人について興味がありつつも、本当に就職が可能なのかという点について気になっている人は多いです。
逆求人によってどのくらいの内定や就職が出ているのかを公表したデータはまだありませんが、サービスに登録する学生数や、逆求人サイトに登録したり逆求人イベントに参加する企業数は年々増えています。それだけニーズも高まっており、実際に実績が出ていることの裏付けと言えます。
現時点では「逆求人をしておけば確実に就職ができる」と言えるようなものではなく、また景気の状況が変わって売り手市場が崩壊すると、逆求人の仕組みそのものに逆風が吹く可能性もあります。多くの事情を鑑みると、現在のところは「逆求人は普通の就職活動と並行して行うべき」と判断すべきです。
普通の就職活動ではなかなかアピールできない能力や実績があるというケースでは、企業の目に留まりやすく、逆求人を中心にした就職活動を展開することは有利に働きやすいため、積極的に利用してみると良いでしょう。
企業からオファーをもらえる逆求人だけど今はまだ就職活動のひとつの選択肢と考えよう
現時点では、逆求人は就職活動のひとつの選択肢として知っておくべき事項ではありますが、まだまだその手法については十分に確立されているとは言えず、就職を有利にすることを約束するものではりません。
逆求人は多くのメリットが学生にも企業にもありますが、既存の就職活動を補う形で機能するものであり、完全に代替するほどではないことに注意する必要があります。今後は逆求人を対象にしたビジネスやサービスも多く出てくると思われますので、その動向は関心をもって見守っておくと良いでしょう。