就活

ガクチカがない人のための面接官の目に留まる例文と書き方

就職活動で「ガクチカがない」と悩む学生は多いです。ガクチカは「学生時代に力を入れたこと」というエントリーシートの定番項目ですが、学生がガクチカに求めるイメージと企業に求めるイメージの相違が「ない」と思わせてしまっています。イメージを正しく持てばガクチカのネタはたくさんあります。

ガクチカが浮かばない理由はイメージにある

ガクチカとは、「学生時代に力を入れたこと」という就職活動のエントリーシートの定番項目のことを言います。いざ就職活動に臨んでみて、このガクチカが思い浮かばないという人は少なくありません。

しかし、多くの場合はガクチカに対するイメージが凝り固まっていて、そのために柔軟に考えることができなくなっているからです。イメージさえ正しく持てばガクチカはたくさんあるのです。今回は、どのようにしてガクチカを考え、作成していけばいいのかを例文を交えて紹介していきます。

企業がガクチカから知りたいことは「問題を乗り越えた経験や取り組み方」

学生の多くは、ガクチカについて文字通り「頑張ったこと」ととらえ、ひとつのサクセスストーリーを連想します。しかし、企業が求めているのはそういったことではありません。

実績ではない

普通、右肩上がりで上手くいったことは「頑張った」と表現することは少ないものですが、就職活動になると、突然サクセスストーリーや成功体験を探して作成し始めます。

「頑張った」「力を入れた」と感じる経験の多くは、何か困難な問題があったにもかかわらず、それを工夫や努力で乗り越えた経験や取り組みです。企業が求めている「学生時代に力を入れたこと」の内容は、この「問題を乗り越えた経験や取り組み方」に他なりません。もしくは目標の達成のために何をしたかです。

いわゆる実績のようなものと誤解しやすいですが、「留学で100人の外国人とのコミュニケーションを頑張った」という内容だとしたら、実績としては素晴らしいですが、それが好きな人やもともと外国人と話すことが苦ではないという人ならあっさりこなせます。

企業が求めている内容に近づけるなら、「留学先で外国人との生活や言語の壁に挫折しそうになりながらも、毎日1人に声をかけて10分雑談することを100日繰り返したら苦手意識が無くなった」というようなエピソードがほしいところです。

自己PRではない

ガクチカは自己PRと違い、事実や経験を問う内容であり、性格や特性を聞きたいのではありません。ガクチカを通して何をアピールするかを勘違いしないように注意が必要です。

せっかく良いエピソードを紹介しても、最後に自己PRを入れると途端に内容がうるさくなります。上記の留学の例なら「このような忍耐強く努力できる精神が、御社での企業活動で活かせると思います」のような記述は不要です。

ガクチカで「嘘は見抜かれる」心配をする必要はない

ガクチカに関するウワサ話の中には「嘘は見抜かれる」というものがありますが、これこそが嘘です。その理由は、「ガクチカの嘘を採用担当者は問わない」からです。

採用現場では、多くの学生から選考する必要があるため、ひとりひとりのガクチカの内容にウラを取っている時間はありません。採用担当者だとしても、採用以外にも会社での仕事は数多くあるものです。

ですから、ガクチカで「嘘は見抜かれる」というのは、選考で落ちた人がウワサした都市伝説でしかありません。実際、嘘をつき通して採用された人もたくさんいます。逆に真実を述べても落ちる時は落ちます。嘘かどうかではなく、説得力や魅力、企業との相性が問われるのです。

ただし、嘘についてはおすすめできません。採用面接ではガクチカをベースにした質問が行われることも多いですし、こうした情報を元に採用後は配属先などを検討することになります。もしも嘘で固めた採用を手に入れた場合、その嘘にとって双方に不利益が生じる可能性があります。

許される嘘があるとしたら、事実をその当時の感情とは別にポジティブに解釈したり、事実の数字や実績を多少盛るくらいです。嘘はいけませんが、見栄を張るくらいはOKです。

ガクチカがない人必見のおすすめ例文・書き方

ガクチカを探すとしても、「人に語れるエピソードなんてない!」という人は思いの外多いです。学生たちから有利と考えられているインターンシップや留学経験がある人は、決して大多数ではありません。

しかし、そういった経験のない人でも、決して無駄な学生生活を送ったわけではありません。大事なことは、「自分の経験を魅力的に見せる」ということです。ここでは、ケース別に書き方のポイントと例文を紹介します。

アルバイトの例文

使い古されたと言われるアルバイトのエピソードですが、大事なことは切り口と取り組みです。ガクチカでは失敗や問題・目標が明確になっていることが大切で、それに対する取り組みが見られています。具体的に何を頑張ったかによって、問題が解決したのかをアピールします。

アルバイトで身に付いたスケジュール調整力

学生時代には学業のかたわら、アルバイトを頑張りました。アルバイトを頑張ったというのは、経済的な問題もあったからです。毎月10万円ほど稼ぐ必要があり、居酒屋とコンビニと家庭教師など、常に3つを掛け持ちしていました。

しかし、時間や体にムリがあり、遅刻も多くなり、2年生の時は5つのバイト先でクビになりました。そこで時給や必要時間、曜日などを計算して綿密にスケジュールを組み、やむを得ない場合にはバイト先と相談して勤務シフトを調整してもらうようにしました。

その結果、3年生からは、健康にも学校の勉強にも支障なく、必要なアルバイトをこなすことができ、クビになることもありませんでした。

部活動・サークル活動の例文

部活動やサークル活動も定番ですが、華々しい実績を持っているのは一握りの人だけです。目線を変えて、実績にはこだわらず、問題の解決を中心にエピソードを展開することで印象が変わります。

「褒める」を頑張ってベンチ入り

私はサークル活動で、褒めることを頑張りました。大学からバレーボールのサークルに入りましたが、どうしても技術では経験者たちには及ばず、現在まで補欠です。

3年生になっても、1年生がメンバー入りする中、変わらず補欠で、チームに貢献できているか不安になりました。実力のない私がチームに貢献できることは何かないか考えた末に「メンバーを気分よくさせる」ことで貢献しようと思いました。

それから、部員ひとりひとりの性格や長所、短所を日々調べ、考え、相手に合わせて「褒めて」あげるようにしました。

しばらくして、チームは地域の大会で昨年より好成績をおさめることができ、私の様子を普段から見てくれていたコーチが、「バレーはメンタルスポーツ。雰囲気を作るためにお前が必要だ」と、ベンチに入れてくれるようになりました。

趣味を活かす書き方・例文

学生時代には、様々な趣味活動を頑張った人も多いものです。その趣味への取り組みも上手く表現することで印象的になります。

ただし、専門用語を羅列したり、社会人として不適切と思われる趣味へのこだわりを語ることがないように、あくまで仕事をする上での課題解決力や、職業能力を示すようなエピソードになるように注意します。

アイドルを追いかけて

私はアイドルのABC123(仮)が大好きで、いわゆる追っかけです。コンサートがあれば、日ごろのアルバイトの貯金を使って九州から北海道まで、全国48か所を訪れました。

メンバーのA子を推していて、総選挙で少しでも上位に入れるように自作の応援サイトを3日の徹夜作業の末に立ち上げ、全国の追っかけ仲間とSNSで協力しながら応援しました。

自作のサイト経由で投票権つきのCDが118枚売れたのですが、総選挙でひとつ下の順位の子との得票差が80で、私がサイトを作らなければ順位がひとつ落ちたかもしれないと思うと、ファン冥利につきました。

何気ない生活を切り取る書き方・例文

何気無い生活の中にもエピソードのタネは隠れています。特に良好な生活習慣は社会人として好ましい属性ですので、アピールポイントにもなります。話として山や谷を作るのが難しいので、アピールしたい内容が活きるように構成を工夫し、問題解決や目標に向かっての具体的な努力を盛り込みます。

自炊のおかげで4年間風邪知らず

私は大学在学中の4年間、自炊を頑張りました。大学に入ってから一人暮らしになった時に、自炊を頑張ろうと思って本を購入して読み、栄養バランスを意識するようになりました。

毎日朝食を自炊し、不足しがちな野菜はジューサーでジュースにして飲んでいます。朝食を作って食べるため、生活リズムも朝型にもなりました。

一度も風邪を引くこともなく、大学の授業を欠席したのは法事でやむをえなかった2回だけで、普段の食事にその秘訣があったと思っています。

ガクチカでのNGについて押さえておこう

ガクチカは比較的自由に記述することが許されている部分ではありますが、記述の上で最低限のマナーはありますので、それを守ることが大切です。

ガクチカの内容に関するNG

ガクチカの表現に関するNG

ガクチカは正しいイメージを持って柔軟に考える

ガクチカが無いと思ってしまう原因の多くは、「ガクチカは誰もが驚く実績やエピソードが無いといけない」という思いこみにあります。

そういった経験ではなくとも、魅力的なエピソードは生活の中に眠っています。企業が求めているのは、「問題を乗り越えた経験」によって見える問題や目標への取り組み方です。

柔軟に考えることで、ガクチカのネタはいくらでも出てきますから、企業に向けてアピールしたい自分の性質が盛り込まれたエピソードを作ることが大切です。エピソードが決まったら、どのように輝かせるか、構成や表現をよく検討してください。実績ではなく内容を意識して作成するように心がけましょう。