インターンシップの内容は業界によってさまざま
インターンシップへの参加を検討する際、どんな内容のものを選ぼうか悩む就活生は少なくないでしょう。参加する側としては応募する前により詳しい情報がほしいところですが、業界などによってもその実施内容は異なるものです。
気になるインターンシップの内容について、業界や職種別に参加者から口コミを募りました。インターンシップの内容のほか、どれくらいの期間か、どんな服装で参加したか、参加後の意識の変化などにも触れていきます。
インターンシップの種類で内容も変わる
インターンシップと言ってもその種類はさまざまで、それにより内容も違ってくるものです。
代表的なインターンシップの形としては、社内見学・セミナーを行うものや、課題を与えられ解決策を探るもの、実際にオフィスに配属され、社員と一緒に働くものなどが挙げられます。
社員と一緒に仕事をする職務実践型インターンの場合は、1ヶ月~数ヶ月にわたって行われることが多いですが、最近では短期で実施されるインターンシップも増えており、中には1日で終了するものもあります。こちらは社内見学やセミナーなど簡単な内容で終了するケースがほとんどです。
ただ、数ある企業の中には数日間でも宿泊型のインターンシップを導入しているところもあり、その場合は濃い内容のカリキュラムも期待できるでしょう。
短期型インターンと長期型インターン
就活生にとって、短期のインターンシップは気軽に参加できるというメリットがあります。ただし、そこで得られる内容は長期型のインターンシップと比べると薄っぺらなものになりがちです。
その一方で、長期型のインターンはその企業を深く知るチャンスと言えますが、スケジュール管理の面においてアルバイト等の他の予定や学業とのバランス調整が必要です。
どちらのインターンに参加するにせよ、それぞれのメリットとデメリットについては熟考することが大切です。
業界別に知りたい!インターンシップの内容
今回はアパレル、化粧品メーカー、IT系企業、食品メーカー、病院、ホテルのインターンシップに参加した先輩方から、それぞれのインターンシップの内容について教えてもらいました。
アパレルのインターンシップの内容
初めて参加したインターンシップの内容
ひろの(25歳)
なんとなくアパレルを希望していたのですが、なかなか働くイメージがわかず大手のカジュアルウエアの会社でインターンに参加しました。とりわけ好きなブランドではなかったものの、枠が多かったので友人と参加しました。
当時21歳で、インターンに参加した期間は10月中の2週間だけです。
マナー研修のあと、実際に店舗に出て検品などの裏方の仕事をし、ときどきお客様への対応もしました。アルバイトの方の仕事を手伝うような仕事内容でしたが、仕事の雰囲気が掴めました。
2週間のうちの残り数日は、工場見学と本社のデザインやパタンナーの方々の仕事を見学し、「デザインに興味がある」と伝えると、少しだけパタンナーの方のお仕事を手伝わせてもらえました。
アパレルというと仕事が忙しいイメージでしたが、わりと時間に融通のきく環境という印象でした。服装も最初はスーツで行ったものの、会社から「普通の服でいい」と言われ、途中からは店舗に合ったシンプルな格好で行きました。働くイメージがわいて参加してよかったと思います。
インターンの重要性
まお(33歳)
第一志望のアパレル企業がインターンを募集していたのをきっかけに参加しました。今から8年前に3か月ほど経験しました。
インターンシップの内容ですが、ショップの店頭に実際に立って接客をしました。店舗での立ち居振る舞いから、接客のマナー、在庫管理の方法まで幅広く教えていただきました。
服装についてですが、会社がインターン生全員に制服を貸し出してくれました。会社の規定により髪の毛はひとつ結びにして参加しました。
インターンに参加してみて、アパレル業界へのイメージががらりと変わりました。外側から見ると華やかな世界ですが実際は肉体労働が多く、汗を流しながら仕事をすることも少なくありませんでした。けれどその分働き甲斐のある仕事であると感じ、インターン後に就職することを決意しました。
インターンを経験してから入社することで、入社後のギャップをなくすことができたと思います。参加してよかったです。
実際に働く自分のイメージがわく
かな(29歳 アパレル)
私がインターン参加したアパレルの会社では、カタログや雑誌の編集体験ができるとのことで応募しました。大学3年生から4年生までの1年間参加しました。
インターンシップの内容はほとんど雑用です。雑誌を切り抜いてファイリングしたり、社内向けのリリースを作ったり、資料を集めたり、電話対応をしたり…。
それでも、実際に社員の方の仕事ぶりを隣で見ることができ、自分が社会人になった時のイメージが湧きました。
服装や髪型はアパレルのため自由でした。「アパレルだからみんなオシャレなのかな?」と思いきや、毎日同じような服の人やジーンズを履き回す人などばかりだったのでちょっと安心しました。
結局インターンの仕事ぶりを買われてその会社に就職することができたので、やはり参加して良かったと思います。
化粧品会社のインターンシップの内容
大手企業でのインターン
ワークマン(28歳 製薬メーカー)
「とりあえずインターンをやらなければ」「やらないと就職活動に不利なのではないか」と思い、インターンに参加しました。
インターンに参加した時期は、大学3年生の7月中旬の5日間です。大手化粧品会社のインターンに参加しました。
インターンシップの内容は、最初の1日がオリエンテーションとビジネスマナー研修を行い、2~5日目は部署ごとに割り振られ職場の仕事の体験をさせてもらいました。
私は営業部に配属され、化粧品関連の卸会社や大口の得意先への同行などをさせてもらいました。
インターンに参加して感じたことは、仕事ってかなり地味だなということです。化粧品会社は華やかなイメージがありましたが、営業の方はコツコツと得意先や代理店に顔を出し、地道に関係を作って仕事を成り立たせているということに気づかされました。
IT系のインターンシップの内容
自分の今後を考えて
さくや(29歳)
当時の私はパソコンに関する知識は持っていませんでした。20歳の時にIT企業でのインターン受け入れを行っており、今後の自分の未来を考えた時に不安を覚えたため、その企業のインターンシップに参加させていただきました。
期間は1ヶ月間、IT企業ということでプログラミングでも行うのかと思いましたが、最初の1週間程度はITの基本を学ばせていただきました。一口にITと言ってもプログラミングだけではなく、ネットワークやサーバもITに関わるところだと初めて知る機会となりました。
残りの3週間はテスターとして業務に近い内容を行い、最終日には体験発表の場を作っていただき、感じたことや今後どうしていくか等を発表しました。
参加前はただ漠然と「IT企業ではパソコンを使う」程度の認識でいましたが、IT企業にも細かい分類があると知りました。インターンシップ参加後は、自分がどの系統に進むべきなのかが分かりやすくなったと思います。
システム会社のインターン内容
匿名社員(35歳 SE)
そのインターンに参加したのは、元々IT系の学部に在籍しており、そこで学んだ知識を生かしたいと考えたためです。大学3年時の夏休みに3か月ほどの期間でした。
インターンシップの内容は、会社の社員の管理下でウェブシステムの開発です。それの開発をインターン期間内に完了させるために、必要な打ち合わせや開発内容のMTGに参加しました。
服装については、基本的には自由で、髪型についても自由です。周りの社員を含め、インターンも特に何か規定みたいなものはなかった感じでした。そんなにだらしない格好をしていなければ問題なしです。
インターンシップに参加する前は、働くということに対して具体的なイメージがあまりなかったのですが、インターンシップに参加することでIT系の仕事の流れの理解が深まりました。
食品メーカーのインターンシップの内容
食品企画のワークショップ
りさ(25歳)
大学2年の終わり頃、食品企業のインターンに参加しました。
私の大学は農業系のため、食品企業の就職に強い大学です。卒業生の中にその企業へ就職した先輩がいたことから、インターンも利用しやすいと思い応募しました。
1週間のインターンで、あまり仕事らしい仕事はしませんでしたが、商品開発に関するワークショップなどは楽しかったです。
社員の方も交えて意見を出しあったり試食をしたり、試食の感想をグラフにしてプレゼンしたりしました。なんとなく開発や企画に憧れていたので、より一層興味を強めました。
ただ、最低でも最初の2年は営業をやるということだったので、それを乗り越えられるかの不安もありました。卒業生の先輩たちとの相談会では苦労話やリアルな話も聞けたので、とても参考になりました。
食品会社のインターンシップの内容
あゆみ(25歳 事務職)
私は食品業界を志望している友人に誘われてインターンに参加しました。参加した時期は3年生の夏休みで、期間は5日間でした。
インターンシップの内容はグループワークが主となります。具体的には、新商品を開発するプロジェクトとして、グループのメンバーと新商品の内容や価格、パッケージ、実際にどのようなお店へどのような手段で売り出すかを考えました。
最終日にはグループごとに発表をし、社員の方から評価をいただいたのが一連の流れです。
参加した時の服装はスーツで、髪型の指定はありませんでしたが、男女共に黒髪で就活を意識した髪型の方が多かったです。身だしなみも就活生と同様でした。夏でしたが皆長袖の襟付きシャツを着ていました。
インターンシップに参加する前は食品業界も視野に入れていましたが、実際に参加してみて、思っていた以上にアイデアが必要な業界だと感じました。結果的には食品業界への就職はしませんでしたが、自分の中でのイメージとの相違に気付くことができ、良い経験になりました。
病院のインターンシップの内容
看護師として働く前に
ゆりり(27歳 看護師)
3月に以前勤めていた生協病院のインターシップに行きました。参加条件は特になく、体験したい方は事前の申し込みをすれば可能です。
当時は20人ほどの参加で、当日の持ち物はナースシューズとメモのみ。制服は貸出でした。ナースキャップは型紙での手作りのものを使用しました。
病院でのインターシップは楽しかったですが、看護師さんがとても忙しそうで、なかなかお話することができませんでした。それでも忙しい合間をぬって病院のことをいろいろと教えてくれたことをすごく感謝しています。これは実際に自分が働き出して、インターシップ担当になった時に初めて大変さを感じたためです。
インターンシップに参加する方の中には、忙しそうでなかなか話しかけられない看護師もいるとは思いますが、わからないことはインターン中にしっかり聞いてほしいです。
多くの学びを得たインターンシップ
ここあ(34歳 看護師)
私は看護大学生の3年次の夏休み中に総合病院でのインターンシップに参加しました。朝の8時から17時までで参加期間は1週間ほどです。
特に参加基準や選考試験等はありませんでした。私の参加した週には他にも10名程学生がインターンシップに参加しており、それぞれの病棟に配属されました。
当日は看護大学での実習で使用している白衣と筆記用具を持って参加しました。初めはオリエンテーションやインターンシップの目的の説明などが1時間程度説明されました。その後それぞれの病棟に行き、車椅子への移乗介助やバイタルサイン測定、患者さんと話したりとコミュニケーションをとりました。
インターンシップで実際に臨床の場を学べたのは貴重な体験でした。これからインターンシップ参加を検討している学生さんには絶対おすすめします。
病院でのインターンシップ
たこちゆう(31歳 看護師)
7月中の丸1日、大学の同期2名と教授の推薦状を持っての参加です。希望場所に配属され、1日間看護師についてインターシップをしました。
実際に参加した部署は救命ICUで、BLS(一次救命処置)の訓練をスタッフに混じって行いました。人が足りなかったのか、後程採用試験は受けましたが仮採用をその日にもらいました。
持ち物はお弁当ぐらいで、白衣は病院で貸してくれました。非常に緊張しましたが、病院の雰囲気が感じられ、臨床の大変さと「これからここで働きたいな!」と感じられるきっかけにはなったと思います。
仮採用がもらえたこともあり、インターシップはこの1病院のみしか行いませんでした。長く勤めることにはなったので不満はありませんが、何箇所か比較することも大切なのかなと思うので、時間がある限り2箇所程度の病院のインターシップに参加されることをおすすめします
私のインターンシップからの経験
ずず(25歳 看護職)
私は4年制看護大学を卒業し、現在はインターンシップに参加した総合病院に勤務をしています。インターンシップは大学4年生の8月に参加しました。参加条件や選考試験はなく、電話で予約をしました。
大学は関東でしたが、卒業後は実家の甲信越地方に戻ろうと考えていたので、病院の雰囲気が知りたく参加しました。
参加人数は20人で、当日は、病院内案内と各病棟の師長・部長とのランチミーティングがありました。
看護部長と話しましたが、部長はいいことしか言わず、病院のよいところを言うだけでした。しかし、各看護師長とお話しした際に、自分自身の病棟の長所や短所、こうしていきたいという所まで細かく話してくださり、A師長の病棟で働きたいと思い、試験を受けました。
技術や看護は就職してから身に付きます。その前に自分に合う病院はどこか、学生の時に吟味するのはとても難しいと思いますが、たくさん病院を訪れて自分に合う病院か決めるべきです。
私の周りでは、職場の人間関係で辞める人が多いです。好きで看護師になったのに人間関係でやめることはしてほしくないので、学生時代にたくさんの病院を見てほしいと思います。
ホテルのインターンシップの内容
都心のホテルインターン体験
コスモス(28歳)
私は高校卒業後、ホテル業界を目指して専門学校へ進みました。専門学校では短期や長期のさまざまな場所でのインターンシップがあり、入学してから3ヶ月後に自分の希望するホテルに行かせて頂くことに決定しました。
研修期間は3ヶ月、インターンシップの内容はラウンジのウェイターとして働くことでした。主にコーヒー、軽食の提供と裏方のお手伝いのお仕事です。
一流のシティホテルでしたので、お客様もビジネス仕様やプライベート仕様でもとても質の高い方ばかりが見え、研修中といえどホテルスタッフの一員として接することができるように、身だしなみも言葉遣いもサービスもとても丁寧に詳しく、わかるまで上司に教えて頂きました。
私の通っていた専門学校では研修前から身だしなみや挨拶を厳しくチェックされていたので、現場ではとても役立ちました。他のインターン生より髪の毛の整えは清潔感があり、礼儀作法も褒めていただいたこともあります。
研修を通してホテル業は空間も人たちも華やかな世界だと思っていましたが、実に体力のいる仕事で心身鍛えられることを学びました。それでもとてもやりがいのある仕事だと改めて魅力的に感じ、現在はこの業界で頑張っています。
ホテルのインターンの内容
まみ(24歳 ホテル業)
ホテルでのインターシップに参加したきっかけは学校の規定でした。参加するまでは全く、ホテル業に興味はありませんでした。
専門学校1年生のとき、丸一月社員の方と同じように8時間シフトに入りました。インターシップ生という区別はなく、他のスタッフの方と全く同じホテル指定の制服を着用し、既定のシニヨンで髪をまとめた装いでした。
インターンシップでの仕事内容は、事務作業以外、他のスタッフの方と同じように接客しました。商品知識はもちろん、礼儀作法などたくさんのことを覚え、日々学びました。
丸1ヶ月間本当に大変で、毎日「行きたくない」とも思っていましたが、大変な分やりがいや楽しさも大きかったです。
このインターンをきっかけに、それまで全く興味がなかったホテル業へ就職することを決めました。現在もホテル業に従事しています。
インターンシップの内容は企業によって異なる
インターンシップの内容は、今回紹介した体験談からお分かりのように、業種や職種によって変わってきます。ですから、希望の業種・職種のインターンシップ求人を調べて、実施内容を把握することが大切です。
また、同じ業種でも企業によってインターンシップの内容が違う場合もあるため、自分が入社を希望する企業では、どんな内容のインターンシップが行われるのかをしっかりチェックしましょう。
ここで挙げたインターンシップの内容例を参考に、どういった業界または職種のインターンシップに参加したいのか考えてみてください。