内々定と内定の違いと内々定の取り消しについて解説
売り手市場が続いている現在は、優秀な学生の囲い込みが激しくなっています。深刻なケースでは「オワハラ」と呼ばれる「就活をやめたら内定をだす!」というようなハラスメント行為もされているようです。
このような就活生の囲い込みは、内々定という形で企業が学生に伝えるケースがあります。内定と内々定はどう違うのか、そして内々定は取り消しされるのかどうかを解説します。
内定は法的拘束力があり雇用契約が成立している
内定とは、企業が来年の4月1日から雇用契約を結びます。という就活生と企業との約束です。就活生は企業からの内定を受け、内定承諾書を企業に返信することで内定が成立します。経団連がこれからは就活ルールを作らない方針を発表しましたが、企業が就活生と約束をすること自体がなくなるわけではないので、企業が内定を出すという習慣はこれからも続くと考えられます。
この内定には法的拘束力があります。それは雇用契約が成立しているからです。例えば就活生が内定を複数持っていた場合、法律的には違法となります。企業の一方的な内定取り消しも当然違法となります。
- 内定は企業と学生との雇用契約
しかし内定が取り消される事例もあります。
- 嘘の経歴を企業に伝えていた場合
- 留年などで卒業できない場合
- 妊娠していた場合
- 素行不良が発覚した場合
これらの理由があったとき、たとえ内定をしていても企業の不利益となるため内定を取り消される可能性があります。
内々定は「内定をだすよ!」という約束
企業は優秀な学生を囲い込むには内定を出す前に採用の意を示すことが必要です。そのため、企業が学生に提示するのが内々定です。これは、たとえば「10月1日に内定をだすよ!」と学生に伝え囲い込む目的で使用されます。
- 内々定は「内定を10月1日に内定をだすよ!」という約束
内々定は内定を出す、という企業側からの約束です。つまり、法的拘束力はありません。学生が内々定を辞退するのも、企業が内々定を取り消すのも自由です。それは何故かというと内定を出す「約束」をしただけだからです。
内々定は文書で通知される場合もあれば口頭のみ、メールで通知される場合もあります。どのような形であれ、内々定は内定とは明らかに性質が違うものだというのが分かったと思います。
内定と内々定の違いは法的拘束力の有無と労働契約成立の有無
内々定と内定の違いをまとめると、
- 内定は法的拘束力が有り、企業との雇用契約が成立している。
- 内々定は法的拘束力が無く、企業との労働契約が成立していない。「内定」を出す、という約束。
この違いがあります。内々定は就活生にもメリットがあります。それは内々定には法的拘束力がない、ということです。法的拘束力が無いからこそ辞退がし易く、自分が納得するまで就職活動をして複数の内々定を持つ事ができます。
内々定は内定と違い早い時期から出されることが多いです。内々定を貰った企業に本当に入社したいのか、この企業で一生働く自信はあるのか、また親や友だちの話を聞いて情報収集するのも良いでしょう。そのための時間をより多く使えるもの内々定のメリットと言えます。
では企業側から内々定の取り消しはあるのでしょうか。法的拘束力がないとはいえ企業が内々定を取り消すとは思えません。詳しく解説します。
内々定の取り消し理由は内定の取り消し理由と同じ
内々定の取り消しはあります。しかしいくら法的拘束力がないからと言っても、企業が気軽に内々定を取り消す訳ではありません。取り消す理由は内定を取り消す理由と同様です。
- 素行不良が発覚した場合
- 留年などで卒業できない場合
- 経歴の嘘が発覚した場合
- 妊娠が発覚した場合
このように内々定をだしたときと状況が変わり、明らかに企業に不利益がある場合は内々定を取り消されます。これは自分に非があるのでどうしょうもありません。
取り消される理由は当然と言えば当然のことばかりです。内々定を取れたからといってハメを外しすぎるのは慎むほうが良いでしょう。
これらは本人が理由となる内々定の取り消しです。しかし企業に非があり内々定を取り消す場合もあります。それは
- 企業の業績悪化
この場合はどうしょうもありません。企業も悪気があるわけではないので、仕方ないですが諦めましょう。内々定は早い企業では4月からだす企業もあります。そのため再度就活する時間は残っているでしょう。
引きずっても内定をとることはできません。気持ちを切り替えて次の企業の採用試験を受けましょう。
学校推薦の内々定を辞退するときは注意が必要
内々定を辞退する時に注意することがあります。それは学校推薦で企業に内々定をもらった場合です。内々定は法的拘束力がありません。そのため個人の就活で貰う内々定を辞退するのは全く問題がありません。
しかし学校推薦で貰った内々定を辞退するということは推薦制度自体を否定することになります。学校推薦とは学校が学生を信頼し必ず入社するという約束の元、企業に紹介します。企業がそれを承諾し他の応募者より優先し内々定を出す、というものです。
そのため学校推薦の内々定を辞退することは学校の信頼性も揺るぎかねない行為となります。次の年度からその企業からの推薦枠がなくなり学校に大きな迷惑がかかる事もあります。万が一内々定を辞退したいときには自分の判断だけで行動するのは辞め、必ず学校に相談しましょう。
内々定の取り消しは内定と同じ扱いと考えよう
企業にとって、内々定とは内定と同じ意味を持ちます。今は、ツイッターやフェイスブックといったソーシャルネットワークと呼ばれるSNSが発達しています。内々定を取り消された、という噂は就活生の間ですぐに広がるでしょう。
企業はそのようなリスクを恐れます。それは企業にとって信用が第一だからです。就活生は内々定だからといって不安になる必要はありません。自分が内定を取り消しになるような行動を慎んでいる限り、安心して良いでしょう。