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脱サラとは?独立起業を成功に導くための3つの心得

脱サラは働き方のひとつとして、ワークライフバランスを考えると理想的とも言えます。しかし、軽い気持ちで脱サラをするならリスクにしかなりません。脱サラをする人が知っておくべきことや注意点について紹介します。

脱サラは現代の働き方の理想と本当に言えるのか

「脱サラ」という言葉自体は昔からあって、何となく耳にしたことがあると思いますが、この脱サラが最近になって改めて注目されています。その理由は、働き方の多様性が認められるようになってきたことで、従来のような「生活をするための脱サラ」ではなく、個人の自由な働き方を実現する「会社に縛られないワークスタイルのための脱サラ」が増えてきているからです。

脱サラしてしまえば、労働時間も勤務時間帯も、その仕事の内容も思いのままですから、ワークライフバランスも取りやすくなるのは間違いありません。まさに脱サラは現代の働き方のひとつの理想像であると言えます。しかし、最大の問題は脱サラそのものの難易度であることは間違いありません。脱サラについて理解を深めておくことで、自分に必要か、また実行可能か考えてみましょう。

脱サラの意味とは

脱サラとは、良く知られているように「脱・サラリーマン」の略で、「サラリーマンを辞めて起業、独立、開業などを行うこと」を言います。単純な退職では無く、サラリーマンであることを辞めるという意味になりますので、その後は誰かから給料をもらうという働き方でなく、自分が働き、稼いだ売上から自分に必要な分の報酬を支払うという形で生活をしていくことになります。

脱サラの選択肢としては、自分でビジネスを立ち上げる起業や、専門職(職人)になる、投資をするなど様々な形がありますが、会社に所属せずに自分の才覚で収入を得て生活するというのがポイントです。やむなく家業を継ぐなどの場合は、様々な設備やしがらみをそのまま引き継ぐため、サラリーマンでは無くなっても脱サラとは言いませんし、結婚して専業主婦・主夫になることも脱サラではありません。基本的には会社員生活にピリオドを打ち、自発的に事業を始めることが脱サラと考えましょう。

脱サラで失敗しないために気をつけたいポイントは3つ

脱サラはたとえ起業できたとしても必ずしもうまくいくとは限りません。脱サラで失敗しないために、気を付けたいこと、脱サラを成功に導くポイントをまとめます。

1.公私の数字管理を徹底的に行う

脱サラで失敗しやすいのは、思った以上にお金がかかったり、利益が出るまでに時間がかかったりしてしまうことです。常に家計と事業に関する数字の管理をしっかり行い、どこまでなら耐えられるのか、どこからは手を引くべきか、しっかりと線引きをすることが求められます。

2.社会保険の支払に注意する

脱サラをするとしても、健康保険や年金などの社会保険は必ず収める必要があります。社会保険に加入していないと、何かの問題があった時に自分や家族が受けられる保障を受けられないことがありますので注意してください。また、社会保険の金額は、前年度所得がベースになりますので、脱サラを始めた頃にはバカにできない額となりますので気を付けましょう。

3.小さく始めて利益を出すことから始める

脱サラに失敗しないためには、最初から大きく事業を考えずにできるだけ小さく始めることです。そして、小さくとも早めに利益が出るようにすることです。初期投資が小さいと、利益額も小さくなりがちですが、最初から投資額が大きくなると失敗時のリスクも大きくなってしまいます。まずは小さく始め、利益が出ることを確認して手ごたえを得てから大きく事業を拡大しましょう。

うまくいかなかった…脱サラで失敗した体験談

ここでは、意気揚々と脱サラしたものの、上手くいかずに脱サラが失敗に終わった5人の体験談を見ていきます。夢だからと言ってよく考えずに見通しが甘いまま起業すると上手くいかないという教訓が分かります。

若い時は勢いでなんでもできると勘違いする

クレマン(35歳)


普通に企業に勤めて機械の工場で働いていました。この仕事はしたくてしたわけではないのでいつでも辞める気でした。ある時、すごくラーメンが好きで休みの日でも美味しい店に行き食べに行くほど好きだったのでラーメンをやろうと決め脱サラしました。

脱サラに失敗した理由は戦略ミスです。もっと地道な計算が必要だったし、若かったがゆえこれでいけるだろと思い込んでいたのです。具体的にはスープをもう少しヒネっても良かったかなとは思います。

失敗しないと気づかないこともあるし、一概に何が正解かはわかりませんが、やるからには勉強、努力、忍耐が必要なのかなぁって思います。今なら違う結果になるのかなとも思います。もう一度やって周りを見返してやりたいなと思います。

整体院、3ヶ月で廃業してしまいました

ヨウ(45歳)


脱サラ前は、障がい者施設で介護職員として働いていました。安い給料の上に激務。休日にはボランティアに参加するのが当たり前の風潮に嫌気がさして、20年働いた職場を退職しました。脱サラ後は持っている資格を活かして整体院を開業。絶対に儲かると張り切っていました。

開業前にホームページやチラシを巻き、開業初日には、予約の電話で忙しくなるだろうと期待していましたが、初日どころか1ヵ月経っても予約が入らず、結局3ヶ月で廃業に。整体院を開業すればすぐに儲かると言う、整体養成所の話を信じ過ぎ、開業までの間はあまり準備をしなかったので、今から考えると当然と言えば当然です。

整体院を成功させるには、脱サラする前から休日や空き時間を利用して、無料や低額料金で体験をしてもらい、開業後のお客の確保をする事が大切だと思いました。

お菓子屋さんをやるのが夢でした

トミさん(45歳)


脱サラをする前は、お菓子工場で製造ラインを任されていました。40歳の時に勤めていた会社が世代交代で社長が代かわりして社内の体制が代わり、このまま続けて行く事に限界を感じて独立を決断して脱サラしました。

やりたかったスイーツショップを開業しました。しかし、資金が思った以上に集まらなかったのでなかなか運営に悪戦苦闘の常態でした。製品ロスと販売ロス、人件費を支払うと手持ちの資金はあまり残らなかったです。

運転資金をもっと確保していれば良かったと思いました。菓子事業は設備投資も意外と多く、初期投資が大きいので、安定経営にのせるまでの資金繰りに余裕が必要だと強く感じました。中古設備をもっと活用して、資金力の削減が出来ていればもう少し良かったと思いました。

どこに行ってもつきまとうのは売上

もも(37歳)


当方、脱サラする前は地元企業の経理部におりました。それなりにやりがいもあったのですが、来る日も来る日も数字とにらめっこ。もっと人と直に関わる仕事がしたいと思い、一念発起し脱サラしました。

人と直に関わる仕事ということで、学生時代のバイト経験を活かして塾業界に飛び込みました。もともと人に何かを教えるのは好きだったし、学生時代のバイトもそれなりに上手くいっていたので、何とかなると考えていました。

しかし、新しい職について半年もたたないうちに、自分の考えが甘かったことを痛感しました。塾は勉強を教える場所とはいえ、やはり売り上げが大切です。いつのまにか、視線は生徒に向けるよりも、売り上げに向くようになってしまいました。

教育=情熱でするという考え違いが失敗のもとでした。脱サラを考えている人には、どこに行く、何をするにしても「売り上げ」というものはつきまとう、という題前提を忘れないでほしいです。

良いように使われていた

かっさん(39歳)


脱サラする前はセールスマンを16年していました。入った当初は何もわからない状態でしたが、手取り足取りと教えて頂いて16年務める事ができましたが、会社内の体制等がかわり、働きにくくなり、また上司、先輩からのパワハラ等をうけ辞めることにしました。

元々趣味でイベント等を企画することが好きだったので、イベントを企画、また舞台設営や動画撮影・編集等をはじめました。はじめは知名度等もありませんのでどんな仕事でもしていましたが、良い様に使われて支払い等をしていただけない事もありました。

しかし、コツコツとご依頼を受けた仕事を丁寧にこなしていけば口コミやリピーターも増え今では生活できるぐらいにはなりました。

脱サラをお考えの方は良い様に使われるのではなく、事細かい契約や依頼者の方との緻密な打ち合わせをしてお互いが納得できるようにすれば、必ず成功すると思います。

脱サラをする上で考えておくべきこと

脱サラを決意するときは、お金のことだけでなく、他にも考えておくべきことがあります。脱サラをする上で、他に考えておくべきことについて紹介します。

脱サラが上手くいかなかった時の撤退についても決めておく

脱サラは必ずしも成功するとは限りません。損失や借金は残りますが、いたずらに傷口を広げるよりも諦めて再就職を探すという道もあります。どの段階になったら撤退するべきかは事前に決めておいて、忠実に守るようにしましょう。意地を張ることで引き返せない状況になることがありますので気を付けてください。

脱サラをする時は家族・親類の協力を得る

脱サラをする上で、家族や親類からの支えほど心強いものはありません。労働力になってくれないとしても、理解してくれるだけで心理的には楽になります。また、銀行などから融資するのでなく、家族からなら融資を受けても金利などを気にする必要も無くなります。逆に全く理解も協力も得られないようなら、かなり心身ともにきつくなりますので、その場合は覚悟が必要になります。

法律や税金について十分調べておく

個人事業主と法人のどちらにするか、またどのような税金があり、どうやったら節税できるかなど、事前に考えておくべきことはたくさんあります。後からはカバーできない場合もありますので、最初に良く考えておきましょう。

脱サラの目的は達成できるのかよく考えておくべき

自由な時間が欲しくて脱サラを考えても、実際に脱サラすると仕事に忙殺されるものです。より多くの報酬を求めて脱サラしても、手元に入る収入が減ることも少なくありません。本当にその脱サラによって、自分の目的が達成されるのかはよく考える必要があります。

夢が叶った!脱サラに成功した体験談

脱サラに失敗した人がいる一方で、脱サラに成功した人ももちろんいます。ここでは、脱サラに成功した人の体験談を見ていきます。脱サラが成功した理由の一つは、脱サラに向けてお金の準備をしたこと、脱サラ後もちゃんと努力を続けたことがあげられます。脱サラを夢見ている人は、お手本にしたいところです。

脱サラは貯金後にするのが正解

めぐりん(38歳)


脱サラする前は大手の塾の会社で専任講師をしていました。専任講師となると授業以外に営業活動をしなければならず、勤務時間は結局、朝から終電近くまで、さらにイベントなどで休みが潰れるという毎日でした。こんな生活なら自分で開業した方が遥かに楽だろうと思い独立、脱サラしました。

辞めて3ヶ月後に自宅近くで塾を開業しました。開業から半年までは生徒も来ず収入はゼロでした。しかし、開業当初から地道にチラシのポスティングを行っていまして、その効果がじわじわとで出して生徒がポツリポツリではありますが来るようになり、その生徒からの口コミが広がり、現在は勤めていたときの月収の1.5倍は確保できるようになりました。

すぐの効果は期待できなくとも、継続してしつこくやったことが成功に繋がったと思います。お金以上に、基本的には夕方から仕事をすればよいので、自由な時間が出来たことの方が大きいです。

失敗しないためには、やはりそれなりの貯金がある方が良いですね。収入がないうちはそれなりに不安になります。冷静な判断力を失わないためにも2~3年は大丈夫という貯金をしてから脱サラした方が良いと思います。

考えて見よう!脱サラに向いている人はこんな人

日本では起業から10年後に残っている中小企業の数は10%を下回ります。そのため、誰でも脱サラができるわけではないことは明白です。脱サラに向いている人の特徴を挙げますので、自分が適格か考えてみましょう。

分からない事は自分で調べて行動することができる

脱サラは受け身の人にはまず無理です。100%の知識をもって脱サラできる人はまずいませんので、常にわからないことは自分で調べ、必要なことのためにすぐに動ける行動力が求められます。

プレッシャーに強い精神の持ち主である

脱サラをした後、その後の様々なプレッシャーや不安にさいなまれて心身を病んでしまう人は決して少なくありません。ある程度のプレッシャーに耐えられる精神的な強さが必要です。

門外漢ではなく専門的な知識や技術を持っている

専門的な知識や技術を持っている人であるほど、脱サラでの成功率は高まります。他の人よりも知っている、技術がある部分をサービスや商品できれば優位に立ちやすくなります。

生活を支える収入源が他にもある

脱サラをする上で一番の障害となるのは、時間です。利益が出ていない間にも生活費はかかりますから、時間が経過するほどにプレッシャーが高まります。副業や土地活用などで一定の収入が常に入ってくる、配偶者がある程度の所得を持っているなど、生活費として十分とは言えないまでも、他の収入源があるだけで事業にしっかり取り組みやすくなります。

やってみたい!脱サラを行う目的は4つ

サラリーマンが脱サラの成功を夢見て「会社に勤めるのではなく自分で事業を興したい」と自分の稼ぎ方を変える目的は様々です。脱サラをしたい人は、今一度、脱サラを行う目的を確かめてみてください。

自分がやりたい仕事・好きな仕事がしたい

サラリーマンのうちは、仕事は会社から与えられますが、その仕事にNOと言うことはできません。自分の自由になる仕事をしたいと考えている人で脱サラを考える人は多いです。

ストレスを感じる人間関係に縛られたくない

職場に通えば、どうしても職場の人間関係に縛られ、それにストレスを感じる人も少なくありません。自分が付き合う人は自分で決めたいと考える人で脱サラをする人も多いです。

自分でコントロールできる自由な時間が欲しい

脱サラをする人の中には、自由な時間が欲しくて独立する人もいます。自分で自分の仕事の内容や時間をコントロールできるようになるので、日中に役所に行ったり買い物をしたりすることもできます。育児や介護などがある人でも、うまくすれば仕事が支障になりません。

今よりも多くの収入を得たい

せっかく頑張って多くの成果を挙げていても、それが給料に反映されずに悔しい思いをしている人が脱サラをするケースも多く見られます。

脱サラに100%の成功はないと肝に銘じよう

以前と比べて、独立開業にかかる費用もずっと下がっていますし、様々なオンラインサービスは事業運営をずっと効率化してくれるので、脱サラはしやすくなっています。

脱サラや事業の独立開業を勧める様々な情報では、「必ず成功します!」「100%うまくいく!」というようなフレーズを見ることもあります。普段は「そんなバカな」と思ってはいても、いざ脱サラを考えるようになると、こうしたフレーズの飛び交う情報が頼もしく見えてしまうことがあります。

しかし、どんな事業でも100%成功することはまずありません。今の大企業も10年後20年後にはどうなっているかわからない時代です。100%を保証できるのは、あくまで「開業の手続きまで」です。そこまでの経過が全てマニュアル通りに進んだからと言って、その後の経過もそうなるとは限りませんし、過剰に信頼を寄せるべきではありません。

マニュアル通りにはいかないものですので、常にその時の状況を良く考えて適宜自分で判断をしていくことが脱サラでは大事ですので、情報やマニュアルは参考にはしても依存しない、自立した経営を心がけてください。

脱サラは計画性と実行力が大事

脱サラは今後様々な形で増えていくと思われますが、どんな形態の事業をするにしても計画性と実行力が大切になります。行き当たりばったりで行ったり、様々な状況に急かされて判断・決定するようではなかなか成功できません。しっかり考え抜かれた行動で、ひとつひとつ実績を積み重ねて成功に結び付けることが大切です。