就活における大手病とは?備えておきたい4つの克服方法
就活における大手病を知っていますか?就職活動中に大手企業ばかりを追い、企業選びで視野狭窄になってしまうことを大手病と言います。この大手病は残念ながら伝染しやすく知らないうちに罹っていることも多いもの。就活生がなりがちな大手病の克服法と防止するための情報をお伝えします。
就活中の大手病にご用心!
バブル崩壊から始まり不況の波を味わっている日本では、大手企業や長い歴史を持っている企業はそれだけで存在価値があるように扱われます。長い期間の実績がある上に会社の守り方を心得ており、どこよりも失業の心配がないと考える就活生も多いでしょう。
しかし、大手だからと言って絶対に倒産しないわけではなく、大手だからこそライバルは多く攻撃を受けやすい立場にあります。大企業と言われる従業員が3000人以上の大手会社では、各部署を管理するだけでも相当な労力を要し、個々への配慮は薄くなりがちです。
また、中小企業庁調査室が公表している「2017年版 中小企業白書・小規模企業白書」によると、大企業は日本の全企業中の0.3%しかありません。今回は、そんな狭き門を無理して乗り越えようとしてしまう就活生が陥りがちな大手病についてまとめました。
被害が拡大し続ける「大手病」とは
「大手病」とは、主に就活生にかかる病気であり、大手の企業や大企業にだけ興味を持ち視野狭窄の状態にあることを指します。つまり、「大手企業にしか目がいかなくなってしまう」ということです。
この病気の厄介なところは、本人による自制が聞きづらいことと大概は漠然とした不安に由来するところにあります。
大手病にかかると、中小企業に目を向けることなく就職活動をしようとします。中小企業は企業全体のうち大半を占めています。一つの事業内容に専念している場合が多いですが、それだけに突出した技術や能力を持った企業が数多く存在しています。最近、魅力ある企業として報道されるのは、実は大企業ではなく中小企業である場合が多いのです。
就活で大手病にかかりやすい人の特徴
大手病にかかっている学生というのは相当数います。その原因は恐らく大学では中小企業の魅力について学ばなかったか大企業の環境について学ばなかったかのどちらかでしょう。学ぶというのは聞く方と伝える方の両方がその気になっていなければ意味がありません。どんなことにもアンテナは広げておくことが大切です。
また、大手病に陥りやすい方には2つの特徴があります。どちらか一方でも当てはまっていれば今の希望について考え直した方が良いでしょう。
1 自分に自信がない
自分に自信を持っていない人は基本的に安全圏を狙い、できるだけ損失を出さないようにします。その結果、ブラック企業に入社してしまう人もいますが、一方で大手の企業ばかりを選んでしまう方も多いものです。
安全というのが「将来的な安全」として考えるのであれば、大手の企業に勤めた方が良いという判断です。それは自分ではなく会社によるサポートを期待しての行動でしょう。しかし、その期待は必ずしも得ることはできません。むしろ仕事ができない人をサポートする余裕がある会社はごく少数ですし、いつまでも続けるわけがありません。
このタイプの方は日頃から自分がやっていることを考えてみて、伸ばせるところを見つけるようにしましょう。長所が見つかれば「やりたいこと」につながります。
2 周囲の目を必要以上に気にしてしまう
就活生の中でも、大手病にかかってしまう方の特徴として多いのが「周囲の目を必要以上に気にしてしまう」ということ。無名の企業に行ったら笑われる、見下されてしまうといった恐怖を感じることで大手企業を志望する学生は少なくありません。しかし、周囲の目を気にして企業を決めるべきではありません。
無名企業というのはその人が単に知らないだけであり、素晴らしい技術やアイディアを持っている中小企業はごまんとあります。ただその使い道が見えてないだけで埋もれている企業があるのも確かです。むしろそうしたところに可能性を見出せる人材は重宝されます。就活生の皆さんもそういった可能性を見いだせるような情報収集をしてみてください。
また、近くに無名企業を嘲笑ったり見下したりするような人がいるのならば、そういった人とは縁を切った方が良いでしょう。大企業というのはそうした無名企業と呼ばれる優秀な中小企業から成り立っている面があります。これを積極的に切ろうとする考えは企業にとって不必要ですので、リスクを負うことがあります。
大手病の学生が頭を抱える「うちに来て何がしたいの?」
大手病にかかった方が要注意するべき面接での質問があります。それは「うちに来てなにがしたいの?」といった質問です。大抵の大手病の学生は「自分はできている」「問題ない」と意気込むのですが、結局は採用されないまま大企業を受け続けるケースが多いです。
「うちに来て何がしたいの?」と聞かれたら
「うちに来て何がしたいの?」という質問は、本当に応募者がその会社に入りたいのかを測るための質問です。そもそも準備してこなかった人はオドオドして答えに詰まってしまうでしょう。その時点で内定は出ないと思ってください。
大手の企業は募集人数が多いからと言って誰でも入れるわけではありません。そこには企業としての方針や理念とあなた自身のアピールポイントがマッチするかにかかっています。募集定員を満たす内定者を出さずとも企業が十分と認めればそれ以上は取りません。だからこそ企業に入るためには十分以上と認められる人であることをアピールする必要があるのです。
また、アピールする上で意志や熱意はもちろんのこと、会社情報についても詳しくならないとなりません。残念なことに大手病にかかっている方は表面上の情報ばかりを汲み取ってしまいます。それらは誰もが持っている情報であり平凡です。
大手企業に憧れる方は少なくなく、むしろ多すぎる程でしょう。求人倍率などを見ても分かるように、一つの企業にかなり多くの応募者が集まってきます。その中では平凡な人材を取る義務はないのです。
就活中の大手病を克服する4つのポイント
大手病から解放されたいと思うならばその克服法が必要です。ここでは大手病を克服する4つの方法をご紹介します。大手企業への就職にこだわり続け、なかなか就活が上手く行かないという学生はぜひ目を通してみてください。
1 大手なんてたった0.3%だと知る
大手の企業というのは全体の0.3%ほどにしか過ぎません。その企業たちがこの日本経済を動かしているという方もいらっしゃいますが、その企業に協力してくれている中小企業たちが日本経済を支えてくれているのです。
何かモノを製造しようとするならば原材料を作り、加工し、梱包し、配送し、販売するプロセスが必要です。これらを全て自社で完結させることもできますが、企業全体を脆弱にしてしまうため好まれません。そのため中小企業の働きというのはとても重要なのです。
中小企業で働くことの利点は、限られた業務に専念できるということと自分が活躍できる場が増えるということです。中小企業には兼任して業務を行う場合が多いですが、その分だけビジネスの経験値が積めます。
また、必然的に会社の代表として業務を行う機会も増え、終身雇用が崩れている日本経済にとって不可欠な転職にも有利に働きます。大手だけではなく、中小企業で働くメリットにも目を向けることが重要です。
2 親から自立する
大手病にかかっている方は何も就活生の方だけではありません。その親御さんがかかっている場合もあります。ひどいときは会社に怒鳴り込んで内定が出ないことに対する抗議をする親御さんもいます。こうした場合では親から自立した自分になる努力が必要です。
また、親からの自立というのはいくつかの面から行われますが、一番大きいのは経済的自立でしょう。この経済的自立の意識が強い方はこれから何をやればいいのかの情報収集をしています。そうした方たちが大企業の汚職や不正を知らないはずもありませんし、勤めることへの不安も感じているでしょう。やはり、そうした姿勢を持つことは就活で戦略を練る上で有利となり、大手病からの脱却も早いです。
3 大手の就活は無理ではないかを考える
「無理」というのは個人の能力に対してではなく、その人がその企業に合うために無理をしていないかということです。
「○○の会社に勤めたい」などと思うのは自由ですし、誰でも内定は取り得ます。しかし、それは本当にそこに就きたいのかは不明です。実は「有名企業に勤めて定年退職まで安泰に過ごしたい」と思っていませんか。
本当にその企業に勤めたいのであれば、自分がその会社で成し遂げたいことがはっきりとしていて、自分の能力を会社に提示できるでしょう。もしこれができなければ、その企業はあなたには合わないということで別の企業を探すのが賢明です。
あなたが思いついたアイディアというのは、大抵は既に誰かが着手しています。それを残念に思うのではなく、何とか便乗していきたいという気持ちが表せるようにしておきましょう。
4 うわさを鵜呑みにしない
大手病というのは自分だけがかかるものではなく、伝染するものでもあります。誰かが大手病を患うことでそれはうわさという形で伝播していきます。
就活中は「どの情報が妥当か」という情報の取捨選択が必要になります。この時、ウワサを鵜呑みにしてはいけません。大手だけではなく、中小あるいは無名と言われる企業を見てみてください。それらの企業というのは隠すほどの情報を持っていませんので、より正直な情報が分かるでしょう。
就活では大手病があることを前提に考えよう
就活中は有名企業や広告費を存分に使える企業が目立ちます。そのため就活生は限られた中で進路を決めることができます。
しかし、広告というものはその企業の全てを表すものではありません。広告のみでよく知った気になってしまっていては、進路を狭めることになります。限定するのと狭めるのとでは意味が違います。行きたい会社を限定する場合は慎重に行ってください。
もちろん、「大手企業に就職しようとするのが悪いことだ」と言っているわけではありません。大手病の存在を知った上で、視野を広く持っていろんな企業に目を向けてみましょう。