就職浪人とは?就活をやり直すメリットとデメリット
就職活動を行った結果、「内定を貰えなかった」「希望企業から内定を貰えなかった」として就職浪人となる人がいます。就活を再度やり直せるのは大きなメリットとなりそうですが、大きすぎるデメリットがあることをシッカリと理解しておきましょう。
就職浪人とは?
就職浪人とは、主に企業の内定をもらえない状態、または希望の内定を貰えなかったために内定をうけずに大学を卒業し、そのまま就職活動を継続する人のことを言います。就職留年という似たような言葉がありますが、内定を貰えない・受けない状態で、わざと卒業せずに留年して、学生として就職活動をする人のことを言います。
決して望まずに就職浪人となってしまう人もおりますが、メリットと共に大きなデメリットがあるため、就職浪人という道は容易に選択することはオススメしません。メリットとデメリットを理解した上で、本当に就職浪人する必要があるのか、内定をもらった企業では自分の望みは叶わないのか、ライフプランに沿えないのか十分に考える必要があります。
就職浪人のメリット
基本的には人生において一度しかない、大学卒業時の就職活動を連続で行う就職浪人。1年間無職という道を選ぶ人がいるのは多少なりともメリットがあるからです。
就職活動経験を元にもう一度就活をやり直せる
就職浪人をするということは、一度就職活動に失敗したというレッテルを貼られることになります。しかし前年度の経験を活かし、クオリティの高いエントリーシートを書けたり、緊張すること無く面接で本来の自分を表現することができれば、他の就活者に差をつけることができます。
また、一度目の就職活動では受けなかった業界も受けることが出来るので、就職活動の幅が広がります。望んで就職浪人をする人は、志望企業・志望業界への入社が叶わなかった訳ですから、もし就活に失敗したと感じていたら、企業研究やOB訪問を行い傾向と対策を練ることが出来ますし、独学でもスキルアップできれば企業にアピールすることが出来ます。一度目の就職活動で何がダメだったかを振り返り、もう一度トライするチャンスが得られることは就職浪人の大きなメリットと言えます。
志望業界に強いアピールが出来る
「就職浪人というリスクを背負ってまで志望している」と前向きにとらえてくれる企業があれば、就職浪人をするメリットはあります。他の学生より志望熱が高いと評価してくれれば、他の学生に比べ熱意を買ってもらえ内定を貰えるチャンスはあります。
就職浪人のデメリット
経験は大きな強みになります。就職活動を経験し再度行える就職浪人は現役生に比べれば、エントリーシートや面接でのアピールの仕方では有利と言えます。しかし、大学を卒業してしまい現役で就職しなかったことによるデメリットがあることを理解しておかなければいけません。
一度就職活動に失敗した人というレッテルを貼られる
企業の採用担当者は、就職浪人を高く評価することはまずありません。どちらかと言えば「この人は就職活動で一度失敗した人なのだから能力が低いか、なんらかの問題を抱えているのではないだろうか」と勘ぐる可能性が高くなります。しかも面接で必ず「就職浪人をした理由はなんですか?」と聞かれます。その時に、「この業界でどうしても働きたいからです」と答えることが出来る業界であればいいのですが、本当にその業界でなければいけない理由を明確に返答することができますか。強いこだわりは長所と言えますが、会社組織から見ると短所と捉えられる場合もあります。
採用担当者にすれば、面接をしてみて素晴らしい人だったとしても、「なぜ去年は内定を貰えなかったんだろう」と思ってしまいます。採用担当者の疑問を払拭できるぐらいの志望動機と熱意が無いと、内定を貰うことは難しくなります。
現役と比較される
上手く最終面接まで残ったとして、就職浪人の人と現役生が残り、ほぼ横並びだったとしたら現役生の方が内定を貰えますよよ。履歴書や面接だけで全てを理解できているとは面接官も思っていません。実際に入社して働いてみなければ、その人本来の能力や人柄を知ることはできません。
現役就活生に差をつける熱意や能力がなければ、履歴書に残る就職浪人というデータが足を引っ張ってしまいます。就職活動をもう1年できることがプラスかと思えば、実際にはマイナスからのスタートと言っても過言ではありません。
大学からの就活援助を受けることができない
卒業した時点で大学の援助を受けることは出来なくなります。OBのデータはもちろん、キャリアセンターの利用も出来なくなります。エージェントやハローワークなどは利用できますが、新卒での就活では大学を大いに利用できます。大学への直接求人や学内での企業説明会、面接の練習なども可能ですし、何より就活に関しての相談ができるのが大きなメリット。
卒業したことで、あなたは自分一人で就職活動をしなければいけません。一緒に就活していた友達もいません。現役だった時のことを思い出して、大学に属していたことにより受けた就活における恩恵な無くなることを想像すると分かりやすいです。
社会人インターンシップを行っている企業がまだ少ない
まだ在学中ならインターンシップに参加することはできますが、卒業してからはインターンに参加するのは難しくなります。就活におけるインターンへの参加は大きなメリットになりますが、就職浪人をしたからと言って新たに1年の猶予を使ったインターンへ参加することができない可能性が大きくなります。
海外に目を向ければインターンシップを行っている企業は多数ありますが、英語という新たな壁が立ちはだかります。
志望した業界しか受けにくくなる
どうあっても就職浪人をしたという事実は消せません。希望業界に強いこだわりがあったから、就職浪人を選択したと前向きに捉えてくれる採用担当者は判断します。そのため、一度目の就職活動で受けていた業界以外は、入社難易度が上がります。「なぜ、異業種にこだわっていたのに我が社へ?」と聞かれる時に上手く切り返せるでしょうか。例えばなんと答えますか?「こだわり過ぎていたので、幅広く視野を広げました」という答えでは、その企業でなくてもいいのでは?と勘ぐられても仕方ありません。とにかく志望度が高くないと判断されてしまい、不採用につながりやすくなってしまいます。なので、結果的に、異業界は受けにくくなってしまい、特定の業界しか受けられないというデメリットと付き合わなければなりません。
同じ企業に応募しても落とされる可能性がある
どうしても希望の企業に入りたいからといって、同じ企業をもう一度受けたい、同企業の違う職種への応募まで検討している人もいるでしょう。しかし「過去数年以内に自社の選考を受けた人の応募は不可」と言った内容を募集要項に記載している企業もあります。募集要項にシッカリと記載されているのに、再度応募したとしても「募集要項を読んでいない奴」と判断されてしまい、当たり前に選考すらしてもらえません。
不採用となった人の個人情報となる履歴書は、企業で保管することはできず、返還・破棄する義務があります。表向きは過去に応募した人のデータが残っていないとされても、実際にはどうなっているかは知るすべがありません。
もし、募集要項に再応募に関する記載が無かったとしても、何も考えずに再度応募したからといって受かる確率はほぼゼロです。一度選考に落ちたのには理由があります。「どうして内定をもらえなかったのか」ということを理解しないまま、前年度と同じように就職活動を行ったとしても、希望の内定を貰うことは難しいでしょう。
面接で言われてことの中にヒントがあるかもしれません。あなたが答えたことに対して面接官の反応が悪かったことも、あなたの評価を下げた要因の可能性があります。もし就職浪人を決めたのなら、まずは自分の就活で足りなかった部分を探ることから初めましょう。
強すぎるこだわりを短所と見られてしまう可能性がある
特定の業界にこだわった結果就職浪人になったとして、強い熱意がある人と捉えてくれる面接官もいれば、汎用性のない人と捉える面接官もいます。新卒採用の場合、様々な部署を経験させてから、適性を見て上司が判断して部署が決定することもあります。その時に汎用性の低い学生を採っていては、特定の部署でしか活躍出来ない人材と判断されても仕方がありません。仕事はチームワークで行うもので、世代・性別を越えて仕事に向かわなければなりません。必ずしも希望の仕事ばかりをできる訳ではなく、望まない業務も行わなければいけないことがあります。
強いこだわりは長所でもあり、短所とも言えます。チームで仕事をする会社においては、短所となる場面も多くなりますので注意が必要です。
就職浪人したことを後悔する可能性が高い
就職浪人をしたからといって、希望の企業に就職できるという保証は一切ありません。もし内定を蹴ってまで就職浪人となった人なら内定を貰えたとしても、結局は「現役の時に内定をもらった企業の方が良かった」という可能性も十分あります。
企業規模によりますが、新卒採用は基本的には毎年行われていますが、それすら絶対行われるということはなく、新卒採用を見送りする企業もあり、せっかく就職浪人したのに希望の企業に応募すらできないという可能性もあり得ます。
就職浪人と第二新卒は違うものと考える
第二新卒とは、新卒で入社した企業を通例2、3年以内で退社した人のことを言います。青少年雇用機会確保指針の改正により、既卒者3年以内の人は新卒採用枠に応募できるようにするよう検討しましょうと、厚生労働省より通達がありました。
必ずしも守らなければいけないということではありませんが、一度就職して経験を積んだ後に、再度新卒枠で応募できる可能性があります。
新卒と第二新卒の違いは、経験の有無と2、3歳の年齢です。新卒枠としては第二新卒は不利となる面も有れば、社会人経験があることからビジネスマナーなどの一般的なことはもちろん、専門職の場合は業務経験から一定のスキルを持つ即戦力とみなされる場合があります。
どうしても行きたいと思う企業があるならば、同業界で経験を積んで第二新卒としの応募を考えたり、実力があれば中途採用の道もあり得ます。
就職浪人は安易に選んではいけない
就職浪人には大きなハンディキャップが課されます。現役就活生を出し抜く努力が必要です。一度失敗したことから学び、クオリティの高いエントリーシートや面接での受け答えをしなくてはなりません。
本当に、希望の企業でなければ働くことはできないのでしょうか?その時の強い気持ちだけで考えず、将来のライフプランを考えたり、人に相談することで就職浪人となることを納得したうえで回避できる可能性があります。
就職浪人となるとデメリットの方が多くなります。決して軽い気持ちで「来年もう一度」と思わずに、今できることは無いのか再度考えてみましょう。