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企業理念の志望動機の書き方は共感をいかに表現するかが大事

企業理念を就活の志望動機に使う人は多いのですが、本当に強い感動や共感を覚えたとしてもそれがうまく伝わらないと意味がありません。企業理念への共感がしっかり響く志望動機にするためのポイントを、例文を交え紹介します。

就活の志望動機で企業理念への共感を響かせよう

就職活動をしている就活生が、企業の志望動機として選ぶことが多いのが「企業理念」です。Webサイトや企業説明会などで、その企業理念を耳にして、非常に感銘を受けたという人も多いですし、また自分の考えと企業の企業理念が一致することもあるでしょう。

しかし、就活の志望動機では企業理念をうかつに使うことは良くないとも言われています。企業理念への共感が志望動機に良くないというよりは、企業理念を志望動機にする際には、薄っぺらい表現になりやすく、響きにくいのが問題です。企業理念を志望動機にする際の正しいアピールについて確認しましょう。

企業理念とはそもそも何?

「企業理念」と言う言葉がありますが、その意味するところは「企業の目的やあり方、考え方などを示したもの」と表現することができます。つまり、その企業が存在する理由です。何のために企業が存在し、何を実現するために企業活動を行っているのかを示すものと言えます。

企業理念は最初から決まっていることもあれば、事業活動をする中で紆余曲折を経て変化していくこともありますが、企業のあり方を示すとても重要なものです。企業は企業理念を形にしながら経済活動を行っていると言っても良いので、これを正しく理解することは企業のことを理解する上でとても大事なことなのです。

企業理念に共感するってどういうこと?

就活生は志望動機を問われた際に「企業理念に共感して貴社を志望しました」と回答することも多いのですが、この企業理念への共感はそう簡単にできるものではありません。

「お客様の笑顔を大事にしたい」という企業理念があったとして、「うんうん、そうだよね」という気持ちは多くの人が持つことができるでしょう。しかし、だからと言ってそのために事業を始めるという人はどのくらいいるでしょうか。そのために何年も働くことはできるでしょうか。フレーズは簡単で普遍的なものだとしても、そのフレーズの裏に流れる創業者や従業員たちの気持ちを本当に理解していなければ、本当に共感しているとは言えないのです。

独特で特徴的な言い回しになっている企業であれば、その分明確に共感できるできないが分かれますが、多くの人が共感しやすい企業理念を持っている企業ほど、その根底にあるものをよく考えていく必要があります。なまじ薄っぺらい理解や誤解の下で「共感している」などと言えば、マイナスの印象は避けられないものと考えておいた方が良いでしょう。

企業理念を志望動機にした例文

それでは、企業理念を志望動機とした場合の例文を見ながら、共感できる志望動機になっているかどうか確認してみましょう。

不動産業への志望動機の例文

不動産業への企業理念を使った志望動機例

私が御社を希望したのは、「地域の発展に貢献する」という企業理念に共感したからです。

私は父が転勤族だったこともあり、6つの都道府県で暮らしました。地域によって町の発展度合いも様々である様子を見ました。その中で、ある地方都市で、近所に大型の商業施設が作られることが決まった後、急速にマンションや住宅などが増え、近隣も栄えていく様子をみました。

私はこの時、土地や建物をどのように使うかが地域の発展に大事だということを実感し、不動産業界に興味を持つようになりました。御社のビジネスはまさに地域の発展に核を与え、地域に大きく貢献するビジネスだと思っています。御社の土地開発やテナント事業などを通し、私も地域の発展のために尽くしていきたいです。よろしくお願いします。

このエピソードでは、企業理念への共感について自分の経験からアピールしています。不動産業の影響力や地域への貢献についての理解を示すとともに、自分も「土地開発やテナント事業」のような仕事に携わりたいことが簡潔にアピールできている志望動機です。

不動産業界の志望動機・新卒、中途採用の書き方例文

自動車業界への志望動機の例文

自動車業界への企業理念を使った志望動機例

私が御社を志望したのは、御社の企業理念である「クルマが未来を作る」という言葉に強く共感したからです。

私は大学時代に人工知能の研究をしていましたが、今御社が取り組んでいらっしゃる自動運転の技術に非常に興味を持っています。技術そのものも未来を作るものですが、この技術が完成するなら、人間以上の判断の高速化ができるようになり、車線や法定速度、運動免許の種類などの交通ルールも変わって、私たちの移動という行為そのものが大きく変わっていくでしょう。私も科学者の端くれですから、技術が生活を変えることにロマンを感じます。

ひとつの技術が社会を大きく変えることができる可能性を、自動車を通して見せていこうとする御社の考えに憧れ、御社で最先端の研究活動に参加したいと強く思うようになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

自動車業界への就職を希望する場合の志望動機の書き方例です。企業理念に対しての共感を、自分の研究分野とその知見をもって示しています。この志望動機の良いところは、企業が取り組んでいる事業について正しく理解していることや、その社会的な意義などを自分の視点から考えていることです。

企業理念から志望動機を作成するためのポイント

企業理念をテーマに志望動機を書く時は共感を響かせるようにします。企業理念から志望動機を作成するためのポイントを整理してみましょう。

掲げられている企業理念を正しく理解する

志望動機で企業理念を書くなら、とにもかくにも、まずは企業理念を正しく理解することが重要です。フレーズを覚えることが企業理念を理解することではありません。企業の沿革や歴史、経営者の挨拶や、事業内容、提供している商品やサービスを逐一確認していきながら、「どうしてこの企業理念なのか」「企業理念にはどのような気持ちがこもっているのか」を考えていくことが大事です。

企業は人の集まりですから、その理解に正解はありません。ただし、明らかな誤解や、浅い理解はありますので、それでは採用担当者や面接官に良い印象を与えるのは難しいと思っておきましょう。

企業理念と自分の仕事への考えとをすり合わせる

「御社の企業理念に共感して志望しました」という志望動機の言葉だけでは、企業の担当者や面接官には残念ながら何も伝わりません。その理由は、「自分の考えが全く入っていないから」です。

就活においては、企業側はあなたという人物が「一緒に働きたい人か」を見ています。自社と考えが合うかを聞いているのではありません。ですから、自分の考えをアピールしつつ、それが企業理念とマッチしていて、そのために強く共感を覚えていることを表現する必要があります。

企業がまず先にあって、その後に自分の価値観を作ってすり合わせるのは、たとえ内定が出たとしてもその後に辛くなってしまうことがあります。たとえ企業理念を耳にして好感をもった企業だとしても、自分の仕事への価値観と合わないのであれば優先順位を落として考えた方が良いでしょう。

自分の考えと企業理念が結び付くエピソードを探す

企業理念を理解し、そして自分の仕事への考えがマッチしているとしても、それをただ伝えるだけでは志望動機の説得力にやや欠ける部分があります。この企業理念への共感を裏付けるエピソードを添えることによって、より説得力のあるアピールになります。

注意しなければならないのは、正しく企業理念を理解していないと、志望動機のアピールとしてのエピソードが的外れになってしまうことがあるということです。エピソードがあると説得力も増しますが、誤解があればそれも明確に伝わるのでエピソードは慎重に選びましょう。

自分が企業の中で何をしたいのかを明確にする

企業理念をいくら共感したとしても、自分が企業に入って何をしたいのかが見えなければ良い志望動機のアピールとは言えません。応募者が企業で活躍している姿を具体的にイメージさせることが大切です。企業理念と共感する考えを持ち、どのような仕事をしていきたいのかを明確に表現しましょう。

企業理念と経営理念は違うので注意しよう

企業理念と混同して考えやすいのが「経営理念」です。

企業理念が企業としての考えや在り方を示すものであるのに対し、経営理念というのはその企業理念の実現のための経営の方針を意味します。広義では同じものと捉えられる場合もありますが、明確に区別している企業もあるので注意しましょう。

企業理念が「安全で豊かな食を提供する」のようなものであれば、経営理念は「コンプライアンスを重視した経営を行う」「食に対する感謝を忘れずに商品を取り扱う」「常に食に関するプロ意識を持ち、絶えず研鑽を積み重ね、積極的にチャレンジする」などになります。

企業理念よりも経営理念はかみ砕かれた表現になっていることも多いので、志望動機づくりの参考になるでしょう。

企業理念で志望動機をアピールするなら共感をうまく伝えよう

企業理念は、企業が追求している価値観や目指している方向性を表したものであり、その企業に共感する人々にとっては魅力的な要素となります。そのため、企業理念を志望動機に取り入れてアピールすることは、共感を得るために非常に有効な手段です。

共感をうまく伝えることにより、面接官に自分自身がその企業にフィットしているということをアピールすることができます。例えば、企業が「社会貢献」を掲げている場合、自分自身が社会貢献に興味を持ち、そのために自分自身ができることを考えていることをアピールすることができます。その結果、面接官からは、自分自身がその企業の理念や価値観に共感しているという印象を持たれることになります。

また、共感を伝えることにより、企業との相性をアピールすることができます。企業は、社員がその企業の理念や価値観に共感し、その目標に向かって共に働いていくことを期待しています。共感を伝えることにより、自分自身がその企業と相性がよく、長期的なキャリアを築くことができるということをアピールすることができます。

最後に、共感を伝えることにより、面接官からの評価を高めることができます。企業理念に共感しているということは、自分自身がその企業に熱意を持って取り組むことができるということを示しています。そのため、面接官からは、自分自身が仕事に対して熱心で、その企業に貢献することができるという印象を持たれることになります。

以上のように、企業理念を志望動機に取り入れて共感を伝えることは、面接官に自分自身がその企業にフィットしていることや相性がよく、熱意を持って取り組むことができるということをアピールすることができるため、非常に有効な手段です。