自己PRで継続力をアピールするなら「実績」より「人柄」
自己PRで継続力があることをアピールする就活生はよくいます。しかし、大学生の継続した年数や実績は社会人の観点からはどうしても短いスパンになり魅力的に映りません。自己PRで継続力を自分の長所として伝えるのであれば、人柄を重視したアピールがより効果的となるでしょう。
自己PRで「継続力」を上手くアピールするには
就職活動に携わる人の間で度々話題に上がるのが「3年以内に辞める人が●%」という数字です。これは時代によっても変わりますが、傾向としてはどんどん短くなっています。雇用システムの変化や社会情勢の変化など、その理由は様々なのですが、「最近の若者は継続力がない」という声も聞かれます。
流行もあっという間に過ぎ去るスピード社会となった現代ですが、それでも変わらずにひとつのことを続ける継続力も求められます。より専門的になった社会の中で専門家として一人前の職業人になるために、継続力は欠かせない要素です。自己PRでこの継続力を活用するための方法について考えてみましょう。
学生の考える継続力は企業で通用しないことが前提と考えよう
継続力とは物事を継続して行う力を指しますが、同じ「継続力」という表現でも、企業において求められる継続力と学生の考える継続力は違います。
多くの就活生は「部活動などを何年続けてきた」「アルバイトを何年続けた」というようなエピソードから自己PRとして継続力について語ろうとします。しかし、企業が認める継続力とは社会人として何十年というスパンでの継続力であることを認識しなくてはなりません。少なくとも数年、10年近い年数、変わらずそこに投資したと言えるようなものがなければ、強いアピールにはならないでしょう。
また、「物事を最後までやりとげる」というアピールもよく耳にしますが、その原動力は継続力ではなく責任感や義務感である場合もあります。企業の求める継続力というのは、義務や責任ではなく、例え顧みられるものがなかったとしても自発的に継続できる力なのです。
そのため自己PRでは、学生の考えやすい「継続力」は企業で通用しないことを前提にアピールする必要があります。
自己PRで「継続力」をアピールする際のポイント
自己PRで継続力を採用側に響くようにアピールするためには、伝えるためのポイントをしっかり押さえる必要があります。
1 継続力を年数や実績で勝負しない
社会人と学生では年齢が全然違いますし、また法人と個人でも違います。自分の中で「長年やってきた」と思っていることも、社会ではたいした経験ではないこともあります。そのため、継続力をアピールする際には、年数や実績ではなく他のポイントで勝負することが大事です。
ただし、幼少のころからピアノや習字を続けてきたなど、若いとしても十数年に渡ってやってきたことがあれば、それは大きなアピールポイントになるでしょう。
2 継続力の内容に優劣はない
自己PRとして継続力をアピールする際に、「10kmのランニングを大学4年間毎日続けてきた」ことと「大学の4年間、毎日欠かさず朝ごはんを食べた」の間に優劣はないと考えてください。
もちろん、難易度としては前者の方が難しいでしょうが、継続力があることを示すのは内容ではなく、そのエピソードから導き出される人間性・人柄です。すごいエピソードがないことで気弱になることもありませんし、すごいエピソードがあるから安泰というわけでもありません。
3 継続力があることで今後を想像させる内容がベスト
継続力を自己PRする際、「継続力があります」と言うだけでは伝わることは絶対にありません。継続力があること、継続力が今後もあり続けることを想像させることが大切です。そのために大事なのが、「やめそうな機会」です。物事が続かないのは「やめる原因」があるからで、「やめそうな局面に直面した時」にどのような考え・行動をするのかが今後の継続力をイメージし評価する上でのポイントになります。
また、継続力の自己PRは場合によっては、固執やこだわりと取られてしまう場合もあります。そのため、一つのことを頑張ってきたということに加え、現在チャレンジしていることや、今後の展望などにも触れて、向上心の高さや興味関心の広さをアピールすることも効果的です。
4 継続力があるイメージが具体的にわくように数字を入れる
自己PRの例文として「ずっと部活動で野球をしてきました」と「小・中・高・大で14年間野球をしてきました」は、同じ内容に聞こえますが感じるものが違います。
数字は客観的にその大きさを表してくれるので、主観的でない印象を与えてくれます。継続力を発揮すると数字で表されるものは大きく、インパクトが出やすいので、具体的な数字による表現を意識したエピソードを作成しましょう。
継続力を使った自己PR例文
継続力を題材にした自己PRの例文を見てみましょう。ここでは2パターンの例文を紹介するので、継続力を自己PRしようと考えている人はぜひ参考にしてください。
「継続力」を使った自己PR例1
私の強みは継続力にあると思っています。
小学生の頃から始めて大学まで、合計12年間野球をしてきました。
私は残念ながら体格も大きくなく、特別な身体能力や技術もありません。そのため、経験年数は長いものの、上のカテゴリーに行くほどレギュラーからは遠のいていきました。悔しく感じたこともありましたが、その度に乗り越えてきました。
こうした時にいつも考えるのは、野球はチームスポーツだということです。私は野球を長くやってきたからこそ、野球は練習環境を作ることや、ベンチやスタンドからの応援や、記録、またデータの分析など様々な働きが必要だということを知っています。
試合に出る出ないが全てではなく「チームのために何ができるか」を軸に考え、必要な役回りで努力するようにしてきました。結果、どの環境でも常に指導者やチームメイトから評価され、関係も良かったです。
社会人として辛いことがあっても、自分の都合だけにならず、全体を見て着実な積み重ねをしていきたいと思っています。よろしくお願いします。
野球で培った継続力を自己PRした内容の例文です。野球を続けてきた年数を聞けば、継続力があるという内容に一定の納得を得られるでしょう。
継続力の原動力となっているのが「チームのために何ができるか」という意識でいつも取り組んできたことだということですが、このエピソードの場合、営業や総合職など様々な活躍の場面が見込める場合は良いのですが、たとえば研究職などの専門性が要求される業種では「続けたけど望む結果が出せなかった」と捉えられる恐れがあります。業界や業種によって同じアピールでも評価が違ってきますので注意しましょう。
「継続力」を使った自己PR例2
私の長所は、物事を継続し続ける力にあると思います。
中学生の時に親が見ていた韓流ドラマに一緒にハマり、それから自主的に韓国語の勉強をするようになりました。テレビやラジオの韓国語講座をテキストを買って独習し、大学に入ってからは語学教室で本格的に習いました。友人と一緒に行った韓国旅行では通訳として活躍できて甲斐を感じましたし、また今年、韓国語能力試験で最も難しい6級にも合格することができました。
親には何度も「そんなことより学校で使う英語の勉強をしなさい」と言われましたが、最近は「韓国語を活かして通訳でもしたら」と、言われることも変わりました。8年間熱心に頑張ってきたことが報われてきたと感じています。
私は今、韓国語だけでなく、プラスアルファの専門性を身に着けたいと栄養学の勉強も始めました。この分野でも頑張って学び、ボランティアなどで活用したいと思っています。
御社に入社できましたら、業務の中で必要とされるスキル・知識や資格の習得に積極的に取り組み、周囲が一目置くようなスペシャリストになりたいと考えています。よろしくお願いいたします。
「韓国語学習」によって継続力を自己PRした内容の例文ですが、継続してきたことによる「成果」が多く述べられており、頼もしい能力を持っていることがわかります。また、親の評価から、周囲の反対にも負けず、自発的に努力を重ねてきたことがわかりますし、さらに「栄養学の勉強を始めた」と、更なる向上心が見えていることも良い印象となるでしょう。
エピソードの内容から「スキル・知識や資格の取得」に頑張ってくれそうで、「周囲が一目置くスペシャリスト」になれそうな努力家であることを想像させる良いアピールです。
自己PRの「継続力」は実績ではなく人柄をアピールしよう
継続力とは、目標に向かって取り組み続ける力や、継続的な努力を続けることができる能力のことです。このような力をアピールするためには、まず自分自身がどのような目標に向かって取り組み続けているか、またその目標がどのような意義を持っているかを説明することが大切です。
しかし、継続力をアピールする際には、単に実績を挙げるだけではなく、その継続力を支えている自分自身の人柄や考え方をアピールすることが重要です。例えば、自分自身が目標に向かって継続的に取り組んでいる理由や、目標を達成するためにどのような自己管理や時間管理を行っているかなど、自分自身の思考や行動を具体的に示すことが効果的です。
また、継続力をアピールする際には、失敗や挫折なども率直に説明することが大切です。自分自身が過去に継続的に取り組んできたことで失敗や挫折を経験したことがある場合は、その経験から学んだことや、どのように再び立ち上がり、取り組むことができたかを説明することで、自分自身の継続力の強さをアピールすることができます。
継続力をアピールする際には、自己PRの他の項目とのつながりを明確にすることも重要です。例えば、自分自身が目標に向かって継続的に取り組むことで、チームワーク力や問題解決力を身に付けた経験がある場合は、そのような経験を通じてどのように自分自身が成長したかを説明することで、自己PR全体の説得力を高めることができます。