化粧品業界の志望動機はファン目線を卒業して作りこむべし
化粧品業界の志望動機では、「ブランドや商品が好き」というファン目線の動機が多く見られますが、内定を勝ち取るには仕事として企業を中心に見て作成するべきです。企業にしっかりアピールできる志望動機の作成方法や考え方について紹介します。
女性の憧れ化粧品業界は志望動機チェックが厳しい
今も昔も、美に憧れる女性は多く、その代名詞とも言える化粧品業界は就活を行う女性に非常に人気の高い業界となっています。しかし、化粧品業界の仕事は華やかなイメージとは裏腹な大変さも伴うため、安易な動機で就職すると早期に退職するケースも少なくありません。そのため、しっかりした動機をもって志望する学生を企業側はよくチェックしています。化粧品業界で内定を勝ち取るための志望動機についてしっかり考えてみましょう。
化粧品業界はファンを採用するわけではない
志望動機について語る前に、まず「安易な志望動機」について紹介します。
ここで言う「安易な志望動機」というのは、「ブランドが好きで」「いつも愛用しているブランドで」「店頭のスタッフがすごく親切で」といった、ファンとしての「好き」を志望理由にあげることです。
顧客としてそのブランド、企業が好きであることと、内側で従業員としてそのブランドや企業を好きになれるかはまったくの別問題です。表に見える華やかな雰囲気や行き届いたサービスは、厳しい商品開発や訓練の結果であり、その大変さを表に出さずブランドのイメージを損なわないように努力しているからこそです。
化粧品業界では、ファンを採用するわけではなく、企業でともに働くパートナーを探していることを忘れずに志望動機を作成することが大切です。
志望動機を書く前に化粧品業界の動向を知っておこう
化粧品業界はその華やかなイメージで考える人も多いのですが、業界としては安定しているものの、やや難しい局面に差し掛かっています。志望動機を書く前に、化粧品業界の動向も押さえておきましょう。
人口減少で化粧品の国内市場が頭打ちになっている
現在、新聞やテレビなどのメディアでよく耳にするように少子高齢化の進展から国内の人口は減少に転じ始めています。化粧品のメインユーザーである若年~中高年の女性たちの数も今後はどんどん減っていくことが予想され、国内市場は頭打ちの状況になっています。男性用化粧品の市場は成長しているものの、インパクトはそれほど大きくありません。
化粧品業界には様々なブランドが登場している
化粧品と言えば専門店やデパートなどでの取り扱いがメインとなっていましたが、今はインターネットやドラッグストアなどで安価に化粧品を販売するチャネルが出てきています。そのため、オリジナリティのある商品に特化した中小の会社がブランドを投入し、パイを削り合っている状態です。
化粧品業界は海外市場に活路を見出す傾向が見られる
国内の市場縮小と競争過多の状況から抜けだすべく、海外の市場に活路を見出して海外展開を図る企業も大手では多くなっています。日本の化粧品の品質や品質管理技術は世界的にも高い水準だと評価されていますが、一方で文化や肌質などの違いを突破して市場を開拓し、地元ブランドと勝負することになりますので簡単ではないようです。
化粧品業界の志望動機を書く時は具体的に職種もイメージしておく
化粧品業界と一口に言っても様々な職種があります。代表的なものをおおまかに紹介しますので、自分にあう職種を考えてみてください。
総合職
大卒で新卒入社するなら、基本的には総合職での採用となります。総合職は、企業における様々な部署に入って活躍することを望まれます。営業、企画、広告、生産管理、経営管理部門など様々な位置に配置される可能性があります。採用の段階では、職種まで決まっていることは少ないですが、総合職を希望するならどこに配属されても貢献するという姿勢が大切です。
一般職
化粧品業界の一般職は、基本的にオフィスでの事務職や店舗での販売職などで採用されています。総合職に比べ待遇面では劣りますが、転勤などがほとんどなく、仕事量も安定しています。仕事のイメージも持ちやすいため、志望動機は比較的作成しやすいです。
美容部員
化粧品業界で特徴的な美容部員という職種は、百貨店などの店頭で顧客に化粧品を提案する働きをします。メイクに関する知識はもちろん、顧客への提案能力やサービス精神、そしてブランドの看板としての自身の管理も厳しく求められます。
化粧品業界の志望動機の例文
化粧品業界の志望動機について例文で確認しましょう。3つ紹介しますので、それぞれの特徴を考えてみてください。
化粧品業界の志望動機の例文1
化粧品業界の志望動機の例文1
私が貴社を志望したのは、女性に自信を与える仕事ができると思ったからです。
高校生まで、私は自分に自信がない人でした。ある時に参加した一般のメイク講座で、先生にメイクをしてもらったら自分が自分でないようにカッコよくキレイに見えました。それ以来、メイクの勉強をしたり、友人にメイクを教えたりするようになりました。メイクを通して自分に自信が持てるようになり、将来は化粧品業界で働きたいと考えるようになりました。
貴社は業界の中でも、特にワーキングウーマンに対する商品に強みがあり、遊び心を残しつつも上品さのある商品が多いと感じます。女性が自分に自信を持ち、さらに社会で活躍できるサポートをしていけるのは貴社を置いて他にないと思い、志望するに至りました。よろしくお願いいたします。
化粧品業界の志望動機の例ですが、結論から始まり、そして志望動機を捕捉するエピソードがひとつひとつ展開されています。化粧品業界を選んだ動機、その企業を選んだ動機があり、そして最終的に「女性に自信を与える」という結論に繋がっていることがわかります。
また、志望動機の中で「メイクの勉強をしたり、友人にメイクを教えたり」という経験から、メイクの技術や提案などの能力があると見ることができます。本人写真や面接などでその言葉に偽りがないと判断されるなら、企業側も即戦力に近い人材と見てくれるかもしれません。
化粧品業界の志望動機の例文2
化粧品業界の志望動機の例文2
私が貴社を志望したのは、一生お付き合いできる美容サービスを提供したいと思っているからです。
私の母は若い頃キャリアウーマンとして働いていましたが、40歳を過ぎた頃に使っていた化粧品が合わなくなり、肌荒れがひどくなったことをキッカケに自分に自信をなくし、仕事も辞めてしまいました。その後も化粧品をあれこれ変えながら今に至っています。母は私に「化粧品はずっと同じものは使えない」と口癖のように言い続けました。
私は母の人生が化粧品で変わったことを感じ、化粧品の持つ影響力を考えるようになりました。化粧品業界を志望したのはそれが理由で、貴社を志望したのは、全年代に対する商品ラインを揃えており、化粧品を通して女性の一生に関わることができると感じたからです。よろしくお願いします。
この例でも、結論が前に来ていて後に捕捉エピソードが来ているため、構造には問題はありません。
ただ、間に入るエピソードが何を言わんとしているのかが最初はつかみにくいです。エピソードでも、「母の人生が化粧品で変わった」ということを先に持ってきた方がわかりやすくなるでしょう。
業界、企業に対する志望動機は良いですが、できれば加えて仕事のビジョンや企業への貢献についてもう少し踏み込んだ内容を入れていきたいところです。ブラッシュアップすることで、もっと良い志望動機になる可能性があります。
化粧品業界の志望動機の例文3
化粧品業界の志望動機の例文3
私が貴社を志望したのは、積極的に海外への展開を進めている企業だからです。
私は大学に入ってから2年ほどイギリスに留学していましたが、現地の化粧品の品質や価格が日本のものとまるで違うことに驚きました。もちろん、環境や求められる品質が違いますので単純には比較できませんが、日本の化粧品の品質や管理体制、サービスなどは世界でもトップレベルだと思っています。だからこそ、日本の化粧品はもっと世界に広がってほしいと思い化粧品業界を考えました。
貴社は国内企業の中でも特に海外市場を重要課題としており、研究開発拠点や販路の開拓に力を入れていて魅力的な企業だと感じています。私は留学で鍛えた英語力やコミュニケーション能力で、グローバルに日本の化粧品をアピールしていけたらと考えています。よろしくお願いします。
この志望動機は、海外展開をテーマに志望動機を語っています。自分の体験をもとに海外への興味や可能性を語り、企業選びの軸にしていることがわかる内容で説得力があります。
「海外で仕事がしたい」動機を持つ人は多いですが、それだけなら他の業界でも良いことになります。意外とこの点について言及が不足していることが多いので注意してください。例文では、「日本の化粧品の品質や管理体制、サービスは世界でトップレベル」と評価して、「世界に広がってほしい」という思いをもって仕事を考えているなど、化粧品業界で働く動機やビジョンも明確に示されています。英語力やコミュニケーション能力にも期待が持てますので、採用側も入社後のイメージが湧きやすいでしょう。
化粧品業界の採用は業界ならではの誤解も多い
化粧品業界の採用では、様々な誤解があります。業界ならではの誤解なので、志望動機を書く前に先入観を無くしておきましょう・
誤解1:化粧品業界は外見が重視される
化粧品業界では外見が重視されるという話がありますが、これは誤解です。もちろん、見出しなみなどが整っていることは最低限の条件となっています。販売職の場合には、自身が企業の看板となる面もありますので服装やメイクの仕方など細かい注意がありますが、採用の時点ではそこまで意識されません。
意識されるとすると、化粧品の評価につながる肌の状態であり、決して「顔採用」と言われるような外見を問題にしているわけではありません。また、企業によって販売員はイメージがありますので、イメージに沿った人が採用されやすい傾向はあるようです。
誤解2:化粧品業界は女性ばかり
化粧品業界で女性の割合が多いのは事実ですが、男性に対しても採用の門は開いています。商品開発や企画、経営管理などの部門は男性も多く働いており、体力勝負の部署では特に重宝されています。男性だからと評価が厳しくなることはありませんが、女性が多い職場であるため、清潔感や身だしなみがしっかりしているかや、女性とのコミュニケーションがうまくできるかは問われます。
誤解3:化粧品業界の面接では企業ブランドのメイクが必要
化粧品業界の面接の際には、その企業のブランドのメイクをしていく必要があると思っている人もいますが、基本的に就活用のメイクであれば問題はありません。企業のブランドのメイクをしていくことで評価が上がることはありません。
化粧品業界の志望動機作成のポイントと注意点
化粧品業界の志望動機作成で大事にするべきポイントと注意点について紹介します。これらは必ず押さえておくべきポイントです。
どうして化粧品業界なのか
どうして数ある業界から化粧品業界を選んだのかは採用側が重視するポイントです。安易な志望動機や憧れではなく、仕事としていく熱意を感じさせることが大切です。特に男性の場合は必ず聞かれることになりますので、しっかりした回答を用意しておきましょう。
どうしてその企業を選んだのか
化粧員業界と言っても多くの企業がある中で、どうしてその企業を選んだのかを伝える必要があります。ここでも、ブランドが好きというファンの次元ではなく、より踏み込んで企業について言及する必要があります。例を挙げるなら、「●●というブランドが好きで」ではなく「●●のブランドに、貴社の素肌を大事にしようというこだわりを感じます」のように、消費者目線ではなく求職者目線で評価して言及することが大切です。
志望動機の伝え方に注意する
志望動機を伝える際は、まず結論から述べるようにし、裏付けとなるエピソードなどは後に続けます。起承転結型の伝え方は、最初に理由が来るためアピール力に欠けます。
入社後のビジョンを取り入れる
志望動機の中で、入社後に自分がどのように働いて何をしていきたいのかビジョンを語りましょう。これは「販売としてユーザーに商品を売りたい」「企画になってオリジナルブランドを作りたい」という職種や仕事内容で止まると浅くなってしまいます。「多くのユーザーに化粧品を通して幸せを感じてほしい」など仕事を通して何を実現していきたいかを語ると印象に残りやすいです。
自分が企業に対してどう貢献できるか
就職活動では、企業側はあくまで「一緒に働きたいと思える人」「企業にとって価値がある人」を求めていることを忘れてはいけません。そのため、志望者は自分が企業に対してどう貢献できるかも志望動機に組み込むことでアピールになります。「海外留学で培った英語力を活かしたい」などのアピールは海外展開をしている企業なら良いアピールになるでしょう。
化粧品業界の志望動機はファンを卒業して徹底的に作りこもう
化粧品業界は、常に新しいトレンドや技術が生み出される競争の激しい業界です。そのため、化粧品業界に入社する際には、自分自身が化粧品に関する知識や情報を徹底的に習得し、商品やブランドを深く理解することが求められます。
ファンを卒業するというのは、自分自身が単なる消費者ではなく、化粧品業界のプロとして商品やブランドを分析し、お客様に最適な提案を行うことを意味します。例えば、化粧品の成分について詳しく調べたり、商品やブランドの売り場ディスプレイを研究したり、お客様のニーズに合わせた提案を考えたりすることが求められます。
また、化粧品業界に入社することで、自分自身がどのように成長し、何を実現したいのかを明確に伝えることも重要です。例えば、化粧品の開発に携わり、自分自身が考えた商品を市場に送り出すことができるようになりたい、お客様に最適なアドバイスを行うためにコミュニケーション能力を高めたい、デジタルマーケティングやSNSを活用して新しい顧客層を獲得したいといった目標を持っている場合は、それを具体的に述べることが大切です。
ファンを卒業し、化粧品業界のプロとしての視点を持って志望動機を述べることで、自分自身が業界に本当に興味を持っていることや、将来的に成長していくための姿勢をアピールすることができます。