志望動機で福利厚生を書くなら3つのポイントを意識しよう
志望動機として福利厚生が全くないと言えばウソになることも多いのが就活ですが、実際に志望動機として福利厚生を出すのはNGとも言われます。実際、難しい場面も多いですが、絶対にダメということでもありません。表現の仕方を工夫して、効果的なアピールにつなげるためのポイントを紹介します。
就活の志望動機に「福利厚生」はNGではない
就職活動において、企業選びの際には福利厚生は大事だということを様々な場で教えられた人も多いはずですが、就活で志望動機に福利厚生を取りあげたアピールは良くないと言われています。
実際、企業側の立場に立ってみれば、仕事そのものよりも待遇に興味があるような気がして不安に感じるというのは想像に難くありません。しかし、中には本当に福利厚生そのものに魅力を感じて就職を希望する人もいるはずです。志望動機で「福利厚生」を使うならどのように使うべきか、ポイントについて紹介します。
志望動機が福利厚生だと企業が不安になるのは仕事の観点が抜けていることが多いから
志望動機に福利厚生を挙げるなら、まず、志望動機が福利厚生にあるとなると企業は不安に感じることを理解する必要があります。
福利厚生というのは、労働者にとっては働く上でとても重要なもので、各種の社会保険や退職金などの制度に始まって、特別な休暇や手当、利用可能な施設やサービスなど多岐に渡ります。
これらのうち一部は法で決まっているものですが、多くは企業が従業員のためにと考えて提供しているいわば「サービス」です。そのため、企業側にとって福利厚生はコストです。福利厚生にうるさい従業員はコストが高い可能性があるのです。
就活で志望動機がその福利厚生にあると言われてしまうと、どうしても仕事熱心でなく、その快適な待遇を求めているのではないかと不安に思います。「お金があるからあなたと結婚する」と言われていい気分になる人は少ないでしょう。就活で最も大事な仕事の観点が抜けていることが、企業を不安にさせてしまうのです。
そのため、福利厚生をアピールするにしても、仕事に全く触れない志望動機では、エントリーシートも面接も上手くいかないものと考えておく必要があります。
志望動機で福利厚生をアピールする時の3つのポイント
志望動機で福利厚生をアピールするなら、どのような点を意識して作成したら良いかを紹介します。
1.志望動機に仕事への興味や熱意を入れる
一般的な志望動機と同様に、仕事そのものへの興味や熱意に関わるコメントを必ず挟むようにします。その上で、「福利厚生が非常に整っていてこの企業で働きたいと感じた」ことをアピールすることが自然です。福利厚生ばかりのアピールになると仕事への興味や熱意が薄れてしまうため、バランスに注意しましょう。
2.福利厚生の良さでなく、企業を褒める
福利厚生を志望動機に挙げる人で失敗しやすいパターンのひとつが、福利厚生の良さをアピールしようとするあまりに福利厚生を褒め過ぎることです。「社員旅行も非常に魅力的ですし、保養施設も充実していて素晴らしいと思いました」では、会社を遊びの舞台だと思っていると誤解されてしまいます。
福利厚生で志望動機を書く時のポイントは、福利厚生の良さではなく、それを提供している企業を褒めることです。「社員旅行の行き先や、保養施設の充実ぶりを見ても、非常に従業員の事を大事に考え、喜ばせたいと考えている企業なんだなと感じました。今はブラック企業と言われる従業員を大事にしない企業も多い中だからこそ、御社のような企業で働けたら幸せだと思い志望しました」のように表現してみると良いでしょう。
3.福利厚生があることで自分のビジョンと合うことを伝える
福利厚生を志望動機に挙げるなら、福利厚生があることによって自分のビジョンと合うことを伝えるのもひとつの方法です。たとえば、「1か所でしっかり働き、ビジネスパーソンとしてのスキルを磨いて会社で不可欠な存在になりたい」というビジョンがあることを伝え、「そのビジョンを現実にする上で、福利厚生が充実していることはとてもありがたい」ことを伝えるようなことです。福利厚生単体をアピールするのでなく、自分のキャリアビジョンの中で福利厚生が重要であることをうまく表現できないか考えてみましょう。
福利厚生を志望動機に使う場合の例文
それでは、福利厚生を志望動機に使う場合の例文を見ながらポイントを整理します。自分が描くビジョンを実現するために、福利厚生が大切になることを志望動機の中で上手に伝えるコツを掴みましょう。
機械メーカーの営業職の場合の志望動機例文
志望動機に福利厚生を使った例文1
●●大学の山田です。
私が御社を志望したのは、実家が小さな工場をしており、昔から工業機械が様々な仕事をこなしていく姿を身近に見て育ち、機械が産業を支える大きな力であり魅力的に感じてきたからです。
数ある機械メーカーの中でも、御社は特に従業員に対する福利厚生が充実しており、従業員を大事にする社風があると感じます。「従業員が大事にされているからこそ、顧客や商品である機械も大事に扱い、高い品質やサービスに繋がっている」と会社説明会で先輩社員の方がお話されていたのを聞いて、この企業で働きたいと思いました。
前半を見ると、志望動機としては月並みですが、機械に興味があって業界や仕事を選んだことがわかります。しかし、それだけでは多くのメーカーからその企業を選んだ理由がわかりません。ここで登場するのが福利厚生のアピールです。福利厚生が良いことで魅力を感じていることを伝え、会社説明会での情報でさらに補強して効果的なアピールとしています。
福利厚生があることを喜ぶのではなく、その福利厚生から見える企業の姿に注目したアピールになっているため、好感を得ることができるでしょう。
サービス業総合職の場合の志望動機例文
志望動機に福利厚生を使った例文2
▲▲大学の田中です。
私が御社を志望したのは、御社の福利厚生に非常に魅力を感じたからです。
就活での企業選びにあたり、多くの企業の情報を見てきました。福利厚生はどこも似たような所が多いですが、御社では他の企業にはない「メモリアル休暇」「バースデー休暇」などの制度があったり、多くの福利厚生サービスがあることを知って魅力を感じました。
調べる中で、福利厚生は企業にとっては大きなコストであると共に、従業員をモチベートする有効な方法であることを知りました。御社のように福利厚生に力を入れ、従業員を喜ばせる企業があってこそ、従業員も顧客の喜ぶサービスを提供できるようになると思いますし、そのノウハウが蓄積されているのだと思います。
私もその一員となり、自分も顧客も喜んでいられるような仕事をしていきたいと考えます。よろしくお願いします。
ストレートに福利厚生を志望動機として表現した例になります。この方法を取る場合は、できるだけ福利厚生に力を入れている、もしくは特徴的な福利厚生を従業員に提供している企業を志望するようにした方が良いでしょう。力を入れている部分を評価されることは嬉しいことに違いないからです。
福利厚生を志望動機にする時に難しいのは、働く意欲よりも楽で快適な環境を求めているように見えやすいことです。この例では福利厚生について詳しく考えていることがわかり、ただ環境を求めているのではなく、モチベートやサービスといった与える側の立場、人事部的な視点で福利厚生を見ていることが伝わります。
受益者としての立場でなく、提供する側の視点に立つことで、福利厚生を志望動機に使う際のネガティブなイメージを払拭することにつながります。
無理に志望動機に福利厚生を使う必要はない
志望動機に福利厚生を使うことが決してダメということは無いのですが、無理に使う必要もないということを覚えておいてください。
その理由は、まだまだ人事の採用担当者や、面接官を担当する役員などの中には、志望動機に福利厚生を挙げるのは働く意欲が足りないと考えている人が少なからずいるからです。先入観があると、福利厚生の言葉を聞いただけでも否定的な考えを持ち、うまく表現しても受け入れられないこともあるのです。比較的年配の担当者が多い企業、古風な企業風土を持つ企業ではありがちですので気を付けましょう。
そのため、どうしても福利厚生を入れなければ志望動機が作れないということが無いなら、他の方向から志望動機を作成した方が無難です。
ただし、新卒でなく転職でという場合には、労働者の事情を担当者も十分に承知していますので、新卒採用の時ほど福利厚生を志望動機とすることに抵抗はないことも覚えておくと良いでしょう。
福利厚生を志望動機に使うなら慎重に書こう
福利厚生は企業や業界を選ぶ際の重要な要素の一つですが、志望動機として挙げる場合は慎重に考える必要があります。
福利厚生を重視すること自体は問題ありませんが、それが主たる志望動機としては適切ではありません。企業や業界を選ぶ際には、その業界や企業のビジョン、事業内容、社会的貢献度なども考慮する必要があります。
もちろん、福利厚生も重要な要素ではありますが、それだけで企業や業界を選ぶのは浅はかであると思われます。そのため、福利厚生を志望動機として挙げる場合は、自分がその業界や企業に対してどのような理解を持っているか、その業界や企業の価値観に共感しているか、などを併せて明確にアピールする必要があります。
例えば、福利厚生が充実している企業や業界であれば、社員のモチベーションが高く、仕事に取り組む姿勢が良いことが期待できます。また、社員が安心して働ける環境が整っていることで、仕事に集中することができるため、高い生産性を発揮できるという点もあります。このような点を具体的に挙げながら、福利厚生を志望動機に含めることが重要です。