自己PRで健康に自信があることを上手くアピールする方法
自己PRにおいて「健康」をアピールすると、印象の弱いアピールになってしまいがちです。健康は大事ですが、前提条件でもあるため、特別に健康だったり、また企業に価値を提供できるような健康であることをアピールすることが大切です。
自己PRで「健康」をアピールするのは大丈夫?
志望動機と並び、就活生が思い悩む課題のひとつが、面接やエントリーシートで問われる「自己PR」の問題。特別な実績や経歴、能力のない人にとっては、何をアピールするべきか悩ましいところです。自己PRは何でもアピールしていいといいますが、ここで「健康」をアピールすることは果たして有効でしょうか。
健康をアピールすることは良いことですが、その場合は上手にアピールする必要があります。自己PRで健康をアピールするためのコツについて紹介します。
自己PRは企業が欲しい人材を探すために行うもの
就活における自己PRというのは、企業側が欲しい人材を取るための活動です。ただ個人が自己紹介をする時間ではないことに注意しなくてはなりません。したがって、自己PRにおいても、自分からの視点だけでなく、企業側の視点を持って取り組む必要があります。
当然、健康な人と病気がちの人であれば、健康な人を採用したいものです。特に、最近は過労死などの問題も社会問題として注目されているため、企業側も体の弱い人を雇ってしまうと、リスクを背負い込むことになってしまいます。そのため、心身ともに健康な人というのはとても頼もしいものです。
ただし、注意してほしいのはエントリーシートなどのプロフィールには健康の欄があり、みんな「健康」と書いているということです。仕事を行う上で必要な程度の健康は、当然備えているという前提で行われるのが就職活動ですから、そこで健康をアピールするのであれば、何か特別な健康さをアピールする必要があるでしょう。
だからこそ一歩踏み込んだ「健康」が自己PRになる
健康というのは、実はとても難しい概念です。WHO(世界保健機関)では健康について、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。」と定義しています。
ここからは、健康ということが様々な概念を含んでいることがわかります。どのような健康を自分が持っているのかを考え、一歩踏み込んでアピールすることが有効な自己PRになります。
健康であるためには、様々な条件が完全に揃っていなければなりません。そのため、いつも良いコンディションを維持するために「自己管理をしっかりしている」ということはアピールになりますし、「心身の健康を保つために運動をしている」「早寝早起きを心がけている」などの好ましい習慣をアピールするのも有効です。持って生まれた強い体というのは魅力的ではありますが、年齢を重ねても同じとは限りませんから、年齢を重ねても健康を期待できるようなアピールが良いでしょう。
「健康」を用いた自己PRの例文
自己PRで「健康」をアピールする上手い伝え方について考えてみましょう。書き方の例文は、NG例をひとつ、良い例をふたつ紹介します。
自己PRで「健康」を用いた例文1:NG例
自己PRで「健康」を用いた例文1(NG例)
私は、健康であることに自信があります。
部活動で陸上の長距離走をずっとやってきましたが、体調が悪ければ記録に大きく影響を与えます。長い距離を走るからこそ、ちょっとしたコンディションの違いがタイムや走っているときの疲労感などに如実に出るのです。そのため、いつも健康であろうと心がけ、部活動を病気やケガで休むことはありませんでした。
社会人として責任ある仕事を任される以上、自分の健康状態を言い訳にして「できませんでした」では済まされません。この健康で顧客の利益や貴社にしっかり貢献して参りたいと思います。よろしくお願いします。
自己PRで「健康」を用いている例ですが、この例は全体的には悪くありません。ただ、これこそ一般的に「インパクトが弱い」と言われる例だと言えます。
健康であることは伝わるのですが、「健康であろうと心がけた」内容などにもっと踏み込んでほしいところです。その健康を維持するために何をしたのかなどを説明すると良いでしょう。企業が知りたいのは、その人がどれだけ健康なのかではなく、自己PRを通して見える考え方や行動の習慣です。状況をさらっと説明して終わらないよう注意しましょう。
また、仕事において健康がどのように活かされるのかがぼんやりしています。健康で顧客や企業に貢献するということがどのようなことなのか、少し踏み込む必要があります。この自己PRなら、それほど健康であることを重視しない企業だと難しいでしょう。
自己PRで「健康」を用いた例文2:良い例
自己PRで「健康」を用いた例文2(良い例)
私は、健康であることに自信があります。
部活動で陸上の5000m走やマラソンをずっとやってきて、健康状態が記録や疲れなどに大きく影響することを実感してきました。長距離走では、長い距離を走った後にすぐに座って休むのではなく、体をほぐすために軽く走ったり歩いたりします。ある日、これをサボったら、翌日の疲れがまるで違いました。それからは辛くても面倒でも、必ず明日のことを考え体をほぐす習慣を身に着けました。
私は特別に体が強いとは思いませんが、健康な状態を維持するためにはどうしたら良いかを常に考え、実行する自己管理能力があります。社会人にもなれば責任ある仕事も増え、忙しい時も多くなるかと思いますが、しっかり自分を管理して与えられた職務を全うしたいです。営業では顧客にいつも元気な姿を見せ、良い印象を与えていきたいと思っています。よろしくお願いします。
先の例を少し修正した内容になります。
健康であるということを、「自己管理能力」と捉え、健康であるために必要な努力をしていることをアピールしています。営業職は、業界によっては朝も早く夜も遅くなることもあり、健康が良いアピールになる可能性は十分にあります。
最後に、「顧客にいつも元気な姿を見せ、良い印象を与えていきたい」と健康であることが顧客に良い印象を与えるということをイメージさせています。特に、健康食品やスポーツ用品を扱う業界や、化粧品販売やエステサロンなどの美容業界などでは元気でエネルギッシュな雰囲気が従業員に求められますので、健康であることが業務上プラスになることも多いでしょう。
自己PRで「健康」を用いた例文3:良い例
自己PRで「健康」を用いた例文3(良い例)
私は、「とても安定感がある人」だと言われています。
私は小学校から高校生まで、病気やケガを理由に学校を休んだことはありません。日数にして12年間、約3000日です。大学一年生のときに一度風邪を引いて休んでしまってから、徹底的に自己管理をするようになり、以来一度も病気になっていません。
また、良くないことがあっても引きずらずに気持ちを切り替えるようにしています。叱られても大きく落ち込んだりせずに、いつも必要なことができるということで研究室の教授にも評価してもらえました。
私は社会人は積み重ねが大事だと思っています。心身が健康で安定していることは、その積み重ねの土台が安定しており、より多くのことを積み重ねることができると思っています。研究職で覚えることも多くあると思いますが、一日一日しっかり学びを積み重ねて、プロフェッショナルとして貴社に貢献していきたく存じます。よろしくお願いします。
この例文では「健康」を「安定感がある」という表現に言い換えて使っています。内容を見ると、病気に強いという体質的な強さに加え、自己管理をしっかり行っている様子や、また気持ちのコントロールがしっかりできることがわかります。学校などを休んだことがないというアピールは時折ありますが、数字にして日数を出してみるとすごいことだと感じさせる効果があります。
自己PRの中でポイントになるのが、「その安定感が仕事上どう活かされるのか」です。ここでは、研究職という職種において、「積み重ねの土台になる」ことが健康のメリットであるとしています。研究職はたくさんの知識や経験の集積がものを言いますから、しっかりと積み重ねをしてプロフェッショナルになっていく様子がイメージしやすいのではないでしょうか。
「健康」で自己PRする際のポイント
インパクトが弱いと言われている「健康」をテーマにして自己PRをすることは十分可能です。健康で自己PRをする際のポイントについて確認しておきましょう。
数字などを使い、健康に具体性をもたせる
健康という概念は非常に広く、人によって評価も反応も様々です。そのため、客観的にその健康ぶりを示すような数字があるとリアリティが出ます。「大学時代に一度も休んだことがない」よりも「大学の4年間、通学日にして約1000日の間、一度も病気で休んだことがなかった」と数字を使った方が具体的にすごいと感じる自己PRになるでしょう。
「健康」を他の言葉に言い換えてみる
健康という言葉は、体や心の状態を表すものですので、それを自己PRとして使うのはやや不自然さがあります。そのため、アピールしたい「健康」を他の言葉で言い換えてみましょう。「自己管理能力」であったり、「心身の危険を察知して回避できる」「心身がタフである」「ストレスに強い」「無理が利く」「体力がある」など色々な言い方があると思います。業界の特性や企業のカラーに合わせて、響きそうな表現を考えてみましょう。
健康であることが仕事でメリットになるようにアピールする
健康であることは、仕事をする上では前提の能力になっているとも言えますので、そのままアピールするだけでは強い印象を残すことができません。自己PRを通して好感を持ってもらうためには、その健康が仕事に活かされていることがイメージできるようにアピールすることが必要です。
「健康」はサブで自己PRすると効果的
自己PRにおいて「健康」を使うことに問題があるわけではありませんが、本当に企業に対してアピールする内容として適切かはよく考えた方が良いでしょう。実際、人並み外れた健康を求める企業というのはそれほど多くありません。ただ、標準以上の健康を持っていることは企業にとってはありがたいことなのは間違いありません。
そのため、「健康」をメインではなく、サブとして自己PRに入れることもひとつの選択肢として考えてみて良いでしょう。企業受けが良さそうなアピールをし、最後に一言健康について触れるだけでも健康については十分に伝わります。健康の重要性は多くの人が理解していますから、短いフレーズでも十分に伝わるのが健康の強みです。
メインのアピールがかすむほど健康を強調するのはよくないですが、メインの内容に少しトッピングとして使うと違った印象を与えることができる便利な特徴ですので、使いどころもしっかり検討してみましょう。
「健康」で自己PRするなら健康を通して企業に価値を与えられることを伝える
自己PRでは「健康」はインパクトが弱く、就職活動におけるアピールには向いていないという意見もあります。しかし、それは企業側が決めることであり、「健康」のアピールだけではなく他のテーマでアピールしても結局は企業の好み次第です。
大事なことは、「健康」が自己PRに向いているかどうかということよりも、企業がどのような人材を求めているのか、またその求める人材像に沿って、どのように自分の持っている「健康」をアピールしていくことができるかです。自分の持っている健康という特徴が有効なアピールにならないのであれば、その企業は最初から合わない企業なのかもしれません。よく企業研究をしてみて、アピールする方向性をしっかり模索し、慎重に内容を構築していきましょう。
健康の程度や、ひたすら健康をアピールすることが大事なのではなく、どのように健康をアピールすると企業にとって魅力的なのかを考えることが大事です。健康を維持するための考えや行動習慣などアピールできるものがたくさんあるはずです。
健康だけに限りませんが、自己PRでは自分がいかにそのアピールポイントを持っているかを伝えることに固執しないように注意しましょう。伝えるべきは、「健康であること」ではなく、「健康を通して企業に価値を与えられること」です。
自己PRで「健康」をアピールするときは企業の目線で考えよう
企業が求める「健康」とは、従業員が健康であることがビジネスにプラスになることを意味しています。つまり、従業員が健康であることが、企業の生産性や業績、そしてコスト削減につながると考えられています。
そのため、自己PRで「健康」をアピールする際は、自分がどのように健康であることが、企業にとってメリットになるかをアピールすることが重要です。例えば、健康な身体と精神を維持することで、仕事に取り組む集中力やパフォーマンスが向上するということを強調することができます。また、健康な食生活や運動習慣を持つことで、病気にかかるリスクが低くなることをアピールすることもできます。
さらに、自己PRにおいては、自分自身が健康であるだけでなく、健康に関する知識や経験を持っていることをアピールすることも重要です。例えば、健康に関する書籍や記事を積極的に読んでいることや、運動指導員や栄養士の資格を持っていることをアピールすることができます。
総合的に考えると、企業が求める「健康」に焦点を当て、自己PRにおいて自分自身がどのように健康であることが、企業にとってメリットになるかをアピールすることが重要です。