自己PRでリーダーシップをどうアピールしたらいい?
就職活動をしている学生に企業が求める能力、気質として「リーダーシップ」はとても評価されています。しかし、リーダーシップを自己PRで用いる場合、どのように表すと効果的なのかを知らないと、思ったようにリーダーシップが伝わらなくなってしまいます。就活の自己PRで効果的なリーダーシップのアピールとはどんなものなのか、順を追って考えてみましょう。
リーダーシップとは「自らが率先し周囲を動かす力」
学生の多くは、「リーダーシップ」と聞くとリーダー経験の有無を考えてしまうようですが、リーダーシップとリーダー経験は必ずしも結びついているとは限りません。学生時代でも社会でも、リーダーと名前はつかないとしても、立派にリーダーシップを発揮している人はたくさんいるものです。
リーダーシップとは、「自らが率先して周囲を巻き込み動かす力」と表現することができます。いわゆる「ガキ大将」はリーダーと考える人は少ないかもしれませんが、周囲を巻き込んで遊びやイタズラの中心となっていることを考えれば、立派なリーダーだと言えるでしょう。
また、リーダーという役職が与えられていないとしても、リーダーに欠けている部分を積極的に補い、周囲と連携して支えている陰のリーダーもたくさんいます。兄弟の中で長男や長女であれば自然にリーダーシップを発揮する機会もあるでしょう。サークル活動などでは、役職者ではなくとも少人数のグループがあれば誰か自然とリーダーシップを発揮しているものです。
リーダー経験が無いという人は実はほとんどいません。大事なのは、どのような場面でどのようなリーダーシップを発揮したかであり、それを自分が長所として自信を持てているかどうかなのです。
企業でリーダーシップが求められる理由を考えてみよう
就職活動における自己PRは何を書いても良いように思うかもしれませんが、実際にはそうではありません。企業側が採用したくなるように、企業が求めている形で自由に自分をアピールすることが求められているのです。
別の言い方をすると、企業が望んでいる形でのアピールでなければ評価されないということでもあります。企業がどうしてリーダーシップのある人材を求めているのか考えておかないと、企業にとって魅力的な提案にはならないので注意する必要があります。
企業でリーダーシップが求められているのは、現在のビジネスは非常に複雑になっており、個人の能力でできることは限られているからです。同じ目標に向かって多くの人を巻き込み、成果を創出することのできる人材が求められていると言えます。
とにかくリーダーになって中心にいれば良いのではなく、「成果を創出する」ということを企業は求めていると言っても良いでしょう。そのため、自己PRでリーダーシップがあることを話すのであれば、自分がリーダーシップを発揮することで得た成果までアピールするのがコツです。
自己PRで「リーダーシップ」とそのまま言うのはNG
面接やエントリーシートの自己PRでは、「私はリーダーシップがあります」とストレートに言うのはできるだけ避けた方がベターです。その理由は、リーダーシップという言葉は定義が曖昧であり、聞く人によってイメージされるものが違っているからです。できる限り誤解や認識の齟齬がないように、リーダーシップを別の言葉で言い換えてみましょう。
たとえば「困難な状況でも最後まで仲間を励ますことができる」「目標を定め、周囲を巻き込むことができる」「周囲との連携を作り出すことができる」「人を巻き込む力がある」など、様々な言い方があります。自分のリーダーシップの特性を明確に表す言葉を考えてみることは、自分の特徴をよりハッキリ引き出すためにも大切なのです。
自己PRで「リーダーシップ」をアピールする時の例文
自己PRで「リーダーシップ」をアピールしている例文を見ながら、細かい部分を確認してみましょう。
自己PRで「リーダーシップ」をアピールする例文1
私は、どんなに辛くても最後まで目標達成に向けて考え、周囲を鼓舞することができるという特徴があります。
私は、携帯電話の販売店でアルバイトをしていました。店舗では毎月売上目標が設定されていましたが、達成されることは少なく、皆できないのが当たり前だと思っていました。目標が高すぎると皆が思っていました。
私はある時にSVの方とお話をする機会があり、目標を達成している店舗を見学することになりました。すると、自分の店舗とは違っていて、目標達成のために全員がよく考え、工夫して自ら動いている姿を見て衝撃を受けました。
私は店舗に戻ってから、仲の良い子たちから感じたことを伝え、目標達成のためにできることを少しずつ始めました。そして、成果が少しでも出れば「やればできる」と周囲にアピールしました。少しずつ、自分のようにやってくれるスタッフが増え、半年後には目標を達成することができました。今では、何もしなかった頃の売上の倍の売上が安定して出るように店舗が変わりました。
社会では常に仕事に目標があると思いますが、その目標に対して諦めず、率先して行うことで周囲を巻き込んでいけたらと思います。よろしくお願いします。
例文1は、アルバイトの経験からリーダーシップを発揮したという自己PRです。
エピソードが具体的で状況がわかりやすいですが、やや冗長に見えます。できればもう少し問題の大きさや解決すべきハードル、そして具体的にどういう行動をしたのか記述するのが良いでしょう。話の筋は具体的ですが、アピールに必要な部分の具体性が不足してもったいない内容になっています。
冒頭で「どんなに辛くても最後まで目標達成に向けて考え、周囲を鼓舞することができる」とアピールしていますが、「辛い状況」や「最後まで目標達成に向けて考えた」、「周囲を鼓舞する」という内容をエピソードから探すのがやや難しく感じます。自己PRの内容と、エピソードが対応しているかどうか必ず確認してください。例文で見ると違和感があるのですぐに気づきますが、自分で作成した場合には意外と見逃しがちですので注意しましょう。
自己PRで「リーダーシップ」をアピールする例文2
私は自分の位置を探し、その位置からチームを導くのが得意です。
大学時代はバスケ部で副キャプテンでしたが、レギュラーではありませんでした。しかし、キャプテンがコートの中を引っ張るなら、私はベンチを引っ張ろうと自分の役割を明確にし、積極的に声出しをする雰囲気を作り、交代やタイムアウトの際には出場メンバーの回復をできるだけサポートするよう、ベンチ全員の意志統一を図りました。試合になかなか出られずにふてくされてしまうメンバーもいましたが、ベンチの大切さを個別に対話して説き伏せ、一緒にベンチを盛り上げるように働きかけました。
その結果、チームは3部から2部に昇格し、2部でも上位にまでくいこむほど成長しました。監督やコーチはいつも「選手はもちろん、ベンチも含めた総合力が伸びた世代だ」と評価してくれましたし、出場している選手たちも「ベンチの支えがあるから頑張れる」と言ってくれています。
社会人になっても、バスケ部で培った精神で、自分の位置や役割を理解し、その場その場で必要とされるところにリーダーシップを発揮していきたいと思います。よろしくお願いします。
例文2は部活動の例になりますが、リーダーだからと言っても、必ずしもキャプテンでなければならないことはありません。この例では副キャプテンですが、内容を考えれば役職は問題ではないことがわかると思います。大事なのは肩書きではなく、リーダーシップを発揮したことです。
冒頭の自己PRと、エピソードの内容が対応しており、「自分の位置を探し」「チームを導く」様子が伝わってきます。「ベンチで試合に出られずふてくされている人がいる」という問題も、「個別に対話して説き伏せ」て、一体感を持てるようにまとめていったと過程がわかるようになっています。「説き伏せ」という表現は強い表現なので、強引な人だと思われないよう別の表現をした方が良いかもしれません。そして、成果としてチームの2部への昇格、上位進出という結果があり、周囲の評価も高かったという素晴らしい結果になっています。
基本的な形をしっかり守ってエピソードを作っていけば、しっかり評価されるエピソードになります。自己PRを作成したら、抜けている部分がないか必ず確認しましょう。
自己PRで「リーダーシップ」をアピールする例文3
私はリーダーシップに自信があります。
中学、高校と生徒会長を務め、校内の様々な問題について調整や解決に取り組みました。高校の時、文化祭において前年度に小さな火災が発生したことから、学校側が火を使う屋台などは禁止すると通達がありました。
しかし、生徒側の要望が強くあったため、生徒会で全校生徒の半数にあたる400人分の署名を集めて学校を説得し、消防署や保健所にお願いして事前の安全講習を運営責任者に対して行うなど再発防止のための対策を行いました。結果、文化祭は屋台が出店され、何事もなく終わり、学校の先生方からも「生徒たちの自主性に任せて良かった」と言っていただけました。
私はこうしたリーダーシップを社会に出ても発揮し、常に問題を解決するために必要な行動を考え、周囲を巻き込んで実践していきたいと思います。よろしくお願いします!
「リーダーシップがある」ことを直接表現してみたのが例文3ですが、エピソードの内容からは、問題の解決に真摯に取り組んだことがわかります。しかし、「リーダーシップの発揮」という観点からは、どのようにリーダーシップを発揮したのかがわかりにくいのではないでしょうか。
特に、生徒会長やキャプテンなどの役職があった場合、それを表記することでリーダー性が伝わると思ってしまいやすいので注意が必要です。リーダーシップを示すのは、行った行動や周囲との関わりであり、役職ではありませんので注意しましょう。この例で言えば、署名を集めたり対策を立てるために、どのように周囲を巻き込んだのかという内容が欲しいところです。
エピソードの中に見られる様々な実践は非常にポテンシャルの高さを感じさせるものですが、自己PRとしては「目的達成のために行動できる」なら問題ないですが、「リーダーシップ」と表現されると違和感があります。本当に自分が表現したいものが何か、よく考えて記述しましょう。
自己PRでリーダーシップを話す時は「独力」にならないように注意
リーダーシップを発揮するためには、必ず仲間が必要になります。仲間は職種・立場・年齢を問いませんが、共に目標を共有し、その達成に向けて頑張っているはずです。そして、そのメンバーたちと協力しながら目標の達成や問題の解決に向けて行動してこそリーダーシップを発揮したと言えるのです。
しかし、いざ過去の経験や実績を表す場合に、その成果をメンバーみんなではなくあたかも自分一人で成し遂げたような伝え方をしてしまうと、リーダーシップではなく独力での問題解決なのではないかと思われてしまいます。
自己PRでリーダーシップを表現する場合には、必ずメンバーたちの状況であったり、また一人だけでは解決することが難しい問題などを表現することを忘れないようにしましょう。
自己PRでリーダーシップを話すなら結論から入ろう
自己PRにおいては、リーダーシップをアピールするならエピソードの流れはほとんど決まってきます。奇をてらうよりも、しっかりと形を守って表現した方が伝わりやすくなります。
1.まず結論を伝える
自己PRでエピソードを書く時は、最初に自分にはリーダーシップがあることを結論として伝えます。リーダーシップという表現よりも、自分の特性をうまく表す言葉を考えてみましょう。
2.問題解決型のエピソードを用意する
就職活動における自己PRのエピソードは、できるだけビジネスでの活躍が浮かびやすい問題解決型のエピソードが好まれます。特にリーダーシップを発揮したという話では、それがどのように問題解決につながって成果を生み出すのか企業の採用担当者たちも注目しています。
問題解決型のエピソードでは、「解決すべき問題」と「解決にあたってのハードル」、「解決のためにどのような行動をしたか」、「成果」が示されていると活躍の様子がしっかり伝わります。
3.企業に入ってからのビジョンを添える
自己PRのまとめとして、自分のリーダーシップを活かし、企業の中でどのように活躍したいのかを明確に伝えましょう。社会人になって活躍しているイメージが湧けば、それだけ採用する側も評価してくれます。
自己PRでリーダーシップを採り上げる時は周囲との関わりを忘れないで
自己PRでリーダーシップをアピールするには、自分自身の成果や経験だけではなく、周囲の人々との関わり方や協力関係の構築にも着目することが重要です。リーダーシップを発揮する中で、周囲の人々がどのような役割を果たしたかを明確にし、共に目標を達成するための努力をアピールすることで、自己PRに説得力を持たせることができます。
また、リーダーシップにおいてはコミュニケーションや協力関係の重要性が高いため、その点もアピールすることが大切です。周囲の人々との円滑なコミュニケーションや、信頼関係を築くことで、共に目標を達成する力を引き出すことができます。自己PRでリーダーシップをアピールする際には、自分自身だけでなく周囲との関わり方や協力関係にも着目し、具体的な事例を交えてアピールするようにしましょう。