自己PRで適応力をアピールする時は具体化して表現するべし
自己PRで適応力をアピールすることにした場合、ただ適応力があることを語るだけでは不十分なアピールとなります。適応力があることよりも、適応が必要な場面やどのような適応をしたのかを具体的に表現することが大切です。
就活の自己PRで有効な「適応力」のアピールはどうしたらいい?
就職活動を行う学生が困ることが多いのが、エントリーシートや面接で求められる自己PRです。自己分析を行うことで、自分のことをより深く知ることができたとしても、それをうまくアピールにまで結びつけるのは多くの就活生にとっては初めての経験かもしれません。
最近、自己PRのひとつとして注目されているのが「適応力」です。企業にとって、今後適応力を備えた人材は非常に有用であるだけに、このアピールは有効になります。しかし、「適応力」と一言でいっても曖昧なもので、伝え方によっては良いアピールにはなりません。どのようなアピールをすると適応力が活きてくるのか、その方法について考えてみましょう。
「適応力」で自己PRするなら伝えたいことを考えてみよう
「適応力」というのは当然「適応する力」のことを言いますが、その意味しているものはそれぞれに違いがある曖昧な言葉でもあります。たとえば、新しい環境に適応する力があると言っても、それは職場の雰囲気や人間関係に馴染むことができるのかもしれませし、新生活でも生活のリズムをすぐに作ることができるのかもしれません。また、新しいルールを吸収するのが早いのかもしれません。
いずれも「適応力」であることには違いないものの、どのような適応力を有しているのか、自己PRする時はそれを明確に他の言葉で言い換えてみてください。自己分析をしていても、曖昧な分析結果をもって自己PRを作ってしまうと、曖昧な内容に終わってしまいがちなのです。
明確で具体的なアピールポイントをもっていてこそ、自己PR全体も具体的で尖ったものになりますから、まずは適応力の内容についてより具体的に言い換えてみることから始めましょう。
企業が求める「適応力」とは?
今、企業は適応力のある人材を高く評価するようになっています。これは、日本の昔からの労働慣行が終わりを迎えていて、社内で様々な制度の変更が行われている企業が多いことや、今後は多様な人材がテレワークなどを筆頭に多様な働き方をするようになるため、新しい仕事の仕方を模索していく時期にもなります。そういった環境下では、目まぐるしく変わる様々な状況に適応することのできる人材は、安定したパフォーマンスを発揮できると期待されるのです。
ですから、企業にとって嬉しい適応力というのは、「ルールや環境の変化があってもパフォーマンスが大きく変わらない」という意味での適応力です。
また、合わせて「突発的な事態に対して適切な判断や行動ができる」という対応力も好まれる適応力です。近年は自然災害などに代表される突然の問題や、サイバー攻撃、SNSなどでの炎上など、突発的に企業の事業継続性を損なう出来事がありますので緊急時に強い人材は頼りになります。
「何を任せてもそれなりにできる」というのも適応力の成せる業ですが、今はより専門特化した仕事の方が好まれる傾向があり、こうした種類の適応力はあまり良いアピールにならないこともありますので気をつけましょう。
「適応力」を自己PRで使った例文
「適応力」をテーマにした4つの自己PRの例文を見ながら、その印象などを考えてみましょう。
「適応力」をアピールする自己PR例文1
私の長所は適応力にあると思っています。
私は学生時代を通して東南アジア各国を旅してきました。訪問した国の数は10に及び、同じアジアでも日本とは違い、大陸では多くの人が常に出入りし、そして混在した文化があることが感じられました。タイやカンボジアなどでは日本人には考えられないほど時間にルーズですが、それで怒る人はあまりいません。急かすとむしろ怒られるくらいです。また大声で話す中華圏の人たちをやかましく思っていましたが、話してみると対話が楽しいことを示すために大声になるのだそうです。
貴社では、多くの国籍を持つ方が一緒に働いているという話をお伺いしました。今後は日本人や外国人という区別なく、グローバルな人材を抱えることができる企業が成功するという話も聞きます。グローバルに対応できる社員になれるよう、常に相手のバックグラウンドに理解を示しながら頑張りたいです。よろしくお願いします。
適応力をアピールした自己PRの例文ですが、ここでは旅によって得られた知見から、相手のバックグラウンドに理解を示せるというアピールをしています。
ただ、もう少し適応力について明確に示すようなエピソードが欲しいところです。ここでのエピソードは、体験談ではありますが、情報に近い性質を持っていて、本当に適応力が当人にあるのかがあまり伝わりません。結びの分でも、「グローバルに対応できる社員」の内容が不明瞭で、今ひとつ曖昧なアピールに終始しているように感じられます。
具体性のある適応力の中身を考え、アピールの軸に据えるとスッキリするのではないでしょうか。
「適応力」をアピールする自己PR例文2
私は即時のコミュニケーションに自信があります。
演劇部に所属していて、稽古の中で即興劇をよく行っていました。役作りにも有効ですし、相手の様子や考えを瞬時に読み取って反応をする能力が磨かれるため、社会でも役立つ能力だと感じています。
居酒屋でアルバイトをしていましたが、酔った客への対応や、一緒に働くスタッフたちとのコミュニケーションでもこの適応力が活かされました。相手の雰囲気に合わせて友人のように気さくに接したり、ビジネスライクな雰囲気を出したりと様々な対応を行うことで、自然なやり取りの中から多くの注文を受けることができると店長にも評価をいただきました。
社会ではアルバイト以上にコミュニケーションが重要になりますし、その場で考えて反応することも必要になると思います。相手の気持ちを害さず、盛り上げるような当意即妙なコミュニケーションで貴社に貢献できたらと思います。
適応力には色々ありますが、ここでは「即時のコミュニケーション」という言い方をしています。どのような状況なのかを素早く読み取り、その場に合った対応をするという特徴を有していることがわかります。
エピソードも即興劇やアルバイトの経験など豊富で、その場での対応力に期待が持てそうな印象を与えてくれます。面接ならその実力がその場でわかるでしょうし、営業などの顧客折衝が多い部署では非常に有望な人材だと評価されるのではないでしょうか。
「適応力」をアピールする自己PR例文3
私は誰とでも良い人間関係を作ることができるのが長所です。
私は子供の頃から親の仕事の都合で転校することが多く、2~3年では友達を1から作り直すということをしなくてはなりませんでした。しかし、だからこそ短い期間でも人の輪の中に入ることを意識し、身につけていけました。大学では志望大学に2浪して入ったため、周囲の雰囲気に馴染めないかと心配しましたが、一年発起して積極的に年下の輪の中に入り込んで年齢差を意識させないようにすることで多くの同級生の友人を作り、またサークル活動では同い歳の先輩たちと非常に仲良くなることができました。
私は多くの人の中で揉まれたからこそ、今のコミュニケーション能力があると思います。社会ではより多くの人、広い範囲の年代の方と接するので、その中で一層コミュニケーション能力に磨きをかけ、営業能力に変えていきたいと思います。よろしくお願いします。
適応力の中でも、コミュニケーション能力と言い換えられる能力は特に企業側が貴重に思う力のひとつです。エピソードからは、積極的に自分から輪に入り、人間関係を作っていく様子が伺えます。また、学生という狭い範囲ではありますが、年齢差を苦にしない様子も伺えます。
このエピソードのように、適応力のアピールにおいては自身の置かれた環境をしっかりと表現することが大事です。その環境の厳しさ、難しさが、自然に適応力の高さをイメージさせてくれるからです。
「適応力」をアピールする自己PR例文4
私のウリは適応力にあると思っています。
私は都内の大学の3年次に、地元の工専学校から編入して入ってきました。そのため、環境も違い、人間関係もほぼない中で、短期間で単位を揃える必要がある状況でした。最初はそれが強いストレスにもなっていました。
しかし、待っているだけではダメだと思い、自らあらゆることに積極的に関わるようにしました。アルバイトを始め、サークルに入り、学校でも授業で隣になった人には理由を作って話しかけ、少しずつ友人を増やしていきました。人間関係が増えるほどに誘いの声も増え、忙しくもなりましたが、助けの手も増えましたので、学校の単位取得や就活準備も周囲の協力をうまく得られて順調に進みました。
私にとって適応力は才能のようなものではなく、適応しようと努力する力です。貴社に入社しても難しいことが最初は多いと思いますが、難しいと引いてしまわず、自ら積極的に適応する努力をしていきたいです。よろしくお願いします。
適応力を前面に押し出したアピールになっていますが、編入という難しい立場から、多くの助けを得られるようになるまで努力したことがよくわかります。単位取得が必要なところでしたが、学校だけにならず、アルバイトやサークルを始めて忙しくしたというのも適応に対するモチベーションの高さゆえにできたことでしょう。
最後に自身の適応力への考えを述べていますが、経験に基づくものとして説得力がありますし、結びの内容にも説得力を持たせるものになっています。採用側からも高く評価されるのではないでしょうか。
「適応力」はデメリットに見える場合もあるので使い方に工夫が必要
適応力という言葉はポジティブな見方をする人が多いですが、デメリットとして見られてしまうこともあります。
特に、人間関係において適応力があるという人の場合、自分の意志や考えよりも周囲に合わせてしまう傾向があるため、イエスマンになってしまう可能性があります。また、本当に適応しているなら良いのですが、ただ合わせているだけの場合、その過程でストレスを溜め込んでしまっている可能性もあり、パフォーマンスに影響が出る場合もあります。
適応力があるという場合には、しっかりと自分の芯があることも見せるようにして、デメリットを想像させないように工夫することも時には必要です。
自己PRで「適応力」をアピールする際のポイント
「適応力」は上手にアピールすると必ず企業の心に響きます。自己PRで「適応力」をアピールする際のポイントについて確認しましょう。
どのような適応力かわかるように表現する
適応力をアピールしたいとしても、必ずしも適応力という言葉を使う必要があるわけではありません。より適切で具体性のある表現が良い場合もありますので、適応力という単語には縛られず、幅広く表現を考えてみましょう。具体性とインパクトの両面から考えてみると良いです。
適応力が仕事で活用されるイメージを提案する自己PRにする
適応力があるだけでは企業にとって魅力的なアピールになりません。より具体的に企業で活躍しているイメージをもってもらうためにも、適応力を活かしてどのように仕事に取り組みたいのか提案することも大事なアピールです。
適応力を語る話の流れをしっかり意識する
自己PRでは、最初に結論、そして続くエピソード、そして最後に決意表明という形で続けるのが基本的な流れになります。結論は「適応力がある」などのアピール内容、そしてエピソードは結論を裏付けるようなもの、決意表明は就職後にどのように特徴を活かして頑張りたいかという内容になります。
「適応力」は「成長力」「吸収力」だと考えている企業は多い
企業側にとって適応力は嬉しい能力だと言えるのですが、最近は適応力を「成長力」「吸収力」として考える企業が多くなっています。つまり、ただ単純にその場に適応してしまうだけでなく、そこで適応する中で多くを吸収して自分のものにしてしまえる力だと考える企業が増えているのです。
昔よりも今は、ビジネスにおけるノウハウが多くなっていますし、仕事で使うツールひとつにしても昔とはまるで性能が違います。そのため、環境が変わる中で得られる知見や技術は非常に多いのです。しかし、それらを吸収して自分のものにできるかは、その適応力にかかっているのです。
適応力がない人材は、自分の知識や考えにとどまってしまい、環境が変わると成果を上げることができません。適応力のある人材は、環境を移っていくごとに新しいものを身に着け、また今まで身に着けてきたものによって周囲のパフォーマンスも引き上げてくれます。もし該当するような適応力を持っているのであれば、自信をもってアピールしてみると良いでしょう。
適応力を効果的に自己PRするには具体性を出そう
適応力を効果的に自己PRするには、具体性を出すことが重要です。適応力とは、新しい環境や状況に対して柔軟に対応する能力であり、求人採用側が求めるスキルの一つとして注目されています。そのため、自己PRの際には、具体的な経験や実績を示すことで、適応力を証明することが求められます。
例えば、「前職で新しいプロジェクトを担当した際に、初めての業界でしたが、自分自身で学びながらプロジェクトを進め、最終的に成功に導くことができました。その過程で、新しい環境に適応する能力が身についたと感じています。また、留学経験を通じて、異文化にも柔軟に対応することができるようになりました。これらの経験から、新しい環境や状況に適応する能力があることを自負しています」というように、具体的な事例を挙げて表現することで、自分の適応力をアピールすることができます。
具体性を出すことにより、自分自身がどのような状況に対応したのかを相手に伝えることができます。そのため、求人採用側にとっても、自分自身がどのような能力を持っているのかを確認しやすくなります。