自己PRの資格アピールは取得だけで満足していないことを示そう
自己PRで資格をアピールするなら、資格を所有していることを中心にしてはいけません。企業は応募者の人柄を知りたいと思っていますが、資格は能力や知識を表しても人柄は表してくれないからです。自己PRにおける資格アピールのコツを紹介します。
就活の自己PRにおいて有効な資格のアピールとは
就職活動では、自分にしかない他者との差別化ポイントとして資格を取得する学生も多くなっています。自己PRでも資格を武器にしたいという人も多く見られるようになってきました。しかし、就職活動においては資格のアピールは有効という声もあれば無意味という声もあります。これはどちらも正解で、有効な資格のアピール方法を知っていてこそ効果的です。就活の自己PRで使える資格のアピール方法について考えてみましょう。
苦労して取得した資格が自己PRで評価されないのはどうして?
どんな資格でも、簡単に楽に取れるものはありません。資格を取得するためにはそれだけのエネルギーと時間を注ぎ込む必要があることは間違いありません。そして、その資格を取得することができた実力は誰もが認めるものであるはずです。
しかし、それでも就活では評価されないことがあります。それはどうしてなのかというと、資格の種類に問題があると言うよりも、アピールの方法が間違っているからです。
就職活動における自己PRは、何でも自由にアピールして良いように思われがちですが、あくまで就職活動ですから、企業の募集要項に合わせてアピールする必要があります。企業の募集要項とは、募集要項として載っているものだけでなく、「企業が求める人材像」もそのひとつと考えることができます。企業が求めていない資格取得をいくらアピールしても評価されないのは、そもそも求められていないからに他なりません。
資格は知識やスキルがあることを客観的に示すものですが、それは必ずしも実務と結びついているとは限りません。中途ならキャリアがありますので資格も実務能力を期待させてくれますが、新卒の場合はキャリアが無いため、資格と実務能力が結びつかないという点も評価にならない理由です。新卒では人格や人柄、熱意などが主に評価されますので、資格そのものよりも資格取得に至った過程をアピールする方が効果的です。
自己PRで使える資格とはどんなもの?
就職活動の自己PRでは、資格の種類によって評価されることはあまりありません。ただし、一部の取得が困難な資格や業務に直接的に関連しそうな資格を持っていると、担当者から一目置かれることはあります。
資格の種類で評価されることはありませんが、あえて資格をアピールすることで評価が下がる場合もあります。たとえば、英検3級(中学卒業レベル)の取得を一生懸命頑張ったというアピールはかえって英語能力に不安を感じさせますし、普通自動車免許の取得をアピールされても珍しい資格ではないために「他に何かなかったのか」と思わせてしまいます。
就活の採用担当者や面接官をする人は、評価をする上での大まかな方針や採点基準がある場合も少なくないですが、その中に資格に関して問うものはまずありません。そういう意味で、特別に就活に「役に立つ資格、役に立たない資格」はありません。もしも資格で加点や減点があっても微々たるものですので、自己PRでは資格の種類が合否に大きく影響することは無いと考えて大丈夫です。
自己PRで資格をアピールする例文
自己PRで資格をアピールする例文を見てみましょう。
自己PRで資格をアピールする例文1
私は学生時代に、TOEICで920点を取りました。この時に培った継続力や計画力が私の最大のストロングポイントだと思っています。
私は高校の時、英語が苦手科目でした。大学に入り、最初にクラスの振分けのためのTOEICを受験したのですが、490点で、周囲の友人たちと大きく差があり、恥ずかしい思いをしました。そこで一念発起し、大学時代はTOEICの点数を上げて英語に自信を持ちたいと思って過ごしてきました。
毎日2時間の英語の勉強をすること、英会話学校に通うことを行い、毎年一回受験すると决めて挑戦しながら600点、780点と得点を伸ばし、ついに前回920点にまでアップしました。今では英語を学ぶのも楽しく、苦手意識もありません。海外に旅行に行った時も会話で困ることはほぼありませんでした。
私はこの過程を通して、努力の大切さを学びました。社会人になれば新たに覚えることも多いと思いますが、資格取得で鍛えた継続力や計画力を活かして努力し、多くのことを吸収して貴社に貢献したいです。よろしくお願いします。
例文1は、資格について触れた自己PRです。
冒頭はTOEICの点数をアピールしていますが、自己PR内容としては「資格取得で培った継続力や計画力」となっています。エピソードの中で、資格取得前の状況を出すことで努力したことがわかりますし、具体的な方法論や得点の上がってきた様子から継続性や計画性が伺えます。
最後に示された社会で活躍するビジョンも、非常に説得力のある内容にまとまっています。この部分はもちろん、英語を使って活躍している様子でも十分なアピールになるでしょう。意識の高さが伺える内容です。
自己PRで資格をアピールする例文2
私は野菜ソムリエの資格を持っています。
私は料理が大好きで、趣味でクッキングスクールに通ったり、様々な料理本を読んでは新しい料理にチャレンジし、友人たちに振る舞ったりしていました。ある時に食に関する資格がたくさんあることを知り、食についてもっと知りたいという気持ちから野菜ソムリエの勉強を始めました。学習自体は好きな分野でしたので苦労はしませんでしたが、調理や目利きについて発見が多くあり、生活の中で非常に役立っています。
貴社に入社したら、この野菜ソムリエの資格を用いて活躍できたらと考えています。食に関わることなら苦労を厭わず頑張れる性格です。どうぞよろしくお願いします。
資格をアピールする自己PRでは、この例のように資格を持っていることが中心になってしまうとなかなか印象の良いアピールは難しくなります。特に、業務との関連性が低い資格をアピールしてしまうと、仕事でのビジョンも見えにくくなります。
このエピソードからは料理、食に対する意識の高さは見えますが、「野菜ソムリエの資格を用いて」どういった活躍を考えているのかが不明瞭です。業界や業種によっては全く使えない可能性もあり、とってつけたようなアピールにも見えてしまいます。
資格取得に至った動機や、学習によって発見したことを深く掘り下げると、また別のアピールができるかもしれません。資格取得の前後をもっとよく考えてみて、人柄が見えるアプローチを考えてみましょう。
自己PRで資格をアピールする例文3
私は宅地建物取引士の資格を持っています。資格を勉強したことで、多角的な見方ができるようになったのが私の強みです。
実家が不動産業をしており、将来は継ぐ可能性があることから宅建士の資格を取っておきたいと思い勉強を始めました。合格率は毎年15%前後の国家資格なので難しかったのですが、3度目のチャレンジで去年やっと取得することができました。建築物や土地に対する見方はもちろん、財産として見た不動産や、法律のことなどを幅広く知ったことで、物事の見方が大きく変わりました。
貴社の業務において直接的に資格が活かされる場面は少ないかと存じますが、それでも学習を通して身についた様々な視点はビジネスチャンスの発見や顧客ニーズの発見などに活用できると考えています。業務外ですが、従業員の皆様のお家探しなどでは必ずやお役に立てるかと思います。宜しくお願いいたします!
宅建士の資格に関してのアピールとなっていますが、この例では「多角的な見方ができる」という自己PRになっています。宅建士そのものは難易度の高い資格で、業務には直接関係ないとしてもその資格をアピールすることで能力の高さや学習意欲が伺えます。
エピソードの内容からも、資格取得が大変だったことがわかるのですが、具体的にどのような努力をしたのか、またどういう過程を経て合格に至ったのかに物足りなさを感じます。また、どのように見方が変わったのかもう少し具体性が欲しいところです。
最後の「従業員の皆様のお家探しなどではお役に立てる」という下りは就活における自己PRとしては無くても良いものですが、ユーモアを感じさせ、印象に残る可能性は高いでしょう。仕事に直結していないとしても、使い道が無いか考えてみると面白いでしょう。
就職活動の自己PRで資格をアピールする際のポイント
資格を自己PRするときは、ちょっとしたコツを意識すると伝わりやすくなります。自己PRで資格をアピールする際に押さえておくべきポイントを紹介します。
資格そのものをアピールしない
就職活動の自己PRでは、資格そのものをアピールしてもあまり評価になりません。印象に残ることはあっても、評価になることはありませんし、資格の意義や大切さはインターネットで検索するならすぐにわかります。しかし、企業の人事や採用の担当者が知りたいのは「応募者がどんな人か」ということです。資格は人柄を表してはくれませんので、資格そのものをアピールすべきではありません。
資格を取得する前後が重要
就活における資格のアピールは、資格を取得する前後が重要です。資格を取得する前というのは、「どんな動機で資格取得に挑戦することにしたのか」であり、「資格取得のための学習でどんな問題があり、どのように解決したのか」という内容です。資格を取得した後というのは、「その資格がどのように役立っているのか」「資格取得が生活や考え方に与えた影響は何か」という面です。こうした部分が充実しているほど、応募者の人柄なども見えやすいので、資格を取得する前後が重要なのです。
「わかってくれるだろう」と思わない
自分にとっては当然知っているような資格だとしても、相手が必ずその資格について知識があるとは限りません。簿記やTOEICのようなメジャーな資格でなければ、一言でも良いので解説を加えると良いでしょう。特に難しい資格であれば、その難易度が前提になってエピソードが展開されるでしょうから、「わかってくれるだろう」と思わずにきちんと説明しておくべきです。
資格のアピールは取得における時期に注意が必要
資格をアピールする際には、資格取得のために努力した時期にも注意が必要です。
たとえば、「半年前に簿記2級を取得することができました」という内容があった場合、「残りの期間は何をしていたのか?」という疑問を与えてしまうことがあります。資格はあくまで目的達成のために取得するものであり、資格取得そのものが目的ではないですから、その資格をどのように用いているのかまで伝えるようにしましょう。
「半年前に簿記2級を取得することができました。学習したことを活かし、サークルの貸借対照表や損益計算書を作ってみたのですが、年度ごとにサークルが拡大している様子が会計上もよくわかり、また来年以降の計画も立てやすくなったとメンバーにとても喜ばれました」など、その資格を活かして生活している様子があると良いでしょう。
また、新たな資格に挑戦しているといった内容も可ですし、資格取得はまだでもそのために学習を続けているという内容でアピールしても構いません。大切なのは、資格を取得したことで満足していないという向上心を示すことです。
資格を自己PRするときの書き方の基本
資格を有効にアピールするには構成にも気を配りたいところです。自己PRの書き方は基本の型が決まっていますので、その型に沿って書いていきましょう。
結論を先にする
自己PRに限らず、ビジネスシーンでは質問や設問に対する回答は必ず結論を先にします。たくさん話した後に「私はこういう人です」と伝えるのではなく、「私はこういう人です」と結論を伝えてから具体的なエピソードを伝えます。
エピソードは具体的に表現する
エピソードでは具体的な表現を心がけましょう。「かなりの時間を勉強に割きました」よりも「毎日8時間を資格の勉強に割きました」の方がその努力が伝わってきます。資格の説明も「難しい資格と言われていますが」ではなく「合格率は受験者の15%程度という狭き門です」という表現の方が難しさが伺えて、その努力や能力も高く評価されるでしょう。
ビジネスで活かせるビジョンを語る
自己PRの最後には、自分の特徴を活かしてビジネスの世界で活躍しているビジョンを語りましょう。この時注意したいのが、「資格によって働いているビジョン」ではなく、「資格取得を通して得たものを通して活躍しているビジョンをアピールする」ことです。
自己PRにおける資格は所有ではなく取得の前後を武器にしよう
自己PRにおいて、自分が持っている資格をアピールすることは大切な要素の一つです。しかし、単に資格を取得したことをアピールするだけでは、他の人との差別化が図れず、印象に残りにくいかもしれません。そのため、資格を取得しただけではなく、実際にその資格をどのように活用しているかをアピールすることが必要です。
具体的には、資格に関連するプロジェクトや実績を紹介したり、資格取得によって身についたスキルや知識を活かしてどのような成果を出したかを示すことが重要です。さらに、資格を取得しただけでなく、それを継続的に学び続け、スキルアップを図っていることをアピールすることも効果的です。
このように、自分が持っている資格に関連する実績やスキルをアピールすることで、単に資格を取得しただけではなく、実際に活用し、成果を出せる人材であることをアピールすることができます。そして、そのような人材であることが、企業や組織にとって有益であることを示すことができます。