インターンシップ経験は自己PRに使える!
学生が企業の仕事を一時的に体験することができるインターンシップは、今や就活に欠かせないものとなりつつあります。建前上、インターンシップは企業の採用活動とは切り離されたものとなっていますが、能力ある学生を引きつけたり、接点を作るキッカケとしても利用されますし、また学生側にとっては業界研究の傍ら、自分を企業にアピールするチャンスともなっています。
そのため、インターンシップを受けることが就職活動の一環のようになっているのですが、インターンシップが就活で強みになるのはそういった理由ではありません。インターンが本当に就活で強みになるのは、その体験をうまくアピールしてこそであり、その経験を通して社会人としての姿をイメージさせやすいからなのです。ここでは、インターンシップの経験をうまく使った自己PRについて考えてみましょう。
インターンシップの経験を自己PRに使う際のポイント
就職活動の面接やエントリーシートの定番項目となっている自己PRですが、これにインターンシップの経験を効果的に盛り込むためにはいくつかのポイントがあります。
1 最初に結論を書く
これはインターン経験を書く時に限りませんが、ビジネスの世界では最初に結論を提示します。自己PRのポイントとインターンのエピソードに矛盾が無いようにすること、そしてインターンのことを強調しようとしすぎて自己PRがぼやけないように注意してください。
2 インターンの経験を強調しすぎない
インターンシップを受けた就活生にありがちなのが、「インターンを受けた」ことや「良い企業のインターンを経験した」という経験自慢です。自己PRの内容がインターン自慢になるのは、学歴自慢と同じく就活のアピールポイントにはなりません。自己PRでは、自分に関することをアピールしましょう。
3 働いている姿がイメージできるように描写する
「業務の中で学生相手のセミナー企画を担当しました」というような内容だけでは、何をしたのか具体的にわかりません。より具体的な業務に関する描写があることで、採用側もあなたが働いている姿をイメージし、そこからの経験や感じたことに共感が持てるようになります。
4 成長や成果ではなく努力や姿勢をアピールする
インターンでの経験を自己PRに用いる人にありがちなのが、「~の仕事を経験しました。(中略)成長する機会になったと思います」もしくは「~という結果を残しました」というような内容です。「スキルが身についた」という内容も同様ですが、これは日記のようなもので採用側からは「良かったね」としか反応のしようがありません。
インターンを自己PRで使える強みは「ビジネスの現場での努力や姿勢がイメージしやすい」ことですから、何を考え、どのような行動をしたのかを強調しましょう。
5 企業の求める人材像であることを自己PRする
どの企業が相手でも、同じように自己PRするのは考え物です。自己PRできるポイントは一つではないはずですから、可能な限り企業の求める人材像に近いことをアピールするようポイントを検討してみましょう。
インターンの経験をもとに自己PRを作ろうとするのではなく、自己PRの内容をまずしっかり考え、適切であればインターンシップの業務経験をもとにエピソードを展開するのが正しい順番です。
インターンシップ経験を使った自己PRの例文
インターンシップ経験を自己PRで使った場合の例文をご紹介します。自己PR文作りに詰まっている方は、ぜひ参考にしてみてください。
コンサルティング会社のインターンシップ経験を使った自己PR例文
私の強みは、論理的な思考力にあります。
先日参加したコンサルティング会社のインターンシップで、カーシェアリングに関する新規事業計画を作成するグループワークを行いました。
カーシェアリングにおいて適正台数の問題がありますが、適切な台数や車種の判断基準について誰も知らなかったため議論が紛糾しました。
私は近隣の一定面積あたりの人口や戸数、駐車車両数を元にして算出するアイデアを提案し、事業の肝として採用されました。人口と戸数を比較するとファミリーが多いのか一人暮らしが多いのかわかりますし、また駐車車両数を自動車の普及が進んだ地域と比較することで潜在ニーズがつかめると考えたからです。また、基準を設定することで新規の進出の可否の検討もできます。丁寧に説明したこともあり、論理的でわかりやすいと担当スタッフの方にも評価をいただけました。
Web制作会社でのインターンシップ経験を使った自己PR例文
私は根気強く最後まで物事に取り組みます。
先日、Web制作会社でのインターンシップに参加しましたが、与えられた仕事がSNSの担当者としてフォロワーを2週間で1000人にすることでした。
企業のスタッフから最低限のノウハウは教えていただけましたが、1週間を経過したところで、200人から数字が伸びずに苦しみました。
そこで私は、流れてくる情報に対して返信したり、シェアしたりということを地道に行うことにしました。流れてくる情報のひとつひとつに目を通すのは予想以上に大変でしたが、アカウントのキャラクターを損なわないよう注意しつつ日々何百件もの返信や共有を行いました。最後の二日はほぼ徹夜で1000件以上のメッセージに目を通し反応したと思います。結果、フォロワーが増やして目標を達成することができました。
自動車販売業でのインターンシップ経験を使った自己PR例文
私はコミュニケーション力に自信を持っています。インターンで自動車販売をすることになったのですが、私は車に全く関心が無いため、商品知識はほとんどありませんでした。
そのため、商品紹介は社員に任せ、お客様の話を聞きながら共感し、購入への気持ちを盛り上げることに徹しました。その方針を社員の方に伝えた際、「面白いから協力しよう。いつでも呼べ」と言ってもらえ、結果3週間のインターンの期間で2台の成約を得ることができました。
よくあるインターンシップ経験の自己PR失敗例
せっかくのインターンの経験が上手く伝えられていない自己PRの失敗例についてもチェックしていきましょう。
学習塾でのインターンシップを使った自己PR失敗例
私は提案力があります。学習塾のインターンで、高校生の進路相談の仕事を経験した際に、希望する大学への偏差値が高く、厳しい状況の子がいました。私はその子の過去の成績や進路に関する希望から、よりふさわしいと考えられる大学を提案したところ、第一志望をその大学に変更するようになりました。
その他にも多くの学生の進路決定に携わり、助言を行い、感謝してもらえました。
この場合の提案は、本当にその学生にとって良い提案だったのか疑問が残ります。提案力を「問題を解決する提案をする力」ではなく、「提案を受け入れさせる力」と誤認していると思われる可能性があります。
居酒屋チェーン店でのインターンシップを使った自己PR失敗例
私は元気が取り柄です。居酒屋チェーン店のインターンシップで、売上アップのためのグループワークを行いました。私はグループワークの中でも積極的に意見を言い、また率先して周囲の意見に対して反応をすることで議論を盛り上げることに貢献しました。私のグループは和気あいあいとしていて、非常に良い雰囲気でグループワークを進め、その施策も実際に店舗で行ってもらえるようになりました。
こちらはPRのポイントがうまく伝わってこない内容になっています。こうしたことは意外に多いため、一度作成しても、その後必ず時間をおいてから見直すようにしてください。
金融機関でのインターンシップを使った自己PR失敗例
私は誰とでもすぐに仲良くなることができます。金融機関のインターンシップの中で、銀行の役割を地域の小学生に伝えるというお仕事をいただきました。実際に小学校を訪問し、社会科の授業時間に銀行のはたらきについて紹介しました。小学生たちは反応もよく、授業も盛り上がりました。
休み時間になると、子どもたちが声をかけに来てくれて「面白かった」と言ってくれました。教育をするという機会を通して私自身も銀行の役割を再認識し、成長する機会とできたことがとても良かったです。
子供とうまくコミュニケーションができたことは評価できますが、「誰とでも」かはわかりません。また、「成長できて良かった」という内容はレポートなら良いのですが、就活のアピールとしては不適切です。
インターンシップを受けることで選考は有利になるのか
インターン選考と普通の企業における採用選考は基本的に違うものです。また、短期のインターンシップと長期のインターンシップで選考に差が出ることもありません。
インターンを採用選考のひとつと考えている就活生も多いのですが、厳密にはそうではありません。ただし、当該企業のインターンを受けている場合、インターンの選考時に同様の試験などを実施した経緯から筆記試験などの一部試験を免除されることはあります。また、志望動機として「インターンに参加して良い印象をもった」という内容は間違いなく良い印象を与えるでしょう。
インターン経験は就活に有利に働くことも多いですが、インターンに参加し、良い成果を残したからといって本選考で先に進めるとは限りません。採用試験については、一回一回が真剣勝負であることを肝に銘じておきましょう。
インターンシップに参加したこと自体を自己PRで強調しすぎない
インターンシップに参加したことは、自己PRにおいて重要な要素の一つであることは確かです。しかし、インターンシップに参加したこと自体を強調しすぎることは好ましくありません。
自己PRは、自分自身の強みや経験、スキルなどをアピールすることが目的です。インターンシップに参加したことを自己PRで強調する場合、単に「私はインターンシップに参加したことがあります」と言うだけでは、他の候補者と差別化することができません。
代わりに、自己PRで重要なのは、自分がインターンシップで何を学び、どのようなスキルや経験を得たかを具体的に説明することです。例えば、「私はインターンシップでプロジェクトをリードし、チームを統括するスキルを身に付けました」といったように、具体的な成果や経験を挙げることで、自己PRをより効果的に訴求することができます。
また、インターンシップに参加したことを強調する際には、自分の他の経験やスキルも忘れずにアピールすることが重要です。インターンシップに参加したことは素晴らしい経験ですが、それ以外にも自分にとって重要な経験やスキルがある場合は、それらも自己PRでアピールすることが大切です。
したがって、インターンシップに参加したこと自体は重要な経験であることは間違いありませんが、それだけでなく、具体的な成果やスキルを示すことが自己PRの効果的な作成には必要不可欠です。