職業訓練の面接で聞かれる質問と答え方・当日の服装は?
職業訓練を受ける前には面接や筆記試験などの採用選考があるのが普通です。一般的な就職活動の面接と比べると単純ですが、競争率が高いことや独特のルールがあるので事前対策が大切です。定番の質問に対する回答例やポイントをよく理解しておきましょう。
職業訓練の面接で成功するためのポイントとは?
再就職を考えている人の中には職業訓練を受講したいと考えている人も多いです。この職業訓練は、国の援助の元で失業給付を受けつつスキルを身に着けるための訓練を受けることができる制度で、多くのメリットがあります。
しかし、それだけに競争率も高くなっており、希望者の全てがこの職業訓練を受けることができるとは限らない状況となっています。そのため、各地域で希望者を面接や試験によって選考しています。
ここでは、普通の就職活動とはまた違った特性を持つ職業訓練の面接をクリアするために、どのようなポイントに注意をするべきかを詳しくまとめていきます。
職業訓練の面接時間は5~20分と短め
職業訓練における面接時間は5~20分と短めになっていることが特徴です。これは希望者が多いということが最大の理由となります。筆記試験は地域によって有無が分かれ、基本的には面接を重視して合格者を決定することになっているため、面接は短いながらもしっかり行われるということをよく意識しておいてください。
ほとんどの場合、質問される項目などはあらかじめ決まっています。それに対して、要領を得た回答ができるか否か、そういった部分が見られていますから、入念な事前準備をして臨むことが大切です。
また、面接時間そのものはそれほど長くはないですが、それは別の視点から言えば、思っているよりも自分の順番はすぐに回ってくるということです。面接の前の待合時間になっていろいろと焦らないように、トイレや身だしなみのチェック、必要事項や回答例の確認などは早めに行っておくことをおすすめします。
職業訓練の面接側は何を見ているかを考えよう
職業訓練で面接をする側は、あなたが「今後就職できるか」を見ています。ですから、社会人としてのマナーや常識に不安を感じさせるような言動をしないことが大切です。
そして、面接をする側にとって、職業訓練のゴールは「あなたのスキルアップ」ではなく「就職」です。ですから、「就職するんだ」という姿勢を第一にアピールしながら語るべきであり、「スキルアップできたら就職する」という姿勢ではいけません。就職したいという気持ちが伝わるように準備をしていきましょう。
また、面接官は「職業訓練が必要な人か」という点もチェックしています。十分なスキルがあるのに職業訓練を受けるのは時間の浪費にしかなりませんし、違う分野の仕事を希望しているのに資格取得のために他分野の職業訓練を受けることは他の希望者にとって迷惑になります。自分にとってその職業訓練が必要であることを明確に伝えてください。
職業訓練の面接でよくある質問
職業訓練では、普通の就活や転職活動のように、企業が求める人材像のようなものはありません。あるのは「この先就職できそうな人かどうか」という基準のみです。
ですから、それにふさわしい人を選ぶための質問項目は限られています。応用力や対応力を問われるような圧迫面接や奇抜な質問はまずありませんので、事前に想定される質問には答えを用意しておきましょう。
1 「志望理由を教えてください」
志望者のやる気が最も垣間見える部分が志望動機です。回答する際には、前向きかつ、その職業訓練を受けることが自分のキャリアプランに合っていることをアピールします。
給付金がもらえるなどのメリットもありますが、「今すぐでも就職したい」という気持ちが見えることが大事です。「いずれ就職できたらいい」という呑気な気持ちがある場合もありますが、それでも決して表に出さないように気をつけてください。
回答例
「事務職を中心に就職活動を続けておりましたが、即戦力となる事務職を求めている企業が多く、私の現在のパソコンスキルでは不足を感じました。職業訓練を通しスキルアップができれば、就職できる先も増え、より良い就職活動ができると思い希望しました」
2 「前職の退職理由について教えてください」
これも、再就職をする上ではネックになる質問です。会社都合ではなく自己都合の場合、どうしても会社に対してネガティブな内容や、社会人として頼りない回答が出てしまいがちです。しかし、あくまでキャリアを考え、前向きに考えた上での決断とし、次の就職に対しての熱意を自信をもって表現することが大切です。
回答例
「前職では残業も多く、家族との時間がなかなか持てなかったり、体調を崩しがちでした。家庭と仕事の両立を考えた際に転職をすることが必要だと考え、退職をすることにしました」
3 「退職後の就職活動の状況について教えてください」
退職後は失業手当が出る間は休みたいという人も多いですが、そのように正直に回答をすると就職するつもりがないという印象をもたれてしまいます。しっかり就職活動を行っているにもかかわらず、スキル面での不足がたたってうまく進んでいないことをアピールするのが正解です。それほど就職活動をしていないとしても、「情報収集を続けているがスキル面のミスマッチで応募できなかった」などの理由をうまく説明できると良いでしょう。
回答例
「事務系を中心にハローワークや人材紹介などを利用して就職先を探していますが、希望する条件の企業はMOSの資格を持っていることなどが条件になっていることが多く、三社ほど面接もしましたが上手くいきませんでした」
4 「職業訓練中に就職活動は行いますか?」
職業訓練中だとしても、就職活動が許されているところは多いです。「職業訓練や資格の勉強に集中するため、就職活動はいったん中断しようと思います」というのは、良さそうな回答ではありますが、これは間違いです。
職業訓練の目的は「スキルを身に着けること」ではなく「就職すること」ですから、就職活動は基本的に続ける方向であることを伝えるのが正解です。
回答例
「職業訓練を続ける傍ら、時間の許す範囲で情報収集を行ったり、希望に合った募集があれば応募してみたいと思っています」
4 「毎日しっかりと訓練に通うことができますか?」
これは訓練をする側からは当然の質問ですし、当然きちんと通う旨を答えてください。「時には遅刻もあるかもしれませんが…」などのネガティブな内容は一切不要です。
5 「コミュニケーション上の不安はありませんか?」
社会に出れば性別や年代を問わず多くの人と関わる環境であることは当然であり、そこに不安がある人は就職も難しいと考えられます。この質問については、不安があったとしても「問題ありません」と答えるのが正解です。
職業訓練の面接の服装はビジネスシーンを意識する
ハローワークに通っている人を見ると私服の人も多く見られますが、職業訓練の面接を受ける際には私服は避けておくべきです。これはどうしてかというと、その人がどのくらい本気で職業訓練を受けたいと考えているのかが服装からも問われているからです。
私服で面接に来た人とスーツをしっかり着て来た人、他の評価点が同じなら、どちらを採用したいかは明白でしょう。就職・転職に関することは人生の一大事であり、その大事な決定に関わる場面であえて評価を下げるような服装で来るなら本気度を疑われても仕方ありません。スーツなどがすぐに準備できない場合もあるでしょうが、ビジネスの場に通うことにふさわしい服装のレベルは最低限意識するべきです。
職業訓練において求められる人材像は「この先就職できそうな人」です。特に服装はその人のマナーや社会性が見える部分ですので、常識的な範囲で面接を受けてください。
面接は基本的にはスーツで受けるのがマナー
「私服でも可」となっていたとしても、男性、女性ともに面接にはスーツスタイルで臨むのが基本的なマナーです。
男性の場合、年齢にもよりますが、リクルートスーツのようなものでなくとも、ビジネスで使えるような黒、紺やグレーのスーツなら問題ありません。上下がバラバラだとしても、よほど悪印象になるようなものでなければマイナスの評価にはなりませんが、できれば上下揃いのスーツが無難です。
当然、ネクタイもビジネスに適した色や柄のものを選び、シャツの色は基本的に白で無地のものが良いです。夏場はクールビズも可ではありますが、ジャケットは持参した方が賢明でしょう。
女性の場合はスーツ、もしくはビジネスカジュアルであれば大丈夫です。ブラウスなどはフリルの多いものは避けてスッキリしたものを着用してください。スカートでもパンツスタイルでも構いません。ただし、色や柄には十分気を付けて、落ちついた色のものを着用するようにし、ストッキングなども伝線に気を付けます。伝線対策としてスペアも持っていくといざという時に助かります。
手持ちにスーツが無い場合は、できる限り雰囲気が近いものを選びます。常識が疑われる恐れがありますので、Tシャツにジーンズや、スウェットなどで面接に臨むことがないようにしてください。
髪型は清潔感を意識する
髪型は、少し気を付けた方が良いポイントです。男性の場合は清潔感があるということ、そして顔が良く見えるようにしてください。もともと髪が短い人は問題ないですが、長めの人はうまくセットして顔がはっきり見えると表情が明るく見えて印象が良くなります。
女性の場合も同様に顔がはっきり見えるようにまとめることが大切です。ヘアアクセサリーは、控えめなものにしておきます。
男女とも髪の色があまりにも明るい場合は悪印象になりますので、普段は明るい色にしている人も控えめにしてください。また、強いパーマをかけている人はできれば戻しておくことをおすすめします。
個性的な人が悪いわけではありませんが、個性的な人は往々にして和を乱すことも多いため、周囲と上手くやれるかについて面接官が不安を抱くことがあります。余計な不安を抱かせないよう、くれぐれもヘアスタイルには気をつけましょう。
アクセサリー類は最小限にとどめる
面接時は、アクセサリー塁は必要最小限にしてください。男性の場合は腕時計くらいにしておいた方が無難です。
職業訓練で合格させ、訓練を受講してほしいのは「この先就職できそうな人」ですので、身なりで損をしないように気を付けます。女性は派手ではないピアスくらいであれば構わないですが、大きめのイヤリングや、髪飾り、ネックレスなどは避けてください。
腕時計は、スポーツウォッチなどカジュアルなものを着けるくらいなら着けない方が良いです。色も金よりはシルバーが良い印象となります。
アクセサリーはオシャレのために着けるものですが、オシャレかどうか、個性的かどうかを求められているわけではありませんので、悪目立ちしない控えめなレベルにしておきましょう。
職業訓練の面接は「本当に就職したいか」を見ている
職業訓練の面接では、応募者の職業への熱意や真摯な姿勢を評価することが重要視されます。職業訓練は、長期的なキャリアのスタート地点として、その後の就職や転職に大きな影響を与えることがあるため、訓練プログラムに参加する意欲や熱意が重視されます。
そのため、面接官は、応募者の過去の経歴や職業に対する意欲、目的意識、モチベーションなどを問いかけます。また、応募者が訓練プログラムを受けることで、どのようなキャリアアップを目指し、どのようなビジョンを持っているのかを探求することがあります。
さらに、応募者の素直さや誠実さ、コミュニケーション能力、自己分析能力なども重視されます。面接官は、応募者が自分自身の強みや弱みを理解しているかどうか、目標に向かって努力する姿勢があるかどうか、周囲と協力して仕事を進めることができるかどうかなどを見極めます。
総合的に、職業訓練の面接は、応募者が本当にその職業に就職したいという意欲を持っているかどうかを見ることが重要です。応募者自身が職業に熱心であることが、訓練プログラムの成果に繋がることを理解し、真摯に面接に臨むことが求められます。