かんぽ生命の志望動機は経営理念や行動指針から方向をつかめ

かんぽ生命の志望動機は、他の保険会社とは違うそのユニークな企業の特性や事業の方向性を正しく理解してから作成することが大切です。沿革も特殊で複雑な企業に思われますが、正しく理解できれば自然と企業の考えに沿った志望動機も出てきます。

かんぽ生命の志望動機は経営理念や行動指針から方向をつかめ

学生に人気の企業かんぽ生命は志望動機を重視する傾向にある

就活生の中でも人気がある企業に、日本郵政グループがあります。郵便局を拠点に、郵便だけでなく銀行や保険などのサービスを提供していますが、保険を担当するかんぽ生命は保険業界の中においても非常に人気の高い企業になっています。

もともと国営の郵政公社から始まっているこれらの企業は、志望動機を重視する傾向があると言われています。企業の利益よりも公益を求めるという国営時からの精神は受け継がれており、人格の表れる志望動機が大切にされているからです。

かんぽ生命の事業内容と特徴

就職活動において、志望先の事業内容を知ることはとても重要なことです。かんぽ生命は民間の保険会社とは違う特徴を持っていますのでよく確認しておきましょう。ちなみに、かんぽ生命と呼ばれることが多いですが、正確には「株式会社かんぽ生命保険」です。

かんぽ生命の事業内容

かんぽ生命は現在は民間の保険会社になるので、保険業法に則って保険商品を販売しています。種類としては生命保険、養老保険、学資保険、終身医療保険などです。以前の旧日本郵政公社時代に販売していた「簡易保険」は、現在は独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構に移されており、郵便局を窓口に諸手続きの処理が行えるのみで新規の販売は行っていません。

かんぽ生命の概要イラスト

かんぽ生命の特徴

かんぽ生命の特徴は、世界で最大の資産規模を持つ保険会社であるということです。保険会社において資産の大きさは、保険の安心感をもたらしますし、また運用によって多くの利益を作り出すことができるため経営を安定させるためにも必要不可欠です。顧客にも従業員も大きな安心を与えることができるスケール感が最大の特徴です。加えて、郵便局という日本全国に24000拠点以上もある身近な施設が窓口になっているのも特徴的です。

かんぽ生命の商品の特徴

かんぽ生命の保険商品の特徴は、少額で加入することのできる商品が多いということです。旧郵政保険公社時代に行っていた簡易保険では医師などの診断が不要であるなど、様々な面で簡易に保険加入ができましたが、今は簡易保険は扱えなくなっています。しかし、事業の理念や商品ラインアップは引き継がれており、加入しやすく、またライフステージの中で保険が求められる分野をしっかり網羅しているのが特徴的です。親しみやすさや加入のしやすさから、特に中高年層に強みがあると言われています。

かんぽ生命と他の生命保険会社は何が違う?

かんぽ生命はもともと国営企業だったということもあり、他の生命保険会社とは違う特徴を数多く有していると言われています。

ガツガツしていない

荒野でオフィスチェアに座り、かんぽ生命雲を見ながらくつろぐ男性と日傘を差しだす男性

保険会社は基本的に営業マンがどんどん営業を仕掛けて保険を販売していくというのが王道です。給与も歩合制で、収入の格差も激しいと言われていますが、かんぽ生命はガツガツしていない雰囲気の保険会社です。成果を出すことだけに執着するのでなく、顧客のことを親身に考えることのできる、安心できる雰囲気と信頼の持てる誠実な人が多いのが特徴です。

規模が違う

保険会社の資産は会社の安定や保険金支払い原資の確保、運用による収益源になるなど、様々な面で安心感を与えてくれるものです。その資産規模が世界一の規模であることがかんぽ生命の最大の強みとなっています。また、郵便局を販売拠点にすることができていますが、国内に多くの生命保険会社がある中で、これだけ多くの販売拠点をもった企業は他にありません。

商品が違う

シンプルなかんぽ生命商品のイメージイラスト

かんぽ生命では、加入がしやすいシンプルな保険商品が多いのが特徴です。保険商品は複雑化しており、特定の条件に合致していないとなかなかメリットを感じられないものが多いですが、かんぽ生命ではわかりやすい商品の提供をしてくれます。ただし、保障額の面においては他の保険会社と比較すると物足りないと言われることも多いです。

かんぽ生命の志望動機の例文

かんぽ生命の志望動機を、実際の例文を見ながら考えてみましょう。

かんぽ生命への志望動機の例文1

私が貴社を志望したのは、保険を通して顧客の生活を支えていきたいと思っているからです。

私は大学受験の際に、公立の学校は失敗してしまい、私立の大学に行くことになりました。受験の前には母から「私立はお金がかかるからダメ」とは言われていたので、まさか行かせてくれるとは思っていませんでした。しかし、両親は大学に行くことになれば多くの費用が必要になることを事前に考えていて、郵便局で学資保険に入っていて、満期になった保険金を進学費用にあててくれました。

私は保険に助けられ、その大切さを直に感じることができました。御社の「最も身近で、最も信頼される保険会社」という経営理念は、私の考える保険会社の理想です。貴社でぜひ、最も信頼される保険サービスを提供し、顧客の生活や将来を支えていけたらと思います。

志望動機の良い例です。実体験をもとに、保険業の大切さを感じたエピソードや、経営理念を引用しながら共感していることが志望動機の中で伝えられています。

保険商品というのは、目に見えるモノではないためにその商品性や価値がわかりにくい面があり、特に学生には縁がない場合もあります。それだけに、保険を身近に感じることができたというエピソードは、保険会社にとっても嬉しく印象の良いものになるでしょう。

また、経営理念や行動理念など、企業の考え方への共感も企業としては嬉しいものです。浅い共感はよくありませんが、実体験をもとにした共感であれば説得力もありますので良い印象を与えることでしょう。

エントリーシートなどの書類上は、志望動機の核になる部分は「」で括っておいた方が読みやすくなりますので、文字数に余裕があれば「保険を通して顧客の生活を支えていきたいと思っているから」と括っておいた方が親切です。

郵貯に助けられた苦学生のイメージイラスト

かんぽ生命への志望動機の例文2

私が貴社を志望したのは、「金融に興味があり、世界最大規模の資産を有する保険事業に魅力を感じたから」です。

私は大学時代、金融のゼミに所属していて、様々な金融の仕組みを学びました。金融サービスは目に見える商品ではありませんが、社会や産業を支えている大事な力でもあります。貴社のように大きな運用額を持った機関投資家が、どこに投資するかは社会に大きな影響を与えています。

私は貴社の資産運用の分野で活躍したいと思っており、ただ自社や顧客に利益を還元するだけでなく、投資された企業がより大きく社会に貢献できるように実のある運用をしたいと考えています。貴社のスケールメリットをより社会に還元できるよう努力します。よろしくお願いします。

保険業の大事な仕事のひとつに、顧客から預かった資金の運用があります。この志望動機では、「金融に興味がある」ということで保険業界(金融業界)に興味があることを示し、その中でも「世界最大規模の資産を有する」かんぽ生命を志望したとしています。

企業への志望理由としては筋が通ってはいますが、かんぽ生命における資産運用は、基本的に運用益を株主や顧客、企業のためのものです。投資によってより大きな社会的価値を創出するということが大切だと考えるのであれば、銀行や投資会社などの方がより適切と考えられます。

そのため、かんぽ生命への志望動機としては「つかみどころがない」「少しズレている」と思われてしまう可能性があります。かんぽ生命に限らず、事業の内容や方向性をしっかり理解して、そこに沿ったビジョンを表現していくことが大切です。

かんぽ生命の志望動機で注意しておくこと

生命保険について考える男性

かんぽ生命はユニークな企業ではありますが、志望動機の作成にあたっては気を付けるべきポイントもあります。

待遇面を強調しない

もともと国営企業であり、かんぽ生命の従業員たちは公務員扱いだったという過去があるため、その待遇は民間企業でありながらも公務員に近い充実度を持っています。一般的に保険会社では福利厚生などは充実しているものの、顧客に合わせる生活になりがちで休日出勤やサービス残業も少なくなく、うまく給与が上がらないことなども重なって離職する人も多いです。かんぽ生命は待遇的には安定感がありますが、だからと言ってそこを強調するのは良くありません。志望動機は企業と仕事に対するやる気を見せるものであり、環境の良さを語るものではありません。

志望動機で福利厚生を書くなら3つのポイントを意識しよう

他の日本郵政グループと一緒に考えない

郵便局を同じく拠点としている日本郵便や、ゆうちょ銀行とかんぽ生命を同じものと考えているケースも見られます。同じ拠点で事業を行い、また日本郵政グループという同じ企業群に属してはいますが、基本的に別事業ですので、間違った認識をもったままエントリーシートを書いたり面接に臨んだりすると、企業研究が不十分で、誠実さに欠ける人だと思われてしまいます。

背伸びしない

かんぽ生命では、誠実であることや信頼感のおける人であることが求められます。自分の持っている経験などを必要以上に大きく見せようとする必要はなく、人柄が伝わるようなエピソードを選ぶのが良いでしょう。背伸びせず、等身大の自分を見せることが大切です。

かんぽ生命の志望動機作成のポイント

かんぽ生命は特徴のある企業ですから、志望動機を作成する際には他の保険会社とは異なる書き方ポイントを意識する必要があります。

求める人材像に沿ってアピールする

かんぽ生命だけでなく、日本郵政グループでは「誠実で情熱と高い志を持ち失敗を恐れずにチャレンジする人材」を求めています。もともと大きな資産とネットワークを有しているからこそ、それにふさわしい誠実な人格と、現状に満足せず時代に即したより良いサービスを考えられる人材を求めています。

また、かんぽ生命では企業理念に「最も身近で、最も信頼される保険会社」というフレーズがあり、行動指針のはじめに「いつでもお客さまを第一に考えて行動します」という表現が使われています。より顧客第一の姿勢を貫くことができる人かが問われていると言えます。

カスタマーファーストの保険のイメージイラスト

どうして保険業界を選んだかを明確にする

数ある就職先の中で、どうして保険業界を選んだのか、興味を持っているのかはとても大切です。かんぽ生命は、他の保険会社よりも離職率が低いですが、それは志望動機がきちんとした人を厳選しているからでもあるからです。保険に興味がなければ、長続きしないことは明らかです。

保険業界の志望動機は保険の価値をよく理解している書き方にしよう

どうしてかんぽ生命を選んだかを明確にする

かんぽ生命は、一般的な保険会社と比較すると若干地味な存在です。規模の大きさなどメリットはありますが、商品や事務所(郵便局)などは保険会社の中では華やかさや高級感に欠けるところがあります。多くの保険会社の中で、どうしてかんぽ生命なのかという理由をうまく表現しましょう。

自分のビジョンをアピールする

志望動機は、「会社に入りたい」で止まってしまってはいけません。会社に入るのは仕事をするためであり、仕事をするのは仕事を通して成したいことがあるからです。自分がかんぽ生命の仕事の先に何を見ようとしているのか、何をしたいと思っているのか、ビジョンを表現してアピールしましょう。

かんぽ生命ではリーダーシップも大切にされる

保険についてビジョンを描く男性のイメージ

かんぽ生命は、生命保険会社の中では「ガツガツしていない」という印象がありますが、それは決して大人しい人が良いということではありません。

かんぽ生命は、生命保険を取り扱い、社員は時には商品開発や営業のチームをまとめる立場になることもあります。また、様々なプロジェクトが社内で行われており、リーダーシップが求められる場面も少なくはありません。

現在、他の民間保険会社との業務提携など、新しい成長戦略がどんどん形になっています。受け身で大人しいだけの人であれば、内定を勝ち取ることは難しいでしょう。

誠実で責任感があり、周囲とコミュニケーションを上手に行いながら、リーダーシップを発揮できることや、挑戦心があることが大事です。決して、「ガツガツしない」を誤解しないようにしてください。

かんぽ生命への志望動機は企業研究をしっかりと

企業研究を行うことで、かんぽ生命の歴史や特徴、経営理念やビジョン、社風や福利厚生などを理解することができます。これらの情報をもとに、自分自身がかんぽ生命に共感し、なぜかんぽ生命で働きたいのかを明確にすることができます。

また、企業研究を行うことで、かんぽ生命に求められる人材像や業務内容についても理解することができます。これにより、自分自身がかんぽ生命に適した人材であることをアピールすることができます。

簡単に言えば、かんぽ生命への志望動機は、企業研究に基づいて作成することが重要であり、企業研究をしっかりと行うことで、より具体的かつ魅力的な志望動機を作成することができます。