幼稚園教諭の志望動機では「仕事内容の正しい理解」が最も大切
幼稚園教諭の志望動機を作るときには、「子供が好き」など自分のことを意識してしまいがちですが、実はより大事なのが園についてや仕事内容の正しい理解です。採用枠が多くない分、しっかりと相手を研究し、最適なアピールが求められます。浅い理解やイメージに頼らない志望動機が必要です。
幼稚園教諭を目指す人は志望動機もこだわろう
幼稚園教諭は、小学校や中学校の先生と同じように文部科学省の管轄で、就職のためには「幼稚園教諭免許状」の取得が必要です。資格があれば就職できるのではなく、免許取得の上で幼稚園への就職活動を行う必要があります。その後は通常の就活と同じように、エントリーシートや面接などをこなす必要がありますが、その中では志望動機も定番の設問となっています。
新卒採用枠が少ない園がほとんどであるため、自分の入りたい園で内定を得るためには、志望動機は徹底的に作り込んでおく必要があります。志望動機作成のポイントを紹介します。
志望動機を作りこむには幼稚園教諭の仕事を正しく理解すべし
幼稚園に通ったことがある人であれば、幼稚園の先生の仕事がわかると考えるのは早計です。むしろ、子供の頃の視点で見ると、そのイメージがかえって仕事への正しい理解を妨げてしまいます。
幼稚園教諭の仕事は、単に子供たちのお世話をするだけではありません。教育機関でもある幼稚園では、運動や音楽などを通して子供たちを「教育」することが求められますし、カリキュラムをしっかり組んで実行したり、年間行事などの計画・運営が求められます。
加えて、保護者対応や様々な書類作成といった事務仕事に、園内の様々な設備の管理なども幼稚園教諭の仕事となります。全ては子供たちの健やかな成長のためですが、その業務範囲は様々であることをしっかり理解しておく必要があります。
幼稚園教諭の志望動機で避けるべき内容
幼稚園の志望動機では、避けるべき内容もあります。志望動機を作りこむには、このあたりも心得ておく必要があるでしょう。
「子供が好き」だけでは浅い
たとえば、「子供が好き」という志望動機は、幼稚園の教諭職に就くのであれば前提とも言えるものです。そのため、他の応募者と差別化することが難しく、また思慮が浅いと思われる可能性もあります。自己分析を深くして、もう一段深い内容を考えてみましょう。子供が好きな人だとしても、離職する人がたくさんいる現状をしっかり理解して、自分の志望動機をきちんと考える必要があります。
「兄弟の世話をしていた」はアピールにならない
兄弟が多かったり、歳の離れた弟や妹がいる場合に、「兄弟の世話をしていたので子供を見るのが得意」とアピールする人がいます。しかし、幼稚園は保育園と違い、単なる「世話」ではなく「教育」が求められます。そのため、兄弟の世話をしていたことはまったくアピールになりませんし、間違った理解に基づく志望動機はかえって印象を悪くしてしまいます。
ネガティブなアピール
志望動機を述べる際に、ネガティブなアピールは原則としていけません。「大人社会は苦手で」「早い時間からの登園で心配はありますが」「通える地域で探したら他になく」「他の園はイマイチで」といった内容は、採用する側も意欲が下がります。正直であることと、ネガティブなことを暴露することは別物です。隠すべき部分は隠し、ポジティブな志望動機を伝えることに注力しましょう。
幼稚園は公立と私立で求める志望動機は違ってくる
幼稚園には公立と私立の幼稚園がありますが、応募者の志望動機に関してもその反応が違う傾向があります。どこの幼稚園の採用試験を受けるかを考えて、内容を微修正するのも一つの方法です。
公立の幼稚園の志望動機
公立の幼稚園の場合、教諭として採用されれば公務員という扱いになりますので、社会への貢献意識が求められます。そのため、伝える志望動機も、貢献意識をより押し出していくのが良いでしょう。また、幼稚園教諭という仕事が子供たちにとっていかに大事か、仕事の価値を理解していることが求められます。
私立の幼稚園の志望動機
私立の幼稚園では、公立と比較して各園が特色ある教育・取り組みをすることで園児を集め、教育を行っている面があります。そのため、公立の園と比較した場合、園の理念や取り組みへの共感がアピールとしてより効果的になります。公立よりも私立では、企業研究をしっかり行うことを意識して志望動機を作成するのが良いでしょう。
幼稚園教諭の志望動機の例文
幼稚園教諭を目指す場合の志望動機の例文を見ながら、細かい点をチェックしましょう。
幼稚園教諭の志望動機の例文1
私が貴園を志望するのは、幼い頃に貴園に通えて本当に良かったと感じているからです。
子供の頃はわかりませんでしたが、貴園は近隣のどこよりも園庭も広く、また園の行事や行事練習も近くの公民館を利用してのびのびできました。園の出身者は小学校に上がっても芸術舞台などで臆することなく活躍していて、後々園の教育の賜物だと感じられるようになりました。先生方も非常に丁寧に子供たちに接し、楽しく様々なことを教えてくださっていたと思います。そんな幼稚園の先生になって、子供たちがのびのび成長する助けになりたいと思い、短大で学んできました。
務めるのであれば、まずは貴園にしたいと思って志望しました。昨年末の音楽発表会も見せていただきましたが、子供たちが活き活きと歌い、音楽を楽しんでいる姿に、園の教育の質を改めて感じました。ピアノは昔から得意ですので、音楽を中心に子供たちの教育に携わりたいです。よろしくお願いします。
例文1の志望動機では、応募者が通っていた園への満足度が高かったことが志望動機になっています。こうした志望理由の場合、どうしてその園が良かったのかをエピソードで深めて説明していく必要があります。例文では、園の環境や教師たちが理由となっています。
この例文1の志望動機の場合、「幼稚園の先生になりたい理由」と「この園を選んだ理由」が両方入っていますが、2つの要素の接点がみつけにくく、バラバラした感じになってしまいます。スッキリとさせるためには、「子供がのびのび成長する助けになりたい」を中心にして志望動機を語り、「その環境としてこの幼稚園がふさわしい」と感じていることを伝える流れの方が良いでしょう。
幼稚園教諭の志望動機の例文2
私は子供が好きで、子供に関わる仕事がしたいと思って志望しました。
子供に関わる仕事はたくさんありますが、幼稚園は子供の成長にとても重要だと思い、幼稚園教諭の勉強をして免許を取得しました。子供の頃、幼稚園の出身者と保育園の出身者では、小学校に入ったばかりの頃の理解力や応用力に違いがあった記憶があります。小学校のスタートでしっかり理解でき、自信をつけた子はその後もハツラツと成長しましたが、うまくスタートできなかった子は学校生活にも自信が持てなくなっている子が多くいました。幼いうちから、しっかりした教育を施してあげることは、子供たちに自信を与え、人格が健やかに育つために重要だと考えています。
貴園のカリキュラムは、子供たちの自主性や創造性を育む上でとてもよいと感じますし、小学校受験を希望する家庭でも評価が高いと聞きました。幼いうちからよりよい教育を施す貴園は、私にとって非常に魅力的です。どうぞよろしくお願いします。
この例文2の志望動機も、「子供に関わる仕事がしたい」から始まっていますが、最終的には「幼いうちからよりよい教育を施したい」という流れになっていますので、冒頭で結論を伝えた方が理解がしやすくなります。
志望動機は、漠然とした結論で作り始めても、文章にしているうちに結論が変わってしまったり、自分の思いをより適切に表現できる言葉がみつかることがあります。そのため、まず文字にして書いてみることが大事なのですが、書き終えて満足せずに、最初から見直してみるクセをつけましょう。そうすることで、より魅力的な志望動機を作ることができます。
例文2では、「~子が多くいました」「評価が高いと聞きました」など、客観的な言葉が多い印象を受けます。志望動機は「自分の思い」ですので、客観的な表現はできるだけ避けましょう。一人称が「私」になるような内容が増えるのが望ましいです。
幼稚園教諭の志望動機の例文3
私が貴園を志望するのは、園の年間行事が質・量とも優れていて、やり甲斐があると思うからです。
私はボランティアや実習で、4つの幼稚園のお手伝いをしましたが、行事の質が良い幼稚園ほど子供たちがイキイキとし、自立しているのを感じました。そういう園ほど、遅い時間まで先生方が行事の準備に取り組んでおり、私も手伝いながらそのこだわりを見聞きしました。ある園で行った劇では、シナリオ・大道具・BGMや効果音もすべて子供たちと相談して決めていました。相談の過程で意見を戦わせたり、少しでもカッコいい大道具を作ろうと頑張る子供たちを頼もしく感じました。
本番では子供たちが自信まんまんに演技し、ご両親に褒められている姿を見て非常に嬉しい気持ちになりました。努力し、承認された子供たちは、短期間で大きく成長した姿を見せてくれました。
貴園のように行事が多い園は大変かもしれませんが、それ以上にやり甲斐を感じられると思います。子供たちと一緒に、様々な行事に全力で取り組む先生になりたいです。どうぞよろしくお願いします。
この例文3の志望動機では、「園の年間行事の質や量」に注目して志望動機にしています。ボランティアや実習といった経験からも、子供が好きなことや、幼稚園で働きたかったことが伝わります。「やり甲斐のある職場」として園を志望していることも、こうした体験を聞くと共感できるでしょう。
「行事が多い園は大変かもしれませんが」のくだりは、園の従業員を気遣っての発言ですが、これは印象を悪くすることもありますのであえて入れる必要はありません。「やり甲斐のある職場」であることを強調し、最後のまとめとするだけで良いでしょう。
例文3志望動機の内容なら、特に私立の園で、意図的に行事を多くし、質を高めている場合には特に好印象を持ってもらえると思います。
幼稚園教諭の志望動機作成の重要項目
幼稚園教諭の志望動機を作る際、重要となる項目がいくつかあります。魅力的な志望動機を作るために頭の中に入れておきましょう。
なぜ幼稚園教諭を目指しているのか
幼稚園の先生を目指している理由は、志望動機の核となる部分です。「子供が好きだから」という理由は大事ですが、もっと深く掘り下げることが求められます。「大人は苦手だから」「保育園より待遇が良い」などの理由は、教育者として適正が無いと思われてしまうので避けた方が良いでしょう。どうして幼稚園教諭を目指すのか、しっかり自己分析しながら考えてみましょう。
どうしてその幼稚園を選んだのか
幼稚園は地域に数多くありますが、どうしてその幼稚園で働きたいのかしっかり考えましょう。「教育実習で合っていると感じた」という理由も多く聞きますが、その場合は「どういった点が合っていたのか」まで明確にすることが大切です。漠然とした理由で選んでしまうと、イメージと違った場合に辞めてしまう人が多いため、採用側も志望動機をしっかりチェックしていますので注意してください。
どんな幼稚園教諭になりたいのか
幼稚園教諭と言っても、その働き方や得意分野は様々です。自分のパーソナリティや能力、特技などを活かして、どのような形で園や生徒たちに貢献したいのか、また教育者としてどのようなビジョンを考えているのかをアピールしましょう。目標がある人は、成長意欲が高く好感を持たれます。
覚えておきたい志望動機の書き方
文章を書いたり考えたりするのが苦手という人は多いですが、就職活動では志望動機にある程度書き方の「型」があります。型を意識すると、書き忘れを防ぎつつ、わかりやすい内容になります。
最初に志望動機を答える
質問をされたらその質問にまず答えるのは、たとえ子供の相手が多い幼稚園でも当然のビジネスマナーです。志望動機を聞かれていますから、最初は簡潔に志望動機について回答しましょう。冒頭では詳細に説明するのではなく、核心的に回答します。最初に回答を伝えることで、相手も念頭に置いてその後の話を聞けますので、内容を意識しやすくなります。
続けてエピソードで共感と納得を得る
続けて質問への答えの捕捉となるエピソードを伝えます。できるだけ体験談を元にした、具体性をもったエピソードを伝えると共感を得やすく、志望動機に納得感が生まれるようになります。自己分析を行った結果、志望動機の裏付けとなるエピソードがあればそれを上手に伝えましょう。一般的な情報は、納得はできますが、志望動機に対して共感を得られない場合があります。志望動機は社会や環境からではなく、自分自身から出てきますので、自分の思いや経験を中心に伝えましょう。
最後にアピールしたいことをまとめて伝える
エピソードを伝えた後に、内容をもう一度まとめて、アピールします。幼稚園の先生として自分ができること、活かせることがあればそれもアピールしましょう。応募者がイキイキと働いている姿を想像できるようなら、採用される可能性は高くなります。
幼稚園教諭の志望動機は園や仕事を正しく理解して作ろう
幼稚園教諭の志望動機としては、園や仕事内容を正しく理解し、それに基づいて自分自身が提供する教育に熱意を持ち、貢献したいという思いがあることが大切です。正しい理解に基づく教育は、子どもたちの成長を促し、社会に貢献する人材の育成につながります。また、自分自身も幼稚園教育に関する知識や技術を習得し、専門性を高め、より質の高い教育を提供することができます。