農協(JA)の志望動機は仕事内容を調べてから書こう
農協(JA)の志望動機は、農協で行われている事業が非常に幅広いこともあってぼんやりとしたものになりがちです。自己本位なものになるのを避けるためにも、農協の仕事の中で志望する仕事や職種についてしっかり調べ、具体的なイメージとエピソードをもって志望動機を作成することが大切です。
農協(JA)への志望動機の書き方は自分本位ではダメ
地域に密着したその事業活動から知名度も高く、また就職先としても人気があるのが農協(JA)です。農協への就職を希望する人は多いですが、高校生でも大学生でも自分本位な志望動機を述べる人が多く、それで評価を落としている人が少なくありません。
採用担当者が思わず内定を出したくなるような農協の志望動機を作るにはどうしたらいいのか、必要なポイントについて考えてみましょう。
志望動機を書くにはまず農協(JA)の仕事を正しく理解すること
就職活動では、仕事への認識が甘い人ほど自分本位な志望動機が多く見られる傾向があります。就職活動は商取引で言えば、自分という商品を相手(就職先)に売り込むことです。商品の良さを語るのは良いですが、相手に合った商品であることが何よりも大切です。農協への就職活動でも、農協を正しく理解してからアピールするべきだと言えます。
農協は「農業共同組合」ですから、基本的には農業を中心とした組織です。しかし、その提供する商品やサービスはもはや農業の域を超えて、組合員の生活を支えるための様々な分野に及んでいます。
農業事業
組合員の農業生産性を高めるための技術指導や、農業資材の提供、農畜産物の販売指導、購買・販売、加工、など農業生産活動に必要な一連の事業を行っています。
生活事業
組合員・利用者の暮らしをサポートし、様々な商品の提供や燃料事業、介護、葬祭事業、石材(墓石)の取扱など様々な事業を行っています。
信用事業
JAバンクとして知られる信用事業は金融機関としての業務を行い、貯金や融資などを組合員向けに提供することで生活を支えています。
共済事業
農協では保険商品の提供によって相互扶助の体制作りを行い、またライフアドバイザーによる相談や地域に資するスポーツやボランティアイベントを開催し、様々に社会に貢献しています。
志望動機を書く時は「農協」がいいのか「JA」がいいのか
就活の際に、農協のことを「農業共同組合」と正式名称で呼ぶのが良いのか、それとも農協で良いのか、はたまた略称として広く親しまれている「JA」が良いのかと悩む人もいるかと思います。
農協については、毎回正式名称を口にするのは大変ですから、基本的には農協、もしくはJAです。ただし、農協とJAの両方が頻繁に出てくるのは望ましくありませんから、どちらかに統一した方が良いです。
農協への志望動機を書く前に踏まえておきたいキーポイント
農協の仕事は幅広いので、ぼんやりした内容にならないように注意してください。農協への志望動機でキーになる部分を確認しておきます。
志望するエリアを必ず確認する
農協は地域ごとに運営されているため、必ず志望するエリアを調べておくようにしてください。エリアによって行っている事業に違いがあり、自分が志望している事業分野がない場合もあるからです。また、地域の特性を理解していた方が志望動機もより明確になります。
農協の理念や目的を踏まえた志望動機にする
農協は今では様々な形の事業を展開していますが、基本的な理念や目的は昔から変わっておらず、「生産者と消費者の架け橋となる」ことにあります。ですから、その理念や目的に沿った形で志望動機を作成するのが良いでしょう。
農協への志望動機の例文
実際に農協への志望動機の4つの例文を見ながら、細かな部分を確認していきましょう。
農協への志望動機の例文1
私が貴組合を志望したのは「地域に根ざした農業を助けていきたい」と思ったからです。
私が生まれ育ったこの地域では、多くの田畑が有り、その中で育った私にとって農業は生活の一部と言っても良いものです。広い田畑の管理は一人だけでは難しく、地域の多くの人の手を互いに借りながら種まきや収穫などを行ってきました。そういった人のつながりを促進し、また広げていく農協の働きは、この地域で農業を営む多くの人にとってかけがえのないものであると思います。
私は大学で農業の勉強をしてきましたので、農業技術や生産の指導を通し、より効率的で生産性の高い農業ができるよう頑張りたいです。よろしくお願いします。
例文1は、農協への志望動機で多く見られる例です。
特別に悪いところがあるわけではありませんが、エピソードが少し客観的な感じであるため、より具体的に体験談などがあると良くなるでしょう。
また、「地域に根ざした農業を助けたい」と志望動機にありますので、できれば全体的にもう少し地域の特性に触れた形でまとめていくと地域への愛情も伝わるようになります。
農協への志望動機の例文2
私が貴組合を志望したのは「地域に根ざした農業を助けていきたい」と思ったからです。
私は地元の出身ですが、多くの田畑が有り、幼い頃から種まきの季節や収穫期になると隣近所のお手伝いに行ったものでした。共に汗をかき、腰を痛めながら終わった後の達成感と共に差し入れを頬張った時間は当時は大変だと思っていましたが、今ではなかなか持つことのできない貴重な時間だったと思います。人のつながりが弱くなったと言われている今だからこそ、農業を支え、地域のつながりを作り、広げていく農協の働きは、多くの人にとって重要な役割を持っていると考えます。
私は大学で農業機械を専門としておりました。寒冷地域ならではの機械の扱いや管理など、指導を通して広めていき、組合員の生産性の向上に貢献したく存じます。よろしくお願いします。
例文2は、例文1に手を加えてみたものです。
エピソードに具体性が加わり、農業を通して見える「人のつながり」をより明確に示すことができていると思います。また、最後の内容でも農業機械を専門としていることや寒冷地での機械の扱いや管理といった具体的な情報があり、活躍のイメージも持ちやすくなっているのではないでしょうか。
エピソードは客観的にしてしまうと、誰でも同じようなものを作れてしまいます。体験談を盛り込んでいくことで、自分にしかないエピソードとして印象的なものになっていきます。
農協への志望動機の例文3
私は、地域の特産物である○○を他地域でもっと食べてほしいと思い貴組合を志望いたしました。
私の地元で収穫できる○○は、まだまだ生産量は少ないものの、その芳醇な甘みから全国の有名フルーツ店やホテルから問い合わせがあります。しかし、私の大学の友人たちは誰も○○のことを知らず、一般的には知名度がまだまだ低いことを痛感するようになりました。私のおじが○○の生産者ですが、仕送りで送られてきた○○を友人たちに食べさせるたびに「これ売ってないの?」と言われ、まだまだ市場開拓の余地があることを感じています。
貴組合では農業の加工や流通なども支援していますので、私も加工や販売など流通過程に関わってこの○○を広げていきたいと考えています。また、○○以外にも地域に眠っている隠れた名産品があれば、それらを全国に広めて地域の農業の復興に貢献していきたいと思っています。
○○という農産物を広めていきたいという情熱を持ってのアピールです。もちろん、農協でなければできないというわけではないでしょうが、農協の働きとして大事な「生産者と消費者の架け橋」を意識した内容になっているのが例文3の特徴です。
エピソードからも○○に対する誇りが感じられ、またそれが知られていないことへのもどかしさが伝わってきます。真剣に地域の農産物の流通について考えていることが伝わる良い例だと思います。
農協への志望動機の例文4
私が貴組合を志望したのは、顔の見える葬祭事業に取り組みたいと思ったからです。
私の祖父が他界したとき、一般の葬儀社にお願いすることにしましたが、その対応は非常にシステマチックで、効率的で、悪い言い方かもしれませんが人情味がありませんでした。表情ひとつ変えることなく、淡々と進められる手続きや葬儀に私はとても胸を痛めました。故人も、遺族も、できれば見知った人や関係のある人に送られるのが一番感情的にも報われるのではないかと思います。
貴組合では、もともとの地域のつながりをバックボーンにして葬祭事業を行っており、私の願う顔の見える葬祭事業のイメージに一番近いと感じます。葬儀の用がある時だけでなく、他の福祉事業やイベントなどにも積極的に参加して、組合員の皆様にも顔がわかり、安心して任せられるような葬祭事業を行っていきたいです。よろしくお願いします。
例文4は、農協における葬祭事業に注目した志望動機です。
葬祭事業を行う会社は近年増えていますが、その中で農協を選んだ理由として「顔が見える」という組合員と農協との距離の近さを上げています。葬祭事業や共済事業、信用事業においては他にも同業他社がたくさんあるため、どうして農協でその仕事をしたいと思ったかを示すことが大切です。
しかし、葬祭事業をしていればなかなか葬儀の用がある組合員以外との接点はありません。しかし、「他の福祉事業やイベントに積極的に参加する」という具体的な行動を上げており、就職後の仕事のイメージをしっかり持って就職活動に取り組んでいることがわかります。採用担当者や面接官からも高く評価されることでしょう。
農協の志望動機では「地元志向」「待遇」には触れないこと
農協の志望動機として、「地元で働きたい」「転勤したくない」という部分がある人も多いのは間違いありません。しかし、だからと言ってそれを志望動機として伝えるのはよくありません。農協に限らず、ネガティブな志望動機は企業にとって「消去法で選ばれた」という印象になるからです。
同様に、公務員のような「待遇」を志望動機として持っている人も多いものですが、それも表に出すべきではありません。
志望動機の作成において大事なことは、「その職場に身を置きたい」ということではなく「その職場で働きたい」というイメージを明確に持って作ることです。どこに軸足のある志望動機なのかはその内容を見るとすぐにわかります。「仕事」「働くこと」を中心にした志望動機になっているか、必ずチェックするようにしましょう。
農協への志望動機の書き方
志望動機は働きたいという意欲を示す大事なアピールです。実際に農協の志望動機を書くにあたって大事なポイントについてまとめておきます。
志望動機は結論から始める
農協に限らず、就職活動においてはまず結論を先にして志望動機を伝えるようにします。起承転結パターンにしてしまうと、最終的に何を言いたいのかがわかりにくくなりますし、また最初に想定していた結論が変わってしまうこともあり、志望動機も作りにくくなってしまいます。
志望動機の中のエピソードは具体性を出すように工夫する
エピソードでは、ありきたりな情報ではなく、自分にしかない体験を軸にした具体的な内容が良いでしょう。具体的な内容のエピソードは、志望動機に説得力を持たせてくれます。ただし、くれぐれも志望動機の結論に沿ったエピソードを選びましょう。
自分が農協の仕事の中で活躍したいことを伝える
農協の仕事は様々にありますが、志望する職種に合わせて自分が仕事の中でどう活躍したいのか具体的な展望も語るようにしましょう。中には専門性がなければできない仕事もありますが、現時点でできることだけでなく、将来的な展望として語っても構いません。仕事で活躍している様子が見えれば、その分採用後の配置などイメージもしやすいので採用担当者も助かるのです。
農協を呼ぶ際には「貴組合」「御組合」
普通、就職活動では「貴社」「御社」と相手企業のことを呼びますが、農協の場合は会社組織ではなく組合になりますので、「貴組合」「御組合」と呼ぶのが適当です。なお、エントリーシートや履歴書など書類での書き言葉としては「貴組合」、面接など話し言葉では「御組合」と使い分けるようにします。
農協(JA)への志望動機は仕事内容をよく調べて具体的な内容を心がける
JAは、地域農業の発展や生産者の支援を行うために、様々な事業や活動を展開しています。そのため、JAの業務内容や役割について詳しく調べ、自分自身のスキルや経験とのマッチングを考えた志望動機を作成することが重要です。具体的には、JAがどのような事業を行っているのか、どのような社会的意義があるのかを調べ、自分自身がどのような貢献をしたいのかを明確にすることが必要です。また、自己分析を行い、自分自身がどのような価値観やスキルを持っているのかを把握し、それをアピールすることも重要です。志望動機は、自分自身と企業とのマッチングを考えた上で、具体的で熱意のある表現を心がけましょう。