自己PRで明るい性格が企業にプラスになるアピールの仕方
自己PRで「明るい」などの性格上の特徴を使う場合には、ちょっとしたコツがあります。性格から長所をアピールする場合に、こだわるポイントを間違うと企業にとって興味を惹かないアピールをしてしまいます。企業側の視点からも考えて作成しましょう。
自己PRで「明るい」ことは言っていいの?
自己PRは就職活動では必須となっていますが、その内容に苦心する人も少なくないようです。特に、目立った経歴などがないという場合には、自分の性格面から自己PRを絞り出していく場合は、客観的な評価が難しいため、さらに難易度が高くなります。
自己PRでよく見られる「明るい」という特徴は、その評価が分かれるアピールです。自己PRで明るいと言ってはいけないわけではありませんが、しっかり評価される内容にするには少し工夫が必要です。「明るい」を自己PRするポイントについて考えてみましょう。
就活の自己PRにおける「明るい」の価値を考えよう
就職活動というのは、学生が入りたい企業に入るための活動ではありますが、企業側から見たときには採用活動、つまり企業側が欲しい学生を取るための活動です。よって、就活の視点は自分からの視点だけでなく、企業側の視点を持つことが大切です。
就活の自己PRというのは、自分のことをPRして、企業に欲しい人材だと思わせることが目的です。当然、明るい性格の人と暗い性格の人であれば、明るい性格の人の方がずっと評価されるでしょう。特に接客業や営業など、人に接する機会が多い仕事になるほど、明るい性格の人は有利になるはずです。「明るい」という性格は、就職活動だけでなく、社会一般においても好ましい性格であり、評価されるしかありません。
自己PRで「明るい」がダメだと言われてしまう理由
就職活動の指南書であったり、また学校などでの就活セミナーなどでは、自己PRのときに「明るい」などの性格について取り上げるのは避けるべきだとしている場合も実は多いです。「明るい」というのは性格を示す言葉ですが、性格というのは具体性をもって測定するのが難しいものです。そのため、「明るい」と言っても人それぞれであり、評価が難しいという側面があります。
また、企業側は明るい性格の人材は好ましい性格であるとは思っているものの、標準的な対人コミュニケーション能力があれば、特別な明るさを必要としていることは少ないものです。それよりも、論理的思考能力や考え方などの部分を重視しているかもしれませんし、企業毎に求める人材像があるものです。そういった企業側の立場を考えず、むやみに明るい性格を自己PRするのも考えものです。
自己PRで「明るい」を使った例文
それでは、実際に「明るい」を使った自己PRの例文を見てみましょう。NG例をひとつ、良い例を二つ、良くも悪くも取られる例をひとつ紹介していきます。
自己PRで「明るい」を使った例文1:NG例
自己PRで「明るい」を使った例文1(NG例)
私の長所は「明るい性格である」ことです。
私の家は両親と私の三人家族で、両親は家の中でいつもテレビを見る他はあまり会話をしません。私がいるときは、私が間に入って話をするようにしていて、母から「明るい娘で良かったわ」とよく言われています。
私はこの明るさで御社に貢献していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
明るいという性格を自己PRしようという例文ですが、内容に乏しく、強い印象を与えることができていません。
エピソードからは、家庭の雰囲気は伝わってきますが、話のつながりから、明るいことによって会話がもたらされているのかが不明であり、また自分が明るく接することでどのように家庭内の雰囲気が変化するのかがよく伝わりません。
また、最後に「明るさによって企業に貢献する」旨の発言をしていますが、具体性に乏しく、その明るさをどのように使うのかが見えてきません。全体的に具体性が不足しているために、明るさそのものにもインパクトがない内容になってしまっています。
自己PRで「明るい」を使った例文2:良い例
自己PRで「明るい」を使った例文2(良い例)
私の長所は「明るい性格である」ことです。
私の家は両親と私の三人家族で、両親は家では静かで、あまり会話は多くありません。ですが、私がいるときは、私がいつもしゃべり続けているため、父も母も聞きながら笑顔になり、笑い声やツッコミの声も聞こえるようになります。母は「明るい娘で良かったわ。私とお父さんだけなら、きっとロボットが二台いるみたいに静かだったかも」といつも言っています。友人からもよく「おしゃべりしていると気持ちが明るくなる」と言ってもらえます。
私は、この明るい性格で、顧客に気分良くお話をしていただきながら、ニーズを探し、商品やサービスの提案営業につなげていきたいと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
先の自己PRのNG例文を少し直してみました。エピソードに少し具体性を出していますので、内容としても、「明るい」が示す内容もわかりやすくなっています。「明るい」というのが、性格的に明るいというだけでなく、「話すことによって周囲も明るくなる」という影響力があることが伝わってきます。
最後に、明るさを顧客のニーズの発掘や提案営業につなげたいという明確なビジョンを示しており、自分の武器として「明るさ」を使っていこうと考えていることが伝わります。この例のように、「長所がある」ではなく「長所を武器として使う」ことを考えていることを示すことが大切です。
自己PRで「明るい」を使った例文3:良い例
自己PRで「明るい」を使った例文3(良い例)
私の長所は明るい性格です。
私は中学高校とバレーボール部のキャプテンをしていました。瞬間瞬間の判断を求められるスポーツの中では、張り詰めた空気になりがちですが、私の声や性格の明るさに特徴があるらしく、緊張した雰囲気をほぐしてくれるとチームメイトにいつも言ってもらえていました。引退がかかった高校最後の試合、あと少しで負けそうなときに取ったタイムアウトの時間、無我夢中で何を言ったか覚えていませんが、円陣を組んでみんなで大笑いしたこともありました。
私は貴社の中で、この性格を生かし、チームのムードメーカーとなっていきたいと思っています。貴社の目指す従業員の風通しの良い職場づくりをともに頑張っていけたらと思います。よろしくお願いします。
明るい性格を自己PRした例文ですが、ここでは明るい性格について、「ムードメーカー」という言葉であとで言い換えられています。明るいにも色々な種類の明るさがありますが、緊張をほぐし、楽なムードを作ってくれる人なのだろうと感じさせてくれます。
最後に、企業の目指す方向性に触れ、そこに対し貢献できるという姿勢を見せており、自ら積極的にムードを作ってくれそうです。
自己PRで「明るい」を使った例文4:良くも悪くも取られる例
自己PRで「明るい」を使った例文4(良くも悪くも取られる例)
私の長所は、「ひたすらに明るい」ことです。
私はよく「悩みがなさそう」と言われます。悩みは人並みにあると思うのですが、あまりクヨクヨと考えることがなく、常に前向きに物事を考えることができます。大学受験で一度落ちて浪人しましたが、そのときは残念には思いましたが、翌日には予備校とアルバイトをすぐに探して親と今後の相談をしました。失敗しても、すぐに立ち上がって普段通りに明るくできるタイプだと思います。
社会人として働く中では、様々に落ち込みたくなるようなこともあるかと思いますが、いつまでも立ち止まらず、すぐに前を向いて歩けるタフな社会人になりたいです。貴社は教育がしっかりしている企業なので、たくさんの指導を受けて貢献できる社員になりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
この例文の「明るい」は、「前向き」という性格で表現することができます。クヨクヨと考えないという切り替えの速さなども、社会人としては好ましいメンタリティです。今は精神的に参ってしまったり、プレッシャーに弱い人も多くなっていますから、企業としても心強く見えます。
企業として求める人材像がこういったタフな社員であれば、非常に良いアピールとなりますが、特にそういった雰囲気ではない場合には、少しアピールが弱く感じられる可能性があります。
「タフ」だということは、直接的には企業の利益に貢献するものではないからです。体力的・精神的に厳しい仕事であれば評価されますが、体力的にもきつくなく、ほぼ定時上がりの会社だとコミュニケーション能力が高かったり、外国語ができるなどの特徴があった方が評価されるかもしれません。志望する企業の特色に合っているかはよく検討した上で書くことが必要です。
自己PRで「明るい」を使う際のポイント
持ち前の「明るさ」を上手に伝えるにはコツがあります。自己PRで「明るい」を使う場合のポイントについて紹介します。
「明るい」が伝わるようなエピソードを話す
「私は明るい性格の持ち主です」と言うだけでは、明るい性格なのはわかりますが、どのような明るさなのか、またどのくらい明るい性格なのかはわかりません。そのため、自分の表現しようとしている「明るい」が伝わるようなエピソードを入れるようにしましょう。
「明るい」と企業にとってのメリットをつなげる
「明るい」ことはとても良いことですが、就職活動では、それが企業にとってもメリットだと感じてもらえないといけまえせん。そのため、エピソードなどを通して、その明るさが企業にとっても価値があると感じてもらえるように内容を工夫しましょう。
「明るさ」を具体的に表現する
明るい性格というのは、概念が抽象的になってしまいますので、その明るさを具体的に表現するための工夫が必要です。「明るい」を別の言葉で表現してみたり、どのようなシチュエーションにおいて自分の明るさが際立ったのかを表したりしてみましょう。他者から言われた内容なども参考になります。
「明るい」だけじゃないところを見せる
人間の長所は裏返すと短所にもなります。明るい性格ではあっても、所構わず明るく元気に振る舞うというのは、社会人にもなると良くない場合もあります。気配りができる様子であったり、状況に合わせて使い分けられる器用さなどを見せることも大切です。
自己PRで「明るい」を使う際の注意点
「明るい」をアピールする時は、ただ強調するだけでは企業に何をもたらしてくれるのかがわからず、残念な自己PRになってしまいます。自己PRで「明るい」を使う場合の注意点についても確認しておきましょう。
「明るい」ことをわかってもらおうとしない
「私はとても明るいと言われます」「私の明るさによって周囲が元気になりました」「私の明るさは100万ルクスです」などと言われても、「それで?」となってしまいます。明るいということをわかってもらうことが目的ではなく、その明るさが企業にとっても価値があることを示すことが目的です。着地点を間違えないように注意しながら内容を考えましょう。
浅い「明るい話」にならないようにする
「明るい」などの性格を自己PRにした場合、浅い話にならないように注意する必要があります。「私はよく明るいと言われます」というだけのアピールではなく、一歩踏み込んでより深い話として聞かせなければ印象には残りません。自己PRですから、相手の印象に残るような内容を考える必要があります。
面接では実際の「明るさ」に注意
面接の場合には、自己PRとして「明るい」を示すだけではなくて、実際に明るいことを見せていく必要があります。表情一つもそうですし、また声のトーンもとても大事です。自己PRの内容と実物が違うなら、自己分析が足りないという評価を受けることになってしまいます。
「明るい」の自己PRが自己満足になっていないか考えてみよう
性格上のことを自己PRで活用する場合は、それが「自己満足でないか」を考える必要があります。「自己満足でないか」というのは、決して明るさに不足があるということではなく、企業側にとって価値のある明るさなのかどうかという視点で考えてみるということです。
明るい性格は良い性格なのは間違いありません。しかし、企業がその明るさを欲しているのかを考えることが大切で、企業にとって喜ばれる明るさを売り込んでいくことが自己PRとして効果的です。
自己PRは自分を売り込むことですが、自分の持っているものをそのままストレートに出すだけでは難関企業や人気業界になるほど分が悪くなります。企業にアピールした場合に、どのようにアピールするのが効果的か企業側の目線でも考えてみましょう。
自己PRで「明るい」をアピールする時は企業目線でも考えよう
自己PRで「明るい」をアピールする際には、企業目線で考えることが大切です。明るい性格は、コミュニケーション能力が高く、周りの雰囲気を明るくすることができるという魅力があります。しかし、企業にとってもっと重要なのは、その明るさが業務や職場環境にどのようなプラスの影響を与えるかということです。
例えば、業務上でのトラブルやミスが発生した場合、明るい性格の人はポジティブな姿勢で問題解決に取り組むことができます。また、ストレスが多い職場環境でも、明るい性格の人は周りを和ませることができ、職場全体の雰囲気を良くすることができます。
このように、自己PRで「明るい」とアピールする際には、その明るさが業務や職場環境に与えるプラスの影響を具体的に述べ、企業にとって魅力的な人材であることをアピールすることが重要です。