自己分析のやり方を知って就活に活かそう
就職活動をいざ始めようと思ったときに、本やWebサイト、学校の就職課から必ず言われるのが「自己分析をすること」です。自己分析を怠ったまま就活を進めてしまうと、たとえ就職ができたとしても入社後に後悔することになりかねません。「良い就活は自己分析から始まる」と言っても過言ではないのです。
自己分析が必要なのはわかるけれども、やり方がわからないという人のために、その目的やメリットなども併せて、自己分析のやり方について解説していきましょう。
就活のための自己分析は自分に合う仕事を考えること
就活のための自己分析というのは、自分自身の強みや興味・関心、将来のキャリアビジョンなどを客観的に見つめ直し、自己理解を深めることです。自己分析を行うことで、自分に合った仕事や職種を見つけることができます。
自己分析は単に自分が好きなことや興味を持っていることを見つけるだけではありません。自分が得意なことや、これまでの経験やスキル、性格なども考慮しながら、自分に合った職業を選ぶことが重要です。また、将来のキャリアビジョンを見据えて、自分が成長し続けられる職場や業界を選ぶことも大切です。
自己分析は、将来の自分を見据えた重要なステップであり、十分な時間をかけてじっくり考えることが必要です。就活の前に、自己分析に取り組むことをおすすめします。
自分を理解するのが自己分析の目的
社会人の方は会社や仕事の為、大学生の方は就職活動の為など目的は様々ですが、そもそも自己分析は何のためにやるのでしょうか。
本来の目的は自分の為に自己分析をします。自分で自分の事を理解している人は少ないでしょう。その為、自己分析という形をとって改めて自己分析をするのです。
自己分析をする事によって就職活動や転職活動でも、自分がやりたい仕事や業務が見えてくるでしょう。
自分自身を再発見しよう
しかし自己分析が不要だと考えている方も少なくありません。就職する為には必須だとか就活マニュアルに書かれていたからとりあえずやってみた、と言う方も多いと思います。
もちろんそれでも良いのですが、自ら進んで自分を見つめ直すという気持ちが重要になります。 そうする事で素直な気持ちで自己分析に望める事でしょう。
就活中の方には避けては通れない自己分析ですが新たな気持ちで自分を再発見してみるのも良いのではないでしょうか。
自己分析はできるだけ早く始めたほうが良い
冒頭でも述べているように、良い就活は自己分析から始まると言っても過言ではありません。就活を成功させるため、自己分析を始めるのは早ければ早い方が良いです。
自己分析は、思った以上に時間がかかります。「自分のことだし、すぐにわかるだろう」と思っても、意外と自分のことは良くわからないものなのです。様々なツールを用いて自分について分析し、自分の経験やその時々の感情を棚卸ししていくには時間を要します。
就活時の自己分析には、しっかり本腰を入れて一週間程度かけると良いでしょう。また、一度で終わらせず、随時自己分析を続けていくくらいの姿勢が必要です。
ただし、あまりにも早くから自己分析を始めてしまうと、自分の成長や変化によって分析結果が変わってしまうこともあります。就活の自己分析としては、就職を本気で意識し始めた頃から始めましょう。
自己分析でわかることは?
就活する際に欠かせない作業の1つとされる自己分析ですが、自己分析から具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。ここで、自己分析によってわかることを紹介します。
自分自身の人柄
自己分析では、自分がどういう人なのかを正しく理解することができます。どんな時に強くいられて、そんな時に弱い部分が出るのか、他者との関係ではどのような特徴があるのかなど、自分の人柄に関して考えましょう。
企業はエントリーシートや面接を通し、その就活生が「一緒に働きたい人か」を見ています。就活生の人柄は企業にとって大事な評価ポイントですので、しっかり分析しましょう。
自分の強み・弱み
自分の性格、持っている技術や知識などの中から、他者と比較した場合に強みと言えるものを探しましょう。強みは、自分を強く印象付けて他の応募者と差別化するポイントになります。また、強みがわかると、自分のことをより魅力的にアピールすることができます。弱みも時には強みになる場合がありますから、強みだけでなく弱みも探してみましょう。
自分の好きなこと
自己分析で、自分の好きなことについてもわかります。これは食べ物の好みや、趣味の話ではなく「どんな時に喜びを感じるか」ということです。人を助ける時に喜びを感じる、人前で演説するのが楽しいなど、仕事に結びつけられそうなことを探してみましょう。
自分がやりたいこと
自分が今後、公私の両方でやっていきたいと思っていることも自己分析をすることで見えてくるでしょう。仕事としてやりたいことと、プライベートでやりたいことは一致していても、違っていても構いません。仕事探しの方向性に深く関わる部分ですので、納得いくまで考えてみてください。
自己分析でおすすめのやり方
ここからは、就活生の自己分析におすすめの代表的なやり方をいくつか紹介します。数種類の方法を試してみてその中から自分に合ったやり方を選んでも良いですし、複数のやり方を組み合わせても良いかもしれません。
SWOT分析をする
SWOT分析は、主にマーケティングにおいて企業のポジションを考える上で使われる方法ですが、自己分析の手法としても定番となっています。
具体的には強み(Strength)・弱み(Weakness)・脅威(Threats)・機会(Opportunities)という4つの項目について考え、それを掛け合わせることで自分が取り組めそうなことや、避けたいことなどを探していきます。
たとえばSWOT分析を行った結果、「難しいことを考えるのは苦手だけど、人と話すことに抵抗がなく、田舎から都会に出てきて両方の事情をよくわかっている」という人なら、「営業職が合っているかもしれない」と考えることができます。
心理テストをする
心理テストは、自分の知らない自分を発見したり認識したりするために有効です。就活の自己分析でよく使われる心理テストとしては、「ジョハリの窓」や「エニアグラム」などがあります。心理テストは友人と一緒に行ったりすると楽しく、また互いに協力しながら進めることができます。一方で楽しくなって脱線もしやすいので注意しましょう。
ジョハリの窓
ジョハリの窓は、「自分も他人も知っている自分」「自分だけが知っている自分」「自分は知らず他人だけが知っている自分」「自分も他人も知らない自分」の4つの自分について考えたり、周囲から意見をもらったりすることによって自分を客観的に見つめていくものです。
エニアグラム
インターネットでもエニアグラムで自己分析ができるサイトがいくつかあります。エニアグラムの自己分析テストは的中率も高く人気がある自己分析方法です。
エニアグラムは、様々な質問群に答えていくことで、その結果からグラフを作成し、グラフの類型から自分の性格上の特徴や程度を考えていきます。
エニアグラムではテストした人を9つの性格に分類して基本的な自己分析をする診断方法です。ビジネスやカウンセリング、就職試験にも採用されているほど信頼度は高いので一度活用してみるのをおすすめします。
自己分析になれない時や、行き詰った時などはインターネットを活用すると息抜きにもなり良い結果がでるかもしれません。
自分史を作成する
自分の経験や実績などを分析し、自分を客観的に見つめ直す方法が自分史の作成です。生まれた時から現在に至るまで、自分の経験した出来事を様々な角度から掘り返して記録していきます。
作成の過程で自分の過去を整理できますし、客観的に自分史を眺めることで気づいていなかった自分という人間について知るきっかけになり、自己分析に役立ちます。
自分史を考えることは、過去の自分、現在の自分を知る事ですが、それは未来の自分を考えることにも繋がってきます。未来のビジョンを描くためにも、自分史は避けて通れない道なのです。
自分史を辿ることで、過去の自分の夢や希望を再確認しましょう。過去をみつめて、自分はどのように生きてきたのかエピソードを連想しながら考えて行きます。 小さい自分は何をして遊んでいたのか、学校ではどのような人物だったのか、自分のクラスや担任の顔などを思い出すと多くの情報があると思います。
その中には自分の夢や抱いていた希望もある事でしょう。そのような部分をピックアップする事で過去の自分を探す事ができるでしょう。
そして、自分は今どのような状況なのか、そこに自分自身を省みる視点ができます。 今の自分はどのような事をしているのか、どのような趣味なのか、何かに熱中している事はあるのか、大学生の方であれば何を学んで、何に興味があるのか、社会人の方であればどのような業務でどのような責任があるのか。
過去に抱いた夢は達成できたのか、現在の自分を辿って行く事で、改めて自分を見つめ直すことができるでしょう。そしてそれを元にすると現在の不満点や改善したい事が見えてくるでしょう。
ライフプランを作成する
自分の今後について、「仕事」「家庭」「収入・財産」「趣味」など様々な視点から考えてみるのがライフプランです。「何歳の時にはどうなっている」という状態を具体的に思い描いていくことで、今後のキャリアの重ね方ややりたいことなども見えてくるようになります。
未来の自分を考える事は自己分析で一番重要な事だと言えます。それは何故かというとこの部分が就職活動で強みになるからです。
どのような仕事について、どのようなキャリア設計を考えているのか、1年後の自分、3年後の自分、10年後の自分など、短期的な期間から長期的な期間で考えてみましょう。
それから過去の自分と現在の自分を自己分析した結果を将来の自分に当てはめ、未来のビジョンを見つけます。過去、現在、未来をリンクする事で自分がこれからやりたい仕事や業務などのキャリア設計ができるでしょう。
他己分析をする
自分だけでは、なかなか自分のことはわからないものです。数人で集まって、互いのことをどういう人間か、どういう長所や短所があるかなど紹介し合ってみましょう。
他己分析をすることで、自分では気づけなかった新たな一面を発見できるかもしれません。普段から仲が良い人ばかりで集まって他己分析を行うと、見解が偏ることがありますので、様々な距離感の人と行うのが客観性を保つコツです。
自分に合ったやり方で自己分析を行った後は「加工」しよう
自分に合うやり方で自己分析を行ったら、その分析結果を必ず「加工」するようにしましょう。加工すると言っても、嘘をでっちあげるということではありません。分析結果を企業に対して魅力的に伝えるための加工を行うということです。「加工」のポイントを見てみましょう。
主だった自己分析結果を自身のストーリーとしてまとめる
エントリーシートや面接で企業は就活生に様々なアピールを求めますが、その際に就活生は自分の主張を裏付けるエピソードを紹介することになります。自己分析の結果を自分自身のストーリーとして、無駄なく魅力的に伝えられるようにまとめておきましょう。
エントリーシートなどの書類に書くにしても面接で話すにしても、文字数や話せる時間に制限があるため、自己分析結果を全て伝えることは難しいですが、話の流れがしっかりできていれば必要に応じて、ポイントを押さえつつ簡潔にまとめられるようになります。
自分をアピールするためのキャッチコピーを作る
自己分析をして自分のことを理解することができたら、どのようにアピールできるかを考えましょう。自分をそのまま表現したとしても、残念ながら高く評価されるとは限りません。企業の採用担当者や面接官は、日々多くの応募者の書類確認や面接に応じていますので、その中で印象に残るアピールが必要です。
たとえば「私の特徴は真面目なことです」では流されてしまいかねませんが、「私の特徴は真面目なことで、友人たちからつけられたあだ名が『委員長』です。」なら担当者も少し気になるでしょう。自分という人間や特徴を強く印象づけるキャッチコピーがあると、企業側の印象に残りやすくなります。
自己分析を行うメリット
自己分析には、就活をする上で様々なメリットがあります。自己分析をしっかりすることで、どのようなメリットを得られるのか紹介していきます。
自分の志望する業界や業種が明確になる
自分がどういう人間かがわかってくると、自分のやりたい仕事や満足感を得ることにつながる仕事が見えてきます。世の中には実に様々な業種や職種がありますが、しっかり自己分析ができていることで、自分の志望する業界や業種をきちんと絞り込んで企業研究を行うことができるようになります。
不要な業界調査にかかる時間をなくすことができる
自己分析をすることを時間の無駄のように感じてしまう人もいますが、実際には自己分析をしっかり行うことで、不要な企業や業界の調査に多くの時間を費やす必要がなくなるため、時間に余裕が生まれます。昨今の就活では短期間で多くのタスクをこなす必要があるため、自己分析がしっかりできているほど就活のスケジューリングも楽になります。
自己PRがしやすい
就活は企業に自分を売り込む場ですので、効果的な自己PRが大切です。自分に合ったやり方で自己分析をすることで、志望動機や自己PRなどでアピールするべき内容をすぐに頭の中から取り出すことができるようになります。
他者との差別化ができる
丁寧な自己分析に基づき自己PRをしっかり行うことで、自分の長所が明確になりますので、他の人と差別化をするためのポイントも見えてきます。一般的な情報に基づくアピールは、誰が行っても大差はありませんが、実体験に基づいたアピールは他の人には真似することができないオンリーワンのものとなり、企業側の印象に強く残ります。
将来的に他でも使える
自己分析の用途は、就活で内定をもらえばそれで終わりではありません。将来的に他の機会でも使えるのが自己分析のメリットの1つとも言えるでしょう。やり方を覚えて一度しっかり自己分析をしておくと、企業での研修やお見合いなどの婚活、転職活動など自分をアピールしなければいけない様々な場面で、分析結果を再利用することもできます。
自身を着飾った自己分析には意味がない
時折、「自己分析には意味がない」と意見も見聞きしますが、その言わんとしているところはほぼ同じで、「人マネをしたり、自分を繕ったりしても意味がない」という主張です。しかし、この主張は、本来あるべき自己分析に対して行われているのではなく、就活のために自分を飾っている人に対して向けられています。自己分析をした結果を、企業が気に入りそうな形に加工して、自分らしくない自分を表現している人に対しての批判なのです。
自己分析すること自体に意味がないのではなく、自己分析結果をごまかしたり飾ったりしても意味がありません。自己分析は就活を良いものとして終えるために欠かせません。就職は自分と企業の相性が最も大きな問題ですが、一方的に考えられた相性や自身を飾ってわざと合わせた相性では、内定が出ても結局その企業に長く勤めることはできないでしょう。
自分を知り、企業を知ることが就活での成功のポイントです。自己分析の結果、もし自分が就職したくない、働きたくないことがわかったとしても、それが見つかったことで改めて自らの進路を考えることができるようになるのですから、決して無駄ではありません。
自己分析は自分に合うやり方で早めにすることが大切
自己分析は就活を行う就活生にとって必須のプロセスですが、そのやり方は実に様々です。自己分析はあくまで就活に必要な範囲でできれば十分で、それ以上に行うのは時間を無駄にすることになります。貴重な就活の時間を無駄にしないためにも、自分に合う自己分析のやり方を見つけることが大切です。
就活のスケジュールに余裕をもたせるためにも、自己分析は早めに行うことが鉄則です。充実した自己分析から、満足いく就職活動を行えるようにしましょう。