応募準備

ボランティア経験を自己PRで上手に伝える7つのポイント

ボランティア活動を自己PRで紹介しようとは思うけど上手くまとまらないと悩んでいませんか。採用担当者に響く内容にするにはいくつかのポイントがあります。ボランティア活動に対して企業が求めているものとそれに応じた答え方の注意点を理解しましょう。

ボランティア活動を自己PRとして活かすのは難しいことも多い

今ではボランティア活動に参加する方も増え、お金や名誉などの俗物的な報酬ではなく社会貢献や共生社会への助成などのために動く方が多くなっています。また、それは社会一般に広まっており、企業側が面接で聞く内容にもなっています。

ボランティアの内容は多様化していますが、突き詰めていけばその目的は社会貢献です。特に、大きなボランティア団体だと他の就活生との差別化が難しく、自己PRとして扱うにはなかなか難しい部分も多いものです。

今回はそんなボランティア活動を自己PRとして述べる場合のポイントについてまとめました。エントリーシート作成時や面接を受ける際にボランティアの経験を活かしたいと考えている就活生は参考にしてみてください。

自己PRで述べるボランティア経験が企業から評価される理由

近年の社会貢献への評価の推進とともに、ボランティア活動への評価も高まりつつあります。そのため企業もこのボランティア活動を軽視せず、ひとつの価値観の指標として考えているところが少なくありません。要は、ボランティア活動の量や内容が重要なのではなく、その中におけるあなたの行動や考え方が気になっているのです。

ボランティア活動の経験を自己PRテーマとする際には、企業側が何を知りたいか、その意図を汲み取らなくてはなりません。その意図と自らのボランティア経験を結びつけるようにして自己PRを考えなければ、就活では役に立ちません。

企業に自身のボランティア活動を自己PRとして伝える上で注意したい2つのポイントがあります。それは「社会に対する意識」と「行動志向」です。これらは応募者に対する企業の評価ポイントでもあります。

1 社会に対する意識が高いと見なされるから

「社会に対する意識」とは、あなたが普段の生活でどんなことに関心を寄せたかということです。
例えば、「同じ大学でも親のお金を使って豪遊する者と苦学生がいるのはなぜだろう」「介護施設での問題発生には現場だけに原因があるのだろうか」など、日常やニュースなどから感じられることを指します。ここには社会に対するアンテナをしっかり張れているかその情報に対して適切な分析ができているかということが求められています。

2 行動志向の人と見なされるから

「行動志向」とは、ボランティア活動をするに至った経緯やその場でどのような行動を起こしたのか、またそこから何を感じたのかということです。つまり、「社会に対する意識」が事前の考え方に対し、これは行動中や事後における物事のとらえ方を尋ねています。

ここで重要なのはあなたに対する周囲の評価です。ここからあなたの行動がどのようなものだったのかということを推測できるためです。

この2点を踏まえてボランティア活動での経験を紹介していくわけですが、もちろんあなた自身の感情も込めて大丈夫です。ただし、嬉しかった、悲しかったなどを連発しても内容が把握できませんので、多用せず効果的に使える程度に抑えておきましょう。そして、ボランティア活動自体ではなく、そこでのあなたの行動や考え方が重要ですのでくれぐれも忘れないようにしてください。

ボランティア活動での経験を自己PRで効果的に伝えるコツ

ボランティア経験を自己PRに盛り込む場合、効果的に伝えていくためにはいくつかのコツがあります。そのコツのうち、どうしても知っておいていただきたい7つがあるので参考にしてみてください。

1 ボランティアとビジネスは別物ととらえる

どうしてもこの区別ができないまま面接に臨んでしまう方がいます。この点はNGです。なぜならば企業はボランティア、無償の愛を振りまくために存在しているわけではないからです。

企業理念の中に「社会とともに生きていく」などという美しい言葉が書かれています。この理念に自体に共感するのは良いのですが、その会社は生み出した利益の中から必要な費用を引き、その中から納税をして社会に還元しています。そして残った利潤等で更なる発展を目指し良いサイクルを生み出していきます。企業はボランティアありきではなく、ビジネスによってボランティアを行使できる立場なのです。

「○○という経験から御社のお力になれるかと思います」だけでは、何が「お力」になるのかも分からず、そもそもビジネスでも使えるのかという問に答えていることになりません。ボランティアの素晴らしさや経験だけを伝えるのではなく、そのことが今の自分にどうつながっているのかが重要となります。

2 自慢話にならないようにする

他人の自慢話は退屈で、意図からずれている場合が少なくありません。それは面接の際も同じです。
例えば、あなたがボランティア経験を自己PRとして「私は海外で学校を作るプロジェクトのお手伝いをしました。そこで、私は学校で使う教材の使い方や机の配置、学習に欠かせない用具を買うための資金調達をしました。地元の大人たちにも感謝され、私自身も大きな達成感を感じました」と答えても、面接官には「それはすごいですね」と言われて終わりです。

企業側がこの質問で聞きたいのはあなたのできることではなく、あなたの考え方やその経験を通しての考え方の変化です。その場にいない面接官は先ほどのようなことを聞いても結局は他人事です。それを身近なことに感じさせるには、あなたという人がどのような行動をする人なのかを知っておかなければなりません。そのために必要なのは自慢話ではないということを理解しましょう。

3 ボランティア活動を始めたきっかけをハッキリと述べる

実は、このボランティアを始めたきっかけという部分が一番聞き手の関心を寄せるところでもあります。なぜならば、あなたの当初の考え方と今の考え方の比較や、あなたの行動志向について把握できるからです。そのため、ここで曖昧なことを言うと「信用できない人」という評価をされてしまいます。

答え方の例としては、次のようなものが考えられます。

ボランティアを始めたきっかけ回答例

私の実家は昔よりも景観が損なわれてしまいました。それは若い人達を中心に多くの人が離れていってしまい景観の維持が難しくなったためです。
私は景観の美しさが人の心を豊かにするものだと考えており、それが地元以外の地域でも美化に関するボランティアに参加しようと思った理由です。

こちらは景観を保護のためにボランティア活動をしようと思ったという例文です。この例文に限らず、理由は一言でなく時系列順に伝えると効果的です。

4 就職した後にボランティア経験がどう仕事に繋がるのか書く

あなたがボランティア活動を熱心に取り組んでいることが分かっても、それがその企業にどのような利益をもたらすのかが伝えられなくてはなりません。

多くの会社が求める人材の関心事のひとつとして「熱心に会社へ勤める」という点が挙げられます。これは言い換えると「会社の仕事にやりがいをもって働けるか」ということです。このやりがいがきちんと自身の中に落とし込まれていればよいわけです。

ボランティア経験がどう仕事に繋がるかの回答例

老人ホームでの介護のお手伝いのボランティアをさせていただいた際に、ご年配の方々と話すことで人生観が広がり、その方々にも喜んでもらうことができ非常に有意義な時間を過ごさせていただきました。しかし、その経験は介護の一面にしか過ぎず、いろいろな面から介護に携わる必要を感じました。

この例文は発信者のやりがいや目的が述べられており、面接官が聞きたい内容を網羅しています。ボランティア経験を述べる際には、このやりがいや目的がその会社にマッチすることが重要です。ここがマッチするということは就職後にもつながる大きな自己PRポイントに繋がります。

5 ボランティア経験を客観的に評価する

ボランティア活動の量や内容は問いませんが、ある結果に対してあなたの立ち位置がどうなっているのかは企業としても気になる部分でしょう。そのボランティア活動に対しての目的を設定し、結果はその目的に近いのか遠いのかなども答えるべきです。つまり、結果とあなたの予想の違いは何で、その結果にあなたはどう感じたのかを述べる必要があります。

これをしっかり答えられるということは、日ごろから自分に対して客観的に見ようとする有能な人材ということで高評価につながります。その高評価のためにするわけではありませんが、少なくとも現状をよりよくしようとする姿勢は将来的にも重要なことです。

6 ボランティア活動で得られたことを一言で述べる

ボランティア活動を経験したことによって、自分が手に入れた考え方を一言(標語のように)でまとめられると、採用担当者の注意をひくことが可能となります。
ボランティア活動から得られることは多く、その感じ方は人それぞれです。そのため、同じように見えても考え方の微妙な違いが出てきてしまい、そこを具体的にすることでライバルと大きな差をつけることができます。

7 自己PR文章のフレームを掴んでおく

ボランティア経験における自己PRでは4つの段階で説明することで効果的に相手に伝えることができます。

いわゆる「計画→実施→点検→見直し」を繰り返すPDCAサイクルに似たものです(注1)。この自己PR文のフレームは就職後にも使える内容ですので、しっかりと覚えておいてください。

ボランティア活動での経験を伝える自己PR例文

ボランティア活動の自己PRについての例文を3パターンご紹介します。ボランティア活動に関しての述べ方が分からないという方は是非参考になさってください。

ボランティア経験をテーマにした自己PR例文1

私の自宅近くには小学校があり、私自身が車を運転することもあり子供たちの安全について不安がありました。そこで集団登校を見守るボランティア活動に参加させていただきました。その中で多くの児童を安全に登校させるためにはリスクが溢れていました。そのリスクを回避するために近所の皆さまの力を借りて監視する目を増やすことで児童の登校の安全性を高めることができました。

この経験から常にリスクは何か、そのリスクにはどう対処すればよいのかを考えるようになりました。御社に入社後は児童の安全性をお客様の満足度に置き換えてリスク管理を中心に高めていきたいと考えております。

ボランティア経験をテーマにした自己PR例文2

私は異文化間交流というものに興味があり、カナダへボランティア留学を志望いたしました。そこでは子供たちに異文化を教えるという内容でしたが、事前のミーティングでメンバー同士の衝突が問題でした。そこで私が提案したのが1時間の自由時間でした。この自由時間でボランティアの目的から離れてメンバーの同士の交流を深めることが目的でした。結果としてメンバー間での信頼関係が芽生え、お互いに笑顔になる時間も増えました。

この経験から改めてチームの重要性を知り、私はそのチーム内をつなげる能力を伸ばすことに専念してまいりました。入社後はこの能力を使ってさまざまな企画に携わりたいと考えております。

ボランティア経験をテーマにした自己PR例文3

私は日本の豊かさを海外にも分け与えていくべきだと考えております。その考えからカンボジアの学校設立プロジェクトに参加しました。そこでは何もかもが初めてのことで言葉も文化も違うため、はじめは混乱していました。しかし、途中から「なんにでも始まりがある」という風に思い始めました。そこからは自分でも意欲的に参加することができたと思っています。

思い始めてからも失敗はありましたが、その中でどういったことが喜ばれるのかが分かるようになり言葉や文化を近づけることができました。これは日本国内でもある違いであり、お客様と従業員の関係にも当てはまると思います。そのため何事にも前向きに取り組む姿勢を大事にしてくべきだと考えています。

ボランティア活動は自発的な社会貢献ですが、見返りを求めてはいけないわけではありません。ボランティアという経験を通じて何が得られたのか、広い視野で確認するクセを着けておきましょう。

ボランティア経験を自己PRテーマにするならビジネスに繋がる内容にしよう

ボランティア経験は、自己PRのテーマとして非常に有効なものの一つです。しかし、ただボランティアをしていたというだけでは、他の応募者との差別化が難しく、採用担当者に印象を与えることができません。そこで、ボランティア経験をビジネスに繋がる内容にフォーカスすることが大切です。

例えば、ボランティアでの活動が社会問題解決に貢献していた場合、「社会問題解決のためのアプローチや戦略を考え、実行に移すことができる能力を身に付けた」という具体的な成果をアピールすることができます。このように、ボランティアでの経験を通じて身に付けたスキルや能力をビジネスに応用することができる点をアピールすることで、採用担当者に自分自身の価値をアピールすることができます。

また、ボランティア活動を通じて得た人間関係やコミュニケーション能力も、ビジネスに繋がると考えられます。例えば、ボランティア団体のメンバーとのコミュニケーションを通じて、多様な価値観や意見を受け止め、柔軟な思考力や問題解決力を身に付けたというエピソードを交えることができます。

したがって、ボランティア経験を自己PRのテーマにする場合は、ビジネスに繋がる内容にフォーカスすることが重要です。自分自身がボランティア経験を通じて得たスキルや能力をビジネスに応用できることをアピールし、採用担当者に自分自身の価値を訴えることが重要です。

参考文献

  • 注1:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構「情報セキュリティマネジメントとPDCAサイクル」