両立支援等助成金で仕事と育児や介護を両立しよう
両立支援等助成金についてご紹介します。両立支援等助成金とは何か、どんなことに期待できるかについてご説明します。また、仕事と育児や介護をする人の力になれる両立支援等助成金の6つのコースについて解説します。両立支援等助成金の対象となる中小企業の定義についても触れます。
両立支援等助成金を活用しよう
両立支援等助成金を活用することによって、今までよりも働きやすい社会が作られています。この制度は、働く女性や育児をする労働者などを抱える事業主にとって、とても有益なものであると言えます。しかし、両立支援等助成金についてまだまだ周知が十分であるとは言えないのも事実です。
介護や育児は、離職の原因となる大きな要素です。それらを理由に職場を離れようとする優秀な人材を引き留めるためにも、両立支援等助成金は大いに活用されるべきなのです。両立支援等助成金のように、職場への復帰をしやすくするものは労働者にとっても味方になってくれます。
従業員が実際に辞職をするとまではいかなくとも、休業をしやすくするという面でも、両立支援等助成金は大きな役割を果たしています。ですから、この制度を知っておくことはとても重要であると言えるのです。
このように、従業員が働いている中で何らかの理由でスムーズに働くことが難しくなった場合に、それを救済してくれる措置については、事業主はひとつでも多く知識を蓄えておくべきです。特に両立支援等助成金は種類が多くあるため、当てはまるケースがあるという場合も起こり得る可能性が高いでしょう。
事業主も従業員も、万が一両立支援等助成金を利用することになった場合に、何も知らずに対応に追われることがないように、今のうちにあらかじめ知識を身につけておきましょう。
両立支援等助成金とは?
両立支援等助成金とは、企業が、男性の従業員が育休を取得した場合や、介護と仕事の両立のための職場の環境を整備した場合などに政府に支給を申請できる助成金のことを指します。また、これを実施しているのは厚生労働省です(注1)。
両立支援等助成金は、働くことと育児や介護を両立させることを支援するために作られた制度です。企業が、男性が積極的に育休を取得しやすい環境を整備したり、介護休業についての理解を示すことを促したりすることを目的としています。
そういったことを勧めると同時に、企業に助成金を支払い、更に活動の活性化を図っています。両立支援等助成金は、何らかの理由で働くことに支障が生まれてしまった人に対して企業が救済措置を講じるための一助となっているのです。
政府はこういった取り組みに積極的な動きを見せており、男女が関係なく育児に取り組んだり、介護からの職場復帰などへの抵抗感の緩和に繋がったりすることへの期待を寄せています。
両立支援等助成金は、男性にも女性にも平等にその効力が発揮されるように考えられている制度です。育休や介護休業というと、これまではどうしても女性をイメージしがちだったかもしれませんが、今日では女性も男性と同様に社会で活躍しています。ですから、その流れに合わせて両立支援等助成金はあえてその対象を女性に絞っていません。
企業は政府からこの両立支援等助成金を受け取り、さまざまな恩恵を受けることができます。助成金を受け取ることができるというのは、金銭面で喜ばしいというだけではなく、従業員の意識に働きかけることができるようになるからです。
両立支援等助成金に期待できること
両立支援等助成金に実際に期待できることは、まず男性でも育休を取ってもいいのだという認識が職場に広まるということです。男性が育休を取得した場合、それに対して職場全体が協力する雰囲気が作られることが望ましいとされます。
男性の育休の取得制度に関する知識や存在の周知が進められ、会社全体がそういったことに積極的に取り組む流れを作り出す土壌を作り出すことに成功するための一歩として両立支援等助成金が使われます。
また、介護離職防止支援としても両立支援等助成金は活用されます。従業員に向けて社内研修を行うことによって、介護休業の存在を広めることが期待されます。企業にとっても、介護休業についての規定や現状についての把握や見直しについての良い機会となるでしょう。
そして、男性に限らず育休を支援する制度では、育休前後の従業員のフォローに力を入れることができます。このことにより、従業員が何を求めているのかヒアリングする機会を作ることができると言えます。
育休や介護休業を理由に退職した人をスムーズに再雇用することにも両立支援等助成金は役立てられています。このことにより、企業は以前よりも楽に再雇用した優秀な人材を確保することに成功できるのです。
両立支援助成金を使うことによって、企業は優秀な人材を手放すことを食い止めることができるようになります。また、やむを得ず働くことから離れなければならなくなっている人にとっても、企業の取り組みによって働き続けられるようになるというメリットがあります。
両立支援助成金について企業が理解をし、積極的に導入していれば、従業員が更に働きやすい環境が作り出されることが期待されると言えるでしょう。
両立支援等助成金が使える6つのコース
両立支援等助成金には、6つのコースが用意されています。それぞれの事情に合わせてコースを選択してください。
事業所内保育施設コース
事業所内保育施設コースは、保育施設を事業所の中に設置、増築、あるいは運営する事業主にその費用を一部助成する両立支援等助成金の制度です。これを利用することによって、会社の中で小さい子どもを見ていたいという母親や父親の従業員の要望に応える一助になります。
出生時両立支援コース
男性労働者が育休を取得しやすい職場づくりのために努力し、男性労働者に育休を取得させた事業主に両立支援等助成金が支払われます。
この場合の「男性労働者が育休を取得しやすい職場づくり」とは、男性労働者を対象に育休制度の利用を促進するための資料などを周知すること、または、管理職による子供が生まれた男性労働者への育休制度の推奨、そして男性労働者の育休取得についての管理職向けの研修の実施のことを指します。
このような取り組みのいずれかを、対象の男性労働者の育休開始日の前日までに行っていることが両立支援等助成金を支給されるための条件となります。
介護離職防止支援コース
介護離職防止支援コースは、介護を理由に退職する従業員を減らすために設けられた両立支援等助成金のコースです。企業がこれを受け取るには、事業主が人事労務担当者などによる社内研修を実施することと、仕事と介護の両立支援制度などの周知のどちらも行わなければなりません。
介護支援プランの作成も義務付けられています。介護支援プランとは、事業主が作成するもので、労働者の介護休業の取得及び職場復帰を滞りなく進めるための措置を定めたプランのことを指します。
他にも細かく条件付けがされており、両立支援等助成金が給付されるためにはさまざまな手続きを踏むことが必要とされています。
育児休業等支援コース
このコースで両立支援等助成金を受けられるのは中小企業に限られています。また、事業主は育休復帰支援プランを作成する必要があります。このプランは事業主が作成する雇用保険被保険者の育休の取得及び職場復帰をスムーズなものにするための措置を定めたものです。
この中には、育休取得予定者の業務の整理と引継ぎに関する措置と、育休取得者の職場復帰支援のための育休中の職場に関する情報と資料の提供に関する措置が含まれていなければなりません。
そして、雇用保険の被保険者として雇用している育休を取得する予定者、またはその配偶者の妊娠について把握した後、育休を取得する予定者の上司または人事労務担当者と育休取得予定者が面談をし、結果を記録する必要があるともされています。
再雇用評価処遇コース
このコースでは、事業主が、妊娠や育児、介護などが理由で退職した労働者がまた就業できる環境になった場合に、その経験や能力が適切に評価されて再び働くことができる再雇用制度を実施し、再雇用者を継続雇用した事業主に両立支援等助成金を支給するというものです。
女性活躍加速化コース
このコースは女性活躍推進法に基づいています。女性の活躍に関する「数値目標」、数値目標の達成に向けた「取組目標」、それらを盛り込んだ「行動計画」を設定して具体的に取り組み、目標を設定した事業主に両立支援等助成金が助成金として支給されます。
両立支援等助成金の対象となる中小企業とは
両立支援等助成金の対象となるのは、一部中小企業のみの場合があります。そこで気をつけておきたいのが、その中小企業の定義です。両立支援等助成金を申請するにあたって、中小企業と呼ばれる企業の規模は以下の通りです。これらが両立支援等助成金を給付されるための中小企業の定義とされています。
- 飲食店を含む小売業では資本金の額が5,000万円以下、または常に雇用する労働者数が50人以下
- サービス業では資本金の額が5,000円以下、または常に雇用する労働者数が100人以下
- 卸売業では資本金の額が1億円以下、または常に雇用する労働者数が100人以下
- その他の業種では資本金の額が3億円以下、または常に雇用する労働者数が300人以下
両立支援等助成金は子育てと仕事の両立の助けになってくれる
両立支援等助成金が企業に給付されることによって、企業の考え方が変わってくることが予想されます。これまで男性の育休に理解がなかった風潮が変化していったり、産休から職場復帰しにくかった環境が改善されていったりと、職場全体の雰囲気も違うものになっていくことは間違いありません。
両立支援等助成金のように、政府が積極的に社会で働く人たちの環境を変えようとしてくれていることは、企業にとっても従業員にとっても、とてもプラスに働いてくれることです。こうした動きがどんどん活発になってくれることを今後も期待していきましょう。
両立支援等助成金は、企業が給付されたらすぐに従業員のために役立てられる制度です。このような制度の恩恵を受けながら、働きやすい職場づくりを目指していきましょう。
参考文献