仕事を辞めてから転職するメリット・デメリットと注意点
仕事を辞めてから転職する場合、仕事を続けながら転職活動をするのと比べどのようなメリット・デメリットがあるか、いざ転職活動を初めた時の注意点と共に確認しておきましょう。収入が無い状態での転職活動をスムーズに進めるために転職までの流れもご紹介。
仕事を辞めてから転職活動をするには?
現在就いている仕事に不満を抱いている人は沢山いらっしゃることでしょう。仕事が辛い、労働時間が長い、人間関係がしんどい・・・そんな職場に嫌気が差し、転職をしようか悩んでいる方、また仕事を辞めてしまった方。そんな方に、仕事を辞めてから転職する際のメリットやデメリット、仕事を辞めてから次の職を探す際の注意点、転職にあたっての流れをご案内。
どっち?!仕事をしながら転職活動?それとも辞めてから?
結局のところ、仕事をしながら転職した方が良いのか、それとも辞めてからした方が良いのか迷う方も多いはず。そこで仕事をしながら転職活動をする場合と、仕事をやめてから転職活動をする場合のメリットとデメリットを確認しておきましょう。
仕事をしながら転職活動をする場合のメリット
- 金銭的な不安がない
- 経歴にブランクができない
- 転職活動がうまくいかなくてもリスクが少ない
- 金銭的期限が無いので納得できる転職先を探せる
- 転職先で使う技術を現職で身につけることも可能
- 他の会社と比べることで現職が恵まれていると気付ける
- 求人が多い期間まで待って転職先を探せる
特に雇用保険があるとはいえ、貯金を切り崩さなくても転職活動を継続できるという点で、仕事をしながらの転職活動はリスクが少ないと言えます。また、一時の感情で転職を決意した人も、他の会社と現職の待遇を見比べることで、「現職を継続してみよう」と冷静に判断することもできます。
仕事をしながら転職活動をする場合のデメリット
- 時間がない
- 面接などの日程調整が難しい
- 日々の仕事に追われて転職を諦めてしまう
- 転職活動してることが会社にバレると気まずい
仕事をしながら転職活動をする場合は、時間がないことが一番のデメリットとなります。そのため、転職活動期間が長期化してしまうことは避けられないでしょう。転職活動は体力・気力を伴うため、あまりにも長期化すると転職を諦めてしまう人もいます。転職を諦めることが良いことか悪いことかは、現職の内容と自分のライフプランを加味して考慮する必要があります。
仕事を辞めてから転職活動をする場合のメリット
- 仕事に行かなくていいから体を休められる
- 面接などの日程調整がしやすい
- すぐに入社できる人材としてアピールできる
- 資格取得・スキルアップのために時間を使える
- 転職先の入社日を調整することで長期間の自由な時間を得られる
- 金銭的期限から必ず転職するという気持ちを持てる
仕事を辞めてからの転職の場合、やはり時間の制約がないこと、何よりもすぐに入社できるという点は人手不足の企業に良いアピールとなるでしょう。また、異業種への転職に向けて、資格や技術を身につけるために勉強する期間を設けることもできます。
体力や精神的に落ち込んだことで転職を考えている人は、現職を続けながらの転職活動が長引く場合、鬱などを発症してしまう可能性があるため、自分の体を一番に考えすぐに退職してしまうのも得策です。
もちろん、現職場での改善が最も望ましいのですが、どうしても合わないということは有り得ますから、絶対に無理をしてはいけません。
仕事を辞めてから転職活動をする場合のデメリット
- 経歴にブランクができる
- 計画性がないと思われてしまう恐れがある
- 金銭的な不安がある
- 金銭的期限から転職先を妥協してしまう
- 他の企業と退社企業を比べて退職したことを後悔する可能性
- 時期によっては求人が少ないタイミングがある
やはり仕事を辞めてからの場合、金銭的な不安に加えブランクが出来てしまうことがデメリットです。転職活動にかかる期間は人それぞれですが、長ければ3ヶ月以上かかる人もいます。退職してから転職活動をしようと考えている人は、家賃を含めた生活費はもちろん、健康保険や年金などの支払額も考慮し、余裕が持てる金額を準備してから退職することをオススメします。
仕事を辞めてから転職活動をする際の注意点
きちんと自分の状況に合わせた選択をすることが重要です。もし貯金があり金銭的な余裕があるという理由で安易に退職をしてしまっても、自分が希望する求人が見つからずどんどんブランク期間ができてしまうということになりかねません。
現状では残念ながら、ブランク期間があることはデメリットにしかなりえません。もしブランク期間が空いてしまった場合は、決してネガティブに理由を述べるのではなくポジティブに捉えられるような言い方をしましょう。ブランク期間にスキルアップのための努力など身に着く経験があればベストです。
何のために転職したいのか目的を見失わない
給料アップや待遇改善、残業をしたくない、異業種への挑戦など、転職を決めた当初の目的を忘れてはいけません。
特に仕事を辞めての転職活動中は、収入が雇用保険のみとなると、「暮らしていけなくなるから」という理由で、妥協して転職先を決めてしまう人がいます。「暮らしていけないならしょうがない」とも言えますが、転職後に後悔する可能性は十分あります。
転職活動中の生活費を十分に準備しておくことで、自分が納得できる企業を時間をかけて探すことができます。現状のスキルと転職の目的を考慮して、後悔しない転職となるよう準備しましょう。
仕事を辞めてから転職するまでの流れと必要な手続き
仕事を辞めてから転職する際には、少しでも次の転職先を決めることで、金銭的負担を減らすことができます。予め退職から転職までの流れで必要となる手続きを確認しておいて、無駄な時間を過ごさないようにしましょう。
仕事を辞める時は退職届を提出する
退職する際には、きちんと段階を踏んで会社側に退職の意思をきっちりと伝えておくようにしましょう。「退職してから転職活動をする」と決めたのなら、退職届は早めに出しておく必要があります。
まず必要なのは、直属の上司に退職の意思を伝えることです。労働基準法上、2週間前までに退職の意思を伝えておけば良いことになっていますが、就業規則で規定されている可能性があり、また無駄なトラブルを避けるため十分に余裕を持って伝えることが必要です。
最低1か月前を目途に伝えるのがベストでしょう。また、余った有給の消化や関係者への連絡もここで済ませておきましょう。
上司に連絡を済ませたら、次はいよいよ退職届の提出です。形式が会社指定の場合もありますので、指定の形式がないか調べましょう。退職理由は、個人的な理由であれば「一身上の都合」としておくのが無難です。
仕事を辞めてからやらなければいけない手続き
仕事を辞めてから転職活動をする場合、やらなければならない手続きはサクッとやってしまった方が転職活動に専念することができます。
雇用保険(失業保険)の申請手続き
退職してからまずしなければならないのは、雇用保険の手続きです。雇用保険を受け取れるのは手続きが完了した日から計算される(自己都合:3か月+7日 会社都合:7日)ため、早めに手続きを済ませましょう。また、雇用保険を受給するためには以下の条件を満たしていることが必要です。
- 就職する意思と能力がある。
- 求職活動を行っている。
- 離職する前の2年間に雇用保険被保険者であった期間が12か月以上ある。
これらの条件を満たしてる上できちんと手続きすれば、なかなか仕事が決まらない場合に保険の給付を受けることが出来ます。保険の給付を受けられる期間は前職での雇用保険加入期間によって違います。
- 雇用保険への加入期間が10年未満・・・90日
- 雇用保険への加入期間が10年以上20年未満・・・120日
- 雇用保険への加入期間が20年以上・・・150日
すぐに転職するつもりだからといって雇用保険の手続きをしないと、せっかく貰える再就職手当をもらえなくなるので雇用保険の手続きは必ずしましょう。
転職活動で就職先が決まったなら再就職手当の申請手続きも忘れずに
内定が決まったらあとは入社するのみですが、もし雇用保険受給期間内に転職が決まった場合、条件によって「再就職手当」がもらえるので確認しておきましょう。
- 転職先の入社日前日までに、雇用保険受給日が3分の1以上残っている
- 転職先が以前勤めていた会社ではないこと。また、以前の勤務先と密接な関わりが無い勤務先で就職する
- 雇用保険の給付制限がある場合、待機期間(手続き後の7日間)満了後の給付制限中1か月の期間内は、ハローワークまたは認可された職業紹介事業書の紹介によって就職したものである
- 転職先で1年以上勤務することが確実である
- 転職先で雇用保険に加入すること
- 過去3年以内の就職時に、再就職手当や常用就職支度手当を受けたことがない
- 雇用保険の受給資格が決定する前から採用が決定していた勤務先でない
- 受給手続き直後の7日間の待期期間満了後に就職した
もし雇用保険の残り日数が3分の2以上である場合残りの金額の70%、3分の1以上である場合残りの金額の60%を受給することが出来、早く就職した方が多くもらえる計算になります。
国民健康保険の加入手続き
退職した場合社会保険が無くなってしまうため、国民健康保険の手続きが必要となります。期限は退職した日から14日以内なため、注意が必要です。短い間だからといって手続きをしないと、急な事故や病気で保険適用を受けることが出来なくなります。住まいの市役所や区役所で手続きができます。
国民年金の切り替え手続き
健康保険と同様に、厚生年金から国民年金への切り替え期限は退職した日から14日以内なので気を付けましょう。国民年金は、失業した場合は納付を免除してもらうことが出来ます。保険料の免除を受けた場合、保険料を納めなくても支払い期間としてはカウントされ、免除された分を転職後に追納する場合は10年前まで遡ることができます。市役所や区役所で手続きできるので、国民保険と一緒に必ず国民年金への切り替え手続きをしましょう。
仕事を辞めた後に転職先を探す方法
退職後の手続きを完了したら、いよいよ仕事探しの開始です。求人の探し方はいくつかありまして、希望の転職先を見つけるためには、窓口を増やすためにも多くの方法で、転職先を探すのがオススメです。
どの探し方でも言えることですが、企業の求人数は6〜9月、1〜3月の間に増えます。もし自分に合った求人がなくても、時期を変えて探してみると希望の求人が見つかることがあります。
転職エージェントに面倒をみてもらう
転職を最初から最後までフルサポートしてくれるのが強みで、きちんと面倒を見てもらいたい方にお勧めなのが転職エージェントです。利用料も全て無料であることが多いため、安心して利用できます。
大きなメリットとして、職務経歴書の添削、面接対策、給料の交渉など、個人ではしにくいことのサポートが魅力。また、客観的に見て自分自身に合った仕事を紹介して貰うことも出来ます。
求人・転職サイトで就職先を探す
ネットを使って求人探すことのメリットは、自分のペースでできること、そして何よりも膨大な情報を一気に自分に合った条件で検索できることです。特に仕事をしながらの転職活動にお勧めで、空いた時間に気軽に求人を探すことが出来、スキルが高い人なら登録しておくことで企業からスカウトを受けることもできます。
ハローワークに相談する
地元の求人に強いことが特徴で、主要都市圏以外など地元で働きたい人にお勧めです。転職エージェントは主要都市圏での転職に強く、ハローワークはその対照と言えます。また、特筆すべきはその情報量で、ハローワークは全国で求人情報を共有しているため情報量が多く、公共機関だからこそ安心できる求人の探し方と言えます。
紹介予定派遣もおすすめ
仕事を辞めてからの転職にお勧めなのが紹介予定派遣です。派遣社員として一度働いてみてから相性が良ければ正社員として働くことができ、金銭面でも安心できる転職方法です。社風や業務内容、人間関係などを正社員になる前に見ることが出来る点が大きなメリットです。
仕事を辞めてからでも挑戦したいスキルアップにおすすめの資格
転職時に自分のスキルを有利にアピールできるのが資格です。どんなに実力主義と言われても、一定の知識を持っていることを証明できる資格は、履歴書や面接時に有利となります。スキルアップにおすすめの資格を確認しておきましょう。
TOEIC・TOEFL
特に外資系や海外と取引が多い企業でアピールできるのがTOEICとTOEFLです。点数の目安として、TOEICは600~800点以上、TOEFL(iBT)で90点以上が評価されやすいラインとされています。
簿記2級
汎用性の高さがポイントとなる簿記。経理面に強いことが証明でき、簿記1級を取ることで税理士の受験資格が得られるなど、さらなるスキルアップにも繋がります。
MOS(Microsoft Office Specialist)
MOSは言わずと知れたMicrosoft製Officeのスペシャリストであることを証明できる資格です。特に事務系職種への転職を考えている方は、基礎的な事務能力を備えていることをアピールできます。
ファイナンシャルプランナー
特に金融・不動産・保険業界で活躍したいと思っている方にお勧めなのがファイナンシャルプランナー。お金に関する様々な知識を有していることをアピールできます。総務や経理などへの転職にも有利です。税理士や社会保険労務士、宅地建物取引士などの資格と合わせることで、独立開業を目指すこともできます。
宅地建物取引士
ファイナンシャルプランナーと同様に、金融・不動産業で活躍したいと思っている方にお勧めなのが宅地建物取引士。法律上、不動産業界では従業員の5人に1人の割合で宅地検定取引士を置かなければならないという法律もあるため、資格を保持していれば未経験での転職を有利にできます。
仕事を辞めてから転職するためには事前準備が大切
現職を退職することで給料を貰えなくなるという金銭的なデメリットがありますが、退職前にある程度のお金を用意しておけば、仕事を辞めてから転職先を探す方が、ジックリと時間をかけて仕事を選ぶことができます。
常に中途採用の人員を募集しているという企業は多くはありません。タイミングによっては行きたいと思っていた企業で、求人を行っていない可能性も十分あります。仕事を続けながら転職活動を行うことで、行きたい業界・企業の求人が行われるのを待つことができます。
しかし、現職がどうしても合わず体調を崩す程なら、自分の体を優先して退職する道を選びましょう。雇用保険などを利用することで、ある程度の転職活動時期の収入を見込むことができます。ある程度の準備は必要ですが、公共制度を利用し転職活動を行いましょう。