法人営業への転職は大きなチャンス
営業職に就かれている方はかなり多く、新人にはまず営業のいろはを教えるという企業も多いです。対して学生からいきなり営業に行くのは難しいと考えている新人の方も多くいます。彼らの不安は、営業という職が、個人営業つまり接客業だけであると誤認していることも一つの要因として挙げられます。
営業には法人営業というものがあります。個人営業では成績が伸び悩んでいた方でも、法人営業に転身することで飛躍的な成長を遂げた方も少なくありません。個人営業は法人とは違い組織ではありませんので、個性を尊重した取引を重要視します。その点について営業しづらさというものが存在しているため、法人営業は営業職としての転職先として一定の評価を受けています。
法人営業とは
法人営業はB to B(Business to Business)営業とも言われています。法人営業は、企業、組織、法人に対して営業を行う営業であり、個人営業とは違う特徴がいくつも存在しています。企業間での取引を持ち掛けるために企業間の調整が第一に行われることになります。企業間の調整というのは同業他社なのか、それとも全く違う業界の企業なのかによってもアプローチの仕方が異なります。
各企業間の仲が悪ければ、それだけで商談が成立しないこともあり得ます。営業担当の人となりは問題ないが、社長が気に食わないとして商談がまとまらないというケースも存在します。ゆえに営業単体の評価ではなく、会社という組織全体の評価によって商談が大きく左右する営業でもあります。
法人営業の多くは人材業界、金融業界のほかにメーカー企業で行われています。最近ではIT業界でも法人営業が活発になっています。
法人営業の特徴
法人営業が個人営業と異なる大きな点は、2つあります。
- 大規模な取引になることが多い
- 最終判断までの工程が長い
法人営業で商取引を持ち掛ける場合は規模が大きくなります。個人営業であれば、ノート1冊の購入などがありますが、法人営業の場合は、100冊の購入などまとまった数の発注が基本的です。たとえ1冊100円のノートの販売であっても、法人営業の場合は規模が大きいため売上が高くなります。
営業間だけで最終判断がなされるわけではなく、最終決定権を有している社長や部長などの決定が無ければ商取引が完了せず、売上につなげるまでに時間がかかることも特徴の一つです。慎重な判断をしなければ購入側に多くの不良在庫を抱えさせることにもつながるため、当然のことと言えます。
個人営業とは
個人営業はB to C(Business to Consumer)営業とも言い換えることができ、一般消費者に対して商取引を持ち掛ける営業です。店舗販売をしている場合は、個人営業に当たると考えておけば問題ありません。
個人営業の苦労というのは、一般消費者に売るということよりも、一般消費者が購入と同時に自分の財産に負荷をかけることが大きいと言われます。法人営業であれば必要経費として会社に請求できるところ、自分の必要性から購入するのですから財産に負荷をかけることは当然です。しかし、反射的に購入をためらわれてしまい購入が控えられてしまうことが多いです。
個人営業は相手の行動が予測できない
法人営業であれば組織としてある程度の行動が制限され予測も立てやすいですが、個々人に対して予測を立てることは不可能です。個人として知りたい質問をされても応えきれないことも多く、顧客自身に不満を貯めてしまうことも少なくありません。
しかし、一般消費者という実際のユーザーに対してアプローチがかけられるため、商品開発としての重要な情報源になります。一人ひとりの満足度を上げることは会社自体の基盤を築くことにもなるため、重要な営業であると言えます。
法人営業に向いている人の3つの特徴
法人営業に関しては仕事内容が良くても、向いていなければ残念ながら仕事に就くことはできません。向いている人という存在がある以上は、その存在に特徴があるはずです。その特徴についてご紹介しておきたいと思います。法人営業に向いている方の特徴は3つあります。
1.コミュニケーションがうまくとれる
法人営業では、企業をはじめとする組織や団体との商取引となります。組織との関係は一朝一夕の関係で終わることはあり得ません。長期間にわたる関係構築の上に取引の成立があります。関係構築の際には組織の看板を背負っているという緊張感もありますが、それ以上に組織として好ましい存在であるかという評価に常に付きまとわれることになります。
法人営業において担当者と好ましい関係になることは、最も大切な要素となります。個々人の関係ではなく、会社間でのコミュニケーションがうまくとれる人が相応しいでしょう。ゆえに団体とのコミュニケーションがうまくとれる人が法人営業に向いていると言えます。
2.粘り強さがある
法人営業の業務の多くは電話によるアポ取りです。アポが取れなければ商談をすることもできません。企業は恐ろしいほどの量を持つ連絡リストにもとづいた架電が毎日のように行われます。大半は信用できない内容ばかりであり、重要な連絡を逃がさないためにほとんどは無視することが常です。
営業を持ち掛けても話を聞いてもえないことが多く、粘り強く架電し続けられるだけの気概を持つことが重要です。さらに長期間にわたる交渉が必要になり、一瞬たりとも取引相手やクライアントとの関係作りに余念が許されません。この2つの理由から、粘り強いことが法人営業にとって大切だという事が分かります。
3.契約後の処理が早い
商談が成立しても営業の仕事は多く残っています。事後処理を素早くこなすことは、法人営業にとって欠かせない要素です。納品や代金回収など書面上の処理だけでなく、現場に予定通り伺い、間違えなく処理することは関係構築の面からも重要です。
契約締結後はスピード感をもって業務処理することで、契約を円滑に進めることができます。期間が空きすぎてしまうと不信感が生まれてしまい、契約を白紙に戻すことも考えられます。すぐさまに契約を履行してクライアントに満足してもらい円満な関係を築くという点に関しては、個人営業と変わりありません。
同じ業務を反復することになりますので、粘り強さと反復業務に耐えて正確に処理することは、法人営業に欠かせない要素なのです。
法人営業の年収相場
転職情報サイト「はたらいく」の調べによると、法人営業に従事する方の平均年収は306万円、月収にすると22万円です。法人営業に多いのは20代前半であり徐々に管理職へとシフトする方が多いです。最初の年収は少ないものの、管理職になり決定権を多く持つようになると年収も上がっていきます。
法人営業には雇用関係にある自社の財務状態にも深く関係しますので、取引内容によっては大きなインセンティブが支払われることもあります。インセンティブの内容はそれぞれの会社で変わるため、一概にお金であることを断言できません。自社株の優先取得権であるかもしれませんし、特別な施設の使用権である場合もあります。法人営業に就きたいなら、目で見える年収だけでなく、それらのインセンティブを含めて総合的に判断するといいでしょう。
法人営業の年収相場は、500万円クラスが転職を希望する方のボーダーラインとしてあげることがありますが、実際には出来高次第でボーダーラインを大きく上回ることが可能になっています。自分の業績と給与が密接にかかわることは言うまでもないでしょう。
法人営業に求められること
法人営業で何を求めるかと言えば、会社間のつながりを広げることでも、新しい業務の開発でもありません。まとまった売上につなげて会社の財務体質を大幅に改善することに尽きます。法人営業で互いに関係を持った場合に業務提携をする場合もありますが、その場合も収益体制の改善につながりますので、必ずしも商品や製品、サービスを大量に売ることが目的ということではありません。
法人営業を行う上で求められていることを達成するためには、各社のニーズやニーズがなんであるかを突き止め、自社の商品、製品、サービスをいかに結びつけるかが重要だと言われています。新規顧客の開拓という観点も忘れずに、常に自社と他社を比較検討することが求められます。
法人営業に転職して視野を広げるのも魅力的
法人営業が個人営業からの転職先として人気の理由が、得られる金銭面での豊かさであるとは言えません。現実に個人営業でもかなりのインセンティブを獲得している人もいるので、金銭面の魅力だけで転職先を決めることはできません。
それでも法人営業に就くことで、個人営業をしていた時の経験や知識が有効に使えるところが多くあります。個人営業の時には思いつかなかったことが、法人営業で思いつくことはよくあることです。キャリアアップのために法人営業に転職するのもありですが、営業として別の視点を求める際にも法人営業は魅力的で有意義な転職先となるでしょう。