求人票の見方のポイント・ブラック企業を見抜くコツは?
求人票の見方がわからないと就職活動で苦労するにもかかわらず、見方についてきちんと教育を受ける機会はないものです。求人票のどこをチェックすべきか重要なポイントや記載されている言葉の意味するところを理解しておくと就活での失敗が少なくなります。
仕事探しで大事な求人票の見方のポイントは?
仕事探しをする上では、ハローワークでも大学の就職課でも就職情報サイトでも、基本的には「求人票」と呼ばれるデータを見ながら希望の仕事を探すことになります。しかし困ったことに、この求人票の見方については義務教育で教わることはなく、社会人であっても正しい見方を知らなかったり、情報の意味がわからない方もいます。
求人票からは様々な情報を得ることができ、それによって就職後の自分の生活や職場環境などがイメージできるようになっています。失敗せず満足できる就職・転職活動のためにも、正しい求人票の見方を身に着けましょう。
求人票に書いてあることはどんなこと?
求人票に書いてあることは、その掲載先によってある程度フォーマット(様式)や字数が決まっているためそれほど多くはなく、そういった制約があるために簡素に書かれています。
そのため、必要な情報が足りないと感じることもありますが、多くの場合は不足している分の情報について問い合わせることは可能です。
求人票の主な項目
- 事業所名:事業所の名前です。
- 職種:営業、経理など、事業所内での仕事の種類を表します。
- 雇用形態:正社員・契約社員・派遣・アルバイトなどです。
- 所在地:事業所の所在地もしくは本社所在地です。
- 就業場所:実際に就職後に働く場所です。研修期間は別のこともあります。
- 雇用期間:想定している雇用期間です。
- 事業内容:会社の事業内容の概要です。
- 仕事の内容:今回募集している求人の中で期待される仕事の内容です。
- 就業時間:一日の就業時間と就業時間数です。
- 時間外労働:時間外労働の有無や平均的な時間労働の時間についてです。
- 保険:社会保険などの有無についてです。
- 賃金:支給考えている賃金や、社内のデータからの期待される賃金水準です。
- 休日:実績からの休日の設定です。
- 賞与:賞与の有無や条件などです。
- 連絡先:人事担当者の連絡先もしくは代表窓口への連絡先です。
- 備考:その他内容についてです。受験方法やWebサイトへの案内が多くなっています。
求人票の見方で注意しておくべきは、求人票の内容は決して契約内容そのものではなく、そのような法的効力があるわけでもないということです。あくまで、契約の前にひとつの条件提案をしているにすぎず、実際には面接などを通して企業と労働者の間で調整することになります。
求人票で最初に確認するべきは雇用形態
求人票を見る上で、最初に確認しておくべき項目は「雇用形態」です。この雇用形態いかんで、給与や勤務先、休日や社会保険の条件なども変わってくるからです。
多くの場合は、正社員、契約社員(準社員)、アルバイト、パート等、常用型派遣、登録型派遣といった形で分けられています。会社独特の名称になっていることもありますので、必要に応じてその内容を確認した方が良いでしょう。
正社員
「正社員」は、雇用期間の定めがなく、基本的に昇給や社会保険などがしっかりしています。そのため、収入や労働環境の安定が期待できます。一方で転勤や残業など、会社の状況によって責任をもって事業活動を支える義務が生じます。
契約社員(準社員)
「契約社員(準社員)」は、会社と一定期間の契約条件を結びながら就業する形態です。そのため、定期的に契約更新をしていく必要がありますが、契約期間中の昇給は無く、基本的に昇進もありません。社会保険などの福利厚生は正社員に準ずることが多いでです。
派遣社員
「派遣社員」は雇用主が派遣会社で、そこから派遣される携帯です。会社の事業活動からの束縛が少なく、自分の希望する労働条件を選び働くことが可能です。しかし、その分仕事先が安定しなかったり、就業できない期間が発生することもあります。
アルバイト・パート
「アルバイト」や「パート」は短時間の労働時間で働く人を言います。給与も低くなり、福利厚生もあまりありませんが、自分の時間の使い方に合わせて仕事に入ることが可能です。
求人票で大事な給与の見方はちゃんと知っていますか?
求人票を見て、気になるポイントとしてはやはり給与です。求人側も給与にはこだわりがあるため、きちんと理解して仕事を探さないと、あとでトラブルの原因になりかねませんので注意しましょう。
金額は額面給与
注意しておくべきなのが、求人票の給与額は額面であるということです。実際には、その額面から所得税や健康保険料や雇用保険料などが天引きになるため、手取りはより少なくなります。
給与形態について
「月給」「固定給制」など給与にも様々な形態があります。「月給」「固定給」は毎月決まって支給される金額です。ここには残業手当や皆勤手当など月によって変動するものは含まれません。ただし、欠勤の場合は給与が引かれる場合がありますので注意しましょう。
「基本給」と書かれている場合もありますが、月給や固定給に職務手当や資格手当などの一部手当が加算されたものと考えるとよいでしょう。参入される手当の種類としては、交通費など変動のあるものは含まれず、一定期間継続的に発生し変動がないものが該当します。
残業代について
求人票をチェックする際には、「残業代」も大事なポイントです。残業代には「固定残業代」と「みなし労働時間制」などの表現がされることがありますが、こういった場合には規定の時間数までは残業の有無に関係なく一定の金額を支払うというものです。その上で、規定の時間数を超えた場合は別途、追加の残業代が発生します。
見た目の給与額は大きくなるのですが、規定の時間フルに残業が入った場合には通常の残業手当よりも不利になることが多く、残業の発生も多い職場ということを意味しますので、慎重に検討しましょう。
賞与について
賞与の有無は大切ですが、賞与は基本的に企業の実績に応じて配分される性質のもので、事業者側の義務ではありません。そのため、変動や制度の変更もよくあります。実績などを確認しておいた方が良いでしょう。
求人票では知っているようで知らない社会保険もちゃんと見る
パートやアルバイト、派遣だとない場合も多いですが、正社員や契約社員であれば社会保険への加入があります。これは福利厚生上とても大事ですのでしっかり確認しましょう。
社会保険に含まれるもの
- 雇用保険:失業時に失業給付や教育訓練が受けられるなど様々なメリットがあります。
- 労災保険:業務中や通勤途中に事故やケガが生じた場合に保険金が支払われます。
- 厚生年金保険:定年退職後、一定の年齢になると老齢年金が支給されます。また、事故や病気、障害などで死亡したり労働ができなくなった場合、本人や遺族に保険金が支払われます。
- 健康保険:病気やケガなどで医療機関を利用した場合に、医療機関の7割が健康保険から支給されます。また、出産などの際の一時金の受給条件となっています。
社会保険がない場合は要確認
社会保険に関する記載がない場合、必ず企業側に確認してきましょう。ないということなら、自分で国民年金や国民健康保険などに加入する必要があります。
求人票では休日についてもしっかり確認を!
最近はワークライフバランスが注目されていますが、休日を考えない仕事探しをするのは後悔する可能性が高くなります。しっかりチェックしておきましょう。
休日の種類
完全週休2日制:年間を通し、毎週2日は必ず休みがあります。曜日固定の場合が多いですが、シフト制などの場合は休みの日が変動しますが、2日は原則キープされます。
週休2日制:「完全」がつかない場合は、毎月、最低でも1週は週に2日の休日があることになります。この場合は休日数が思ったより少ないこともあるので、月の休日数の実績を確認した方が良いでしょう。
上記はあくまで休日の数を表したもので、祝日の考え方はまた会社によって違います。そのため、祝日中の休日のカウントについては個別に確認する方が良いでしょう。
産休・育休・介護休暇
こういった制度の有無で働きやすさは変わります。しかし、有名無実の場合もありますので、実際に取得した人がいるか実績も確認しておきましょう。
有給休暇
有給休暇は労働者の権利ではありますが、社内の雰囲気が大きくその取得を制限しています。そのため、取得実績をチェックしておければしておいた方が良いでしょう。
求人票の見方におけるその他の注意点
求人票には見ているようで見ていない、見落としがちな項目もあります。求人票の見方で、他に注意してチェックすべき項目を紹介します。
就業場所
就業場所は企業の本社所在地が書かれている場合もあり、実際に勤務する場所は違う場合があります。普通は別に記載がありますが、仕事内容と場所の雰囲気が合わない場合は確認しておいた方が良いでしょう。
試用期間
「入社後3ヶ月間は試用期間となります」というような表現がある場合がありますが、この場合は求人票の内容と使用期間中は様々な面で条件が違う場合があります。特に社会保険の加入がない場合にこの時期に病院にかかるようになると医療費が膨大になりますので注意しましょう。
また、試用期間中の勤務態度などによっては正社員や契約社員として雇用契約が結ばれない場合もありますので気を付けてください。
交通費支給
「交通費支給」が文言としてあったとしても、すべての交通費が支給されるとは限りません。上限額が決まっていたり、所定のルートや手段以外は認められないなど、社内ルールに基づいて決定されていますので、面接時などに確認しましょう。
退職金制度
退職金については法律上の定めはないため、事業者側に義務はありません。そのため、有無については確認しておいた方が良いでしょう。最近は制度を導入している企業が減りつつあります。
求人票でブラック企業は見抜ける?
就職活動や転職活動で怖いのは、行った先がブラック企業だったという場合です。求人票をしっかり見れば見抜けるものなのかというと、残念ながら確実に見抜くことはできませんが、ある程度の判断の目安にはなります。参考になりそうなポイントとしては、以下のようなものです。
設立年数・従業員数・資本金
企業の設立年数や従業員数、資本金をよく確認しましょう。ブラックな企業の特徴は、設立年数が短い割に従業員数が多いことです。そして、資本金は少ないということです。短期間に大量に人を集めて働かせ、利益を出そうとしているわけですが、資本金が少ない場合は労働環境への投資がほとんどできていない可能性が高く、労働者への配慮不足が危惧されます。
給与額の設定
ブラック企業の特徴のひとつに、「給与額」が極端に高い、もしくは極端に低いことがあります。高い場合に気を付けたいのが、求人票の条件は雇用契約の条件ではないということです。そのため、求人票は良い数字で人を集め、雇用契約時に条件を変更することも少なくありません。
給与が低い場合には「歩合制」がついていることが多いです。営業職などでは歩合制は普通ですが、極端に給与配分が歩合に偏っている場合は注意してください。基本的に、同じような業界の給与と比較して妙に高い場合は注意した方が良いでしょう。
求人票の見方を理解して後悔のない就活を
求人票には多くの情報が含まれていますので、それをしっかり読み取ってこそ後悔しない仕事選びができるようになります。
今は転職をすることも珍しくない時代になりました。そのため、求人票をしっかり見るという機会は少なくなく、求人票を理解することは社会人としての必須スキルです。ぜひ、仕事探しの際には求人票をしっかり見て、就職後のことを具体的にイメージしましょう。