専業主婦とニートの違い
「専業主婦=ニート」という考えは違います。専業主婦は家事をこなしているのでニートではないのです。しかしインターネット上では専業主婦は批判の的となっているケースも見受けられます。正しい違いを知って専業主婦はニートじゃない!と胸を張って主張しましょう。
インターネット上では専業主婦をニートだと批判する声がある
近年、専業主婦に対し「ニートが偉そうにするな」などという発言がネット上で頻繁に見られるようになりました。どうしてそのような状況になっているのでしょうか。もちろん、それに対する批判も多く寄せられています。今回は、ニートと専業主婦の違いをご紹介していきたいと思います。
ニートとは家事や通学や就業をしていない若年者のこと
ニートとは、もともと1999年にイギリスで生まれた言葉。”Not in education, employment, or training”、つまり「教育、雇用、職業訓練に参加していない人」という言葉の頭文字を取ったものです。イギリスでは、ニートの条件を満たす16~18歳の若者に対する労働政策について言及されていました。
現在、日本では以下の条件を全て満たした人がニートとされています。
15歳から34歳までの働いてない方
若年者の方がニートの定義に当てはまります。
家事に従事していない方
専業主婦は家事を行っているのでニートの定義からは除外されます。
通学していない方
学生の方は学校で勉強しているのでニートの定義からは除外されます。
仕事をせずに就職活動もしていない方
失業して就職活動をしている方はニートの定義からは除外されます。
ニートの正しい定義と呼び方
ニートは”若年無業者”ということです。一見ニートだと思われてもそうでない場合もあり、またその逆もあるのです。以下のようなケースについても知っておきましょう。上記の条件を全て満たしていると仮定した呼び名を紹介します。
- 就職活動中だが、仕事が見つかっていない場合はニートではなく、「失業者」
- 学生であるが、不登校の状態である場合は「ニート」
- 十分な財産があるため働く必要がない場合は「ニート」
- 35歳以上の無職の場合はニートを卒業です。最近問題になりつつある「スネップ」と呼ばれる状態
なお、厚生労働省と内閣府の間では家事手伝いをニートに含めるか否かで見解が異なっていましたが、厚生労働省の”ニートに含めない”というのが政府の公式見解です。
専業主婦は家事をしているので立派な労働者、ニートの定義から外れる
上記の定義を見ていただければ分かるように、そもそも家事に従事している専業主婦は、ニートの定義から外れていることになります。専業主婦とニートの違いは、”家事に従事しているかどうか”ということだけです。つまり、専業主婦だと自称していても、家事を放棄している状態であればニートに含まれてしまうという意味でもあります。
アメリカのとある求人・求職情報提供誌によれば、専業主婦が1年でこなしている家事を労働対価に換算すると、年収1,200万円にも相当するのだとか。
ただ、この試算は全ての家事をプロ並みに完璧にこなした場合の試算なので、全ての専業主婦がこれにあてはまるわけではないと推測されます。いずれにせよ、専業主婦が立派に労働しているという点は間違いありません。
専業主婦がニートと言われる背景には時代の変化がある
どうして、近年になって”専業主婦=ニート”と揶揄されるようになってきたのでしょうか。それには、時代に伴う人々の意識の変化があります。一言で言うと、専業主婦の存在自体が疑問視されるようになってきたのです。
専業主婦はニートと考えられる風潮は働く女性像の出現も関係がある
戦後の高度経済成長期からバブル時代にかけて、男女の役割を分担する考えが主流でした。「男性は働き、女性は専業主婦として家を守る」というこうした思想の下、日本は発展してきたのです。
しかし、近年は欧米諸国の男女平等主義が広まり、「女性も働いて良い」ついには「女性も働くべき」という考えに人々は急激にシフトしていきます。女性の社会進出が進められる中、女性が働くことのメリットは大々的に報道されました。
- 人間として成長できる
- 経済的にも、夫を支えられる
- 社会との関わりを得られる
フルタイムでバリバリ働く女性もいれば、主婦でありつつパート等で働く兼業主婦もたくさんいます。このような流れの中で、目に見える労働対価を得ることのない専業主婦は「どうして働かないの?」と疑問の目を向けられるようになってきたのです。
男性の考えの変化が専業主婦はニートという構図を生み出している
男女平等が声高らかに叫ばれている現代でも、「男性は働くべき」という考えは依然として残っています。女性は経済状況や本人の意思に応じて専業主婦・兼業主婦・フルタイムワーカーを選ぶことができますが、男性で専業主婦や兼業主婦という生き方は少数派です。
これまで働くことができなかった女性の権利を守ることに主眼が置かれ、男性が女性のような生き方をしていくことについてはまだ理解が浅いのが現状です。
そんな中で「自分が妻を養ってやっている」「妻は家で家事以外何もしていない」といった不満を持つようになってきた男性が徐々に表れてきました。大っぴらに言えない彼らの意見はネット上に書き込まれ、全国に広がっていきます。そして、ネットの世界で「専業主婦=ニート」と揶揄されるようになったのです。
そういった考えを持つ男性は、こういった特徴や経験をもつと考えられます。
- 家事経験に乏しく、家事労働の重要さを理解していない
- 男性より権利を守られる女性、という社会の構図が気に入らない
- 実際に妻が家事を疎かにしている
- 家計が苦しいのに妻が専業主婦にこだわっている
後者2つの場合は理解できなくもありませんが、前者2つに至っては専業主婦にはどうにもできない問題です。このような様々な要因から、専業主婦のありかたに不満を抱く男性が増えてきたのでしょう。
専業主婦はニートじゃない!と自信を持ちましょう
妻が専業主婦になるか、仕事をしていくかというのは家庭ごとの事情によって異なって当然です。正確には、夫も同様です。家族の同意を得られていれば、フルタイムワーカーでも専業主夫でもOKだと筆者は考えます。
大切なのは、家庭で自分が与えられた役割を全うすること、そして家族に感謝し尊重することなのです。専業主婦の皆さんは家事をしっかりこなし、夫の皆さんは「専業主婦はニート」なんて、本気で信じてはいけませんよ。