失業保険の会社都合と自己都合の受給期間・待期期間の違い
失業保険を会社都合で申請する場合、いくら受給されるか気になりますよね?自己都合離職よりも受給率が良いとされる失業保険ですが、紐解いてみると手続きの際に気を付けておきたいポイントが沢山。ここでは、失業保険を受け取る際の手続きや会社都合による場合の金額・お祝い金などをご紹介します。
失業したら会社都合でも自己都合でも失業保険が受け取れる
誰でも今勤めている会社を辞める時が必ずやってきます。会社都合で退職・自分都合で離職することはあっという間でも、再就職することは今のご時世それほどスムーズに事が運ぶわけではありません。そんな時に私たちの支えとなるのが失業保険です。ここでは、失業保険で受給される金額やそれらを受け取る際の手続き方法などを紹介します。
会社都合の失業保険と自分都合の失業保険の違い
退職を考えている人なら、その離職理由をしっかりと定めておく必要があります。会社の都合による退職なのか、それとも転職など自分の意思によるものなのか。この2つの違いは受給される失業保険にも関わることなので、まずが会社都合と自己都合による退職における失業保険の違いをチェックしていきましょう。
もらえる金額が違う
失業期間中は、生活費の心配など金銭面での助けが何よりも必要となります。次の再就職先を見つけるまでの支えとなる失業保険の受給額は、会社都合の方が自己都合よりも給付金額が約2倍とされており、自己都合で退職するよりも会社の都合によって離職する方がお得だと認識している人が多いのではないでしょうか。
給付日数が違う
会社都合での失業保険給付日数は90~330日(自己都合の場合は、90~150日)とされています。
自己都合でも会社都合であっても、受け取れる日額・月額手当の金額は同じではありますが、会社都合で退職した場合は受給期間が1.5~2倍に延長されるため、結果的に給付される総額が高くなるのです。
会社都合で退職した時の失業保険支給額の計算
退職を希望する人なら、予め自分がどのくらいの失業保険を受け取ることができるのかが気になるのではないでしょうか。ネット上には「退職前6ヶ月間の給料総額」と「自分の離職時の年齢」「金属年数」「会社都合」or「自己都合」かをインプットすると支給額が計算されるサイトも沢山あります。ここでは、ザックリと自分が受け取れる時給額を算出する際の流れをご紹介します。
会社都合で受け取る自分の基本手当日額を割り出す3ステップ
自分の基本手当日額を割り出すには、3つのステップに沿って計算をします。順を追いながら確認していきましょう。
ステップ1.賃金日額を算出する
賃金日額とは被保険者期間として働いた最後の6ヶ月間のお給料を180で割った額です。
【退職前6ヶ月間の給料の額÷180】
「退職前6ヶ月間の給料」には、ボーナスは含まれませんが残業代などの手当ては含まれます。
ステップ2.算出した賃金日額を自分の年齢に当てはめる
賃金日額と退職時の年齢によって給付率&給付額が違ってきます。
年齢区分は4タイプに分かれています。
- タイプ1:30歳未満
- タイプ2:30~44歳
- タイプ3:45~59歳
- タイプ4:60~64歳
ステップ3.基本手当日額を計算する
自分の賃金日額が計算できたら、離職時の年齢に基づいた表に沿って自分が受け取れるであろう基本手当日額をチェックしてみましょう。(※表は平成28年度のもの)
30歳未満の基本手当日額(※年齢は離職時のもの)
賃金日額:2,290円以上~4,580円以下(給付率80%)=基本手当日額:1,832~3,663円
賃金日額:4,580円以上~11,619円以下(給付率80~50%)=基本手当日額:3,664~5,805円
賃金日額:11,610円以上~12,740円以下(給付率50%)=基本手当日額:5,805~6,370円
賃金日額:12,740円(上限額)(給付率ー)=基本手当日額:6,370円(上限額)
30~44歳の基本手当日額(※年齢は離職時のもの)
賃金日額:2,290円以上~4,580円以下(給付率80%)=基本手当日額:1,832~3,663円
賃金日額:4,580円以上~11,619円以下(給付率80~50%)=基本手当日額:3,664~5,805円
賃金日額:11,610円以上~14,150円以下(給付率50%)=基本手当日額:5,805~7,075円
賃金日額:14,150円(上限額)(給付率ー)=基本手当日額:7,075円(上限額)
45~59歳の基本手当日額(※年齢は離職時のもの)
賃金日額:2,290円以上~4,580円以下(給付率80%)=基本手当日額:1,832~3,663円
賃金日額:4,580円以上~11,619円以下(給付率80~50%)=基本手当日額:3,664~5,805円
賃金日額:11,610円以上~15,550円以下(給付率50%)=基本手当日額:5,805~7,775円
賃金日額:15,550円(上限額)(給付率ー)=基本手当日額:7,775円(上限額)
60~64歳の基本手当日額(※年齢は離職時のもの)
賃金日額:2,290円以上~4,580円以下(給付率80%)=基本手当日額:1,832~3,663円
賃金日額:4,580円以上~10.460円以下(給付率80~50%)=基本手当日額:3,664~4,707円
賃金日額:10,460円以上~14,860円以下(給付率50%)=基本手当日額:4,707~6,687円
賃金日額:14,860円(上限額)(給付率ー)=基本手当日額:6,687円(上限額)
会社都合の失業保険の待期期間は7日
失業保険を受ける際には、その手続き後に申請者が本当に完全失業者であるかを確認する期間「待期期間」が設けられていて、会社都合の待期期間は7日間とされています。
会社都合で退職するときの一般的な理由
会社都合の退職は、あくまでも務めていた会社の都合による「止む負えない離職」であり、自分の意思が感じられる転職や海外留学などは自己都合となります。一般的な会社都合の離職理由がこちら!
- 会社の倒産
- リストラにあう
- セクハラ・パワハラなどを受けた場合
などが該当します。
自己都合での退職の場合、退職期間は通常の7日間+3ヶ月(給付制限期間)が設けられています。
したがって、会社都合の退職の方が、自己都合よりもより早く再就職に向けて動き出すことができると言えます。
会社都合退職で受け取る失業保険の申請手続き6ステップ
失業保険は退職後から1年間が給付期間となっているため、できる限り早く手続きを進めて受給にまでたどり着きたいもの。退職が決まったら以下の基本的な6つの手順に沿って再就職に向けた行動を開始させましょう!
ステップ1.退職と同時に離職票・雇用保険被保険者証をもらう
どちらも退職をする際に、失業保険を受け取るために必要な書類です。一般的には退職をしてから10日~2週間ほどで受け取ることができます。
何らかの事情でこれらの書類を退職から2週間以上経っても受け取れていない場合は、会社に再度連絡をして手続きをしてもらいましょう。
ステップ2.手続きに必要な書類を集める
失業保険の申請に必要な書類には、ステップ1で記した会社から受け取る書類と、以下の自分で揃える書類があります。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 身分証明書(パスポートや運転免許証など)
- 自分名義の銀行通帳(郵便局のでも可)
- 証明写真(2枚)
- 印鑑
ステップ3.ハローワークにて求職手続きを行う
ハローワークは自分の住所がある管轄の場所へ行きます。ハローワークでは、必要書類に記入をして提出・簡単なカウンセリング(面談)があります。
最寄りのハローワークを調べる際には、厚生労働省かハローワークのHPからチェックしましょう!
ステップ4.待期期間を待つ
会社都合の退職者の場合は、待機期間は7日間です。この期間中に就職をしてしまうと、失業保険がもらえなくなってしまうので、アクティブに再就職先を見つけようとしている人は気を付けましょう。
ステップ5.雇用保険受給説明会に参加
失業保険の説明や受け取るための注意点・今後の手続き方法などの説明を受けます。失業保険を受給したい人は絶対参加なのでお忘れなく。
ステップ6.第一回失業認定日に申請
ステップ5で失業認定日が提示され、その日時に申請を行い受理されるとその約1週間後に登録している口座へ給付金が支払われます。
失業保険は失業認定日ごとに一定の求職状況を提出し、それをクリアしなければ受給されないので再就職に向けた積極性が必要になります。
会社都合退職でも失業保険中に就職が決まった時はお祝い金がもらえる
失業保険の受給中に見事再就職先が決まったらお祝い金と呼ばれる手当がもらえます。ただし、いくつかの条件をクリアしていることが必要です。
失業保険受給中の再就職でもらえるお祝い金は3種類
失業保険を受け取っている最中に就職先が決まったら、「再就職手当」と「就業手当」と「常用就職支度手当」をもらうことができます。
1.再就職手当
再就職手当を受給するための条件は以下になります。
- 正社員などの安定した職業に1年以上雇用されることが確定されている
- 就職日前日までに失業保険給付日数が1/3以上・45日以上残っている場合
- 失業保険受給者として認定された後での就職内定通知受取でなければいけない
- 元勤めていた雇用主やその関連事業主からの再雇用は対象にならない
- 過去3年以内にこちらの手当をもらっている人は対象外
- 雇用保険に加入し被保険者資格を取得している会社・企業からの雇用が絶対
- 再就職後にすぐ退職・転職など仕事を辞めたしまった場合は手当を返金しなければならない
2.就業手当
就業手当を受給するための条件は以下になります。
- アルバイト・パートなど、非正規の仕事に就いた場合にもらえる手当
- 失業保険の受給者資格が決定した後での内定通知受取でなければいけない
- 待機期間後の就職が対象(※会社都合なら7日間、自己都合なら3ヶ月間)
- 給付制限を受けた人は、初めの1ヶ月間はハローワークや厚生労働大臣許可がおりている紹介者による仕事に就く必要がある(※要条件確認)
- 元雇用主・その関連事業主からの再雇用は手当の対象外となる
3.常用就職支度手当
常用就職支度手当を受給するための条件は以下になります。
- 45歳以上の人や、障害を持っている人が1年以上雇用されることが確定された場合
- 就職日前日までに、失業保険受給日数が1/3以上・45日以上残っている場合
- 待機期間後の就職に限る
- ハローワーク・厚生労働大臣許可の紹介者による仕事に就く必要がある
- 元雇用主・その関連事業主からの再雇用は手当の対象外となる
- 過去3年以内にこちらの手当を受け取っている場合は対象外
- 雇用保険に加入し被保険者資格を取得している会社・企業からの雇用でなくてはならない
いずれも失業保険と同時受給はできないため、再就職が決まったらすぐにハローワークへ届け出をしましょう。
派遣満了の場合は会社都合にはならない
基本的に、派遣期間の満了を迎えて仕事が終了した派遣社員の失業保険は、会社都合で申請をしません。派遣社員として会社・企業に一定の期間勤め上げ、その契約期間が満了して離職することは「自己都合」となります。
働く意思があるのに派遣会社から仕事を紹介されなかった場合は「会社都合」になりますが、新しく派遣先を紹介されたのに断った場合には「自己都合」となります。
派遣社員の場合は、失業保険手続きが1ヶ月後になる
派遣の働き方は、一定の期間ごとの雇用契約であるため、派遣会社は次の仕事先を紹介するまでに1ヶ月間待つことを厚生労働省によって定められています。退職後に受け取れる離職票などもその期間を経てから渡されるため、失業保険の手続きも1ヶ月後からのスタートとなるのです。
会社都合や、ハローワークが認める正当な離職理由がある場合は「特定受給資格者」として、すぐに離職票が発行される場合があります。
ここに注意!失業保険の延長は給付期間の延長ではない!
仕事を辞めたはいいけれど、失業保険を受ける前に万が一ケガや病気になってしまったら…親の介護や妊娠出産など、人生は思う以上に予想外なことが起こるものです。そんな時におすすめしたいのが「失業保険の延長」です。しかし、多くの方が「失業保険の延長=給付期間の延長」と捉えているということ。
失業保険の延長とは、「失業保険を受給してもらえる開始日を延長させる」ということであり、決して定められている1年間の給付期間が延びるわけではないのでお間違えの無いよう注意しましょう。
失業保険延長の手続き方法
失業保険延長の手続き可能な期間は、退職をして30日以上働けなくなった翌日から1ヶ月以内に申請を行うことができます。万が一、自分で手続きが不可能な状況に置かれている場合は、代理申請や郵送での手続きもすることができます。
離職した時の年齢が65歳以上であったり、傷病手当を受け取っている人は失業保険の延長が認められません。
失業保険は会社都合でも自己都合でも早めに手続きをしよう!
失業保険は会社都合・自己都合どちらの退職理由であれ、雇用保険に一定期間加入していた人なら受け取れる権利であります。
しかし、こちらは決して1年間仕事をせずにお金をもらえるシステムというわけではなく、次の就職先を見つけるまでのサポートであることを忘れてはいけません。退職後はできるだけ早く手続きを行い、次の就職先を見つけられるように頑張りましょう!