第二新卒が転職からスタートするキャリアは描きやすくなっている
最近の就職活動においては、第二新卒枠も増えてきています。第二新卒の定義は確立されてはいませんが、特に「一度は就職したが、1~3年で早期離職した若者」を第二新卒として捉えるのが一般的です。
就職活動においては、従来「新卒」と「中途」という区分がありましたが、その中でも「第二新卒」は着実にその存在感を増しています。
第二新卒は新卒と中途の間と言われることもありますが、その理由は基本的には新卒寄りのポテンシャル人材であるにもかかわらず採用としては中途扱いとなるからです。そのためあまり良い印象のない人も多いです。
しかし、第二新卒枠が増えてきたことで、第二新卒スタートのキャリアプランも描きやすくなっており、今後は評価も変わっていくと予想されます。
そもそも「第二新卒」の定義とは?
「第二新卒とは何か?」その定義については、大学を卒業して一旦「新卒」として企業へ就職したものの、3年以内に退職・もしくは転職活動を行っている人材を言います。
広義には「大学を卒業後、就職の経験がない」「正社員ではなくフリーターをしていた」など、いわゆる「既卒」にあたる人材を含めて第二新卒と呼ぶ場合もあります。簡単には正規雇用としての就業経験の有無のない人が第二新卒者であると考えて良いでしょう。
第二新卒の採用枠がある理由
採用枠があるというのは、決して労働者側の事情ではなく、企業側の事情です。ですから、第二新卒の採用枠を作るというのはそれだけの理由があります。
その理由をよく理解していると、採用されるためのアピールも考えやすくなります。
1 新卒の補填
最大の理由は新卒採用者が予定人数に足りなかった場合の補填です。辞退者が出る場合や、そもそも採用できた人数が不足している場合、人員計画に不足が出ないように第二新卒枠からも応募者を募ります。
2 優秀な人材の確保
現代には、優秀な人材であるにも関わらずブラック企業、パワハラ、セクハラなどの問題によって短期間で離職する人も少なくありません。本人には問題がなく、環境の問題によって離職せざるを得なかった優秀な人材を雇用するチャンスにもなります。
3 企業有利の採用ができる
第二新卒については、売り手優位ではなく買い手優位になります。特に中小企業にとっては、大手企業と比較されて内定を出した人材が引き抜かれることが少なくなります。
4 世代交代を促す
高齢化が進んでいる企業の中では、積極的に若い人材を雇用することによって世代交代を目指す場合があり、若手人材の確保のために第二新卒枠を作ることもあります。
5 教育コストの削減
一度社会に出ている第二新卒者は、ビジネスマナーなどの基本的なことは教育がされているために、新人研修を行うコストが大きく削減できます。業務に必要なスキルさえ身に着ければ、すぐに戦力として期待できるのも企業側のメリットです。
第二新卒の求人が増える転職タイミングは1~3月
第二新卒の求人ルートの前に知っておきたいのが、求人が出てくるタイミングです。
一般に第二新卒の募集が多いのは1月~3月です。その理由としては、この時期は決算期が終わって企業側が少し落ち着く時期であることや、新卒採用の辞退者などが出そろう時期であること、また4月入社としやすく、研修を新卒者とそろえることで時間やコストを削減できるなどメリットが多いからです。
中途同様に年間を通して募集はあるので待つ必要はありませんが、特に多い時期は抑えておき、積極的に転職活動をすると良いでしょう。
第二新卒の転職先を探すためのルートは?
第二新卒の求人は増えつつあるとはいえ、一般的な新卒や中途と比較するとまだ少ないです。しっかりその求人ルートを押さえておきましょう。
転職・求人情報サイト
一般的には中途採用と同様に転職サイトを中心に探します。今はこうした転職サイトも、第二新卒の求人枠が検索できるようになっているので探しやすくなっています。エージェントが協力してくれるところはさらに採用活動を効率的にしてくれるでしょう。
ハローワーク
ハローワークとは、厚生労働省が運営している公共職業安定所です。第二新卒について言及している求人も多数掲載されているので、安心感があります。求人を掲載するコストが上記の転職サイトなどよりも安いために中小企業が多くなりますが、スキルや経験を不問とし、未経験者も大事に育ててくれる企業も多い傾向にあります。
リファラル採用
耳慣れない言葉でしょうが、リファラル採用とは簡単に言えば社員の知人・友人などの紹介による採用です。見知った人が紹介するということで安心感もありますし、企業側も人材を把握できた状態で採用ができるのがメリットです。
これは表に出ている採用枠ではありませんので、社会人の方に第二新卒の立場で転職活動をしていることをアピールしておくことが紹介につながります。
縁故採用
縁故採用とは、リファラル採用に近いですが縁故を利用した採用手法です。「コネ入社」と言われることもありますが、法律的な制限も無く、実際に多く行われています。
転職した後、最初は肩身が狭い思いをするかもしれませんが、社内で評価を集めている縁故者である場合には良い待遇をもらえる場合も多く、しっかり働くことによって「さすが」という評価を受けることも少なくありません。当然これも募集はありませんから、転職活動をしていることを縁故者に知らせる必要があります。
第二新卒だからといって採用条件が不利になることはない
「第二新卒だから採用条件が不利になる」ということは特別にはなく、勤務地や転勤、賞与などについて不利というほどの違いはありません。ただし、新卒と中途の間での複雑なバランスがあることは確かです。
たとえば、中途採用枠だとしても待遇的には新卒同様となることがほとんどです。昇給や昇進は緩やかなものとなりますが、成長を期待しての育成対象ですので、その面では中途と同じように考えないほうが良いでしょう。
転職活動から採用までのプロセスでも、第二新卒枠が設けられている場合は、新卒と同様に企業との雰囲気や理念のマッチングを特に重視するため、中途よりも採用のためのステップも多く、新卒同様の過程を踏むことが多いです。その分、将来の幹部候補生として育てられるということがあります。
第二新卒で転職に成功するためのポイント
第二新卒での転職活動を成功させるには、新卒とは少し違う、第二新卒ならではのポイントがあります。
1 退職理由はポジティブに伝える
第二新卒になった理由が本人の問題ではないことをアピールする必要があります。実際には本人の問題だとしても、それをそのまま伝えるよりは、ポジティブな表現にしましょう。
2 やる気をアピールする
第二新卒者の就活で大事なことのひとつは、やる気を見せることです。「新卒では失敗したとしても成長して成功したい」という意欲を見せると頼もしく感じられます。
3 適応力・柔軟性を積極的に伝える
第二新卒においては、どうしても一度離職しているために環境への適応力が心配されるものです。その不安を打ち消すために、様々な環境に適応できる柔軟性がアピールできるエピソードがあれば積極的に使うと良いでしょう。
4 最低限のビジネスマナーは身に着けておく
企業が第二新卒を採用する理由のひとつとして、教育コストの削減が挙げられます。ビジネスマナーが既に身に着いている姿を見せることで、企業側にも期待と安心感を与えることができます。
第二新卒者が評価を落とす失敗例
第二新卒者の場合、どうしてもネガティブな目で見られることは覚悟しておく必要があります。特に「第二新卒だから」と評価を落としやすい事例として、以下のようなものがあります。
1 遅刻する
事前に報告・連絡・相談ができていれば印象はだいぶ違いますが、面接などの時間に遅刻してくる、提出物の納期が守れないなどのことがあれば「やはり」という印象を持たれてしまいます。
2 やる気が見えない
中途ほど経験豊富はなくとも、「わかりません」「教えてもらっていません」などの答えばかりではいけません。わからないなら聞く、自分で調べるなどの姿勢が無ければやる気を問われます。
3 すぐに休む・辞める
ちょっと体調を崩したり、嫌なことがあった場合にすぐに休む人がいます。これらの行動は仕事に対する責任感が無いと見なされますので、休むにしても業務の引き継ぎなどの連絡はしっかり行いましょう。
また、短期間ですぐに辞めることが続くと、職務経歴書を見られた時点で「この人は続かなそうだ」と判断されてしまう可能性が高いでしょう。パワハラなどの特別な事情がある場合はもちろん無理はよくありませんが、注意は必要です。
4 言葉遣いがなっていない
敬語がうまくできない、また表現がビジネス向きではないなど、言葉遣いに関する問題は多いものです。本人は無意識で行っているのですが、企業側には「やっぱり」感を与えてしまいます。社会人として問題のない言葉遣いや、責任ある発言を意識しましょう。
第二新卒は基本のできた新人として転職市場のニーズが高い
新卒、中途と並ぶ第3の就職枠として、第二新卒の存在感は増しており、そこからスタートするキャリアステップも可能性が広がってきています。
厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」によると、今や新卒入社をした大学生の3割が3年以内に離職する時代となっています。また、昨今は人手不足の企業も多く、第二新卒に対しては強い求人ニーズがあり、昔のようなネガティブな印象はだいぶ薄れてきています。
第二新卒は社会人としての基本ができており、低い教育コストで若い人材を雇用できるのが最大のメリットです。自分をニーズに見合った人材に近づけることが、転職を成功させる大きなポイントとなるでしょう。