面接でお茶が出てきたときに慌てる人は多い
就職活動で面接に行くとお茶を出してくれる場合がありますが、このお茶を飲むことによって何かが起こるのではないかと心配する人も少なくありません。実際、お茶を飲む際のマナーは見られているという話もありますし、自分の対応は正しいのかどうか不安を感じる人も多いものです。
多くの人事担当者が口をそろえて言うのは「お茶は選考とは関係がない」ということ。しかし応募者の中にはチェックされていると感じる方もいます。なぜ両者の間でこういったギャップが生まれてしまっているのでしょうか。
新卒や転職、アルバイトを問わず、面接においてお茶を出されることについて、その理由や正しいマナーについて学びましょう。
面接中にお茶を出す理由は?
面接に行った際に、必ずしもお茶が出てくるわけではありません。そのためか、お茶が出てくるというイレギュラーに対して過剰に反応し、不安に思ったり、期待をかけてしまう人は珍しくありません。ここでは、面接で会社側がお茶を出してくる理由について紹介します。
1 面接をリラックスして進めるため
面接でお茶を出してくる理由として多いのは、面接という緊張しがちな場を少しでもリラックスして過ごしてほしいという応募者への配慮からです。お茶を飲むという行為を通して選考をすることが目的ではありません。
こういった場合には応募者だけでなく、面接官の方にもお茶がある場合も少なくありません。緊張するのは応募者だけではありませんから、お茶でも飲みながら、楽な雰囲気で進めたいという配慮です。もちろん、プライベートで言う「楽な雰囲気」とビジネスにおける「楽な雰囲気」は別物ですから、区別はして臨む必要があります。
2 面接がある程度長い時間になるため
役員面接など、時間が30分以上など長い時間になる場合にはお茶を出すところもあります。
移動時間や待ち時間などを含めると、応募者も1時間以上を何も飲まない状態で過ごし、かつ様々な話をしなくてはならない状況となります。こういったシチュエーションで飲み物もないなら、話しにくさを感じる場面も出てくるでしょう。
そうした状況に配慮し、より良い面接の時間として時間を使うために、お茶を出しているというところがあります。
また、表立って言うことはないですが、役員が面接に参加する際に人事が気遣ってお茶を出していることもあり、その際に外部の人である応募者にお茶を出していないならビジネスマナーに反するため、役員にお茶を出した結果、全員にお茶が振舞われていることも多いです。
3 単純な親切・会社のブランディングのため
夏場などは喉が渇きますので、単純に採用担当の人の親切心からお茶が出てくる場合もあります。多くの企業ではお茶出しについて明確な基準はないですから、同じ企業でもお茶が出たり出なかったりすることもありますので、そうした違いが合否の有無に関係していると思わせている点もあるでしょう。
また、お茶を作っている企業なら、自社商品のPRのために自社で製造・販売しているお茶を出してくれる場合や、会社によっては良い企業であるという印象を内外に与えるためにお茶を振舞っているところもあります。こうした会社としてのブランディング目的でお茶を出すケースも少なくありません。
面接のお茶は採用の結果に影響する?
面接中に出されるお茶が合否の判断基準になることは基本的にはありえません。中には、お茶が出てくるということで自分は採用に近いのではないかと意識する応募者もいますが、これも採用の可能性が高いということでもありません。お茶はあくまで面接の時間を良い時間にするための小道具であり、試験ではないのです。
しかし、だからといってお茶が原因で不採用になることがないとも言い切れません。
お茶を飲むというのは、直接的な選考とは全く関係はありません。しかし、お茶を飲むという普通の行為にはその人の人間性が現れやすいもの。相手の話の最中に飲んでしまい、また音を立てて飲んでしまったら最悪です。また、「待ってました」とばかりに一気に飲み干したりするのも良くありません。
旅館業などのように、業界によってはマナーを重視しているところもあり、こういったポイントでマナーを問われるケースもないわけではありません。面接がちゃんとできても、マナーや振る舞いが原因で評価を落とされることは多いにありえることです。
選考に使う予定も意図もない面接中のお茶。しかし、その対応の仕方によっては人間性を疑われてしまう恐れもあります。採用の現場では「一緒に働きたいと思えるか」が大事ですから、お茶の飲み方ひとつであっても、面接官へ与える印象が悪くなるような行為はくれぐれも避けておきたいところです。
面接でお茶が出された場合の対応
ここで、面接を受ける際に会社の人からお茶を出された場合の正しい対応についてチェックしておきましょう。
1 待合室でお茶を出されたら出してくれた人が退室してからいただく
面接会場ではなく、待ち時間に、待合室でお茶が出される場合があります。お茶を出してくれる相手が面接官であるかどうかに関わらず、しっかりお礼を言ってからいただきましょう。この時も、お茶を出してくれた人が退室してからいただくのがマナーです。
また、他にも誰かがいる場合はもちろん、他の部屋にも音が聞こえてしまうこともありますので、音は立てないように飲みます。
2 お茶を飲む際は音を立てずにいただくのがマナー
お茶を飲むときには、「ありがとうございます。いただきます」と必ずお礼を言うのがマナーです。お茶が出てくるのは企業側のご厚意ですので、感謝していただきましょう。
お茶を飲む際には、必ず両手で湯呑みを持ちます。片手は側面を持ち、もう片手は底を支えるようにして飲みます。飲む時に音を立てないように注意してください。
湯呑みに蓋が付いている場合
時に、湯呑みに蓋がついている場合もありますが、この場合の作法も知っていると好印象です。左手で湯呑みの側面を支えつつ、右手で蓋をとります。とった蓋は、湯呑みの右側に、蓋を上向きにして置きましょう。もちろん、音は立てないように注意してください。
お茶を飲み終わったら、湯呑みに蓋をもう一度のせます。蓋は奥から手前に傾けるように閉めるのがマナーです。
3 お茶を飲み始めるタイミングは勧められたときがGood
お茶が出されたとしても、自分の好きな時に自由に飲んでいいのではありません。相手に良い印象を与えるためには飲むタイミングもまた重要となります。
例えば、面接官の方が話をされているときに飲むのは失礼に当たります。飲むタイミングとしては、相手に勧められたときや、面接官が飲んだ時、また面接の最後などが適切です。相手がせっかく出してくれたお茶ですから、全く手をつけないのも失礼ですので注意しましょう。
4 女性の場合は湯呑みの口紅に注意
女性の方は湯呑みに口紅がついてしまうことがあります。最後に口紅がついていないかどうかを必ず確認するようにしてください。もしついていた場合は、自分が離席する前にハンカチかティッシュでふき取るようにするのがマナーです。そのため、取り出しやすいところにハンカチやティッシュは忍ばせておくようにしてください。
5 退室する前にはお礼を言う
お茶を振舞ってもらった場合には、必ず最後にお礼を言うようにします。退室の前でもよいですし、別れ際でも大丈夫です。タイミングを逃さないよう注意しましょう。
タイミングを逃してしまった場合は、その日のうちに面接のお礼もかねてメールなどでお礼を伝えるという方法でもよいですが、印象はすぐについてしまいますので、タイミングを逃さないように気を付けましょう。
面接でお茶を出されてもマナー良く対応できれば大丈夫
就活の面接でお茶を出されることがありますが、それは基本的に合否には関係がなく、飲んでも飲まなくても構わないものです。
それでも注意したいのは、お茶を飲むという日常的な行動には人間性が出るということ。マナーがしっかりしている人なのか、付け焼き刃なのかはこういったところに現れます。あまりにも社会人らしからぬ対応であれば、評価を下げることになりかねません。
そのため、正しいマナーをある程度知っておく必要があります。難しいことではありませんし、就職することになれば、営業職などではそういった機会も多いため覚えておいて損はありません。お茶を出されるのは、あくまで面接を良い時間として過ごすためですので、肝心の面接に支障が出ない程度には自然に振舞えるように、普段から練習しておくと良いでしょう。