紹介予定派遣の面接のポイントを押さえよう
就職をする際の選択肢のひとつに「紹介予定派遣」というものがあります。普通の派遣社員との最大の違いは、6ヶ月以内の雇用を行った後に、正社員あるいは契約社員として派遣先の企業と直接雇用を結ぶことを予定しているということ、そして、通常の登録派遣と違い、派遣前には派遣先による事前面接が可能となっていることです。
そういった特徴があるからこそ、新卒・既卒・中途を問わず、紹介予定派遣では面接に各企業とも力を入れています。当然、それを希望する側も力を入れて面接に臨む必要があります。どのような点に注意していくべきなのか、以下に紹介していきます。
紹介予定派遣の登録・面接・採用までの流れ
紹介予定派遣の面接について紹介する前に、まずは紹介予定派遣について一般的な採用の流れを紹介します。
1 派遣会社へ登録する
紹介予定派遣を受けるには、まず人材派遣会社に登録することから始まります。自分の希望する分野や職種などをきちんと踏まえて登録します。先方に渡る情報の多くがここで決定するのでしっかり記録し、控えも取っておきます。
2 派遣会社から企業の紹介を受ける
派遣会社から、条件が合うと思われる企業について紹介があります。その企業での直接雇用を希望するなら、担当者に連絡したり必要事項を確認して、次のステップに進みます。
3 面接日時が決定する
面接日時についての調整が行われます。多くの場合は希望を連絡して1週間以内にはスケジュールが決定します。当日の準備として不安なことがあれば、派遣会社の担当者に確認しておくと後々不安が残りません。
4 面接をする
紹介予定派遣の面接では採用担当者や役員、経営者などが面接官となります。対策については以下に譲りますが、良い印象を残せるように全力を尽くします。
5 合否の連絡がくる
面接後は、1週間以内には合否についての連絡があります。合格なら最終的な意思決定を求められ、出社日の調整などに進みます。
紹介予定派遣の面接で最低限用意しておきたい持ち物
紹介予定派遣の面接では、最低限用意しておいたものは、新卒や中途採用などで面接を受ける場合と特に違いはありません。社会人らしい身だしなみに、筆記用具やスケジュール管理のための手帳、そして身だしなみを整えるために必要と思われるものを持っていけば大丈夫です。また、もしもの時のために相手企業や担当者の連絡先を控えていると、緊急の事情で遅刻や欠席となった場合にも連絡ができます。
加えて、派遣会社に登録している内容の写しも持っていくと良いでしょう。自分の経歴や記載内容を確認し、面接時の受け答えと書類情報に矛盾が出ないように準備できます。
また、場合によっては面接先の企業から持ち物について指示がある場合があります。たとえばデザイン職などであれば、作品のポートフォリオを持参するように言われる場合もあります。
交通費が支給される場合には、受け取りに印鑑が必要なこともありますので、指示があれば持っていくようにしてください。
面接は社会人として採用を考えてもらう場です。必要なものを忘れてしまうと社会人として不安を与えてしまいます。持ち物で減点されないよう何度も確認するようにしましょう。
紹介予定派遣の面接での服装
紹介予定派遣の面接では、服装にも注意する必要があります。これは年齢や職歴、また業界にもよりますが、基本的には就職活動としてふさわしい服装を意識してください。男性ならスーツの着用、女性ならスーツあるいはオフィスカジュアル着用で面接を受けるようにします。
もし、職歴らしい職歴のない若い人ならリクルートスーツでも問題ありませんが、社会人として長く働いてきた方がリクルートスーツで面接に臨むと不自然ですので、失礼のない濃紺やグレーのスーツなどで臨むのがベターでしょう。
女性はスカートが基本ですが、パンツスーツでも問題はありません。色やデザインがあまりにカジュアルにならないように気を付けるとともに、靴やアクセサリーも採用面接にふさわしいものを意識して準備します。
面接は人柄を確認するための場です。服装で個性をアピールしようとするための場ではありませんので、万人受けする清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。
紹介予定派遣の面接前に押さえるべきポイント
紹介予定派遣の面接は事前の準備がポイントと言ってもよいほど、事前準備が大切です。
採用する側は、書類審査と1~2回の面接で社員の採用を決定しなければなりません。そのため、面接では様々にあなたのことをチェックしていますし、それだけ面接にも時間が割かれていますので、十分に準備してから臨むべきです。
1 面接先の企業リサーチは必ずやっておく
面接先企業のリサーチは、事前に行っておいてください。余裕があれば、その業界についても多少調べておくとベターです。本気でその企業に関心を持ち、就職し、その業界でやっていく決心があるのかを判断する大事なポイントです。その企業の中で自分には何ができるのかをしっかり考え、イメージして面接には臨むようにしましょう。
2 自分の職歴や経歴はポジティブな表現でアピールする
紹介予定派遣では、新卒者のような形で育成をする時間は会社側にありません。年齢にもよりますが、基本的には即戦力になれる人が求められています。そのため、自分に何ができるのか、そして何をやってきたのか、これらをポジティブに伝える必要があります。これは相手があなたの社内で活躍するイメージを持つためにも大切です。
嘘はよくありませんが、あまりにも正直にネガティブな内容を答えるのも考えものです。もちろん、ポジティブに答えた以上、それが実現するように働くことは当然の責任です。
また、派遣会社のスタッフが企業にあなたを紹介する際に、どのようなポイントをアピールしたのかということも聞ければ聞いておきます。自己アピールの参考にもなりますし、企業側からの質問も予想しやすくなります。
3 「聞かれるであろうこと」への返答は必ず準備しておく
紹介予定派遣では、事前に提出している書類などからおよその質問は予測できます。特に、答えにくい部分の質問は必ずされるものと思っておいてください。どういった質問が予想されるのか、派遣会社のスタッフに聞いてみると親切に教えてくれますので参考にしましょう。
例えば?
- 「前の会社はなぜ退職したのですか?」
- 「前職からだいぶ期間が開いていますが、その期間はどうしていたのですか?」
- 「なぜ、普通の採用ではなく紹介予定派遣を選んだのですか?」
特に、上記3つの質問は聞かれても特別不思議な内容ではありません。企業の戦力として真剣に採用を考えるなら当然気になる部分です。怯むことなく、前向きな返答を準備しておくことが面接突破のポイントとなります。
4 企業への質問事項の準備も忘れずに
質問に答える準備だけでなく、こちら側からも質問を準備しておきます。なぜなら、面接の最後には必ず「最後に何か質問はありませんか?」と聞かれるからです。
これは採用に向けて試している質問というよりは、一方的に聞きたいことだけを聞いて終わりではなく、こちらにも聞きたいことがあれば尋ねるように機会を与えるいわばマナーの側面が強いですが、内容によってはアピールにもマイナスにもなります。
使える機会なら有効に活かすのは当然ですから、相手にとっても好印象で、自分にも益になる質問を考えておきます。とはいえ、企業のホームページやパンフレットに紹介されているような内容について触れるよりは、より具体的な部分に踏み込んで質問してみた方が良いでしょう。
「自分が働いているとして気になるであろうこと」を推測して、企業に対し失礼のない範囲で質問を考えておいてください。
企業への質問例
- 「皆さん昼食はどうなさっているのでしょうか?」
- 「業務や社内ルールについての研修などはありますか?」
- 「過去に紹介予定派遣から正社員になった例はあるのでしょうか?」
また、女性であれば「育休などはどれくらい取得していますか?」という内容であったり、男性であれば「社内でスポーツのサークル活動などはありますか?」といった内容も社内に溶け込もうとするイメージができて好印象でしょう。
紹介予定派遣の面接を突破しても希望する働き方ができない場合がある
紹介予定派遣という制度は、2004年の派遣法改定によってできた仕組みです。しかし、やはり就職するための選択肢としてはマイナーなためか、正しく仕組みを理解している人は少なく、情報も少ないというのが現状です。
紹介予定派遣として所定の雇用期間を過ごした人が、実際にどの程度が直接雇用になっているのかというデータはその統計によって様々です。直接契約が行われない場合、実際は企業側に断られるケースは少なく、労働者側が希望する雇用形態や条件ではないケースが多くなっています。やはり実際に働いてみないことにはわからない点が多いということを実感します。
紹介予定派遣の面接は事前準備が大切
紹介予定派遣の面接では、身だしなみや持ち物などで不要な減点をされてしまわないようしっかり準備して臨むことがポイントになります。
面接対策では、自分の職歴や経歴を整理して伝えることはもちろんのこと、それをどのようにポジティブに伝えるかを考えておく必要があります。また、想定される質問に対する返答や、自分から企業に対して質問に関しても準備をしておくと万全です。
紹介予定派遣では、派遣会社のスタッフやエージェントが協力してくれるというアドバンテージがあります。事前に面接の練習をしてくれたり、面接先企業へアピールしてくれた内容や先方の印象を教えてくれる場合もありますので、派遣会社をうまく活用するとチャンスが広がるでしょう。