面接で嘘をつくのはアリ?ナシ?
就職活動においては、自分をアピールするために大小の嘘が見えることがよくあります。そのために「面接という名の嘘つき大会」と言われることもあります。応募者は「少しでも良く自分を見せるため」に嘘をつき、企業もより「魅力的な企業に見せよう」と嘘をつきますが、互いに良いことであるとは言えません。
就職活動において多少の嘘は許されるものではありますが、程度によっては大きな問題になることもあります。就職活動における嘘の在り方について考えてみましょう。
学生が就活で嘘をつくのは自分を魅力的に見せたいから
学生が嘘をつく理由としては、少しでも自分を魅力的に見せて内定を得たいからです。特に、華やかな目立つ経歴やエピソードがない人ほど嘘に頼ろうとする傾向が見えます。
学生がつく嘘としては志望に関する嘘が最も多くなります。本心ではなくとも「御社が第一志望です」と言うことがテンプレート化してきています。就活指導でも「とりあえず第一志望と言っておくことが最もリスクが低い」と教育されますので、抵抗感なく嘘をついている人もいます。
また、面接などで自分をアピールするために経歴に関する嘘をつく人もいます。見ていただけのボランティア活動について中心人物だったかのように話す人もいますし、経験がないにもかかわらずアルバイトリーダーだったと主張するなど様々です。さすがに新卒だと学歴を偽る人はほぼいませんが、転職やアルバイトでは時折見られます。
学生側がつく嘘としては、キャラクターに関する嘘も挙げられます。性格などを就活・面接用に完全に作ってそれを演じ切るということができる人もいます。入社後に問題となることもありますが、職種によっては頼りになると評価されることもあります。
企業の嘘はエース級の人を基準にしているから
企業がつく嘘と言われるのが待遇面や昇進・昇給に関することです。基本的にはモデル例となっている社員は一般的な社員ではなく、社内のエース級の人で、実例ではあるものの同等の実績を挙げ、評価を受けることは簡単ではありません。また、週休2日と公開されている情報にあっても、実際には部署ごとに大きな違いがあったりと様々な点で就職後に事実と違う点が見られることがあります。
また、評価に関する嘘もあります。「インターンの参加の有無は評価しない」「学歴は評価しない」と言いつつも、やはり最終的には評価に入っているケースも少なくありません。
就活でつく面接での嘘はどこまで許されるのか
多くの就活生にとって、やはり気になるのは「面接での嘘はどこまで許されるのか」という点でしょう。
基本的に企業側は、学生たちがある程度の嘘を盛り込んでくることを許容しています。話の内容について細かく本当かどうかを評価しているわけではなく、学生の人間性や行動特性に着目しているからです。
しかし、その中でも許されないタイプの嘘があります。面接での嘘がバレた場合、最悪の場合は内定の取り消しや学校側へのクレームなど、様々な可能性が想定されます。
1 年齢・学歴などを偽る嘘
大きな問題になってしまうのが、面接を受ける際に年齢や学歴を偽る行為です。年齢は社会保険などに大きく関係する他、年齢給がある企業や定年退社がある企業の場合にはその算定に違いが出てしまいます。
学歴詐称は、本人の能力や資質には問題が無いとしても、その後の採用方針に影響を与えてしまい、学校側にも迷惑となる可能性があります。
2 知識・技術を偽る嘘
面接試験において、知識や技術を偽ることも基本的には良くありません。「英語はネイティブと会話が楽しめるレベル」と言っていた人が、入社してみると挨拶程度しかできないという場合は、戦力として期待していた働きができなくなります。
もしも偽ってしまった場合は、それに近づくために入社までにできるだけ努力をする必要があります。ミスマッチを発生させた原因が自分にある場合、最悪は賠償請求をされる可能性もあります。
3 健康状態を偽る嘘
健康状態や持病に関する情報を偽ることは大きな問題になる可能性があります。脳や心臓などの大きな病気がある場合や、糖尿病などの持病がある場合は必ず告げなければなりません。
もし偽って入社し、業務中に何かがあれば一大事となります。知らずに採用・管理をしていた企業側も責任を問われ、その後にまで大きな影を落とすことになります。
妊娠中の女性の場合、入社後すぐに産休が必要となることもあります。その場合には法的な定めがありませんので、対応は企業によって異なります。心証の問題もありますので、可能な限り発覚した時点で告げて相談するのが無難です。
面接での嘘は面接官に見抜かれると考えよう
就活生にとっては、「嘘をつくと面接官に見抜かれるのか」というのも気になるポイントでしょう。
結論としては「どちらとも言えない」のですが、基本的にはよほど練り込まれた嘘でなければ見抜かると考えましょう。人事担当者や管理職として経験を積んだ年配の社会人は、嘘をついた人の態度などに敏感であり、その上で柔軟に対応をしています。見抜いた上で看過していることも少なくありません。
面接で嘘が見抜かれるポイント
嘘がどこで見抜かれてしまうかと言えば、まず「態度・仕草」です。嘘をつく際に早口になってしまったり、目線が合わなくなったり、手が鼻や髪につい伸びてしまうなど、緊張したそぶりが表に現れてくるため、そこから見抜かれることがあります。
嘘が見抜かれた場合、その内容が企業の選考上で重要な意味を持つ場合には、厳しい質問が飛び、圧迫面接のようになることもあります。緊張感を高めて偽りをあぶり出すようにする面接官もいますし、無事に終わったと安心させておいて、面接の最後のタイミングで緊張が解けた時を狙って突っ込んでくる面接官もいます。
嘘はバレることがなければ評価に影響はありませんが、嘘がバレたということで応募者の評価は下がるのが普通です。その嘘以外に話したアピール内容に本当のことが混ざっていたとしても、評価されることなく心象も悪くなります。また、最近はSNSなどの情報からも嘘がバレることがありますので注意しましょう。
面接で嘘をついてもよい範囲とは?
嘘をついても良い範囲というのは決まっているわけではありませんが、多少飾る程度であれば問題ないことがほとんどです。嘘とも言い切れないほど事実と大きな相違がないものであれば大丈夫と考えてください。「辛口は苦手だけどカレーが好き」という人がカレールーを作っているメーカーで「カレーが好きです」という程度は問題がありません。
嘘というよりは、アレンジという見方で考えていくのが良いでしょう。同じことでも見方や表現によっては別の取り方ができるものです。「口下手」であれば「聞き上手」と見ることもできますし、「サークルやアルバイトはしてこなかった」ではなく「学業に集中していた」など、別の表現にすることによって自分についてポジティブに評価できるものです。
華々しいエピソードがないことに気後れせず、自分についてポジティブに考え、上手に飾ってみると良いでしょう。
基本的に面接では嘘をつくべきではない
面接や履歴書・エントリーシートにおいて、基本的には嘘はつくべきではありません。
もちろん、就職できてこそということはあるのですが、選考過程の中で嘘の情報が多ければ多いほど入社後にミスマッチが発生する可能性が高くなります。合わない部署に配属されてしまったり、苦手な業務ばかりを任されたり、転勤などが多く発生することもあります。もしもミスマッチが理由で退職することになれば、その人だけでなく企業の損害にもなります。
嘘が横行してしまうのは、まだまだ日本において「就職」ではなく会社に就いて社会人としての安定を求める「就社」意識が強く、良い仕事や自分に合った職場を求めるよりも、一般的な評価や待遇の良い会社に入りたいという意識が強いためです。
ただ、終身雇用などが崩れてきている昨今、無理をして良い会社に入るメリットはそこまで大きくはなくなってきています。何より、人生の一大事を決める場面で嘘をつくことで、自分の望まない方向に人生が向かってしまうことが危惧されます。
今後は「自分らしい働き方」が求められています。入社後に良いスタートを切れるよう、正々堂々嘘のない受け答えを意識してください。
面接での嘘はできるだけ避けるのが正解
就職しても3年で3割が辞めていくと言われる時代ですが、その原因の多くは雇用のミスマッチにあります。「職場環境が思っていた環境ではなかった」という場合もありますが、企業側から見れば「面接や履歴書の内容と本心・実態が違っていた」場合もあります。嘘をつき、飾ることによって行われた採用選考が、結果としてミスマッチの原因になっていることが多いです。
今、企業側もミスマッチを減らすために本音を出し、本音を見抜けるような選考スタイルを取り入れています。面接における嘘は内定獲得の面でもリスクが高く、また就職後にもリスクとなります。できるだけ避けるようにしましょう。