転職する時はベストなタイミングを見極めてからにしよう
まず念頭に置いていただきたいのが、人によって転職のベストなタイミングは異なる、ということ。どんなタイミングで転職しても必ずメリットとデメリットがありますので、それらをすべて考慮した上で転職のタイミングを決めればいいのです。
転職のタイミングを決めるためには、自分の人生設計や要望、自らの市場的価値等を今一度検討する必要があります。これからご紹介する7つの要素について考えていただければ、いつ転職すればいいのか具体的になってくるでしょう。
人によっては占い等で運気のいいタイミングを探す場合もちらほら見かけますが、今回はあくまで自分でタイミングを決めるという前提で考えていきたいと思います。
1.年齢による転職タイミング
企業として、中途採用者を受け入れるにあたり年齢のハードルを設けている場合が多くあります。
企業の本音
自社に合う、もしくは合うように教育できる若い年齢の人材が欲しい
若ければ若いほどベターですが、以下の年齢を迎えるごとに受け入れハードルはグッと上がります。
- 25歳:第二新卒でなくなる年齢
- 30歳:求められるスキルが高くなる
- 35歳:”転職35歳限界説”がささやかれることも
特に、社会人経験が浅くスキルも低い第二新卒(就職して1~3年目)の場合は、25歳になるとその期間を終え中途半端な存在になってしまいます(知識やスキルがある人は、この限りではありません)。24・29・34歳と、上記の年齢にリーチがかかっている人は速やかに転職することをおすすめします。
2.年間の会社イベントによる転職タイミング
1年のうちどのタイミングで転職しようか迷っているという場合は、年間のイベントをうまく利用しましょう。これらのタイミングを知っているだけでも、お得に転職することができます。
求人が出やすいシーズンを狙い転職する
求人が多く出る時期を狙って転職するのも一つの方法です。
中途採用の求人が出やすい時期
年度切り替えのある3~4月や9~10月が求人数最多。この時期を目がけて中途採用者のニーズが高まります
この時期は退職者が出たり、新しいプロジェクトが立ち上がったりといった社内での動きが活発になるので人員の補充が行われます。しかし、求人が多く出るこの時期は、転職活動を行う人の数も増えるということを忘れずに。選択肢は広くなりますが、採用倍率は高くなると思っていいでしょう。
ボーナスを貰ってから転職する
今働いている職場でボーナスが支給されているのであれば、ボーナスをもらってからやめるように退職スケジュールを立てるとお得です。今まで会社に貢献してきたことに対する対価ですから遠慮することではないのですが、以下の点に気を付けられればベストです。
1.「あいつはボーナスをもらい逃げして辞めた」と思わせない
後任への引継ぎには十分時間をかけて、職場に迷惑をかけないようにしましょう。” 立つ鳥跡を濁さず” を肝に銘じましょう。
2.転職を速やかに済ませ、転職先でも次回のボーナスをもらえるようにする
ボーナスをもらってすぐに現職場に辞表を出し、引継ぎに移るように計画しましょう
しかし、ボーナスをもらうことに目が奪われていい転職先を逃さないように注意してください。たかだか1度のボーナスは、いい職場に転職できればすぐに取り返すことができます。ボーナスと転職の成功とどちらを取るべきか、冷静に見極めるようにしましょう。
年末調整に合わせて転職する
上記の通り、年末のボーナスをもらってから転職するというのはいいタイミングと言えますが、年内に退職してしまうのはおすすめできません。
12月中の退職を考えている人は
年を越してからの退職、または年内の転職がベターです。年末に会社に所属していないと年末調整をしてもらえず、自分で確定申告をする必要が出てきます。
今まで会社が年末調整をしてくれていたサラリーマンにとって、自分で税務署に足を運んで確定申告をするのは面倒なことです。いずれにせよ、年末にどこかの会社に所属している状態であれば問題ありません。
注意する点としては、年末の就職活動について。年末は得意先への挨拶回り等で企業も忙しい時期です。採用面接等のアポを取るときは、先方の都合をよく確認しておきましょう。
3.資格取得後もいい転職のタイミング
資格を取ろうと考えている人は、資格取得後の転職をおすすめします。資格を取得することで、転職の際も能力を高く評価してもらえる可能性が高まり、給与にも影響してきます。そして、これは厳密には資格を取得してから退職するということです。
資格を取得する前に退職してしまうと…
- 資格の試験勉強に時間が取られ、転職までにブランクが空いてしまう
- 試験勉強中の生活費が得られない
という点がデメリットとなります。
時間はかかってしまうかもしれませんが、今の職場で仕事をしながら資格の勉強を進めるのが最善の方法でしょう。
4.住宅の購入時期による転職タイミング
実は、住宅の購入も転職に大きく関わってきます。
住宅の購入を考えている人は
住宅を購入してから転職するのをおすすめします。勤続年数の長い現在の職場にいる間に、住宅ローンを組んでおきましょう。
ここで問題になるのは、住宅ローンです。転職して日が浅い時期(1~2年ほど)は銀行の審査が通らず、住宅ローンを組んでもらえないと考えておきましょう。失業中(求職中)も、もちろんローンは組めません。
また、企業の持家制度等で住宅資金の融資を受けている場合は、退職時にまとめて返済しなければならないので注意です。
5.勤続年数による転職のタイミング
現在の職場に何年勤めているかが、転職先のあなたに対する印象を左右します。あまりに短いと「この人は忍耐力に欠ける人材なのかもしれない」と思われてしまうことがあります。
具体的には、今の職場に勤めて2年以上経っていればOKでしょう。まだ勤続年数がそこまで達していないという人は、もう少し頑張って勤めてみましょう。
看護師の転職ベストタイミングは
看護師は、経験年数と知識・スキル等が比例していると考えられる職種です。転職先に困らないとされている看護師ですが、すぐに転職するよりは、1つの職場である程度のキャリアを積んでからの方が転職活動はスムーズにいきます。
看護師で転職を考えている人は
5年のキャリアを積んでから転職活動を始めましょう。
どうして5年のキャリアがよしとされるのでしょうか?
- 経験を積み、チームリーダーもできると考えられる
- 一つの職場で長く働けるとみなされる
- 経験が長すぎず、過信・クセが少ない
ここで一番大切なのが、最後のポイントです。看護師もベテランすぎると、自分の仕事のやり方が確立してしまっています。病院側としては、ベテランを採用しても素直に病院の方針に従ってもらえるかどうか不安に思ってしまうのです。そこで、クセが少なく素直に病院側の方針に従ってくれる人材として、5年のキャリアを持つ看護師は打ってつけというわけですね。
6.出産の時期による転職タイミング
出産を考えている女性は、妊娠する前に転職のタイミングを事前に考えておいたほうが賢明です。
考えられる選択肢としては
- 今の職場で産休・育休を取ってから転職する
- 転職してから出産し、産休・育休を取る
のどちらかであるかと思います。
選択肢1のメリット
・すぐに出産できること
・勤続年数が長ければ、育休・産休が取得しやすい
※育休の取得は子どもが1歳を超えてもその職場で働き続けることが前提とされているので注意
選択肢1のデメリット
・乳幼児を抱えての転職活動は大変
・乳幼児がいると新しい職場に受け入れてもらいにくい
選択肢2のメリット
・産後の職場復帰がスムーズ
・産後に職場の協力が得やすい
・産休・育休を取りやすい雰囲気の職場を選べる
選択肢2のデメリット
・育休は勤続1年を超えないと取得できないので、すぐに出産できない
・周りの協力を得るために、同僚との良好な関係作りが求められる
産後のことを考えるのであれば、選択肢2のほうに軍配が上がりそうです。今すぐに妊娠・出産したいのであれば別ですが、転職して1年以上働き、産後の職場環境を整えることに専念しておいた方がベターです。
7.転職タイミングは景気の状況で判断してもいい
景気の状況も、転職市場の動きに大きな影響を与えます。一般的に、不況下では求人数が減り、求職者の数も増えるため転職は難しくなると言われています。しかし、不況下で転職活動をすることは必ずしもマイナスとは断言できないのです。
不況下のタイミングで転職することのメリット
実は、不況下であっても積極的に求人を出している企業は存在しているのです。
不況でも求人を出している企業の中には…
これから企業規模を拡大していく”未来の大企業”が隠れている可能性があります。
不況下では大企業であっても売上高は増えにくく、採用を控える傾向にあります。しかしそれと同時に、採用数を減らすことによって企業が縮小していくという悪循環にも陥りやすくなります。現に、就職氷河期に新卒だった世代の社員数が不足している現象は、日本中の企業で問題視されているところ。
これらの経験を反省材料に、これから企業規模を拡大していく企業は不景気にあっても採用数を大幅には減らしはしないのです。むしろ、不況下で各社から流出していく優秀な人材をゲットすべく目を光らせているとも考えられます。そういった企業に目をつけ、転職を成功させることも不可能ではありません。会社の良し悪し・将来性を見極める目を養っておくことが必要です。
不況のタイミングで転職するときに必要な心構え
既にご説明した通り、不況下での転職が難しいという点に変わりはありません。明確な目的意識や自分の能力に自信がある場合は別ですが、”なんとなく”転職をするのは避けた方が賢明です。
また、不景気でも採用を行っている企業には”未来の大企業”が隠れているともご説明しましたが、そういった企業は決して多くはありません。中には、大量採用・離職を繰り返すブラック企業が混ざっている可能性も十分に考えられるのです。
不況下での転職をするにあたっては…
自分のスキル・知識に対する客観的視点、明確な目的意識を持って市場の動向を探るようにしましょう。いい求人がなければ、急ぐ必要はなし
転職のタイミングは焦って間違わないように注意
ベストな転職のタイミングを見極めるための7つの要素をご紹介してきましたが、これはあくまで環境的なものです。いい転職先が見つからなければ、焦って転職をする必要はありません。転職したら今より職場環境が良くなるのかどうか、冷静に判断した上で退職・転職に踏み切るようにしましょう。