派遣の顔合わせって何をするの?目的や主な内容を解説
派遣会社への登録が完了し、これから派遣社員として働くことが決定したら、実際に就業する前には派遣先の企業との顔合わせを行うのが一般的です。しかし「顔合わせ」と聞いてもいまいちどんなことをするのかピンと来ない…とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今後派遣社員として働く上で、派遣先との顔合わせを行う目的や主な流れ、顔合わせの際に注意すべき服装のポイントについてしっかりチェックしておきましょう。
派遣先と顔合わせをするのは職場で働くイメージを知りたいから
厚生労働省より施行されている労働者派遣法の第26条によると、派遣労働者の事前面接は禁止事項とされています。最長6ヶ月の派遣期間を経てから双方の合意のもと正社員登用される紹介予定派遣の場合はこの限りではありませんが、顔合わせで選考が行われ不採用となるというケースは、法律上はあり得ないということになります。
しかし、派遣社員を受け入れる企業側としては、その人がどういった人間なのかを全く把握できていない状況で受け入れるのは不安が残ります。同様に、派遣される側の人間としても、今後どんな人達とどういった職場で働くことになるのかをある程度イメージしておきたいところです。
派遣市場におけるこういった双方の思いを解消するべく設けられるのが顔合わせという機会なのです。
派遣の顔合わせで不採用になることはある?
上記の通り、派遣先の企業が面接を行うことは禁止されているとご説明しましたが、顔合わせで不採用になることは本当にあり得ないことなのでしょうか。
結論から言うと、顔合わせの際に社会人としてふさわしくない非常識な言動や行動が見られた場合、あるいは派遣先の都合により派遣を受け入れてもらえないケースも少なからずあるというのが実態です。こういった事態を避けるためにも、派遣される側としては「顔合わせなのだから落とされることはない」と楽観視せず、面接さながらの心構えをもって臨む必要があるでしょう。
派遣の顔合わせの主な流れ
派遣の顔合わせではどんなことを聞かれるのか、どういった準備をすべきか不安を感じている方も多いことでしょう。ここでいま一度、おおまかな顔合わせの流れについて把握しておきましょう。
1 派遣元のスタッフと待ち合わせる
派遣の顔合わせは、派遣元の企業のスタッフ(派遣コーディネーター)が同席して行われます。そのため、15~30分前にスタッフと待ち合わせをして合流する形となります。
なお、30分以上前に待ち合わせを指定された場合、顔合わせにおける諸注意や確認、打ち合わせが行われる可能性が高いでしょう。
2 派遣先の企業で顔合わせを行う
派遣企業のスタッフと合流し、派遣先に到着したらいよいよ顔合わせがスタートします。
担当者と挨拶を交わしたら着席し、派遣企業のスタッフが担当者に派遣社員の経歴や資格、スタッフ番号などが記載されたスキルシートを渡します。
3 派遣先企業側からの質問に答える
まずは企業側からの質問に答えていきます。質問の例としては以下のようなことが挙げられます。
派遣の顔合わせでよく聞かれる質問
- 過去の業務経験について
- どんなスキル・資格を持っているのか
- 応募のきっかけ
- 時間外・希望以外の業務は可能か
- いつから勤務が可能か
4 疑問点があれば自分から質問する
業務内容や勤務体制、繁忙期についてなど、気になることがあれば遠慮なく質問しましょう。
特に問題がなければ「本日詳しくお話を伺いまして、ぜひ御社で働かせていただきたいと感じました。どうぞよろしくお願いいたします。」など、簡単な一言で構いませんのでこれからの仕事への意気込みを伝えるとよいでしょう。
派遣の顔合わせで注意すべきポイントは?
派遣の顔合わせにおいて、派遣される側は具体的にはどういったことに注意すべきなのか、いくつかのポイントをご紹介します。
1 事前に質問の答え・企業情報・気になることをまとめておく
今までの業務経験やスキル、それらを派遣先の業務にどう活かせるかなど、派遣の顔合わせにおいてどういったことを聞かれるのかを予測し、それらにどう答えるのかを事前に考えておきましょう。派遣先のホームページなどがあれば入念にチェックし、その業界における専門知識や情報はある程度頭に入れておくことも大切です。
その他、自分の中で知りたいことがあれば、顔合わせの際に質問できるよう簡潔にまとめておきましょう。
2 明るい受け答えを心掛ける
基本的なことではありますが、やはり重要となるのはコミュニケーションスキルです。顔合わせの前の挨拶から質疑応答、終了時の挨拶まで明るくハキハキと受け答えするよう心がけましょう。緊張すると早口になってという方は、ゆっくりと話すよう意識しましょう。
また、担当者や派遣企業のスタッフが話しているときにはしっかりと耳を傾けてください。
3 未経験の業務については素直にその旨を伝える
就業するにあたり、どこまで業務を引き受けてもらえるかというのも企業側からよく聞かれる質問のひとつです。その際、未経験の仕事を引き受けてもらえるかどうか聞かれることがあります。できれば「無理です」とキッパリ断るのではなく、「そのお仕事は未経験ですが、これから勉強させていただきます」とあくまでポジティブな姿勢をアピールするのが望ましいでしょう。
4 気になることがあれば遠慮なく質問する
「では最後にそちらからの質問はありますか?」と聞かれた際に、「アレコレと質問したら不採用になるのでは?」と心配する方もいるでしょう。しかし、不安が残ったまま入社して「こんなはずじゃなかったのに…」と後悔するのはやはり避けたいところです。
特に業務内容については「求人票ではこう記載しておりますが、実はこういう仕事もやっていただきます」というケースも少なくありません。どういったソフトを使ってどういった作業を行うのか、その企業ならではの専用ソフトやシステムなどはあるのかなど、詳しく質問するのがベストです。
顔合わせで避けるべき質問とは?
「時給はいくらですか?」「有給は取りやすい環境ですか?」といった質問は避けましょう。時給については派遣先と派遣会社で話し合う内容です。有給の話は「休む気満々じゃないか?」と仕事への意欲を疑われかねませんので、顔合わせではなく派遣企業のスタッフに聞いてみましょう。
また、職場の人間関係についても気になるところですが、こちらも「よくありません」と素直に答える人はいません。顔合わせで質問するのは避けるのが無難でしょう。
5 辞退する場合は早めに伝える
もちろん、就業を決める際にはその場で即決する必要はありませんが、もし就業を即決できるのであればその方が意欲を評価してもらえる可能性は高いでしょう。
しかし、顔合わせ後に自分に合わないミスマッチな仕事だと感じた場合、労働条件通知書兼就業条件明示書に署名捺印する前であれば派遣企業のスタッフを通じてお仕事を辞退することも可能です。派遣企業側も、あなたの就業が厳しいようなら次の派遣社員を紹介しなければなりません。この場合、先方を待たせることのないよう、なぜ断るのか理由も添えて早めに辞退の意思を伝えましょう。できれば顔合わせから3日以内には連絡するのが望ましいです。
派遣の顔合わせ時の服装で注意したいポイント
派遣先へ初めて顔合わせに行く際は第一印象が肝心です。だらしない格好では企業側も「この人を受け入れてもよいものか…」と不安になってしまいます。
では、具体的に派遣での顔合わせにはどのような服装で臨むべきなのでしょうか。身だしなみのポイントについて詳しくまとめました。
1 服装はスーツが無難
働くときには私服やオフィスカジュアルが基本という派遣先でも、初めて訪問する際には紺色やグレーなど落ち着いた色のスーツで出向くのが無難です。サイズが合っているかどうか実際に着てみて入念にチェックし、ワイシャツもシワや汚れのないよう清潔感を重視してパリッと着こなしましょう。
不安な場合は、派遣企業のスタッフに派遣先の雰囲気と合わせてアドバイスを仰ぐのもよいでしょう。
2 足元にも気を抜かない
派遣先の担当者が意外にもよく見ているのが足元です。靴はしっかりと磨いておき、汚れたままで出向くことのないよう気をつけましょう。装飾のついた派手なものは避け、シンプルなリクルート用の革靴にしてください。
女性の場合、パンプスはヒールが高すぎない落ち着いた色のものを選びましょう。脱げてしまわないよう、サイズがピッタリのものを履いてください。
3 メイク・ネイルはナチュラルに
つい気合を入れて派手なメイクをしてしまう女性も多いものですが、派遣先との顔合わせではナチュラルメイクが望ましいです。香水もつけないようにしましょう。
また、女性はネイルをしている方も少なくありませんが、こちらも控えめなデザインが望ましいでしょう。
4 髪型は清潔感を重視する
ボサボサのまま顔合わせへ行くのは絶対にタブーです。男性であれば当日までに短く切ったり寝癖を整えてから出向きましょう。ヒゲもしっかり手入れしておいてください。
女性はまとめられるだけの髪の長さであれば結ぶのがベストです。前髪が下がってくる場合はピンやスプレーでしっかり留めてください。髪の色は金髪などの奇抜で明るい色は避け、落ち着いた黒~茶色までにとどめましょう。
5 アクセサリーはつけない
ジャラジャラとした華やか過ぎるアクセサリーは顔合わせの場にはふさわしくありません。もし何か身に着けるとすれば腕時計となりますが、こちらも派手なデザインのものは避けるのが賢明でしょう。
派遣の顔合わせは面接と同じくらい重要!
派遣の顔合わせは派遣先の企業と派遣社員の双方がお互いを知るための重要な場です。「どうせ落とされることはないのだから…」と何の準備もしないまま出向いてしまうと、派遣されて実際に就業がスタートしてから「自分に合わない」と感じてしまったり、最悪の場合、不採用となることも考えられます。せっかくのマッチングの機会を無駄にすることのないよう、面接と同じ緊張感を持って挑みましょう。