ハローワークで受けられるサービスとはどんなもの?
ハローワークとは求職者が求人・職業訓練の紹介を受けたり、就職支援のサービスを提供してもらえる公共施設です。ハローワークの就活相談や労働者と企業とのマッチングなどの詳細なサービス内容、窓口の多様化、派遣会社との違いなどを紹介します。今後利用を考えている方は一度ご確認ください。
ハローワークには役に立つサービスがたくさんある
現在職についていない方や転職を考えている方が、情報源の1つとして活用することが多いのが「ハローワーク」という組織です。以前は職業安定所(職安)と呼ばれていました。しかし、ハローワークには、就職の情報探しだけでなく、再就職を目指すにあたって、有益と思われる様々な事業やサービスがあることはあまり知られていません。
今回は、そんなハローワークが行っている主な事業や、受けられるサービス・派遣会社等との違いなどについてご紹介します。
そもそもハローワークとは?
「ハローワーク」という言葉を知っていても、実際にどのような業務を行い、どのようなサービスを提供しているのかを詳しく知っている人は、あまり多くありません。元々、ハローワークは公共職業安定所(通称、職安)と呼ばれていましたが、1990年からは一般公募により選ばれた「ハローワーク」という名称が広く用いられるようになりました。
厚生労働省からの指示を受けた各都道府県の労働局が、地域の産業情勢や雇用失業状況に応じた雇用対策の窓口となるのがハローワークです。ハローワークの主な事業内容は職業紹介事業や就職支援のサービスで、職業安定法に基づくものであることから手数料や紹介料を徴収することは禁じられているため、無料で受けられます。
ハローワークでは職業紹介事業の他に、雇用保険に関する各種の手当や助成金の支給・公共職業訓練斡旋・職業安定関係の業務も行っています。
ハローワークで受けられるサービス
ハローワークでは職業紹介以外にも様々なサービスを行っています。ここからは、ハローワークで受けられる職業紹介事業の内容やその他のサービスの内容についてもご紹介します。
サービス1 職業を紹介してくれる
ハローワークの最も代表的なサービスは職業紹介です。ハローワークを訪れる方の中にも、職業紹介による情報収集が目的の方が多くいます。
ハローワークでは単純な求人案内にとどまらず、仕事を求めている方と人材を求めている事業主からの求職・求人の情報をそれぞれ集め、それぞれの間に労働契約が成立するようにマッチングを図っていく業務を行っています。また、就職希望者が求人の内容や応募条件等、事業主に対して不明な点がある場合などは、ハローワークが求人事業主に確認してくれます。
サービス2 仕事を探すにあたって相談に乗ってくれる
新しい仕事を探すにあたり、ハローワークの窓口では相談サービスも行っています。相談サービスでは、自分にあった仕事を探すにあたっての自己分析(適性検査や職務経験など)や希望条件のすり合わせ、技能が必要な場合の職業訓練についての相談などを出来ます。
サービス3 応募や面接に対して様々なアドバイスが受けられる
探していた職業が見つかった場合には、応募に向けて履歴書の書き方や面接の受け方など、就活に関するアドバイスやセミナーも行っています。また、企業に面接日程の調整を行ってくれ、紹介状の発行をしてもらえます。
サービス4 インターネットサービスを利用できる
全国に展開しているハローワークはオンラインで結ばれているため、ハローワーク内に設置されている求人情報検索用の端末から全国各地の求人を検索できます。また、webサービスであるハローワークインターネットサービスというサイトを活用すれば、自宅等からの検索も可能です(求人情報のうち求人企業が同意したものに限る)。
ハローワークインターネットサービスには募集情報だけでなく、ハローワークの利用の仕方・履歴書や職務経歴書などの応募書類の書き方・失業中の方や障害を持った方へのお役立ち情報などもアップされています。
ハローワークでは専門的な窓口が用意されている
就職先を求める方々の年齢や家族条件・希望の仕事形態などに多様化が見られるようになってきているので、ハローワークでは求職者の細かな要望に応えられるように専門的な窓口を用意しています。
新卒応援ハローワーク
大学・短大・高等専門学校・専修学校等に通う学生や、卒業後就職できていない人を対象とした窓口となります。卒業後の就職についての相談や面接指導・就職面接会などのサービスが受けられます。
わかものハローワーク
フリーターなどの非正規労働者で、正規雇用を目指す人を対象とした窓口です。正規雇用に向けたプラン作成や職業相談・各種セミナーなどのサービスが受けられます。わかものハローワークは担当者制の個別指導で、就職後も支援したり相談を受け付けたりと、アフターフォローもあります。
マザーズハローワーク
子育て中の女性や母子家庭・父子家庭の親などを対象とした窓口です。担当者制による支援や子育てと両立しやすい求人情報の提供だけでなく、保育園等の子育て支援情報の提供も行っています。所内にキッズコーナーを設けるなど、子連れでも来所しやすい環境が整っています。
ふるさとハローワーク
公共職業安定所が設置されていない市町村において、国と市町村が共同で運営している窓口です。市町村の庁舎等を利用し、市町村のおこなう住民サービスと連携した職業相談や職業紹介等のサービスが受けられます。
ハローワークには職業紹介以外の業務もある
ハローワークでは職業紹介事業以外にも数多くの事業を行っており、再就職を目指す人にとって有益なものばかりです。そんなハローワークが行っているその他の事業についてご紹介します。
他事業1 職業訓練あっせん事業
求人の情報があったとしても、その職種に必要な資格や技術などがなく、応募できない人も多くいます。そのためハローワークでは、求職者に対しての職業訓練のあっせん事業を行っています。職業訓練については、ハローワーク内で行うのではなく、公共職業能力開発施設にて行うことになります。ちなみに、ハローワークが窓口となって行われる公的職業訓練は「ハロートレーニング」と呼ばれており、求職者支援訓練と公共職業訓練に分かれます。
求職者支援訓練と公共職業訓練の違い
- 求職者支援訓練(注1):雇用保険を受給できない(受給を終了した方含む)求職者が受けられる受講料が無料の職業訓練(テキスト代は自己負担)のことです。一定の要件を満たしていると、毎月10万円もらえます。
- 公共職業訓練(注2):雇用保険を受給している求職者が受けられる無料の職業訓練(テキスト代は自己負担)のことを指します。
他事業2 雇用保険制度の窓口事業
ハローワークは雇用保険制度の窓口となる機関で、雇用保険の手続きを行えます。失業手当の給付だけでなく、様々な条件に合うような場合は就職促進給付・教育訓練給付・雇用継続給付などの様々な給付を受けながら就職先を探すことも可能です。
ハローワークと派遣会社の違いは?
新しい就職先を求めている人に求人情報を紹介し、就職までをサポートするという意味では派遣会社の派遣業務もハローワークと近いといえますが、明確な違いがあります。
派遣会社の場合、企業からの求人(要請)を受けて条件に見合う人を紹介し派遣社員として働くことが決まれば、その派遣社員の給料に上乗せされたマージンを派遣会社は報酬として受け取ります。そして、派遣社員が正社員になった場合には成功報酬が派遣会社に入る仕組みになっていますので、ハローワークのような国や自治体が絡む事業とは大きく違います。
つまり、民間の営利企業になるため、1人でも多くの派遣スタッフを送り込むことが企業利益に繋がってきます。そのため、多くの派遣先をつかむための営業組織もあり、一般的には紹介先の企業の業界・種類が多いことも一つの特徴です。また、派遣会社の求人情報では大手企業の求人が多いのも特徴ですが、ハローワークでは地元の企業の割合が多く、地元での就職を希望する場合はハローワークのほうが有利なこともあります。
ハローワークのサービスを活用して就職をしよう
転職や再就職をしようとする際に、必ず浮かぶのがハローワークです。一般的には求人紹介事業のイメージが強いですが、実際は求職者に対するサービスを様々行っています。最近では求職者それぞれの事情に合わせた細やかなサービスも充実してきていますし、国が管轄する事業のため、サービスのほとんどを無料で受けられるのも嬉しいポイントです。
この機会にハローワークが提供する様々なサービスを知って、有利な転職・再就職につなげましょう。
参考文献
- 注1:厚生労働省『職業訓練受講給付金(求職者支援制度)』
- 注2:厚生労働省『ハロートレーニング(離職者訓練・求職者支援訓練)』