ジョブカフェで受けられる就職支援サービスとは
現在、国によってさまざまな就職活動の支援が行われていますが、そのうち、ジョブカフェも若者の就職支援サービスを行っている場所のひとつです。
ハローワークについてはよく知っていても、ジョブカフェとは一体どんな場所なのかあまり知らないという方も多いことでしょう。今回はそんなジョブカフェについてスポットを当てていきます。どんな人が利用できるのか、またどんなサポートを受けられるのかをチェックして、今後就活を進めていく上での参考にしてみてください。
そもそもジョブカフェとはどんな場所?
ジョブカフェとは、若者の就職支援を行う公的な施設のことです。ジョブカフェというのは通称であり、正式名称は「若年者のためのワンストップサービスセンター」と言います(注1)。若年失業者やフリーターの増加といった近年の厳しい雇用情勢に対応するべく、平成15年から国が推進している「若者自立・挑戦プラン」の方策のうちのひとつで、現在では46都道府県に設置されています。
中にはハローワークに併設されていたり、サテライトスポットと呼ばれるジョブカフェの支店を置いてサービスを提供している地域、高校や大学、専門学校へ出張で訪問するジョブカフェも増えています。
ジョブカフェモデル事業が推進されて以来、ジョブカフェの利用者数は着実に増加し、2006年度の調査によると利用者数は約167万人、さらにそのうち、就職先が決定した方は約9万3千人という実績をあげています(注2)。
ジョブカフェを利用する主な流れ
ジョブカフェを利用する際の大まかな流れとしては、まずは来館して利用の申し込み手続き(求人登録)を行います。その後は自己分析や応募書類の作成などの応募準備から実際の企業への応募活動に至るまで、様々な就職支援サービスを受けることができます。
なお、これらのジョブカフェで提供されているサービスは、無料で利用することが可能となっています。
ジョブカフェの利用対象者は何歳から何歳まで?
ジョブカフェの主な利用対象者は、10~30代前半の若年層です。「やりたいことがなかなか見つからない」「働くって何?」「U・I・Jターン就職(転職)をしたい」など、仕事に関する様々な悩みを抱えた若者や学生、フリーターの就職活動を、それぞれに合った形でサポートしてくれます。
なお、ジョブカフェによっては40代前半、半ばまでを対象としているスポットもあります。自身がジョブカフェ利用者の対象であるかどうかについては、自分の住んでいる地域のジョブカフェに問い合わせてみてください。
ジョブカフェとハローワークの違い
ジョブカフェとハローワークの違いが掴めない方も多いでしょう。
第一に挙げられるのが、ジョブカフェが都道府県の所轄であるのに対し、ハローワークは厚生労働省が運営しているという違いです。提供しているサービスの内容もあまり変わらないように感じられますが、ハローワークの主なサービスは職業紹介であり、ジョブカフェはそれに加えて地域に密着した職場体験やセミナーなどのイベントが盛んに行われているという特徴があります。
また、ハローワークは全年齢の求職者が対象となりますが、ジョブカフェは若年求職者が対象であるという違いもあります。若い人にとっても敷居が低く、カフェに立ち寄るような感覚で気軽に利用することができるというのがジョブカフェの魅力なのです。
ジョブカフェで受けられる就職支援サポートの数々
各地のジョブカフェによって求職者が受けられる就活サポートの内容は異なりますが、具体的には以下のような就職支援サービスを受けることができます(注3)。
ジョブカフェで受けられるさまざまな就職支援サービス
- 履歴書・職務経歴書・ESの添削指導
- 就職セミナー
- グループワーク
- 企業説明会・トークイベント
- 職場体験・インターン
- キャリアカウンセラーによるカウンセリング
- 職業適性診断
- 面接練習
- パソコンブース・プリンターの利用
- 就職情報の提供
- 図書の貸出・閲覧
就労経験の少ない若い求職者の場合、応募書類や面接におけるマナーなどの事前準備を一人で行うとなると不安なことや疑問点もたくさん出てくるものです。今やパソコンやスマホを使ってインターネット上の情報をかき集めることもできますが、1対1でその道に詳しいプロフェッショナルから個々にアドバイスをもらえるというのは、一人での就活には得られない大きな魅力でしょう。
ジョブカフェで行われるキャリアカウンセリングでは、これから就職する方の相談はもちろんのこと、無事に就職が決まってからのアフターフォローとして相談に乗ってもらうこともできます。キャリアカウンセラーとのカウンセリングを受ける場合は担当者を指名することも可能ですが、時間制限がありますので必ず予約をしておきましょう。各施設により時間は異なり、中には混雑してなかなか予約が取れないところもあります。思い立ったら早めに連絡するのがベストです。
その他、居住地からジョブカフェまで頻繁に通えなかったり、現職が忙しくてジョブカフェの開館時間内の訪問が難しいといった方のために、テレビ電話やメールを使ったネットカウンセリングを受け付けているところも増えてきています。就職活動において不安なこと、身近な人には相談できない悩み事があれば、これらのサービスを使って気軽にジョブカフェの職員へ相談してみるとよいでしょう。
ジョブカフェのみを利用した就活には限界がある
就活では様々なサービスを使って情報収集していくことが非常に重要です。ジョブカフェで受けられるサービスは、カウンセリングやセミナーなどの開催などが大半を占めています。そのため、求人紹介に関してはハローワークや就活サイト、転職エージェントなどその他の就活スポットや民間のツールを並行して探していくことが大切です。
ジョブカフェで心強い同志・味方を得られることも
「就活」と聞くと、やはり孤独で辛い戦いというイメージを強く持ってしまいがちですが、ジョブカフェには同年代の求職者が多数集まります。そのため、施設内で行われるグループワークや就職セミナーを通じて、「就職」という同じ目的を持った仲間と出会える可能性も高いのです。
また、就職に関するあらゆる相談に乗ってくれるキャリアカウンセラーも常駐しています。彼らは求職者にとっての頼れる味方です。就活では失敗続きで落ち込むこともあるでしょうが、その気持ちを自分一人で抱え込んでしまっては、心がすり減り就活うつになってしまう恐れもあります。「どうせ味方なんていないんだ…」と引きこもらず、就活に対するモチベーションを上げたいときには、ちょっとした気分転換にジョブカフェを訪れてみてはいかがでしょうか。
ジョブカフェを利用したことのある方のエピソード
就職活動のためにジョブカフェを利用したことがあるという方数名からお話を伺いました。就活生の方、これから就活への第一歩を踏み出そうと考えている方はぜひ参考にしてください。
ジョブカフェで得たことは多いです
タツト(29歳 無職)
ジョブカフェでは就職活動のアドバイスを受けることができました。ジョブカフェの特徴としては「若い人が多く使う」というもので、周りは同年代の人ばかりだったので居心地が良かったです。
ジョブカフェでは求人を探したり、職員の人に就職活動のアドバイスを聞いたりなどを行えます。私はジョブカフェには多い時期では週に3回は通っていました。ジョブカフェへ通ったことによって、多くの求人に応募することができましたし、面接の練習や履歴書の添削なども行ってくれたので、とてもためになりました。
ハローワークと比べてジョブカフェの方が若い人が多いので、学生さんでも年の近い友人を作ることもできますし、雰囲気も良いのでオススメです。ぜひ行ってみてください。
ジョブカフェに感謝しています
ふーるー(42歳 事務職)
ジョブカフェでは就活カウンセリングとe-ラーニング等を使ったパソコン学習のサービスを利用しました。週3、4回は通っていました。
私は大学を2年留年して中退し、1年半程ニートでした。全く社会に出て行く自信もなく、その手立てもわかりませんでした。そんな私の話を丁寧に聞いてくれて、面接等でアピールするべき長所に気づかせてくれて、何より怖気づく私の背中を「大丈夫、あなたは社会に出てやっていける」と背中を押してくれたのがジョブカフェのスタッフさんでした。お陰様で社会への一歩を踏み出すことができました。お金もなくてパソコンを買うこともできない状態でしたが、無料の学習システムで勉強させてもらい、そこで職務経歴書を作成、印刷までさせてもらいました。
また、パソコンのブラインドタッチ の習得ソフトも利用し、このスキルは現在の仕事にも役立っています。就活に行き詰まっている若い方にはぜひ利用してほしいです。相談することで自分の強みや弱みを知り、就活で強みをアピールして採用を勝ち取るまでの作戦を一緒に考えて、具体的な方法も教えてくれます。悩みや不安も聞いてくれますので、一人で悩んで行き詰まっている人には一度訪れてみてはいかがでしょうか。
ジョブカフェ体験記
うまぽん(34歳 営業職)
以前、就職に苦労していた際、ジョブカフェの存在を知り勇気を出して行ってみました。ジョブカフェではカウンセラーの方との面談や適職診断、各種研修等に週3日通っておりました。
ジョブカフェへ通うことで、就活で不安な事や悩みを共感してもらえる仲間に出会えたこと。そして何より、カウンセラーとの面談や各種研修を通して、就活での悩みが相談できたことで、職業・職種に対して視野の狭かった私の視野が広がり、キャリアデザインが上手くいき、今の私があります。
ジョブカフェに行くまでにはその1歩を踏み出すちょっとの勇気が必要だと思います。しかし、ジョブカフェには親身になり一緒に悩んでくれるカウンセラーの方や、自分と同じ境遇の多くの仲間がいます。自己分析や適職診断をすることで、私の様に未来が開けると思います。
ジョブカフェに出会えて良かった!
かなぽん(31歳 主婦)
私は専門学生の頃ジョブカフェで就職先探しやアドバイスをもらいました。私が通った専門学校には就職相談の先生がいなかったのでジョブカフェがその代わりで週2回くらいのペースで通いました。
希望職種がマスコミ関連だったので、地元が田舎である私にはほとんど選択肢がなく、興味のないものを紹介されましが、ある相談員さんが地方局のテレビ局のカメラアシスタントの募集を見つけてくれて応募することになりました。正直、お堅いイメージの会社でしたがダメ元で履歴書を送りました。
応募要項には10日以内に連絡がなければ不採用と書いてあり、連絡がありませんでした。お礼と結果と込めてジョブカフェに連絡すると、その相談員さんが会社に電話してくれてその日に面接、採用となりました。
普通に仕事していたらなかなか経験出来ないようなことができ、沢山の出逢いもありました。職場の方もお堅いイメージとは違い、明るく優しい方ばかりで退社後も仲良くさせてもらっています。
あの時相談員さんが電話をかけてくれてなかったら出会えてない仕事でしたので、本当に感謝しています。諦めず自分のしたいことをブレずに相談したり通えば、きっと素敵な仕事に出会えるはずです!
使えるものは全部使う!
ぬたる(31歳 自営業)
新卒で3年勤めた会社を退職した際に利用しました。それまで就職活動は大学の就職課に来ている求人や、マイナビリクナビ経由で行うものが主でした。自分自身で行う就職活動は、始めは右も左もわかりませんでしたが、とりあえず行ったハローワークでジョブカフェを紹介してもらいました。
ジョブカフェにいざ行ってみると、想像以上に明るい雰囲気で、自分は落ち込むことなく再就職の活動ができました。主に利用したのはカウンセリングと面接対策です。特にカウンセリングでは今まで自分で気づかなかった自分の長所や短所を発見でき、その後の就職活動や就職後のマインドセットに大きく役に立ちました。だいたい通ったのは週に3回くらいです。
ジョブカフェを利用して思ったのは、ここ最近就職難が続いていますが、自分に自信を持たせてくれるような公的サービスが他にも沢山あるということです。なかなか結果が出ないことは辛いですが、それでもめげずに行動するということが一番大切ですし、何より実績として後に財産になるものです。使えるものはどんどん活用していくことをおすすめします。
ジョブカフェで得ることは仕事だけではない
はくとう なる(33歳 専門職)
私が行ったジョブカフェは若年者対象のところで、大学生やニートなど様々な経歴を持った若者たちが集まっていました。
ジョブカフェでは「就職セミナー」と言う予約をすれば無料で受けられるセミナーがありました。私は履歴書の書き方、面接の受け方といったセミナーを受講しました。ジョブカフェには、時期によっても違いますが、月に4~5回は通ったと思います。
ジョブカフェにはフリースペースのような場所があり、本が読めたり、お茶やコーヒーが無料で飲めます。フリースペースではニートの人や韓国人の大学生の人と話をしたりしました。彼らと話すことで、どんな仕事に就きたいのか、どんな生き方をしたいのかが本当に多様で、様々な価値観に触れることができたことがよかったと思います。
自分の会社の就職面接でこの話をする機会はなかったのですが、この経験は現在の私の中で生きていると思います。
私は、最初は学校の友人に誘われてジョブカフェに行きました。ニートの人の中には親と一緒に来ている人も多いです。もし、知らない人のいるところに行くのが不安な人は、友人や家族と一緒に行くのもいいと思います。
ジョブカフェに通った頻度に注目してみると、週3回ほど通っているという人が多い傾向にあります。少ない人でも最低週1・2回と、皆さん地道に通い続けています。
ジョブカフェのサービスを就活にうまく役立てよう
ジョブカフェは「就活って何をすればいいのかわからない…」という新卒の学生や職務経験の少ない若者でも気軽に立ち寄れる就職支援の場です。
就活初心者で何から始めるべきか今まさにお悩み中の方は、まずはその一歩としてジョブカフェを訪問してみてください。就職セミナーやカウンセラーとの面談などを通じて、自分にとっての働く意味、やりたいことがきっと見つかることでしょう。
参考文献
- 注1:厚生労働省「ジョブカフェにおける支援」
- 注2:内閣府「若年者のためのワンストップサービスセンター(通称ジョブカフェ)の整備」
- 注3:経済産業省「ジョブカフェパンフレット」