就活には持ち駒が必須
就活を行う際には、自己分析を行い、自分に向いている仕事が何かを探すことから勧められます。自分に合っていない仕事に就いても長続きせず、また面白くもないため勧めているわけではありません。自分に合った仕事というのは少なく、膨大な企業数から選択することは至難の業です。だからこそ、自分の特徴で情報をカテゴライズすることが望ましいのです。
カテゴライズされた情報の中にはピッタリと合うものではなくとも、大まかにはフィットしているものが多く存在します。この中から持ち駒を獲得しておくことは就活において非常に重要なことです。なぜなら、就活で得た持ち駒の中から、より良い就職先を選ぶ権利を貰えるからです。
就活における「持ち駒」とは
就活における持ち駒は単に獲得している内定の数を表すものではありません。もし内定の数だけを誇っているのであれば、何に対しても有効な意見が述べられる天才か、やりたいことを決められない人のどちらかです。
就活において有効な持ち駒とは自分の特性に合っている範囲にある獲得内定数を指します。自分がやりたい業種、合っていると感じる業界に対して膨大な情報があります。その中から一番と思える就職先を選ぶまでが就職活動です。就職活動を全うするためには持ち駒を獲得して、選択することが何よりも重要なことです。
選考や面接で失敗しないために就活塾に通われる方もいますが、内定を勝ち取るだけではいけません。なぜなら、やっとの思いで内定が決まったから就職すると言った流れでは、良い職場に就くことが難しいからです。面接や見学、懇親会などあらゆる情報をぎりぎりまで吟味してみないことには、自分に合っているかどうかの判定を下すことは困難です。つまり、内定が出た後も選択することを念頭に置き、常に入社後の期待外れを危惧しておかなければ良い就職先に就くことはできません。
持ち駒の多さは期待外れのリスクを回避する
就活において持ち駒を獲得することは、自分の希望する企業へ近づけるための手段として非常に有意義です。漫画やドラマのように「A社にしか興味はない」「A社に入らなければ意味がない」と考えている方は滅多にいません。
多くの方は今までの経験を振り返って何が自分にできるのか、あるいは何が自分に向いているのかを調べてから企業を選びます。大企業に興味があり、「大企業にいかなければいけない」と思い込んでいる方の多くは、こうした点がマニュアル化されている傾向があります。というのも、大企業に入社できればよいので、どのような文句が効果的かを徹底的に調べて答えれば志望動機を膨らませることができるためです。
しかし、大企業だけを選択していても、あるいはより良い内定を勝ち取りたい就活生にとって、持ち駒を獲得することはリスクを減らすことにつながるため、是が非でも多く持っておきたいものです。
持ち駒の数は、実は2~3社で十分
ここで問題になってくることは、どのくらいの持ち駒を獲得しておけばよい就職ができるのだろうかということです。
就活をよりよくするツールである持ち駒という概念は、多くなくても大丈夫です。「10社以上も内定が決まって困っちゃうよ」という方を羨ましく感じる方も多いでしょう。しかし、現実に内定を維持できるところは1社のみとなります。その他の企業に対しては、内定蹴りをかまさなくてはなりません。企業に悪印象を与える行為の一つが内定蹴りであり、断り方次第では、就職後に思わぬ不利益を被ることが考えられます。
持ち駒を10個以上持っていたとしても、似たり寄ったりの企業である可能性が高く、選択することが難しくなります。何個も内定を獲得するのではなく2~3社程度の希望先を決めておき、自分の要望に多く応えてくれる企業を選択することが重要です。
持ち駒が2~3社ですと比較することが容易で、しかも効果的であると言われています。マトリクス分析のように多くのサンプルが必要となる比較は書籍などに任せておき、S:企業の強み、W:弱み、O:機会、T:脅威が分かるSWOT分析や、単純な関係図で調べる分には2~3社が適正であるからです。
持ち駒を増やすために集める情報
就活における持ち駒を、面接へと進んでいる企業数として考えている場合もあります。つまり面接に進んでいる段階で就職する選択肢の数を決めておくことになります。この意味を持って持ち駒が全滅していれば、次にエントリーする企業を選ばなければならない段階にあることを指しています。
持ち駒がなくなってしまったから就活は終わり、というわけにはいきません。持ち駒をなくしてしまった場合に終わりと感じるのではなく、次に進まなければいけない段階と捉えることが必要です。しっかりと内定を取っておかなければならないのです。
では、持ち駒がなくなってから何をすればよいのでしょうか。就活は時間と勝負でもあります。ゆえに次の次まで作戦を練っておきましょう。
B to Bを視野に入れる
持ち駒をなくしてしまう方の多くは、B to B、つまり法人と法人とのビジネスを展開する企業を考えずにB to Cだけを見つめています。一般消費者と関わりをもってビジネスをしていくことも大切ですが、一般消費者の方々に商品や製品を渡すまでには多くのプロセスが混在します。ビジネスの長寿化にはB to Bビジネスが不可欠であることは言うまでもありません。
企業と企業とのビジネスも視野に含んでおくことで、顧客第一のデメリットを念頭に置いた考えに導くこともできます。顧客第一にしてしまうことで、安価で良品のものを提供することばかりを考えてしまえば企業のスタミナが尽きてしまい、結局は顧客に不自由を感じさせてしまい、自分たちも倒れてしまう共倒れを引き起こしかねません。ゆえに企業はB to Bの考え方を大切にしており、そのような考え方を持っている就活生を大事にする傾向があります。
キャリアセンターか就職エージェントに頼る
大学には就職支援センターがあります。名称はさまざまでキャリアセンターと呼ばれることもあります。大学で扱う求人情報の多くは、学生に進めても良いと判断できる情報であり、ブラック企業情報はほとんどありません。もし見つかってしまえば、大学の評判が著しく下がってしまうことになるため注意していることです。
ブラック企業が少ないことで上げるならば、就職エージェントの存在も忘れてはいけません。就職エージェントとは企業へ派遣することではなく、個々人にあった企業を紹介して就職活動をサポートすることを目的としています。有名どころではマイナビエージェント、または急成長しているハタラクティブなどがあります。
もし持ち駒がなくなってしまったら、キャリアセンターか就職エージェントに頼ることを覚えておいてください。持ち駒がなくなってしまったのは見方が狭かったのが原因かもしれません。しかし、まだ終わってはいませんので、他者を頼って起死回生を果たしましょう。
今の就活は売り手市場の時代
就活氷河期には50社にエントリーしたものの、半分以上のエントリーシートが無駄になってしまったという話がまことしやかに囁かれていました。エントリーシートが無駄になったというのは、面接まで行かなかったということです。当時の就活現場は、かなりの買い手市場であったことが伺えます。
2018年の就活では多少の変化はあるものの、2017年の有効求人倍率に連なった売り手市場になることが見込まれています(注1)。就活においては、企業が就活生に売り込むのではなく、企業に入りたい就活生たちが自分を売り込むという意味ですので、今が売り手市場ということは、就活生たちに優越権があることを指しています。つまり内定が得られやすい状況ということです。
就活で持ち駒を持つことで見えてくる自分の将来像
持ち駒を持つということは、就職活動を円満なイベントにするために重要な概念です。良い就職先を選択するためという目的もさることながら、選択する過程において自分の将来について思いはせなければならないからです。
「もしA社にいけば××ができるが、B社に行けば○○という特典がある」というように、企業によって得られることは違ってきます。この違いを長期で考えておくことは、同時に自分の将来を計算することにもつながります。持ち駒が1社しかなければ選択の余地はなく、将来像は濁ったままになってしまいます。
就活において持ち駒は夢をかなえる手段
「あなたの夢は何ですか」という質問は、人生の中で何度も聞かれるフレーズになっています。ウンザリする方もいますが、社会人になってからずっと同じ夢を持ち続けることは大変です。就活において持ち駒とは、どんな将来像を描いているかによって自由に選べる選択肢でもあります。
持ち駒を1つしか選択できないという環境で、夢が叶うことはほぼありません。ゆえに持ち駒を複数持っておき、選択することの重要性を知って就活に臨みましょう。