人材紹介会社について理解しておこう
社会人になると「人材紹介会社」という言葉をよく耳にするようになりますが、多くの人がイメージするのは「人材を紹介している会社」ですが、派遣会社などと何が違うのか、きちんと理解している人は少ないものです。
個人でも企業でも、人材紹介会社について正しく理解しておくと、人材紹介会社の使い方や選び方、関心の向け方も変わってきます。自分の仕事やキャリアにも関係してくる部分ですので、正しく理解しておきましょう。
人材紹介会社を利用する時は複数登録しておくのが基本
人材紹介会社を利用しようと思った場合には、よほどの理由がない限り複数登録しておくのが基本です。登録することによって費用が発生することもありませんし、企業によって特徴や持っている求人・求職者・マッチングの仕組みが全然違います。
そのため、複数の人材紹介会社に登録しておくことによって、よりマッチングが上手くいく可能性が広がることになります。ただし、登録数が多くなりすぎると情報の処理が大変になりますので、特徴の違う人材紹介会社を2~3社程度登録しておくと良いでしょう。
人材紹介会社選びで失敗しないための確認ポイント
就職や転職を考えた時、人材紹介会社を利用すると有利にことを進められる可能性が高まります。人材紹介会社は非常に多くなっていますが、良い会社を選ぶためのポイントを整理しておきます。
ホームページに「許認可番号」が掲載されているか
職業紹介の事業をする際には、労働厚生大臣の許可が必要ですが、この許可を受けていることを示す許認可番号が示されていることが必要です。ホームページや、事務所の掲示を確認してみてください。許認可番号のないところは無認可の人材紹介事業者です。
登録している人のプライバシー保護がしっかりしているか
人材紹介事業では、プライバシーの保護は非常に気を遣うべきところです。このプライバシー管理がおろそかになっているところは、仕事のレベルも期待することができません。書類の扱いや情報の伝達方法のひとつひとつのやり取りを確認する他、Webサイトなどに個人情報保護方針(プライバシーポリシー)などがあるか確認しましょう。プライバシーマークを持っている企業なら安心感があります。
利用した人から見て印象・評判が良いか
自分が実際に利用してスタッフとやり取りをした際の印象が良いことはもちろん、利用者の声を調べてみた時に評判が良いことも大事なことです。「就職はさせてくれるけど希望を聞いてくれない」という事業者もありますので注意しましょう。その場合、入社後にトラブルが起こりやすくなるので注意が必要です。
自分の希望に特徴がマッチしているか
人材紹介会社によってそれぞれ特徴が違いますので、単純に企業規模だけで判断してはいけません。特定の地域に強い、特定の業界・業種に強い、女性の就職に強い企業など、特徴が違いますので、自分が希望している就職とその特徴がマッチしているかをよく考えて選びましょう。大手になるほど求人情報の数も多いですが、登録者も多いために必ずしも就職しやすいとは限りません。
求職者が人材紹介会社を利用するメリット
人材紹介会社を利用することで就職がしやすくなるなら利用しない手はありません。求職者が人材紹介会社を利用するメリットについて確認しておきましょう。
ほとんど無料で利用できる
有料で人材紹介をしている会社もありますが、求職する個人は、登録・相談とも無料という人材紹介会社は多く、登録しておいてとりあえず損はありません。ほとんど無料でサービスを活用できます。
キャリアコンサルティングの上での企業紹介が期待できる
人材紹介会社はしっかりと人材のスキルやキャリアなどをヒアリングした上で、より良い就職につなげられるようなキャリアコンサルティングを実施してくれます。適切な年収などもわかりますし、必要に応じて条件交渉の余地の有無なども考えてくれ、必要に応じて交渉もしてくれます。
人材紹介会社は成功報酬を企業側から得ることが収入の多くを占めますので、効果的かつ効率的な就職活動ができるように適切かつ確度の高い企業紹介が期待できます。
企業の情報収集をお任せできる
応募する企業についての情報を人材紹介会社が入手して教えてくれるので、自分で企業を探したりその会社について詳しく調べたりするといった手間があまり必要ありません。時には一般に公開されていない求人情報や、過去に在職していた人を通しての生の情報が得られることもあります。情報収集や各種の手続きを代行してくれることから、現在在職中だとしても就職活動が比較的スムーズにできるメリットもあります。
企業が人材紹介会社を利用するメリット
人材紹介会社は個人だけでなく、企業も利用することができます。企業が人材紹介会社を利用するメリットについて確認しておきましょう。
成功報酬型であるため、コストのムダが発生しない
人材紹介会社からの人材紹介は、雇用契約ができた時に成功報酬として報酬を支払うのみでよく、いつ来るかわからない求人のためにコストをかけ続ける必要がありません。そのため、コストのムダが発生しにくく、計画性のある採用活動が可能です。
採用担当者の仕事を減らすことができる
企業の規模にもよりますが、採用のために人手を割けない企業にとってもメリットが大きいです。必要な面談などを行うだけで、多くのことは人材紹介会社が行ってくれますので、採用担当者への負担も少なくなります。
採用に関する社内事情を考慮してくれる
企業によっては、欠員を埋める必要がある場合など、急ぎで人材がほしい場合があり、その場合には一から求人広告を出していては遅い場合もあります。また、公には求人を出したくない場合もあります。こうした社内事情を考慮したうえで、最適な対応を期待することができるメリットが人材紹介会社にはあります。
人材紹介会社の種類
人材紹介会社はもちろん「人材を紹介する会社」であることは間違いありませんが、その中でも種類が分かれています。
一般紹介型の人材紹介会社
一般紹介型の人材紹介会社とは、企業側と求職者側の両方から依頼を受けて、その間を仲介する形で人材紹介サービスを行う会社です。求職者側が自分の意志で企業を選ぶことができることに大きな特徴があります。登録型とも言われ、人材紹介会社の基本的な形態です。
サーチ型の人材紹介会社
サーチ型と言われる人材紹介会社では、企業側からの依頼を受け、希望に合う人材をリストアップして企業側と引き合わせます。特殊な技術や見識を持った人であれば、現職で働いており、特に転職を希望していない場合でもこうした話を持ち掛けることもあります。ヘッドハンティングと言われるのもこのサーチ型の人材紹介会社で、一般的には企業側の希望に基づいて仲介を実施します。
再就職支援型(アウトプレースメント型)の人材紹介会社
企業の経営状況の都合などで社員数の削減が必要となる場合がありますが、その際に社員をただ辞めさせるのではなく、再就職を助ける企業も少なくありません。こうした時に、企業側の依頼によって退職者(退職予定者)再就職を支援するためのサービスを提供するのが再就職支援型の人材紹介会社です。再就職支援型の事業では、ハローワークなどと同様に、再就職に向けた情報提供や就活をするための場所、教育訓練を実施してくれることが多いです。
人材紹介会社と派遣会社は似ているがちょっと違う
人材紹介会社と派遣会社は似ているように思えますが、様々な違いがあります。利用する時は間違えないようにしてください。
求職者を雇用する人が違う
人材紹介会社でも派遣会社でも、登録された求職者を求人を出している企業に引き合わせ、そこで就業できるようにしますが、人材紹介会社では企業に直接雇用してもらうのに対し、派遣会社では派遣元の会社の所属のままで企業に行って働くことになります。そのため、人事関係の手続きや賃金の支払い元、トラブル対応などの責任の所在が違います。
求職者に提供するサービスが違う
人材紹介会社も派遣会社も、企業に労働力を提供するという点では同じですが、求職者側に対するサービスには違いが見られます。中でも大きなものとしては教育訓練の有無があります。派遣会社では派遣登録者に対する職業訓練サービスが提供されていることが多いですが、人材紹介会社では再就職支援型を除き、基本的に就職に向けての仲介のみとなっています。
労働契約が成立したときに受け取る報酬が違う
人材紹介会社では、労働契約ができた時点で人材紹介会社に報酬が入るようになっています。一方の派遣会社では、派遣会社と企業側の間で定められた報酬が派遣会社に入り、その一部が派遣労働者の賃金として支払われます。一般的に人材紹介会社の成功報酬は求職者の想定年収の3割程度が多く、人材紹介ビジネスの中では高めです。このため、人材紹介会社では「早く、高い年収での成約」にする動機が高くなり、求職者に有利な採用となることも多いです。
人材紹介会社は便利なサービスなのでうまく利用しよう
転職を考える人や、社内に戦力を求める企業にとって人材紹介会社はとても便利なサービスです。その仕組みや特徴を知っていると、いざという時にスピーディーに個人と企業のマッチングが可能になります。企業によって特徴や人材紹介のタイプが違いますので、自分に合ったタイプの企業をいくつか押さえておくと良いでしょう。