ビジョンレポートを書く時のポイントとは?
企業側から「ビジョンレポートを提出してください」と急に言われたとき、上手に書けると自信を持って言える方はそう多くはないでしょう。
ビジョンレポートはビジネスシーンにおいて非常に重要な役割を持つ論文です。ビジョンレポートとはどういうもので、どのように書けば良いのかをしっかりと理解しておかないと、正社員登用や昇進といった大事なチャンスを逃してしまう可能性があります。ビジョンレポートの書き方をきちんと頭に入れておきましょう。
そもそもビジョンレポートとは?
ビジョンレポートとは、自分自身の将来の展望について書いたレポート(論文)のことを言います。ビジョンレポートの「ビジョン」というのは「展望」という意味です。
企業や団体では、正社員ではない有期雇用の契約社員・アルバイトが正社員登用される時や、一般社員から管理職に昇格する時にビジョンレポートを提出させるケースがあります。
企業によってはビジョンレポートという呼び方をしていない企業もありますし、ビジョンレポートという呼び方が浸透している団体もありますが、昇格する際に将来の展望をまとめてレポートを作れば、それはビジョンレポートということになります。レポートという括りで考えると、就活時の志望動機の内容がこれに近いものになります。
社員が書くビジョンレポートから見えてくるもの
なぜビジョンレポートが必要なのかというと、日ごろの働きぶりだけでは登用や昇格・昇進にあたっての判断がしきれないからです。
ビジョンレポートを書く側人からすれば、ビジョンレポートを書くのが大変だったり手間だったりする場合もありますし、日頃の働きぶりから判断してほしいと思う方もいるでしょう。
しかし、身分や立場によって、企業が従業員に求めるものは大きく異なるものです。社員自身が思い描いている将来像が明確となるビジョンレポートは、社員の仕事に対する向上心を見極め、正社員登用や昇進させるに値する人材かどうかの大きな判断材料となるのです。
ビジョンレポートの書き方6つのポイント
働く人にとって、将来の展望というのは人それぞれ異なります。もっと会社を大きくしたいと思っている人もいれば、新しいことに挑戦したいと思っている人もいますが、ビジョンレポートは、自分自身が望む将来の展望さえ書けば問題ないというものではありません。ここでは、ビジョンレポートを書く時の注意点についてご紹介します。
1 企業側が自分に何を期待しているのかニーズを把握しておく
ビジョンレポートを書く際、企業側が労働者に対して何を期待しているのかをしっかりと把握しておく必要があります。
例えば、契約社員から正社員登用を検討するケースでは、企業側が、これから自分が正社員になることに対し、どのような働きを期待しているのかを理解するということです。企業側のニーズをあらかじめ把握した上で、自分はその期待に応えられる人材であるということを、ビジョンレポートを通して伝えることができれば合格率が上がります。
2 自分の想いや気持ちをきちんと伝える
企業側が期待していることは、決してひとつではありません。契約社員から正社員に昇格する人には「自立して考えて行動できる」「人材を育成する」「メンバーをマネジメントできる」など、多くのことを期待しているケースがほとんどです。こういった企業側が期待していることをまとめてビジョンレポートに書いておくということはできなくはありませんが、それでは何が言いたいのかが具体的に伝わりません。
どんなことに希望や目標を持っており、どういったことに課題を感じていて、その問題をどう改善していきたいのか?この3点をきちんと書いて相手に伝えることが重要です。
3 自分の将来について具体的に書く
自分の将来の展望に対し必要だと感じることは、具体的に書くことが大切です。
例えば、企業の課題として「人材が育っていないこと」に課題を感じている場合、「人材を育成する」といっても、どんな人材をなぜ育成するのか、誰がどうやって育成するのか、育成したらどうなるのかなど、具体的に書かなければならないポイントはたくさんあります。
さらに、専門の指導要員が毎日横に座って教育するというやり方や、研修を月1回開催して技術を教えたり、定期的にテストのようなものを行って学習してもらうなど、育成方法もひとつではありません。ビジョンレポートを書くときには、具体性を意識するように心がけましょう。
4 分かりやすくシンプルに書く
レポートというと、たくさんの文字がつらつらと書いてあるイメージがある人も多いでしょう。しかし、ビジョンレポートの場合は大学のレポートのように「3000文字以上」という決まりがないケースがほとんどです。
ビジョンレポートは提出すること自体が目的ではなく、自分自身の将来の展望を的確に伝えることが目的です。なるべくシンプルに分かりやすく書くことを心掛けましょう。
5 難しい言葉や専門用語を使いすぎない
ビジョンレポートは、自分の上司だけではなく、管理職の人や人事部、役員、社長が見る可能性もあります。
規模の大きい会社であればあるほど、偉い人や人事部の人達は現場の作業の細かい内容や、現場でしか使っていない専門用語を理解していないことも想定されますし、難しい言葉や専門用語を多用しすぎてしまうと、言いたいことが伝わらなくなってしまう可能性があります。誰でも分かるような言葉や表現を使って書くことを心掛けましょう。
6 他力本願な書き方をしない
ビジョンレポートは将来の展望を文書化するという意味ですが、将来の展望を伝えるということは「決意表明を行う」ということも含まれているため「こうなりたい」「これを頑張りたい」という決意や想いも積極的に書く必要があります。
決意や想いを書く中で、「○○に課題があると思うので、○○部が解決したら良いと思う」というような他力本願なことを書いてしまうと、やる気がないように見えてしまうため注意が必要です。「○○部と連携・協力しながら解決していきたい」というように、そのビジョンを実現するために、自らも積極的に努力する姿勢をアピールしましょう。
ビジョンレポートの例文
「毎年、年末調整の時期に、従業員3000人分の書類を全て取りまとめて各社や各支店に送って、また回収して、回収した書類の中身が合っていることを確認するという大変な作業を5名で対応していると、時間が足りなくて連日帰れなくなってしまうので改善したいと思います。」
例えばビジョンレポートに上記のような内容を記載するのであれば、もっとシンプルに分かりやすく具体的に書くと高評価を得やすくなります。
1 文章をシンプルにする
「年末調整対応にて毎年、従業員3000人分の書類配布・確認作業を行っております。
しかし、煩雑かつ膨大な作業のため、現在の5名体制では工数が不足しているため、改善したいと考えています。」
2 今後の展望・対策を具体的に書く
「年末調整対応にて毎年、従業員3000人分の書類配布・確認作業を行っておりますが、煩雑かつ膨大な作業のため、現在の5名体制では工数が20%以上不足しております。
そのため、外部ベンダーへの外注の検討や、チェック体制を簡素化するなどの対応を行うことにより、改善したいと考えています。」
ビジョンレポートはいつでもちゃんと書けるようにしておこう
ビジョンレポートは、一般的には非正規社員の正社員登用試験や一般社員が昇進試験を受ける際に提出を求められるものですが、就職活動する時の志望動機やお客様への提案資料など、自分のことに限らず「将来への展望」を発言したり書いたりすることを求められるシーンというのは少なくありません。
ビジョンレポートの書き方をマスターして、様々なビジネスシーンで上手く活用していきましょう。