応募準備

証券会社の志望動機は業界用語を避けて等身大で書こう

証券会社の志望動機は、普通、学生が証券からは縁遠いために曖昧なものになってしまうことが少なくありません。過度に自分をアピールしたり、曖昧なまま突き進めず、等身大で具体的な回答を心がけましょう。そのためのポイントを整理して例文を交えて紹介します。

人気の証券会社の志望動機は書き方で印象を大きく左右する

証券会社といえば、金融業の中でも銀行や保険会社と並んで就活生に人気の企業です。学生のうちはあまりなじみがなかったとしても、会社説明会などでその事業内容やスケールを耳にすると、がぜん興味を持つ人も少なくありません。

規模も大きく、人気の企業が多いからこそ、優秀な学生たちが多く集まるのも特徴で、その中から勝ち残って内定を得るのも簡単ではありません。就活で必須となる志望動機は、証券会社でも印象を決める大事なポイント。どのように書くのが効果的なのか考えてみましょう。

まずは証券会社の仕事を理解することが必須

学生のうちは、証券に対してあまりイメージが無いという人がほとんどです。証券と言っても様々な種類があり、株や債券、商品先物、FXなどがあります。証券会社では無形の商品を取り扱うことになりますが、取り扱い商品によらず企業の業務としても実に様々なものが行われています。

リサーチ部門の仕事

リサーチ部門は、文字通り企業を調査・分析するのが仕事です。アナリストと呼ばれる人の多くはこのリサーチ業務を行い、分析にあたる人です。証券会社の根幹を支える重要な仕事で、統計や数字に強く、また論理的思考力が求められます。

営業部門の仕事

営業は、個人向けの営業であるリテールと、企業向けのホールセールに分かれます。新入社員はまずリテールを通ることになります。対人コミュニケーション能力が必須で、また無形の商品を取り扱うからこそ説明能力や信頼される力が問われます。

資産運用部門の仕事

会社としても証券会社は自ら資産運用を行っていますし、また投資信託商品の運用を行うのも証券会社の大事な仕事です。資産運用の実績は対外的にその証券会社の能力を示すものになりますから、実力のある人でなければ務まりません。

インベストメントバンキング部門の仕事

「インベストメントバンキング」とは、「投資銀行」とも呼ばれ、証券の引き受けや財務アドバイスなどを行う業務を言います。資金調達やM&A、事業再生など、様々な内容があります。

その他の仕事

バックオフィスを支える人事や総務、会計などの管理部門などにあたる人も多いです。近年はシステム化を進め、フィンテック商品・サービスを開発したり、AI活用などを推し進めるためのエンジニアも重要視されています。

いま、金融業界で注目されているフィンテックについても知っておこう

金融業界では現在、フィンテックに力を入れるところが多くなっています。証券業界では特にその傾向が強いと言われています。

フィンテックは金融と(IT)技術の融合技術で、AIを活用した企業分析や金融商品の予測、資産活用など様々なものが出ています。スマホによる送金や仮想通貨などもひとつのフィンテックと言えます。

こうしたフィンテックの技術は、金融業界の効率化をもたらし、業界の構造を大きく変える可能性があるため、各社は生き残りをかけて取り組んでいる急務の課題です。

就職活動では、面接などでフィンテックが問われることもあります。フィンテックについてはどのようなものがあるかは頭に入れておいた方が良く、またこんなサービスがあると便利だなというものを考えてみるのも良いでしょう。

証券会社の志望動機のNGな例文

それでは証券会社の志望動機について、実際の例文で確認してみましょう。まずは良くない例です。どこが良くないのか考えながら見てみましょう。

証券会社への志望動機NG例1

証券会社への志望動機1

私が貴社を志望したのは、「証券という無形の商品を販売するというチャレンジに大きな魅力を感じたから」です。

貴社はリテール部門に強みがあり、それだけ多くの顧客の信頼を勝ち得ていると考えています。私はアルバイトで英語教材の訪問販売をしていましたが、アルバイトの中で3か月連続でトップの営業成績を取ったことがあります。アルバイトで培った営業能力は、きっと貴社でのリテール営業でも活かされると思っています。

どうぞよろしくお願いいたします。

この例では、証券会社への志望動機として「証券という無形の商品を販売するというチャレンジに大きな魅力を感じたから」とあり、納得はできますが、その志望動機を裏付けるエピソードが無いためにやや浅い印象を受けます。

後に続くエピソードから、優秀な人材であることは伝わりますが、金融業界や、その証券会社を選んだ理由が弱く、どの企業でもチャレンジができればよいという風にも映ります。自分のアピールだけではなく、もう少し企業との相性を感じさせる内容にできると良いでしょう。

証券会社への志望動機NG例2

証券会社への志望動機2

私が貴社を志望したのは、貴社の経営理念に魅力を感じたからです。

金融業界には多くの会社がありますが、その中で貴社の「誠実な情報提供に基づく信頼関係の構築」に非常に共感ができました。金融の世界は非常に大きなお金が動くため、信頼が非常に大切だと考えます。他社ではインサイダー取引があったり、情報提供の仕方に問題があるという話も聞きます。御社のように信頼を第一にし、誠実に業務に取り組む証券会社で私は働きたいと思います。

大学の野球部で鍛えた体力を武器に、信頼を日々積み重ねられるようひとつひとつ頑張っていきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

こちらの例は、大筋は悪くないのですが、他社について批判をしている点があまりよくありません。「信頼」をテーマに話をしている中ですので、特にマイナスな印象になってしまいます。他の企業に行ったなら、自分の企業が悪く言われている可能性も疑われ、評価を落とすことになります。

他企業との差別化は、他社の批判で行うものではありません。他社の批判によって志望されるなら、それは消去法で企業を志望されたことになり、本当に採用を願っているとは言えないのです。

証券会社への志望動機の良い例文

次に、良い志望動機の例文を見てみましょう。NG例の志望動機と比べながら、どこがいいのかを考えてみてください。

証券会社への志望動機良い例1

証券会社への志望動機1

私が貴社を志望したのは、証券業を通して日本経済に力を取り戻したいと考えているからです。

人口減による市場の縮小は、日本経済の力を弱め始めています。しかし、日本国内には多くの金融資産やノウハウがあり、それらを上手く活用することによって個人は資産を増やし、企業はノウハウを競争力に変えることができるはずです。金融業は金もうけと考えている人も多いですが、金融には社会を変えるエネルギーがあると思います。御社は特にインベストメントバンキングに強く、金融知識を活かし社会に貢献するノウハウや実績を多数持っているところに魅力を感じています。

海外に3年留学し、英語力には自信があります。貴社の中で世界を舞台に頑張っていきたいです。よろしくお願いいたします。

この例では、考えている証券業を通してのビジョンが明確で、金融業を選んだ理由や企業を選んだ理由がしっかり述べられています。しっかり自分の考えを述べることで、熱意が伝わってくる内容になっています。

また、英語力のアピールもしていますが、投資家の中には海外の機関投資家や個人投資家もいますし、外資の証券会社も多いです。そのため企業によっては特に効果的なアピールとなるでしょう。

証券会社への志望動機良い例2

証券会社への志望動機2

私が貴社を志望したのは、証券会社の中でも特に顧客への情報提供に力を入れていると感じたからです。

会社説明会で金融業や証券会社の仕事について知り、そのスケールの大きさに驚き、興味を持つようになり、様々な証券会社の資料や、提供しているレポートを読み漁りました。

10社、200枚ほどのレポートを拝見しましたが、貴社のレポートが最も読みやすく、デザインにも優れていたと感じました。情報を持っているだけでなく、伝えるために努力できるのは、本当に顧客第一の姿勢が無いとできません。私は、貴社の顧客第一の姿勢が、企業理念の文字からではなくレポートから感じることができて、ここで働きたいと思いました。

居酒屋のアルバイトでバイトリーダーを経験し、リーダーシップやサービス精神には自信があります。ぜひ、御社で顧客第一の姿勢で仕事にチャレンジしたいです。よろしくお願いいたします。

この例では、金融業について知ったきっかけが会社説明会であると素直に表現しているところに好感が持てます。そしてその後に熱心にレポートを読んだエピソードで、その興味が本物だと伝わりますし、顧客への情報提供に力を入れていることを肌で実感していることがわかります。

また、「10社」「200枚」と数字で表現することで、リアリティをさらに際立たせています。数字化できるところは数字化することによって強調になりますので、数字にインパクトがあるという場合はぜひ活用しましょう。

「顧客第一」という言葉に共感する人は多いと思いますが、エピソードがしっかりしており、「企業理念の文字からではなくレポートから」という切り口が面白く、印象に残ることでしょう。同じテーマでも切り口が変われば面白いエピソードは作れます。そのためには、しっかりとそのテーマを考えたり調べたりすることが大切です。

証券会社の志望動機で失敗しないために注意すること

いい志望動機を書くには、事前準備や心構えが大切です。証券会社の志望動機作成で失敗しないために、注意点も確認しておきましょう。

企業研究をしっかり行う

証券会社では同じような商品やサービスを提供しているように思われがちですが、各社の特徴があってそれぞれ違いがあります。しっかり企業研究を行っておかないと、いろんな企業の話を混同してしまったり、サービス名などを間違ってしまいますので注意してください。

専門用語はできるだけ避ける

証券業界では専門用語も多いのですが、知識を示そうと専門用語を使ってもあまりメリットはありません。逆につけ焼き刃で使った専門用語が間違っていることによって、信頼を失ってしまう可能性もあります。金融業は信頼が命ですので、正確に使える言葉を選んで使うようにしましょう。

会社の雰囲気に合わせる

自分をアピールすることはとても大事なことではありますが、企業側にも求める人材像があるものです。どんなに優秀な人材でも、どんなに一生懸命アピールしても、欲しい人材ではないと思われれば内定を得ることはできません。会社の雰囲気や求める人材像に沿ったアピールをすることが大事です。よくわからない場合はOB訪問をしたり、企業説明会などを利用してみましょう。

OB訪問は就活にプラスになるやり方で行うのがコツ

証券会社の志望動機の書き方

志望動機をより魅力的に仕上げるにはテクニックも必要です。証券会社の志望動機の書き方のポイントを確認しましょう。

結論を先に述べる

ビジネスシーンでは、書類でも対話でもまずは結論を先に述べるようにします。結論を先にして、裏付けとなる情報を後から続けて、理解がしやすいように話しましょう。ちゃんと考えていないと、前後の論理に整合性が無くなることがあるので注意が必要です。

どうして金融業界なのか

様々な企業を選択することができる中で、どうして金融業界を選んだのかは大事なことです。金融、特に証券に魅力を感じている理由をしっかりアピールしてください。

どうしてその証券会社なのか

証券会社と言われる会社は非常に多くあります。その中でどうしてその証券会社を選んだのか、他の企業ではいけない理由をアピールすることで、企業に対して真摯な姿勢を見せることができます。

自分とどのように合っているのか

志望動機というのは、決して企業の特徴などを良く言うことではありません。企業の持っている特徴が、いかに自分の企業選択の基準と合致しているのかを語る場です。自分のスタンスを明確にしましょう。

企業に対する自分のメリットをアピールする

もし可能なら、志望動機の中に自分を採用することのメリットを上手く盛り込みましょう。営業力やリーダーシップ、語学力や、大学での専攻など、本題ではないにしても上手く盛り込めると印象が残りやすくなります。

証券会社への志望動機では、明確な回答を心がける

証券会社は、お客様の資産運用や投資に関するアドバイスやサポートを提供する重要な役割を担っています。そのため、証券会社に入社したいと思う理由や、自分が証券会社で働くことで何を実現したいのかを明確に伝えることが求められます。

例えば、自分が投資に関する知識やスキルを身につけ、お客様に最適な資産運用アドバイスを提供することができるようになりたいという目標を持っている場合は、それを明確に述べることが大切です。また、証券会社が持つ先進的なテクノロジーやデータ分析に興味を持っている場合は、それを志望動機に取り入れることもできます。

しかしながら、単に「証券会社で働きたい」というような曖昧な回答では、面接官から良い印象を与えることはできません。具体的な志望動機を持ち、それを明確に伝えることが大切です。