エントリーシートの資格欄はどう書けばいいのか悩ましい
新卒入社を目指す学生たちにとって、最初の難関となるのが企業から提出を求められるエントリーシートですが、エントリーシートの中の項目のひとつに「資格」があることが多くなっています。学生の中でも資格取得に励んできた人もいれば、そうでない人も様々です。
特に文系の学生の場合、資格と言えるような資格を持っていないことも多く、いざ問われると悩ましく、就活に自信がなくなることも少なくありません。
エントリーシートの資格欄の書き方や、エントリーシートに記載する資格がない場合の対応についてお知らせします。
エントリーシートで資格の有無が問われる理由
エントリーシートで資格や免許の有無が問われる第一の理由は、応募者がどのような知識・スキルを持っているのかを知るためです。「私は英語ができます」「私はコンピュータに強いです」とアピールしたとしても、その実力を伺い知ることは、百戦錬磨の採用担当者でも難しいと言わざるをえません。
資格というのは、取得のために求められる知識やスキルのレベルが決まっているからこそ、客観的な指標としての知識・スキルの程度を示すものと言えます。逆に言えば、資格の中でも水準の低いものをアピールしても、それは有効なアピールにはなりません。
資格取得によって熱意をアピールするという人もいますが、資格をたくさん持っていても仕事に熱意があるかはわかりませんので、そこまで意識する必要はなく、あくまで配属などを検討する上での能力を測るものと考えてください。
資格欄に書く「資格」と「免許」の違い
エントリーシートには資格を書くためのスペースがありますが、通例としてここには免許についても記載することができます。「資格・免許など」と丁寧に書いていないとしても、免許も記載します。
資格が「その人の能力や知識・スキルを客観的に示すもの」であるのに対し、免許は「法的に定めがある行為について、行うための許可が出ている」ことを意味します。
運転免許であれば車などの運転をして良いということになりますし、医師免許なら医療行為を行って良いことを示します。当然、これらは一定の知識や能力がある上で許可を与えるものですので、資格の意味合いを含んでいます。
エントリーシートにおける資格の書き方ポイント
エントリーシートでの資格の書き方のポイントについて確認しましょう。自分が持っている資格・免許をエントリーシートに書く際の参考にしてください。
1 資格はできるだけ正式名称で記載する
資格の名前は、よほど長いものを除いては正式名称で記載します。
「簿記2級」を取得していた場合、正確には「日本商工会議所主催簿記検定試験2級」になるのですが、「日商簿記検定試験2級」などの書き方をします。基本的に主催や内容がわかる記載内容であれば大丈夫です。
最近は民間団体によって作られた資格も多く、似たような名称のものも多くなっているため、採用担当者が資格を正確に理解できるように記載することが核心です。
2 上級資格があれば下位の資格は書かない
より上級の資格を有している場合、下位の資格は書く必要はありません。読み手の負担を少なくするためにも意識しておきましょう。
例えば、「英検1級」を持っている人は英検2級や3級を取得していたとしても記載はしません。IT系の資格でも「ITパスポート」や「基本情報技術者」などは、IT系の基本知識をまんべんなく広く有していることを示しますが、「ITストラテジスト」などの上位の資格を持っていれば、基本の資格をあえて記載する必要はありません。
3 運転免許は名称を正確に記載する
アルバイトであれば履歴書に「運転免許」と書いても問題になることは少ないですが、きちんとした就職の際には「普通自動車免許一種」と記載する必要があります。
運転免許は級や車種によって15種類の免許があり、運送業など、業種によっては様々な運転免許が必要となることもあります。誤解をされないように正確に記載しましょう。また、オートマ限定なら必ずAT限定と記載しておきましょう。
4 資格は仕事に関連したものを記載する
エントリーシートの資格欄は、仕事に関連する可能性があるものを主に記載します。現在持っている資格であれば、何でも書いておいて自分をアピールしたいと思うものですが、採用担当者からするとあまりに多すぎる資格は、却って応募者のイメージをぼんやりとさせてしまいます。
「アマチュア無線」など趣味で取得した資格があれば、それは趣味を書くことができるスペースでアピールしておくと良いでしょう。
書道関係の資格や珠算などの資格は、ある程度のレベルであれば汎用的にどんな仕事でも使えますので、記載しておいても問題はありませんし、「カラーコーディネーター」などはデザイン系の仕事でないとしても、そのセンスが様々なところで活かされますので書いておくと良いでしょう。
5 評価されない資格は書かない
実際に取得していても評価につながらない資格もあります。「英検3級」や「TOEIC500点」などはそれに当たります。
英検は2級で高校卒業レベルの英語能力があることを意味し、TOEICなら大学生レベルの平均が550~600点で、企業で評価されるのは少なくとも600点以上、できれば700点以上となっています。
評価の乏しい資格をあえて記載すると、却って実力を疑われてしまうこともありますので、この場合は記載しない方が無難です。
6 資格を取得した取得年月の記載方法は統一する
資格欄への記載は、「どの資格を持っているか」だけでなく「いつ取得したのか」も記載する必要があります。10年前に取得した資格と1年前に取得した資格では、与える印象も資格取得のために必要な内容も違ってくるからです。
取得の年月を記載する場合は西暦にするのか、和暦にするのかを書類内で統一しておくようにした方が、採用担当者がエントリーシートを読む際にわかりやすく親切です。
7 保有資格は記録を残しておく
新卒採用のみならず、転職活動が必要になる場合や、もしくは何かの理由によって自分の保有資格などを伝える場面も将来的に出てくる可能性があります。
毎回自分の保有資格を確認するのは手間ですので、自分の保有している資格について、取得した年月や資格の正式名称などを記録として残しておくことをおすすめします。その記録の中から用途に応じて必要な資格を選んで書類作成に利用すると、効率的に書類が作れます。また、保有資格を確認することで自分のキャリアを考える機会にもなります。
8 資格は読みやすい綺麗な字で書く
資格欄のみならずエントリーシート全体に言えることですが、読み手に親切な書き方をする必要があります。きれいな字で書く、読みやすい字の大きさや行間を取るなどの配慮が求められます。
「エントリーシートで空欄は作らない」という話もありますが、これはエピソードなど自由記述の部分でアピールする場合であり、資格欄まで無理に埋め尽くす必要はありません。何十人、何百人ものエントリーシートを読む採用側の立場に立つと、読みやすいことがいかに大事かわかるはずです。
資格欄を埋めることや資格の数にこだわる必要はなく、情報が正確に伝わるようにすることを意識しましょう。
保有資格がない人はエントリーシートにどう書くべき?
保有資格がないことでマイナスに評価されることを心配する人もいますが、今の就職活動、特に新卒採用においては、能力よりも人柄がより重視されていますので、過度に心配する必要はありません。
ただし、企業がある資格の保有や取得を採用のための条件にしている場合は話は別です。資格取得は多くの場合試験が必要となりますので、試験の実施されるタイミングによってはエントリーシートの提出に間に合わないこともあります。その場合は、「●●資格学習中」「●●免許取得見込み」などと記載しておいて、資格取得に向けて動いていることを伝えましょう。
エントリーシートは企業への就職に対して意欲があることを示すためのものであり、また自分がどのような人であるかをアピールするための書類です。その中で資格欄は、自分の能力やスキルを示すためのアピールポイントと考えて間違いありません。
しかし注意したいのは、資格によって表される能力は、新卒採用においてそれほど重視されていないと言うことです。直接評価の対象になるよりは、応募者のイメージづくりや面接の際の参考にするという程度です。今の採用で一番大事にされているのは、その人のキャラクターや考え方、物事への取り組み方であることを念頭に置いておきましょう。
エントリーシートの資格欄は「わかりやすく」を意識して書こう
エントリーシートの資格欄には、自分自身が持っている資格やスキルを詳細に書くことが求められます。その際には、以下のようなポイントに気を配って記述すると良いでしょう。
まずは、取得した資格名を正式名称で明確に記載し、取得した年月日も明確にすることが重要です。その上で、資格についての説明やレベル、内容については、具体的な例を挙げて詳細に説明するようにします。また、資格を取得した経緯や背景についても、自分の意図や目的を明確に説明すると良いでしょう。
さらに、取得した資格やスキルをどのような場面で活用できたか、どのような実績があるかについても、具体的な事例を挙げて説明することが大切です。例えば、プログラミングの資格を持っている場合、どのようなプログラムを作成したかや、どのようなプロジェクトに参加したかを具体的に挙げることで、自分の能力やスキルをアピールすることができます。
応募職種に必要な資格や、職務内容に関連する資格については、特に優先的に記載することが望ましいです。採用担当者が求めているスキルや知識を持っていることをアピールし、自分自身がその職種に向いていることを示すことが重要です。