自己PRで分析力を扱う場合に注意したいポイントと参考例文
就職活動の自己PRで分析力を武器にしたいという人も多いものです。しかし、分析力というのは上手くアピールしないと失敗しやすいテーマでもあります。自己PRで分析力が企業側にうまく伝わるようなアピールの仕方についてノウハウを整理して紹介していきます。
就活の自己PRに「分析力」はレベルが高すぎる?
就活の面接や履歴書・エントリーシートなどでは自己PRは志望動機と並ぶ定番となっています。
何を書こうかと迷った結果、「分析力」をテーマにアピールする人も多いのですが、分析力をテーマにする場合、それをもとにどのようにアピールするかがとても重要になります。
また「分析力がある」と言うためには、相応の実力がエピソードから伺い知れる必要があることから、ハイレベルなテーマでもあるのです。
それだけに分析力は上手にアピールできれば良い評価を得ることのできる大きなチャンスとなります。自己PRで分析力を扱う場合、どんなポイントを押さえるべきかをしっかりと考えていきましょう。
そもそも自己PRしたい「分析力」とはどんなスキルなのか?
分析力がどういうものかきちんと理解していないと、アピールした瞬間に面接官に「はて?」という反応をされてしまうので注意が必要です。
分析というのは観察することではなく、元々は「分けて、解析すること」を意味し、ある出来事や物体を分解して、その構成要素について調べたり理解したりすることを指します。
分析力というのは、そういった分析をする力であり、問題を分析して解決の糸口をつかむ力と言えます。そのため、エピソードは当然問題を解決した状況となるべきです。そして、その問題解決までの過程がしっかり伝わる必要があります。特に転職市場ではこういった問題解決に至るための分析力を持った人材は重宝されます。
分析力を自己PRする際の流れ
分析力をアピールする自己PRでは、採用担当者が分かりやすいように以下のような流れで進めるのが鉄板です。
状況を説明する
まずは分析対象となる問題を抱えた状況を説明していくことが必要です。「どうしたらいいと思いますか?」というような問いかけは必要ありませんが、面接官が思わず「どうするんだろう?」と考えてしまうように、上手く話に引き込みましょう。
問題の解決に向けて行った分析を紹介する
問題を抱えた状況の解決に向けて、あなたが行った分析をここでアピールします。どのように考えたのか、そしてそのために取ったアクションなどについて紹介します。
分析した結果を伝える
分析と問題解決のアクションによって得られた結果を最後に伝えます。可能であれば、その分析結果が今後も活かされた例などがあるとさらにその分析に華を添えることになるでしょう。
自己PRに分析力を使った例文とポイント
それでは、実際に分析力をテーマにした自己PRの例文を見ながら、分析力を自己PRするときのポイントを確認しましょう。
1 できるだけ数字を入れる
生ビール販売強化作戦
私の強みは分析力があることです。
目の前の問題に対し、根拠のない直感や、希望的観測による意見は言わず、発言をする際には必ず問題を分析し、根拠ある意見を言うようにしています。
アルバイトで居酒屋をしていましたが、ある日店長から、日販目標を達成するための具体的なアクションをバイトスタッフで考えてほしいと言われました。バイトリーダーだった私は、メンバーたちが問題だと感じている意見を吸い上げ、また店長から店舗の客数や売上などの情報を集めて分析したところ、次のようなことがわかりました。
・男子大学生の客単価が最も高い傾向があり、団体客も多い
・遅い時間帯にフードは売れない
・ビールを飲むお客さんが多いグループは単価が高い
・ビールは席について最初は出るが、後半は出ない
そこで、バイトスタッフによる生ビール販売キャンペーンを行うようになりました。分析結果から、ビールの消費量が多いと思われる若い層を中心に、できるだけ前半の接触回数を増やしてビールのお替りを促すというものです。
2か月ほどやってみましたが、一人当たりのビールの消費量が0.4杯増えるようになり、しかしその他のフードやドリンクの消費量はほとんど変わらず、ビールの分だけ客単価が増加するようになりました。一人当たりでは150円程度ですが、数が入るお店でしたので、売上へのインパクトは大きかったです。その結果、日販目標をほとんどの日において達成することができるようになりました。
御社に入社できた際には、このように問題に直面した際に、いつもしっかり問題を分析して解決するという姿勢で全ての業務に取り組んでいきたいと思います。
居酒屋のアルバイトにおける体験談から、問題解決の経緯を伝えています。問題を分析してそこから具体策を導き出すまでは普通の流れですが、最終的に取り組みによって出た成果が「ビールの消費量が0.4杯増えた」「客単価が150円ほど上がった」と成果が数字で出ているので納得感があります。
全体的によくまとまっていますが、あえて言えばもう少し問題を丁寧に知らせた方が、臨場感があってよいでしょう。
2 具体性に欠けないよう注意する
サークルの問題解決
私の長所は分析力があることだと考えます。
私はイベントサークルの部長をしていました。ある時に複数の大学のイベントサークルで合同合宿をしたのですが、その際に場所の選定や予約について手違いが生じてイベントが大失敗し、イベントも赤字となって中心スタッフが自腹を切って数十万円を支払うことになってしまいました。
その際に、何が問題だったのかということを再度スタッフで話し合い、再発防止につとめた結果、二度とそういったことがありませんでした。幹部として中心的に関わっていた私がその本質的な原因を明確にして、再発防止のためのチェック項目や意思決定の仕組みを作ったことが良かったと周囲から行ってもらえました。
このような私の強みを生かして、御社に入社しても自ら課題に積極的に取り組み、分析し、解決につなげていきたいと考えております。
上記はサークル活動での経験を自己PRとした例です。問題が生じたことはわかりますが、その問題が生じた過程や内容がぼんやりしているので、解決策が本当に良いものだったのかが伝わりにくくなっています。
「私がその本質的な原因を明確にして」とありますが、その本質的な原因について触れていないため、それを明確にする必要があるでしょう。そうしてこそ解決のためのアクションが活きてきます。
分析力をアピールする内容では、分析したことについて具体的に説明する必要があります。ただし、あまりにもそこにばかり意識が向くと、他の部分について適当になったり説明不足が生じることもあるので全体のバランスに注意しましょう。
分析力の自己PRは事実が伴わないとすぐにバレる
自己PRに「分析力」を使う場合、事実が伴わないとすぐにバレることがあります。
例えば、「なぜA君はB君にいじめられるのか」という問題があったとして、「A君が弱いから」と回答するようならおそらく分析力を不安に思われることでしょう。「B君からするとC君も弱いはず」など、その分析にすぐに反論や依存が出てくるからです。
「B君がA君をいじめているとはいえ、いつもイヤイヤ遊びに付き合ったり、時にはマイペースを発揮して誘いや善意をないがしろにするなど、そういう友達甲斐のないところ、社会性・マナーのないところにも問題があるのではないか」などと分析すると、他の人にはなかなかない視点だと感心されることでしょう。
分析力をアピールするのであれば、その分析力に思わず相手が唸るような内容であるとポイントが高くなり、就職活動もスムーズに進みます。逆に分析力が一定水準以下に見えると、「自己分析もできていない人」という印象を与えてしまうので気を付けてください。
「分析をする」だけでは自己PRとしてダメ
分析力は仕事を進めていく上で重要な能力のひとつではありますが、注意したいのは分析力だけではダメだということ。大事なのは分析したことを問題解決につなげる姿勢です。
問題解決の伴わない分析は、ビジネスの場ではあまり意味がありません。企業は問題解決ができる分析力を持っている人を求めていると心得ておきましょう。
また、何のために分析するかをしっかり考えてアピールしましょう。その分析が、たとえば他人を批判するための分析なら一緒に働くのは敬遠したくなるものです。問題を解決したり、教育などサービスを提供するために必要な分析であることが大切となります。「街ゆく人々のシャツに襟が有るか無いか」をこと細かに分析しても「何のために?」と聞かれて「何となくやってみました」ではアピールは失敗に終わります。
分析力の自己PRは独りよがりにならないようにアピールを
分析力は、ビジネスの現場で重要なスキルの一つであり、自己PRでアピールすることで、採用担当者に強い印象を与えることができます。しかし、そのアピール方法には注意が必要です。
分析力をアピールする際には、具体的な事例を挙げることが大切です。しかし、独りよがりにならないように注意が必要です。自分だけが理解できるような複雑な専門用語や技術用語を多用してしまうと、採用担当者が理解できずに興味を失ってしまう可能性があります。
また、分析力だけに焦点を当てすぎると、他のスキルや経験が抑えられてしまい、独自性や個性が見えなくなってしまいます。自己PRでは、分析力と一緒に、そのスキルを活かして何を達成したのか、何か新しいことにチャレンジした経験があるかなど、他の要素を織り交ぜてアピールすることが大切です。
総合的に見て、自己PRにおいて分析力をアピールすることは、重要なポイントです。しかし、独りよがりにならないように具体的な事例を挙げ、他の要素を織り交ぜてアピールすることが、採用担当者に強い印象を与えるためには必要なことです。