条件面談を活用して内定後の働き方をより良いものにしよう
条件面談についてよく知らない、今まで活用する機会に恵まれなかったという社会人は意外と多いもの。そもそも条件面談とは何なのか、何のために行われるのかといったことから、待遇面について交渉する上で内定者が気をつけるべきポイントまで解説します。転職活動で内定が決まった方はぜひ参考に。
転職希望者は「条件面談」について知っておこう
内定が決まり、さあこれから入社だと意気込む前に、少し立ち止まって考えてみてください。本当にその企業で満足なのか、その条件が最もよいものなのか、後悔せずに済むのか、じっくり吟味する時間を自分に与えてみてもいいのではないでしょうか。
内定は一生を左右するものです。就職活動の結果として得たものとしての内定となれば、悩みに悩んだ末の決断の証となるものでしょう。それを軽々しく決めるわけにはいきません。ですから、内定が出たからといって、急いで飛びついてはいけないのです。
どうすれば満足いく内定を得られるのか、そのために用意されているのが条件面談というシステムです。
条件面談とは何?いつ行うもの?
条件面談とは、内定者が入社後の労働環境の最終確認をするための面談のことを指します。条件面談はオファー面談、処遇面談とも呼ばれ、行われるのは内定前、あるいは内定が出た後です。企業から声をかけて、労働条件について交渉、確認していきます。
条件面談で話し合われる主な内容
給与面や休日や育休の数、入社日や残業時間とその平均時間と手当などの詳しい待遇面などについての最終的な確認が行われます。入社後の業務内容や配属先などが話し合われることもあります。
条件面談は必ず全ての内定者に対して声をかけているものではありません。どうしても気になることがある場合は、自分から積極的に質問をする形をとってみることをおすすめします。
また、条件面談のシステムそのものを初めから取り入れていない企業も少なからずあります。内定が決まった後に条件についての擦り合わせなどをしたい時、連絡がないのであれば、やはり自分からアクションを起こすしかありません。
条件面談では誰と話すの?
条件面談の場では、主に人事担当者があらためて話し合いをしてくれることになります。または、入社した後に配属されることが決まっている担当部署の上司が同席したりする場合もあり、一緒に働く業務内容を説明されることになります。どちらか一方だけの場合もありますし、二人同席する場合もあります。
いずれにしても、自分の今後について真剣に話してくれる方々です。一言一句しっかりと噛み締めて話を聞きましょう。また、この時点ではかなり突っ込んだ内容の話をされることになることが予想されますから、わからないことがあればどんどん質問していきましょう。ここで受け身でいると後々よくわからなかった、という点が出てきてしまう可能性があります。
特に同じ部署で働くことになる上司の方からの話は貴重です。自分がこれから働くのであれば、その場の雰囲気や自分のポジションなどといったことは働く前に少しでも知っておくことが必要です。そういったことを話の内容から少しでも掴み取ることができれば、多少なりとも安心することができるでしょう。そういった意味でも、上司の方には積極的に質問することをおすすめします。何よりやる気や熱意をアピールすることもできますし、入社前から良い印象を持ってもらえることも利点のひとつです。
条件面談を行う目的はミスマッチを防ぐため
条件面談は、内定をもらった人が自分に都合のいい条件だけを企業に叩きつけるために行うものではありません。あくまでも、内定者と企業の間に相互理解が十分得られた上での内定であったことを確認するためのものであるということを覚えておいてください。
内定者が、内定をもらった時に企業から提示されていた条件に誤解が生じていないかどうかを改めて確認して、お互いに頷くことができるようにするための面談が、条件面談です。決してどちらかの一方的な条件を押し付けるだけの場ではないと理解しておきましょう。
条件面談は内定者が入社後の詳しい働き方を知るために大いに役立ちます。待遇面はもちろんのこと、どういったキャリアアップの展望が見えるのか、自分に約束されているポジションはどこなのか、今後の道筋はどうなるのかなど、気になる点は多々あるところですが、条件面談ではそれを聞いても問題ありません。むしろ企業側がそういったことに触れようとしない場合は訝しんでも構わないくらいだという心持ちでいてください。
条件面談では、納得がいかない条件を提示されている場合は遠慮なくその旨を伝えることが許されています。特に年収などは、自分が許せると思うラインまで交渉を続けましょう。ここで妥協してしまうと後悔してしまうことになりかねません。残業に関することも同様で、いわゆるブラック企業のような環境に身を置くことにならないように、時間と手当に関してはしっかりと確認をしておきましょう。
入社前にミスマッチが起こらないよう、様々なポイントについて詳しく確認し、お互いがしっかりと合意するためにあるのが条件面談です。入社前に企業に対する疑問を解消する最後のチャンスですから、この機会を逃してしまうと「やっぱり聞いておけばよかった」「こんなはずじゃなかった」と後悔する恐れがあります。面接で聞けなかったことをどんどん聞いていきましょう。
条件面談を受ける際の交渉ポイントや注意点は?
内定者は内定を出してくれた企業に対しては、どうしても強く出られないという心理的なストッパーがかかってしまうでしょう。しかし、そのために自分の本来の要望を伝えられずに満足のいく条件面談ができないというのは、もったいないというものです。
どうすれば企業側に悪い印象を与えることなく自分の条件を伝えることができるのか、2つのポイントを押さえておきましょう。
1 企業側に悪印象を与えないための条件交渉の仕方
大事なのは、相手の話を聞いているというスタンスを崩さないことです。いきなり話の途中に脈絡なく「ところで有給休暇の話ですが」「それと年収についてですが」など、なんの前触れもなく話題を挟まれると、相手は驚いてしまいます。「今までの自分の話をきちんと聞いていたのだろうか」「本当に自分たちと働きたいと思っているのだろうか」と訝しまれてしまいます。
特に金銭面の話題はデリケートなので、扱いには特に注意が必要です。あまり気にせずに触れてしまうと、利己的な人間であるのかと思われてしまいます。あくまでも相手の話の流れに沿って、その話題が出たら自分の希望する条件を提示するようにしましょう。条件面談は主にこれから働く仕事の話をするために設けられた場です。待遇に関する話をすることは確かにとても重要なことではありますが、ガツガツとお金の話にばかり食いつくのが心証を悪くさせてしまうことは避けられません。
基本的に、条件面談において金銭面の話に関して相手側が触れないということはあまりありません。ですから、そのような話題が出た時は遠慮なくはっきりと要望を伝えましょう。もちろん全ての要望が通るわけではありませんが、何も言わずにもやもやとした気持ちで終わるよりはずっと良いでしょう。
また、相手が最後まで何も触れないような素振りを見せていたら、「失礼ですが、最後によろしいでしょうか」と一声かけてから切り出してください。ここでも、いきなり話し出しては失礼にあたります。
2 相手に条件の理由をわかってもらう
なぜその条件でなければいけないのか、詳しい理由を話すことができれば、企業側も納得してくれる可能性が高まります。通勤や家庭の都合で勤務地の希望があることや、入社日が今勤めている会社を辞める日との兼ね合いで遅れそうになるなど、企業に説明すればわかってくれる理由があれば条件を呑んでくれる場合があります。
何の意味もなく、「ただなんとなくそうだったらいいから」「その方が自分がやりやすいから」といった理由では相手はそれに合わせようとは思いません。「もしも自分が反対の立場だったらどうだろう」と考えてみてください。
きちんとした理由があり、それを正しく企業に伝えることでより良い条件での働き方を得てください。
条件面談でミスマッチのない内定を
条件面談について知らなった方も、知っていたけれど機会に恵まれなったという方も、これを機に条件面談を活用してみてください。長く働き続けていく上で、初めに条件の擦り合わせをする場を設けることはとても重要なことです。内定が得られた後には自分から声をかけることができるので、ぜひ試してみるべきです。
せっかく得た内定ですから、きちんと話し合って齟齬がないことも確認しておきたいですし、もしかしたらもっと良い待遇を得ることができる可能性もあります。そういったことは自分から動けば良い方向に転がることもあるのです。