零細企業はすごい!ここで働くメリットとデメリット

零細企業と聞いて実りの少なさそうな仕事に就くのは嫌だという就活生の方が多いでしょう。しかし、零細企業ほど夢が溢れている企業はありません。日本の零細企業がどのような仕組みになっているのか、零細企業で働くメリット・デメリットをご紹介します。

零細企業はすごい!ここで働くメリットとデメリット

零細企業と中小企業こそ日本を支えている

零細企業と中小企業を合わせた数は、日本企業の実に99%以上を誇っています。つまり大企業とされている企業はほんの1%にも満たないのです。ある本では1%の企業が全体の90%以上の富を管理しているという報告もありますが、その富というのは、零細企業あるいは中小企業の努力なしでは得られないのです。

零細企業のほとんどは名前を聞いたことが無い企業です。しかし、非常に優秀なスキルと人材が眠っている宝庫でもあります。家族経営の企業でもかなりの売上があり、健全な経営をしている企業は少なくありません。就活生の方は零細企業や中小企業を低く見てしまう傾向がありますが、その考え方を是非とも直していただくためにご紹介します。

零細企業とは何か

ベンチャー企業のオフィス

零細企業とは、経営学の中でも定義が曖昧ではありますが、主に家族経営やベンチャー企業を指すことが多いです。零細企業においてはブラック企業と言われる企業も多くあり、実態がうまくつかめない会社もあります。

ただし、中小零細企業には大企業の下請けあるいは子会社、孫会社になっているところが納期などの関係上、ブラック企業になっていることが多いと言われています。裏を返せば健全な関係が築かれていれば、問題ない企業が多いと言えるでしょう。

零細企業の存在意義とは、決して下請けになることではありません。いわば企業間のしがらみが弱く、独自路線で事業展開が行える新進気鋭の企業になる可能性が非常に高い企業群と言えるでしょう。このような企業群は大企業には少なく、新進気鋭のアイデアがあっても、企業間のしがらみと採算の問題から展開しづらいという現状があります。

零細企業の定義

零細企業の定義としてパブリックコメントとして残っているものは、中小企業庁の「中小企業・小規模事業者の定義」にあります(注1)。中小企業の定義としては、各業界における定義がなされるものの、零細企業の場合は小規模事業者として次のような定義が用いられています。

【小規模事業者の定義】

  • 商業あるいはサービス業の場合、従業員5名以下
  • 製造業およびその他の業務の場合、従業員20名以下

この定義からわかるように、小規模事業つまり零細企業に対する定義には、資本金および事業の大きさに関しての定義は組み込まれていません。つまり零細企業が売り上げや純利益で不利な立場にあるということではなく、むしろ少数精鋭の企業として成功することは十分に考えられることが分かります。

零細企業の定義には、商業やサービスの定義に従業員というのがどの程度の範囲まで組み込まれるのかは書いていませんが、一般的には正社員と呼ばれるだけの貢献を会社にしている方を対象にしており、一概に働く方全員に当てはめるわけではありません。

零細企業に就職するメリット

企業の面接を受けている女性

零細企業に就職するにはそれなりのメリットが無ければいけません。わざわざ零細企業を選んで就職活動をする人はいないでしょう。事実、零細企業の従業員・社員というのは、社長の昔からの知人であったり、目的を共有した同士であったりすることが多いです。

つまり零細企業の従業員・社員というのは、少なからず企業理念を共有している方の集まりであることが多いのです。中には大企業に勤める意味が見いだせず、零細企業へあえて転職をする方もいます。

理由としては、川下の産業にある企業では自分のやりたいことができず、川上にある産業へ飛び込みたい、チャレンジしたいというのが大きな目的となる方も少なくありません。

零細企業だから就職するのではなく、零細企業の中にある特徴を生かして自己実現を果たしたい人が多いという言い方の方が正しいでしょう。そのような零細企業には3つのメリットがあります。

会社の利益と自分の努力が密接

零細企業の場合は、定義通りであれば少数精鋭にならなければ事業を運営することは難しくなるでしょう。中小企業のようにある程度の人材が集まっていれば分業も可能になりますが、零細企業の場合は1人でいくつもの業務をこなさなければならなくなります。ゆえにブラック企業というそしりを受けることも少なくないでしょう。

しかし、規模が小さい会社だからこそ自分の努力が明示される点が零細企業のメリットの一つです。中小企業でも珍しく経営者が努力していても、結果が見えづらいということがあります。個人の売上が会社全他の規模がでかくなるごとに希薄になってしまうからです。

例えば全体の売上が月100万円の企業と1000万円の企業とでは、個人が稼いでくる努力の価値が一緒とはとても考えられません。単純計算で10分の1の価値しかないため、評価が過少になってしまうことも考えられます。

零細企業では、自分で勝ち取った努力をそのまま会社に反映されるためモチベーションも高まりやすく、社内に反響を与えることも多くなります。

活躍に年齢は関係ない

零細企業にも経営者と従業員をはじめとする上下関係はあります。しかし、中小企業や大企業のように、年齢によって仕事を任されたり、地位が与えられたりすることは少ないです。そもそも人材が足りない中をやりくりしているため、年齢を考慮して待遇を変える余裕がありません。

活躍をするためには、自らの営業成績を上げていくしかありません。人事考査もしっかりしたものはなく、経営者の一存で行われることも多いです。大口の案件であってもそれまでの成績で決められますので、長年のキャリアと言った個人ではどうしようもできない部分が、零細企業には極端に狭くなっています。

つまり零細企業に入れば、若くても役員に就くことが考えられますし、そのほかの企業よりもかなり早く重役に就くことができます。自らがやるべきと考えたことが実践しやすいのは、こうした早い段階での人事をほぼ自動的に行える点が関わっています。

社内コミュニケーションが密である

オフィスでミーティングをしてる女性たち

人材が少ないというのは、コミュニケーションをとることも名前を覚えることも早くなるということです。コミュニケーション自体が密になるということは、変にシステムが無くとも十分な情報共有が可能となり、面倒な手続きも簡略化することができます。

社内コミュニケーションは規模が大きくなるごとに難しくなります。個性のない日本人と言われることもありますが、プライベートの領域に関してはかなり個を持っています。つまり表では平凡でも裏(社内)では個の応酬が激しく調和を採ることも難しいです。人間関係に疲れるという人の背景には、このような点も含まれているのでしょう。

零細企業の場合ではコミュニケーションが密になり、仲の良いメンバーになっていることが多いです。追加人員になったとしても多くて数名ですので、コミュニケーションをとることに疲れることは滅多にないでしょう。

零細企業に就職するデメリット

零細企業には特徴があります。単に人材が少ないというだけでなく、組織としての特徴が中小企業や大企業とは根本的に異なります。この特徴からメリットも生まれますし、同様にデメリットも生まれます。

組織的特徴から生まれてしまうデメリットに対して各経営者は工夫を凝らしていますが、上手くいっている企業は少ないです。裏を返せば新人でも改善に協力できる部分があるということであり、組織的な悩みは新しい視点を取り入れることで、いとも簡単に解決することがあります。

教育制度が整っていない

先輩社員から新人教育を受けている女性

まず、零細企業の場合では、教育体制を整えるだけの経験値がありません。どのように整えたら効率的かは議題に上がるものの、その前に売上や利益の改善に話が移ってしまうからです。このケースでは、それぞれが自分の仕事をこなせているがゆえに、教育制度の必要性を軽く見ている節があります。

新人が入社することで教育制度はなければならないし、その結果を素直に伝えてくれる人材もまた必要だということに気づかされます。教育制度を整えるには、新人が重要になってくるのです。

待遇面に不利が生じる

零細企業のほとんどは資本金が少ないです。他の企業と比べるとほぼないと同じくらいの資本金しかありません。資本金が無いということは、それだけ倒産しやすいことなのか言われれば決してそう意味ではありません。ただし融資の限度額が低くなってしまうため、早急にストック収入を得なければ倒産の危機が強まります。

ストック収入とは定期的な収入のことであり、みなさんもストック収入の源泉になっていることが多いでしょう。例えば月額○○円というのはその典型であり、自動的にいくらの支払がその企業にあるのかが分かります。毎月同じ金額とある時期に多額の収入があるのは、どちら方が良いかと言われれば断然前者のような収入となります。

零細企業の場合は、ストック収入の確保を優先的に考え、資金面にも苦労しているため充実した待遇を実現することは難しいです。福利厚生が整っていない企業も多いため、そういった整った環境で働きたい人は、大企業を目指した方がいいかもしれません。

大企業に就職や転職をするメリット9選

社内コミュニケーションの意味合いが濃い

社内コミュニケーションに関しては自動的に密になります。勝手に挨拶ができるようになりますし、会話も多くなるでしょう。会話が苦手な人には地獄かと言われればそうでもありません。会話が苦手であれば、周りの方がそうだと判断してくれ会話量を合わせてもらえます。しかし、コミュニケーションが密なため、どこかで不仲が生じてしまうと社内全体への影響が強いです。

経営者は零細企業をどう見ているのか

零細企業以外の経営者というのは、零細企業を低く見るどころか有能な技術や組織であると判断した瞬間から引き入れようと躍起になります。なぜなら、自社だけではもはや新事業を起こすだけの体力が無いからです。既存事業を回すだけで赤字になってしまう会社もあります。

そのような場合では、すでに動き出している会社の力を借りてライバルを出し抜くことを考えています。つまり、零細企業は、大企業や中小企業ができないような新鮮味あることを多くやっている可能性があり、大きな発展をする可能性がある組織なのです。

零細企業を見れば日本経済の基盤が見えてくる

オフィス街にいる就活生

零細企業が衰退してしまえば、中小企業や大企業がしなければならない仕事が増えます。しかも零細企業が担っている業務というのは、大企業や中小企業では採算の合わないことばかりであり、零細企業だからこそできるものが多いです。

零細企業だからリーダーになれないのではありません。実際には認めてくれるところが無いから埋もれているだけであり、零細企業に勤めるということは、そのような業務が埋もれている場所に行くということなのです。