キャッシュフローとは株取引に必須
キャッシュフローという言葉はビジネスマンにとって身近な言葉となっていますが、実際にはキャッシュフローという言葉がなぜ必要になってきており、どのような意味合いをもち活用できるのかということについて、不明確である方も多いです。
キャッシュフローは、特に株式取引において重要な働きをします。株式を売り買いするということは購入する株式と売却する株式の価値を、正確に見分けなければ得を勝ち取ることが難しいです。従来の貸借対照表と損益計算書、そして株価の動向を見るだけでは、特定の企業のお金の動きを把握することは難しいです。
キャッシュフローは、企業のお金の動きを知るうえで不可欠な存在となってきました。このキャッシュフローがどのようなものであるかを大まかに理解しておくことで、株取引を優位に進めることが可能です。なぜなら、キャッシュフローは企業の株取引において重大な意味を持つからです。
キャッシュフローとは
キャッシュフローは、財務面でも重宝される他、投資活動においても大きな期待が寄せられています。決算書の中にキャッシュフロー計算書というものがあり、企業としては透明度の高い企業を目指すために、キャッシュフロー計算書を開示するところもあります。
キャッシュフローとは、一言で言うと「お金の流れ」を指します。企業にとって収益や利益も重要なのですが、より重要なのは、どんなタイミングで現金の移り変わりがあったのかということです。
キャッシュフローには、キャッシュ・イン・フローとキャッシュ・アウト・フローがあります。お金は入ることもあれば出ていってしまうこともあります。入ってきたお金の流れをキャッシュ・イン・フローと言い、出ていってしまったお金をキャッシュ・アウト・フローと言います。
利益は意見、キャッシュは事実
「利益は意見、キャッシュは事実」という言葉は、会計業界において有名な文句です。利益というものはつまるところ会計用語であり、実際にある儲けとは別物です。もし実際の利益と財務諸表との利益に寸分の違いもなければ、該当する企業の財務体質はすこぶる良いと判断しても良いでしょう。
会社は資金を得るために融資を受けたり、株式の売却と流通に力を入れ、時には社債を発行することもあります。しかし、これらは日常的に行うものではなく、日常的には商品や製品の売買をもって資金の獲得に努めます。商品の売買にしろ、単純な資金の流通にしろ、瞬間的に資金の受け渡しが完了するわけではありません。
財務諸表の利益というものは、現在において予定されている利益を計上しているにすぎず、実際に手元にある利益金額とは齟齬が出るのが一般的です。キャッシュつまり現金は、実際に手元にあるお金を指し、手元にあるお金というのは自社の意思決定によって自由にできるお金を指します。財務所上場の利益と現金が一致する企業はほぼ存在せず、小規模であればあり得る程度です。
キャッシュフローの種類
キャッシュフローには、いくつかの種類があります。代表的なキャッシュフローには、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローの3つがあります。基本的には3つのキャッシュフローだけですので、今回は3つのキャッシュフローがどのように仕分けられているかを見ていきましょう。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュローは、当該企業の本業となる通常事業において発生したお金の変動を指します。会社が受け取る資金というのは、何も経常活動による売り上げだけではありません。株式の売買や債券の売買でも利益を得ることが可能です。
営業キャッシュフローでは、経常活動によって得られた、あるいは必要になったお金を示すことにしています。例えば、タオルを製造して卸売り業者に売ることを本業としている会社であれば、タオルの売り上げだけが記載されることになります。もちろんタオルだけでなくハンカチやガーゼなど派生する製品も作っているのであれば、それらの合計が営業キャッシュフローに反映されることになっています。
つまり、営業キャッシュフローは、当該企業の本業でどのくらいのお金の出入りがあるかを示しているものなのです。
投資キャッシュフロー
投資キャッシュフローでは、当該企業がどのような投資活動をしているのかを金額ベースで流動性を見ることに役立ちます。キャッシュフロー計算書の意義としては、これまで不明確であった企業の投資活動の実態を把握するということが大きかったです。
企業においても個人においても投資活動の流動性はあり、問題は流動する投資活動をどのようにして捉えるかでした。今までは貸借対照表を用いて減価償却の対象となっていた設備投資や株式売買による有価証券投資、または企業買収に関しての透明性を図ることが急務でしたので、投資キャッシュフローでは、実際に保持している資産価値を投資活動から切り取るために重宝されています。
投資キャッシュフローでは、どの時期にいくらの投資をして、しっかりとリターンを回収できているかを見るための指標となっています。
財務キャッシュフロー
最後の財務キャッシュフローというのは、借入金の返済であると考えてもらえれば大丈夫です。借入金のほかにも増資に伴う配当金の支払も考えられますが、大まかな内容とすれば、当該企業が支払わなければならない借金の金額とみなすことが多いでしょう。
財務において借入金の返済というのは早い方が利子がつかず、また資産の活用に幅を持たせることができるため、早急に解消したい勘定です。しかし、借入金も税務の面で見れば有意義に使うことができるため、無理のない返済計画を練ることが望ましいと言われています。
よって、財務キャッシュフローは、緩やかにプラスになろうとしているマイナス状態が理想という方もいます。
フリーキャッシュフロー
営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを合わせたものを、フリーキャッシュフローと呼びます。企業には経常収支と特別損益がありますが、フリーキャッシュフローは、両方の合計がどのように推移してきているのかを調べるために用いられます。
要するに、当該企業が自由に使える資金がどの程度残されているのかを調べるために、フリーキャッシュフローは大変重宝することになります。フリーキャッシュフローを見るだけでこの目的を達成することができ、投資活動という自社と離されている環境の影響を受けて、当該企業の財務体質にどの程度の反応が出てくるのかを調べることも可能です。
しかし、合計金額として示されている以上は、本業による収益が上下していることを調べることには不向きです。また、投資活動の調子を調べることにも不向きと言えるでしょう。
キャッシュフローの使い方
キャッシュフローの使い方として第一に挙げられることは、お金の流れを汲み取ることです。お金の流れを読み取ることは銀行員の仕事かもしれませんが、投資をするか否かについては企業の透明性を図る必要があり、キャッシュフロー計算書で部分的に解消されています。
また、キャッシュフローを見るということは、将来的に当該企業が持つであろう資産ではなく、実際に決算時点で使えるお金がどの程度残っているのかを調べるために使います。キャッシュフロー計算書自体はExcelで簡単に作ることが可能ですが、示している内容は非常に高度なものとなり得ます。なぜなら、企業の持っている資産の出入りをすべて合計した結果が導かれるため、取引時点の変動を読み取ることも可能だからです。
簡単な見方であれば、計算書の末に記載されるキャッシュ期首残とキャッシュ期末残を見るだけで、実際に使えるお金の残量の差を計ることができます。
キャッシュフロー計算書が必要な理由
なぜキャッシュフローが必要になったかについては理由があります。中でも売上金や利益の概念についての整理という目的は重要です。売上金は期間中に製品や商品などを売って得たお金の合計です。しかし、実際には製品や商品と現金を交換しているのではなく、交換できるように契約しているにすぎません。ここには売掛金の問題が関係してくるからです。
売掛金は確かに資産の一部として考えることができますが、計上している会社にとっては回収中の資産であり、その資産を使うことはできません。使うことのできない資産も合計して算出する純利益についても、実際に企業運営に使える資産とは離れてしまっています。
キャッシュフロー計算書は、純粋にどのくらいの資産を運用できるのかを見るために、不可欠な会計書類となっています。
キャッシュフローと国際会計基準との関係
日本では従来の日本式会計がとり行われてきましたが、国際会計基準に転換していく関係で、キャッシュフロー計算書の重要性について認可せざるを得なくなりました。なぜなら海外企業の買収や取引関係の構築を図るためには、現地通貨で実際に使える資産の正確な把握と、経済情勢による為替変動を考慮しなければならないからです。
国際会計基準で全世界の会計システムを統合させても、現地通貨を出発点として考えることには変わりありません。そして投融資を行うためには実際にある資産状況を判然とさせることが重要です。
キャッシュフローとは企業の動きを見るツール
キャッシュフローはお金の動きを見るためのツールです。企業のお金の動きを見るというのは人間でいう所の血液検査に似ています。血液がドロドロであれば改善しなければなりませんし、足りなければ輸血しなければなりません。
キャッシュフローを見るということは、企業の体質改善を行うための検査をするということです。ゆえにキャッシュフローは企業の動きを見ることになります。お金の始まりと終わりだけをチェックするのではなく、入りと出の動きをチェックして良し悪しを決める投資を心がけましょう。